AI翻訳ツールとは
AI翻訳ツールとは、文書を自動的に翻訳してくれるAI搭載型の翻訳ツールのことです。これを活用することで、外国語の知識がなくても文書を日本語に翻訳できます。
翻訳ツールと聞くと、多くの方はWeb上で無償提供されているツールを思い浮かべるかもしれません。日常生活で利用するのなら、無料製品でも十分事足りるでしょう。
しかし、企業がビジネスで利用するのであれば話は別です。無料ツールは専門用語や業界特有の用語などに対応しておらず、正確に訳出できません。
また、セキュリティにも不安があり、機密文書などの翻訳に用いるのはハイリスクです。業務で使うのであれば、ビジネス向けの有料製品を使用しましょう。
AI翻訳ツール11選を徹底比較!
一口にAI翻訳ツールといっても、さまざまな製品が提供されています。
製品によって、対応している言語や分野などが異なるため、自社の業態や業種にあわせて、選定しなければなりません。ここでは11種類の製品を比較してみましょう。
DeepL Pro
DeepL社が提供している「DeepL Pro」は、入力文字数を気にせず利用できるツールです。文字の入力だけでなく、文書ファイルの入力にも対応し、レイアウトを崩すことなく丸ごと翻訳できます。カスタマイズ機能も充実し、業界用語や自社独自の言語を登録可能です。また、入力したテキストは翻訳完了直後に削除されるなど、セキュリティ性も確保されています。
価格 |
月額費用1,000円~、初期費用0円 |
無料トライアル |
あり(30日間) |
翻訳対応言語数 |
27 |
shutto翻訳
株式会社イー・エージェンシーが提供している「shutto翻訳」は、Webサイトのテキストを翻訳するサービスです。静的・動的を問わず、ブログやフォーム、会員向けサイトなど、多様な形式のサイトにおける文章を翻訳します。機械翻訳機能だけでなく、プロの翻訳家に依頼する発注管理機能も備えています。
価格 |
月額費用6,000円~、初期費用0円 |
無料トライアル |
あり(30日間) |
翻訳対応言語数 |
100以上 |
COTOHA Translator
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社が提供している「COTOHA Translator」は、NTTグループ企業が利用する高精度なAIエンジンが特徴の製品です。OfficeファイルやPDFなどの文書を、レイアウトを変えることなく瞬時に翻訳します。一般的なネット環境で利用できる「IPアドレス認証なし」と、セキュリティ性の高い「IPアドレス認証あり」のプランが用意されています。
価格 |
月額費用80,000円~、初期費用0円 |
無料トライアル |
あり |
翻訳対応言語数 |
25(オプション含む) |
T-4OO
株式会社ロゼッタが提供している「T-4OO」は、ニューラルネットワークを利用した独自のAI翻訳により、法務や化学、医薬、金融、電気電子など、2,000以上の専門分野に対応可能です。また、専用データベースにセンテンスを登録することで、独自の単語やフレーズを次回の訳出に反映させられます。SSL化通信や国内データセンターにより、セキュリティ性も万全です。
価格 |
要問い合わせ |
無料トライアル |
あり |
翻訳対応言語数 |
100以上 |
Zinrai Translation Service
富士通株式会社が提供している「Zinrai Translation Service」は、日本語と英語間の翻訳は、TOEIC960点レベルの高い精度を誇ります。中国語と日本語の翻訳精度にも優れ、さまざまなビジネスシーンへ対応可能です。翻訳後にデータは削除されるほか、クラウドサービスの信頼性を証明するASPIC認定を受けているなど、セキュアな環境が提供されています。
価格 |
月額費用55,000円~、初期費用0円 |
無料トライアル |
あり |
翻訳対応言語数 |
要問い合わせ |
MTrans Team
株式会社ヒューマンサイエンスが提供している「MTrans Team」は、社内資料や従業員マニュアル、海外拠点との取引メールなど、さまざまな文書を翻訳するツールです。ニューラルネットワークとディープラーニングを駆使し、高い翻訳精度を実現しています。わずか30秒で終わる初期設定や、直感的に使えるUIなど、利用のハードルが低いのが特徴です。
価格 |
月額費用9,000円~、初期費用100,000円 |
無料トライアル |
あり(14日間) |
翻訳対応言語数 |
27 |
Trados Studio
株式会社RWSグループが提供している「Trados Studio」は、世界中に27万人以上のユーザーをもつツールです。50種類以上のファイル形式に対応し、多くのビジネスシーンで活躍します。カスタマイズ性にも優れ、クラウドやオンプレミス、デスクトップなど多様な環境で利用できます。クラウドとローカル環境のシームレスな同期が可能です。
価格 |
要問い合わせ |
無料トライアル |
あり |
翻訳対応言語数 |
500以上 |
Mirai Translator
株式会社みらい翻訳が提供している「Mirai Translator」は、国際規格ISO27001と27017を取得し、総務省の要件へ対応した高水準のセキュリティと、優れた翻訳精度が特徴の製品です。TOEIC960点のビジネスパーソンに匹敵する精度で翻訳します。口語文章にも対応し、音声翻訳機能が提供されています。
価格 |
要問い合わせ |
無料トライアル |
あり |
翻訳対応言語数 |
25 |
ヤラクゼン
八楽株式会社が提供している「ヤラクゼン」は、テキストを入力するか、ファイルをドロップして言語を選択し、スタートボタンを押すだけで使える手軽さが魅力です。DeepLを筆頭に複数のエンジンを標準搭載し、翻訳対象にあわせて使いわけられます。アカウントごとにデータが管理されるうえ、自動削除やアクセス制限などの機能もあり、セキュリティも万全です。
価格 |
月額費用9,000円~、初期費用100,000円 |
無料トライアル |
あり(14日間) |
翻訳対応言語数 |
28 |
Clovernet多言語対訳支援サービス
NECネクサソリューションズ株式会社が提供している「Clovernet多言語対訳支援サービス」は、通話内容をリアルタイムに翻訳し、キャプション表示するシステムです。訪日観光客への対応や、外国人スタッフとの仕事などを支援します。相手の顔を見て会話をしながら即時翻訳できるほか、テキスト入力によって最大3言語間での会話が可能です。
価格 |
月額費用25,000円~、初期費用0円 |
無料トライアル |
あり(1か月間) |
翻訳対応言語数 |
要問い合わせ |
セルフ翻訳サービスNitro
Alconost社が提供している「セルフ翻訳サービスNitro」は、ネイティブの翻訳家に、リアルタイムに依頼できるオンラインサービスです。メールやビジネス資料、商品説明文、ブログ記事など多様なコンテンツに利用できます。翻訳したい文章をツール上で入力し、翻訳先の言語を選択後、料金支払方法を選択するだけで利用できます。
価格 |
従量課金制 |
無料トライアル |
なし |
翻訳対応言語数 |
70以上 |
個人向けと法人向けのAI翻訳ツールの違いとは
AI翻訳ツールには、個人向けのものと法人向けのものがあります。基本的に、前者は無料、後者は有料製品です。ビジネスで利用するのであれば、法人向けの有料製品をおすすめします。では、両者の違いを具体的に見ていきましょう。
1.対応言語の数
英語や中国語といったメジャーな言語であれば、無料のAI翻訳ツールでも対応可能です。しかし、マイナーな言語には、有料製品でしか対応できないことがあります。
近年、著しい成長を遂げている発展途上国も多く存在します。彼らと取引をするには、メジャーな言語への対応だけでは足りないかもしれません。有料のAI翻訳ツールであれば、数多くの言語を翻訳できるため安心です。
2.対応分野の数
無料のAI翻訳ツールの多くは、日常的に使われる言葉にしか対応していません。個人利用ならそれで十分かもしれませんが、ビジネス用語を含むテキストや、医学や金融といった専門分野の文書を訳出する際には困るでしょう。
有料のAI翻訳ツールなら、多くの分野に対応しています。具体的にどの分野に対応しているかは製品によって異なるため、自社の業務にあうものを選びましょう。
3.セキュリティの強度
AI翻訳ツールのほとんどは、クラウドサービスとして提供されています。企業の機密情報や顧客情報などをクラウド上で取り扱うのは、セキュリティの観点から望ましくありません。
しかし、企業向けの有料製品であれば、強固なセキュリティ体制が構築されています。
例えば、暗号化機能が備わっていれば、第三者による傍聴を阻止可能です。また、IPアドレスに基づいたアクセス制限など、安全を担保する仕組みが備わっています。
AI翻訳ツールの選定ポイント
AIツールは、どのような点に着眼して選定すればよいのでしょうか。運用の効率や安全性を担保するため、以下の3ポイントを意識して製品を比較しましょう。
1.翻訳の精度
翻訳の精度は、高いに越したことはありません。特に、専門性の高い文書を翻訳したいのであれば、高精度のツールを選ぶべきです。翻訳の精度は、AIエンジンそのものの性能と、チューニング・辞書の性能にわけられます。AIエンジンは、近年飛躍的な進歩を遂げています。自社が求める水準を満たしているエンジンを選びましょう。
一方、チューニングや辞書の性能とは、カスタマイズ性のことです。専門用語や社内用語などを追加することで、翻訳の精度を高められます。
2.セキュリティの安全性
登録したデータや辞書のチューニング内容が社外に漏れてしまえば、重大な情報漏えいとなりかねません。経済的な損失だけでなく、社会的信用を損なう可能性もあります。
法人向けのAI翻訳ツールにはセキュリティ対策が施されているのが一般的ですが、具体的にどのような対策がなされているかは製品によりさまざまです。
自社が求めるセキュリティ水準を満たすかどうか、慎重に検討しましょう。
3.チューニングの難易度
前述のとおり、チューニングは翻訳の精度を左右する重要な要素です。ところが、チューニング作業は容易ではありません。初期にはデータを与えてAIに学習させ、その後も必要に応じて修正を施す必要があります。
したがって、AI翻訳ツールの比較時には、チューニングの難易度にも着眼しましょう。運用後の効率が大幅に左右されます。
AI翻訳ツールを導入してビジネス拡大につなげよう
AI翻訳ツールを活用すれば、外国語の知識がなくても文書を翻訳できます。個人向けの無料製品もありますが、ビジネスで本格的に利用したいのであれば、対応言語・分野数やセキュリティ性に優れた有料製品がおすすめです。専門用語や業界独特の用語も含めて、正確に訳出できます。
一口にAI翻訳ツールといっても、さまざまな製品があります。紹介した比較ポイントを参考に、自社に最適な製品を選びましょう。