AI-OCRとは
AI-OCRとは、紙の帳票を読み取りテキストデータ化するOCRに、AIを搭載して読み取り精度を高めた文字認識技術のことです。機械学習やディープラーニングなどのAI技術を利用することで、従来のOCRと比較して大幅に文字認識精度を向上している点が特徴です。近年ではペーパーレス化の促進や業務効率化を目的に、多くの企業で導入が進んでいます。
AI-OCRはフリーで利用可能
AI-OCRには、機能を限定しつつも無料で使えるフリープランやツールが数多く提供されています。文字認識の基本機能に加え、PDFや画像からのテキスト抽出、手書き文字への対応など、実用性の高い機能を備えたものもあります。まずは無料版で使い勝手や認識精度を確認したうえで、業務に合った有料版への移行を検討するのが効率的です。
無料AI-OCRの種類
AI-OCRには有料版と無料版があり、無料版はさらに以下の2つに分類されます。
- ●完全無料製品(フリープラン)
- ●一定期間無料製品(トライアルプラン)
トライアルプランは、有料版への移行が前提となるため、トライアル終了後の料金を確認しておくとよいでしょう。
AI-OCRの概要についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
無料AI-OCRの注意点
無料で使えるAI-OCRはコストを抑えて導入しやすい一方で、利用できる機能や処理件数などに制限があることが多く、業務で活用するには注意が必要です。ここでは、無料AI-OCRを使う際に確認しておきたい主な注意点をまとめました。
- ■読み取り枚数に制限がある
- 無料プランでは月300枚など、帳票の処理上限が設定されている場合が多く、大量処理には不向きです。
- ■読み取り精度が低いことがある
- 精度が不十分な場合、誤認識や読み取り漏れが発生し、人手による修正の手間が増加する可能性があります。
- ■業務利用には不向きな場合も
- 無料ツールは機能が限定されており、業務での本格活用には有料製品の方が安定性・精度・処理能力に優れています。
有料版なら、数千~数万枚の読み取り、高精度(98%以上)の認識、自動仕訳や誤字修正といった業務効率化機能が利用可能です。以下の記事では、ITトレンドがおすすめするAI-OCR製品を比較して紹介しています。有料製品とも比較して検討したい方は、あわせて参考にしてください。
▶無料で使えるAI-OCR
ここでは、無料プランを提供しているAI-OCRを紹介します。
AI JIMY OCR
「AI JIMY OCR」はシー・システム株式会社が提供しています。無料プランでは、CSV出力枚数が限られているものの、認識枚数は無制限で利用可能です。Windowsのユーザーであれば無料アカウントを作成し、すぐに利用を始められます。スタンドアローンなシステムのため、社内情報を社外にアップロードする必要はなく、高い安全性が特徴です。
Google OCR
「Google OCR」はGoogleが提供する文字認識機能で、GoogleドライブやGoogleドキュメントを通じて利用できます。画像やPDFをアップロードするだけで自動的に文字を抽出でき、複数言語にも対応。無料枠では1ファイルあたりの容量制限(最大2MB程度)があり、ファイルサイズが大きい場合は分割してアップロードする必要があります。
Microsoft OneNote
「Microsoft OneNote」はメモ管理アプリとして知られていますが、画像内の文字を自動的に認識するOCR機能も搭載しています。ノートに貼り付けた画像から簡単にテキストを抽出できるため、会議資料や手書きメモのデジタル化に便利です。無料プランではストレージ容量(5GBまで)に制限があり、容量を超える場合はOneDriveの有料プラン契約が必要です。
Light PDF
「Light PDF」は、PDF編集や変換、OCRなど多機能を備えたオンラインツールです。OCR機能では、スキャン文書や画像ファイルをテキストデータに変換でき、複数形式(Word・Excel・TXTなど)で出力が可能です。無料プランでも一定数のファイル変換を行えますが、1日の処理回数やファイルサイズに上限があり、大量処理には有料プランの契約が必要です。
Renee PDF Aide
「Renee PDF Aide」は、オフラインで利用できるPDF変換・編集ソフトです。OCR機能を搭載しており、スキャンしたPDFや画像ファイルから日本語・英語など多言語の文字を認識可能です。無料版でも基本機能を利用できますが、ページ数や変換回数などの制限があり、継続的に利用する場合は有料版のライセンス購入が必要です。
Azure Computer Vision
「Azure Computer Vision」は、Microsoft Azureが提供するAI画像認識サービスの一つで、高精度なOCR機能を備えています。大規模なシステム連携にも向いており、開発者や企業が独自アプリケーションにOCR機能を組み込む際に最適です。無料プラン(F0)では月5,000件までのOCR処理を無料で利用できますが、超過分は従量課金制となります。
▶無料お試しが可能なAI-OCR
全社的にAI-OCRを利用したい場合は有料製品の検討も必要です。無料トライアルの活用は、自社で十分に試用したうえで有料製品の導入を検討できるためおすすめです。ここからは、無料トライアルを提供しているAI-OCR製品を紹介します。
SmartRead
- AI OCRで自動仕分け,高精度読取り,確認修正機能で作業時間を削減
- 初期費用&月額システム料不要で、利用料は月額3万円~ ※年払い
- APIやRPAを通して業務システム等に連携でき、データ活用を推進
株式会社Cogent Labsが提供している「SmartRead」は、独自開発のAIが搭載された次世代AI-OCRです。標準機能として文書仕分け機能を備えており、事前にフォーマットを登録しておけば仕分け作業も不要となります。またAPIなどの充実した外部連携機能により、データ活用やDX化にも役立つでしょう。
| 対象企業規模 | すべての規模に対応 | 提供形態 | オンプレミス / クラウド / SaaS |
| 参考価格 | クラウド版:初期費用無料 ●スモールプラン:年額3️60,000円 ●スタンダードプラン:年額960,000円 ●エンタープライズプラン:年額2,400,000円 | ||
スマートOCR
- AIにより画像データの中の文字を高精度で認識が可能
- 書式がバラバラな非定型帳票でも柔軟に対応してデータを抽出
- 確認や管理しやすい操作性で、充実した高度な機能を搭載
「スマートOCR」は、株式会社インフォディオが提供するOCRサービスです。独自開発のAIエンジンにより、ノイズがある画像や歪んだ書類の読み取り・成形にも対応しています。スマホアプリも用意されているため、手軽に読み取りが可能です。さらに、無料トライアルでは5日間無料で最大100枚の帳票をOCR変換できます。
| 対象企業規模 | すべての規模に対応 | 提供形態 | クラウド / SaaS |
| 参考価格 | ー | ||
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
AISpect
- 自社の課題解決から誕生。ゆえに驚くほどの高精度
- 生成AIを活用することで様々な帳票に対応
- カスタマイズで専用AI開発が可能
株式会社 ASAHI Accounting Robot 研究所が提供する「AISpect」は、PDFや写真の文字情報をドラッグ&ドロップで手軽に読み取り、指定フォルダに自動保存できるAI-OCRサービスです。複数ページの統合や置換機能などを備え、シンプルな操作性と高精度な文字認識で業務効率化を実現します。最大50枚まで利用可能な無料トライアルで導入前に操作感や精度を確認できます。
| 対象企業規模 | すべての規模に対応 | 提供形態 | クラウド / パッケージソフト / SaaS |
| 参考価格 | 標準版(プラン1000):初期費用50,000円、月額10,000円/1000枚 | ||
DX OCR
- 「斜め文字」、「手書き文字」も認識する、高精度な文字読み取り
- AIが帳票レイアウトを自動解析!帳票設計不要
- 人による入力業務を自動化し、コストと時間を大幅削減
株式会社ハンモックが提供する「DX OCR」は、帳票設計不要で手書き・斜め文字・非定型レイアウトにも対応する高精度AI-OCRクラウドサービスです。注文書や明細書など様々な書類をCSV形式で自動変換し、基幹システムとの連携を実現。画像の傾きや汚れにも柔軟に対応し、入力業務の手間とコストを削減します。無料トライアルでは、実際の帳票で読み取り精度を確認可能です。
| 対象企業規模 | すべての規模に対応 | 提供形態 | クラウド / SaaS |
| 参考価格 | Entry:初期費用無料、月額30,000円 | ||
ジーニアルAI OCR
- 普段のExcel環境に統合、既存の業務フローを維持してDXできる
- 設定不要で簡単に使えるので現場の意識を業務改革へ向けられる
- Excel内でデータの関係を可視化できるので、書類探しがなくなる
株式会社ジーニアルテクノロジーが提供する「ジーニアルAI OCR」は、Excelベースで書類を効率的にデータ化できる経理DXツールです。PDFやOfficeファイル、手書き書類をAI OCRで取り込み、テーブルやテキストもドラッグ操作でスムーズに転記可能。転記先セルと元データの関連も可視化でき、入力・チェック業務を省力化します。最大5ユーザーまでの1か月間無料トライアルも用意されています。
| 対象企業規模 | すべての規模に対応 | 提供形態 | SaaS |
| 参考価格 | 初期費用無料、月額5,000円~/ユーザー | ||
株式会社NXワンビシアーカイブズのAI-OCR × BPOサービス
- 帳票に合わせて最適なOCRツール・機能を選定
- 紙帳票のスキャン・補正・確認作業も代行可能
- 活用シーンに合わせて出力データを加工して納品
株式会社NXワンビシアーカイブズが提供する「株式会社NXワンビシアーカイブズのAI-OCR × BPOサービス」は、帳票に適したAI-OCRを選定し、スキャンから補正、データ加工まで一貫対応するデータ化支援サービスです。30枚程度の帳票を対象に、読取精度を確認できる無料トライアルも用意されており、クラウド環境で手軽に体験可能です。
| 対象企業規模 | すべての規模に対応 | 提供形態 | サービス |
| 参考価格 | ー | ||
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
LINE WORKS PaperOn
- 様式が存在しない書類も高精度に項目抽出
- 複数の方法で現場からでも書類をアップロード
- 修正や変換などの面倒な作業を自動化
LINE WORKS株式会社が提供する「LINE WORKS PaperOn」は、AI-OCRと生成AIを組み合わせることで、帳票の受取から入力・変換・連携までを自動化できる文書処理サービスです。手書きや斜め文字も正確に認識し、スマホからのアップロードにも対応。無料トライアルでは1か月間、最大200回まで読み取り可能で、操作性や精度を事前に確認できます。
| 対象企業規模 | すべての規模に対応 | 提供形態 | クラウド / SaaS |
| 参考価格 | 初期費用無料、月額30,000円~ | ||
SmartRead PLUS+
- 信頼性が高く、すぐ活用できるように加工したデータを提供
- 高度なセキュリティ体制!機密性の高い文書でも安心してお任せ
- 特定の書式に限らず、あらゆる形式の文書に対応
株式会社Cogent Labsが提供する「SmartRead PLUS+」は、書類のスキャンからAI-OCRによる読取、オペレーターによる確認・加工まで一括対応する自動データ化サービスです。多様な文書に対応し、人とAIの連携で高精度な構造化データを提供。500枚まで利用可能な無料トライアルもあり、精度や操作性を事前に確認できます。
| 対象企業規模 | すべての規模に対応 | 提供形態 | サービス |
| 参考価格 | 初期費用無料~、単価:自動仕分け1円~、1項目3円~、1ページ(非定型の場合)5円 | ||
DenHo (株式会社インフォディオ)
- AI-OCRが自動で分類・データ化し、データの手打ち入力が不要に
- 種類問わず全ての帳票で電⼦帳簿保存法の要件に対応可能
- 学習コストがかからず、操作が簡単で誰でもすぐに使いこなせる
株式会社インフォディオが提供する「DenHo」は、電子帳簿保存法に対応したAI-OCRクラウドサービスです。同社の「スマートOCR」のAI-OCR機能が搭載されており、スマホから簡単に読み取り・アップが可能です。さらにスキャナ保存ソフト法的要件の認証も取得しているため、スキャナ保存にも活用できます。
| 対象企業規模 | すべての規模に対応 | 提供形態 | クラウド / SaaS |
| 参考価格 | 月額9,000円~ | ||
以下のボタンから、ITトレンドがおすすめするAI-OCR製品(有料)の一括資料請求ができます。無料トライアルがある製品も掲載しているので、さっそく製品の比較検討をしたい方はぜひご活用ください。
自社に適したAI-OCRの選定ポイント
AI-OCRは製品によって、さまざまな特徴や搭載機能があります。自社に最適な製品を選定するには、どのような点に着目すればよいのでしょうか。ここでは、AI-OCR製品の選定ポイントについて詳しく解説します。
「印字」と「手書き」どちらの読み取りに強いか
AI-OCRは、印字に強い製品と、手書きの文字に強い製品があります。例えば、請求書や発注書など、印字が記された書類を大量に処理するのなら、印字の読み取りに特化したAI-OCRを選ぶとよいでしょう。一方、申込書や履歴書など、手書きの書類を読み取りたいのなら、手書き文字に対して高い認識率を誇る製品がおすすめです。
多言語に対応しているか
製品によっては、日本語にしか対応していない場合があります。しかし、取り扱う書類に英数字や記号が多く含まれるのであれば、日本語以外の認識も可能な製品でなければ業務効率化につながりません。また、グローバル展開している企業であれば、日本語・英語だけではなくさまざまな言語の読み取りが必要になります。自社で活用している帳票に含まれる言語に対応しているかを確認して製品を選定しましょう。
セキュリティ対策は十分か
AI-OCRで取り扱う書類には重要な機密情報が含まれていることもあります。万が一社外に流出してしまえば、大きな損失となるだけでなく、社会的信頼の失墜にもつながるでしょう。
そのため、AI-OCRを導入する際にはセキュリティ性にも注意して製品を比較することが重要です。二段階認証や暗号化などのセキュリティ機能を搭載しているか、ISMSやPマークを取得しているかなど、多角的に確認しましょう。
「製品が多くて絞り込むのが手間」、「自社に合う製品を診断してから資料請求したい」という方向けの診断ページもあります。
ITトレンドで過去にAI-OCR製品を資料請求した方のお悩みや要望から作成した簡単な質問に答えるだけで、最適なシステムを案内します。
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まとめ
無料のAI-OCRには読み取り枚数などに制限があり、ビジネスシーンで十分に活用できないケースもあります。本格的な運用を目指すのであれば、有料製品とも比較して検討しましょう。自社でどのようにAI-OCRを活用したいのか、対象の書類や枚数などを洗い出し、最適な製品を選定することが重要です。
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