ECサイト構築を行う5つの方法
ECサイトの構築方法は、活用するツールによって異なります。主なECサイト構築方法は以下の5種類です。ここでは、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
- ●フルスクラッチ
- ●ECパッケージ
- ●オープンソース
- ●ASP
- ●クラウドサービス
フルスクラッチ
フルスクラッチとは、OSSを含む既存のECシステムは一切使用せず、ゼロからECサイトを構築する方法です。
アクセスが多い大規模なECサイトに最適で、デザインの設定が自由にできるほか、さまざまな要望に対応が可能です。CRMなどの各種機能にも連携できるので、使い勝手がよい点もメリットです。
しかし、インフラやサーバ環境の設計や用意を自社で行う必要があり、高度な技術と膨大な開発費を要します。トラブル発生時にも自社ですべて解決しなければならず、大規模企業向けの構築方法といえます。また、システムが複雑なため、サイト構築を委託した場合はメンテナンスや改装を委託会社に依存することが多くなります。
ECパッケージ
ECパッケージとは、ECサイト構築に必要な基本機能や仕組みをひととおり備えているものを指します。あらかじめ搭載された基本機能をベースに自由にカスタマイズが可能で、中・大規模のECサイトによく活用される方式です。
ECサイトとしてある程度できあがった形で提供されますが、自由度が高く、自社の管理下に置ける点がメリットです。また、商品管理や売上管理などの機能が搭載されているため、初期段階から本格的なECサイト運営が実現します。
しかし、フルスクラッチ方式より価格は抑えられるものの、自由度が高い分クラウドサービスやASPなどと比較すると高額になります。また、自社サイトにあわせたカスタマイズが必要なため、ECサイト構築までにある程度の時間を要します。
オープンソース
オープンソース(OSS)とは、広く一般にソースコードを公開し、誰でも自由に活用できるソフトウェアを指します。ライセンス費用が無料のため、安価でECサイトの構築が可能です。開発知識のある従業員がいれば自社で保守・運用管理のほか、機能のカスタマイズ、デザイン変更なども自由にできます。
しかし、オープンソース方式では提供事業者のサポートが受けられない場合が多くあります。そのため、システムに障害が発生したとしてもすべて自社で解決しなければなりません。また、サービスの永続性がないこともデメリットとして挙げられます。
ASP
ASP(Application Service Provider)とは、アプリケーションソフトの機能をネットワーク経由で顧客にサービスとして提供することです。ECサイト構築においては、インターネット上でベンダーが提供するECサイト構築ツールを活用できます。
完成形に近い形で提供されるため、自社での開発やカスタマイズの手間が少なく、スピーディーなECサイト構築が可能です。サーバやソフトウェアの導入・管理費も必要ないため、コストを抑えて導入できる点もメリットです。また、常にバージョンアップやセキュリティーの更新が行われるので、最新の環境でECサイトの運営を行えます。
しかし、完成されたシステムを利用するため、機能のカスタマイズ性が低い点がデメリットといえます。CRMなど各種システムとの連携もできないため、アクセス数の多い大規模なECサイトの運営には向きません。
クラウドサービス(SaaS)
クラウドサービスは、ASPと同様にベンダーが提供するECサイト構築ツールをインターネットを経由して活用する方式です。ASPとの違いは、システム全体の柔軟性にあります。クラウドサービスはデザインや機能のカスタマイズ、各種システム連携が可能です。ASPと比較して、ECサイト構築の自由度が高い点や多機能である点がメリットです。
しかし、クラウドサービスはASPより高価格になる傾向にあります。柔軟性も高く多機能であり、かつ高い頻度で機能追加などの更新も実施されることが要因です。また、クラウドサービスを狙うEDoS攻撃の対象になるリスクや、セキュリティ対策をベンダーに依存するといったデメリットもあります。
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ECサイトの構築手順
自社に適したECサイト構築方法を決めたら、実際にECサイトを構築してみましょう。ここでは、ECサイト構築の5つのステップについて詳しく解説します。
ステップ1:利用する機能を決定する
ECサイト構築システムの導入方法としてパッケージ型を選んだ場合は、自社で必要な機能を組み込んで提供されていることが大半です。一方、ASP型やクラウドサービスの場合は、利用するしないに関わらず多くの機能が搭載されています。いずれの方式で導入したとしても、まずはECサイトのスタートアップ時にどの機能を利用するか決定しましょう。
例えば商品管理・顧客管理やメルマガ配信機能、ポイント機能のほか、商品検索やユーザーレビュー、おすすめ商品表示などがあります。顧客が買い物をしやすいか、自社で十分に管理していけるかを検討して選定しましょう。
ステップ2:データの連携先を決める
ECサイト構築システムは、顧客が買い物をするWebページのみを作るわけではありません。顧客や受注をトータルで管理する機能をもっており、顧客情報や在庫管理、物流・配送状況など、必要に応じてデータ連携が可能です。
例えば、実店舗をもっている場合は、ECサイトと在庫情報を連携すれば、在庫のロスを最小限に抑えられます。データ連携の目的や周辺業務・関連システムを整理して検討しましょう。
ステップ3:Webページのテンプレート作成
次に、売り場となるWebページを作成していきます。まずは商品ごとにページを用意するために、商品情報ページのテンプレートを作成しましょう。同様のデザインで複数のページを作成できるため、時間短縮につなげられます。
テンプレートは自社の販売商品を想定して作成します。スマートフォンや携帯などに対応する場合は、デバイスごとに準備が必要です。また、会員ランクや顧客グループごとに表示形式を変える場合も、同様にそれぞれのテンプレートを作成します。
ステップ4:テンプレートを元に商品ページ・TOPページなどを作成
ステップ3で作成したテンプレートに商品情報や画像などを流し込み、商品ページを作成します。商品数が多いほど作業負担がかかるため、あらかじめ作業時間を試算しておくとよいでしょう。実店舗などでECサイトのオープン日時を予告する場合に役立ちます。また、商品ページの作成と平行して、お店の顔となるTOPページも作成します。
ステップ5:運用を見据えて管理機能を熟知する
最後に、ECサイトを運用していくにあたって、管理機能を熟知しておきましょう。多くのECサイトでは、季節や商品入荷ごとに商品情報ページの新規作成・情報更新などを行います。特に商品の入れ替えや情報更新の頻度が高いECサイトを運営するにあたっては、いかにスムーズに管理業務が行えるかがポイントとなってきます。
特にコンテンツ管理・更新機能、商品管理・更新機能、テンプレートのデザイン管理機能は、関係者全員が扱えると安心です。
自社でECサイトを構築するメリット
ECサイトを活用して事業を行うには、ショップベースを提供するモール型ECサイトを利用する方法と、自社でECサイトを構築する方法の2つがあります。ここでは、自社でECサイトを構築するメリットについて詳しく解説します。
運営コストが低い
モール型のECサイトは集客力がある反面、月額費用がかさみます。基本費用にくわえ、決済手数料やシステム使用料、掲載商品数に応じて金額が加算される場合が大半です。また、同製品を扱っている出店者がある場合は、価格競争に陥ってしまう危険性があります。
一方、自社ECサイトでかかる費用はシステム維持費や保守料のみです。モール型ECサイトのように月額費用がかさむ恐れがありません。さらに、ASPやクラウドサービスを活用すれば簡単にECサイトを構築でき、初期費用も抑えられます。
細かいサイト分析ができる
ECサイト構築ツールを活用することで、いつ・誰が・何を・どれだけ購入したかがアクセスログとして保存され、一元管理できます。モール型のECサイトではこれらの情報取得に制限がありますが、自社ECサイトには制限がありません。
サイトの離脱率や商品ごとの購買層、アクセスの多い時間帯など細かな分析ができることによって、より具体的な改善策を考えられるでしょう。
自社独自のブランディングができる
モール型のECサイトの場合、サイトデザインや商品写真の数、バナー設定などにある程度の制限があります。そのため、自社の独自性をだしたECサイトの構築は難しいでしょう。また、そのような制限のなかでは、商品の差別化が難しいといった問題もあります。
自社ECサイトの場合は自由にデザインを決めてカスタマイズできます。ECパッケージなどカスタマイズ性が高いツールであれば、よりオリジナリティの高いECサイトが作れます。また、ECサイト内でただ商品を掲載するだけでなく、顧客にとって有益な情報を提供するコンテンツを充実させることも可能です。会社や商品のファンになってもらい顧客を囲い込むコンテンツマーケティングにも活用できる点がメリットです。
まとめ
ECサイトの構築方法やメリット・デメリットはツールによってさまざまです。自社のECサイトの規模や必要な機能、リソースが割けるかなどを検討し、最適な方法を選択しましょう。
また、ITトレンドではおすすめのECサイト構築ツールを多数掲載しています。各社製品資料の一括請求も可能なため、導入を検討したい方はぜひご活用ください。