導入後に端末の動作速度が遅くなるケース
私的端末に、個人向けのウィルス対策ソフトを導入した場合、端末の動作速度が低下してしまいがちです。なぜなら、ウィルス対策ソフトを導入した端末では、バックグラウンドで常にソフトが稼働し、マルウェアの検出を行っているからです。
そしてこれは、法人向けのウィルス対策ソフトでも同じです。つまりソフトの仕様や導入環境によっては、導入後端末の動作速度が大幅に低下する可能性もあるのです。
また、法人向けのウィルス対策ソフトには、個人向けソフトよりも多くの機能を搭載して、強固なセキュリティレベルを実現している製品が多いと言われています。したがって、個人向けソフトよりも法人向けソフトの方が、動作速度の大幅な低下に見舞われる可能性が高いのです。
このような影響により、ウィルス対策ソフト導入後に、「パソコンが重くて業務が滞る」といった不満が、IT部門に寄せられるケースが少なくありません。
正常なソフトに悪影響を及ぼすケース
多くのウィルス対策ソフトでは、パターンマッチング手法を採用しています。
パターンマッチングとは、端末内のプログラムファイルを、既知のマルウェアについてまとめたパターンファイル(定義ファイル)と照合することによって、脅威を検出する手法です。
しかし、パターンファイルに誤りがあった場合には、正常なソフトに悪影響を及ぼす可能性もあります。実際に、ウィルス対策ソフトのメーカーなどから、誤ったパターンファイルが提供されるトラブルが発生しています。
また、アップデートなどによって誤ったパターンファイルを取り込んでしまうと、「PCが立ち上がらなくなった」「特定の機能を利用できなくなった」「データを消失してしまった」といった、業務上大きな問題を引き起こしてしまうこともあります。
他のセキュリティソフトとの間で不具合を起こすケース
多くの企業では、ウィルス対策ソフト以外の情報セキュリティツールも活用しています。ログ監視システム、メール暗号化システム、MDM(モバイル端末管理)システムなども、ウィルス対策ソフトと並ぶ代表的な情報セキュリティツールです。
一方で、設定や導入環境によっては、ウィルス対策ソフトと他の情報セキュリティシステムが、互いを有害なプログラムと見なして攻撃してしまうこともあります。
そのため、ウィルス対策ソフト導入にあたり、他のシステムの設定変更などを行わないと、「システムどうしの調整に多大なコストがかかった」、「他のセキュリティシステムのリプレイスが必要になった」という問題の発生する場合があります。
情報セキュリティリスクの増大に直結する3つの失敗
このように、ウィルス対策層とを導入した場合には、
- ●端末の動作速度の大幅な低下
- ●正常なシステムへの悪影響
- ●他のシステムとの連携不具合
という3つの失敗に陥る可能性があります。
言うまでもなくウィルス対策は、情報セキュリティの安全性を高める上で有用なツールです。しかしながら、今回ご紹介したような失敗に陥ることで、かえって情報セキュリティリスクを大きくしてしまう可能性もあるので注意しましょう。