生体認証システムの障害やサーバーダウンへの備え
クラウド型の生体認証システムでは、提供会社のサーバやネットワークに障害が起きると、認証ができなくなる可能性があります。障害の履歴を確認する方法と、障害が起きた場合に業務を止めないための備えを整理します。
障害情報の公開状況の確認
提供会社によっては、稼働状況や過去の障害の情報を公式サイトのお知らせやステータスページで公開している場合があります。障害の発生日時や影響範囲、原因、再発防止策が公開されていれば、提供会社の対応姿勢を判断する材料になりえます。
公開されていない場合は、過去の障害の有無や、障害時に利用企業へどのように連絡しているかを問い合わせてみましょう。稼働率の目標や、目標を下回った場合の返金などの取り決めを契約で定めている製品もあるため、契約書の該当箇所も確認しましょう。
障害時にも業務を止めない工夫
障害をゼロにすることは難しいため、障害が起きた場合にどう業務を続けるかを決めておくことが重要です。認証端末がサーバと通信できない状態でも、端末に保存したデータで認証を続けられる製品であれば、一時的な障害の影響を抑えられる可能性があります。
また、障害時に切り替える認証方法として、ICカードや受付での本人確認などをあらかじめ決めておきましょう。切り替えの判断を誰が行うのか、障害中の入退室をどう記録するのかも手順書に書いておくと、現場が迷わずに済みます。
生体情報や顧客データの漏えいリスクへの不安
生体認証システムでは、利用者の生体情報や氏名、所属といった個人情報を扱います。漏えいした場合の影響を理解したうえで、提供会社と自社の双方でどのような管理が行われているかを確認しておきましょう。
生体情報が漏えいした場合の影響
パスワードは漏えいしても変更できますが、顔や指紋、静脈といった生体情報は本人が変えることができません。そのため、生体情報が漏えいした場合、影響が長期にわたる可能性がある点がほかの認証方式と異なります。
個人情報保護法では、顔や指紋などの特徴をデータ化したもので特定の個人を識別できるものは「個人識別符号」として個人情報にあたります。一定の漏えい等が発生した場合には、個人情報保護委員会への報告や本人への通知が必要です。事故発生時の対応手順も確認しておきましょう。
漏えいリスクを抑える管理方法の確認
漏えいリスクを抑えるには、生体情報を元の画像ではなく特徴データとして保存しているかを確認しましょう。保存や通信の際の暗号化や、データへのアクセス権限を誰に与えているかも確認項目です。生体情報をサーバではなく端末やICカードの中だけに保存する方式の製品もあります。
提供会社側の管理だけでなく、自社の管理者アカウントの管理も重要です。管理者のパスワードの使い回しを避け、多要素認証を設定できるかも確認しましょう。
生体認証のサービス終了や提供停止に備える
生体認証システムを長期間使い続ける場合は、提供会社の事業方針の変更などで、サービスや端末の提供が終了する可能性も考えておく必要があります。起こりうる影響と、契約前に確認したい取り決めを紹介します。
サービス終了時に起こりうる影響
クラウド型の生体認証システムのサービスが終了すると、認証そのものができなくなり、別の製品への移行が必要です。登録済みの生体データをそのまま別の製品で使えるとは限らず、利用者に改めて顔や指紋を登録してもらう作業が生じる可能性があります。
認証端末の販売や保守が終了した場合も、故障時の交換や修理ができなくなるおそれがあります。入退室管理や勤怠管理と連携している場合は、連携の仕組みも作り直す必要があり、移行には一定の期間と費用がかかることを想定しておきましょう。
契約前に確認したい終了時の取り決め
サービス終了のリスクに備えるには、終了をどのくらい前に通知するのかを契約前に確認することが大切です。終了後に認証ログや利用者の情報を出力できるのか、生体情報をどのように削除するのかも確かめておきましょう。利用規約や契約書の記載もあわせて確認が必要です。
認証端末については、販売終了後の保守期間の目安を確認しておくと、更新の計画を立てやすくなります。移行時のデータ出力の形式や、移行の支援が受けられるかも問い合わせておきましょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で生体認証の一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
導入実績の数字と悪い口コミから信頼性を見る
提供会社が公表する導入実績の数字や、利用企業の口コミは、信頼性を判断する手がかりです。ただし、数字の根拠や口コミの背景を確かめずに受け取ると、判断を誤るおそれがあります。読み解く際のポイントを紹介します。
公表される導入実績の数字の読み解き方
導入実績の数字を見るときは、まず「いつ時点の数字か」「出典が示されているか」を確認しましょう。時点や集計方法の注記がない数字は、ほかの製品と同じ条件で比べられるかがわかりません。
信頼性の判断で重視したいのは、数字の大きさよりも、導入した企業が現在も使い続けているかどうかです。累計の導入数だけでなく、継続して利用している企業の割合や、自社と同じ業種・規模の利用例を提供会社に尋ねると、より具体的な判断材料が得られます。
悪い口コミに書かれやすい内容
生体認証システムの悪い口コミには、認証に時間がかかる、特定の条件で認証に失敗しやすいといった内容が見られる場合があります。サポートの回答が遅い、管理画面がわかりにくいといった声も考えられます。こうした声は、製品の課題を知る手がかりとして役立ちます。
ただし、口コミの内容は投稿者の利用環境や設定、利用時期によって左右されます。屋外で使った場合の不満が、屋内で使う自社にも当てはまるとは限りません。投稿者の業種や規模、利用方法を確認したうえで参考にしましょう。
口コミを確認項目に置き換えた問い合わせ
気になる口コミを見つけたら、その内容を具体的な確認項目に置き換えて、提供会社に問い合わせてみましょう。例えば「サポートの回答が遅い」という声があれば、問い合わせの受付体制や、障害時に優先対応を受けられる契約があるかを尋ねます。
口コミに書かれた課題がすでに改善されている場合もあるため、最新の状況を確認することが大切です。デモや無料トライアルで、口コミで指摘された点を実際に試してみると、自社の環境での影響を判断しやすくなります。
長期運用の安定性を意識して選びたい製品
クラウドに頼らない構成や長期供給への配慮など、信頼性の観点から比較したい生体認証製品を紹介します。
EdgeFACE
- オフィスや工場のDXを推進するエッジ・オンプレ顔認証システム
- 完全売り切りで1台から導入可能!SDKは無償提供で量産活用可能
- パスワード忘れ・鍵紛失の心配なし!ICカード書き換え作業も不要
イノテック株式会社が提供する「EdgeFACE」は、クラウドでの顔認証が使えない環境を想定し、エッジとオンプレミスで動作する顔認証システムです。国産の顔認証AIと国産の産業用パソコンメーカーの強みを掛け合わせ、長期の供給と長期の安定稼働を重視しています。長く使い続ける前提で端末の供給体制を確認したい場合に検討できる製品です。パスワード忘れや鍵の紛失の心配がなく、ICカードの書き換え作業も不要です。売り切り型で1台から導入でき、SDKは無償で提供されます。
DigitalPersona AD
- 指紋認証と顔認証から選択可能で、顔認証は赤外線カメラに対応
- Active Directory完全統合型で認証ポリシーを徹底
- 記憶認証と所持認証と組み合わせて使用することも可能
株式会社ヒューマンテクノロジーズが提供する「DigitalPersona AD」は、Active Directoryと統合して使うパソコンの認証強化システムです。オンプレミスのパッケージソフトとして提供されるため、社内の環境で運用する構成を検討できます。認証方式は指紋認証と顔認証から選べ、パスワードやICカードと組み合わせた多要素の運用も可能です。Active Directory上で認証ポリシーを組織全体へ徹底できる点も特徴です。
顔認証なりすまし防止ソリューション (NECソリューションイノベータ株式会社)
- NIST顔認証ベンチマークテストでNo.1評価の顔認証エンジン搭載。
- マスク着用でも顔認証可能、外す必要なし
- AIが歩行中や複数人同時認証を支援
NDS顔認証システム (NDSインフォス株式会社)
- 顔認証による本人確認と他システムとの自動連携。
- 入退室管理や宅配ボックス等の施設サービスと統合運用が可能
- 来客者の事前登録により、顔認証でのスムーズな受付が可能。
VisionPass / VisionPass SP (株式会社昭電)
- 3D・赤外線カメラ搭載で、マスクや横顔でも認証可能。
- 非接触の高速顔認証で、円滑なアクセス管理を実現。
- 屋内外対応で既存の入退室管理システムと統合可能
FaceVOX〜ekyc対応顔認識AI〜 (vizo株式会社)
- お客様の利用環境やシステムに合わせ様々なカスマイズが可能
- 他社のAPIを利用しておらず、自社オリジナルAIモデルを使用
- オンライン電子本人認証(eKYC)の対応でよりセキュリティを強化
SmartSESAME PCログオン (株式会社シーイーシー)
- ICカードと生体認証を組み合わせた強固な二要素認証
- ICカードには既存の社員証を利用可能
- 勤怠管理とシングルサインオンがオプションとして提供
NeoFaceKAOATO (NECソリューションイノベータ株式会社)
- マスク着用時でも顔認証が可能
- AIによる振る舞い検知でウォークスルー認証を支援
- マスキング機能でプライバシーに配慮した運用が可能
生体認証の信頼性に関するよくある質問
生体認証システムの信頼性に関して、導入を検討する担当者が抱きやすい疑問をQ&A形式で紹介します。障害や漏えい、事業の継続性といった不安を、提供会社へ問い合わせる前に整理する際にお役立てください。
- Q1:クラウド型とオンプレミス型ではどちらが障害に強いですか?
- どちらにも障害のリスクはあり、一概には判断できません。クラウド型は提供会社の設備や運用体制、オンプレミス型は自社のサーバ管理体制に左右されるため、障害時の対応や代替手段を含めて比較しましょう。
- Q2:生体情報の漏えい事例はどこで確認できますか?
- 提供会社や利用企業による公表、報道などで確認できる場合があります。事例の有無だけで判断せず、提供会社に事故発生時の対応手順や再発防止の仕組みを確認することが大切です。
- Q3:提供会社の経営状況は確認したほうがよいですか?
- 長期の利用を前提とする場合、経営状況は事業の継続性を確認する材料の一つです。上場企業であれば公開資料を確認でき、非上場の場合も設立年や事業内容、販売代理店の体制などを参考にできます。
- Q4:信頼性を確かめるために契約前にできることは?
- SLAや利用規約の確認、障害時の対応手順の確認、デモや無料トライアルでの試用が挙げられます。確認項目を一覧にし、複数の製品に同じ内容で問い合わせると比較しやすくなります。
- Q5:導入後に信頼性の不安が生じたらどうすればよいですか?
- 障害や不具合の記録を残し、提供会社に改善策や今後の見通しを確認しましょう。改善が見込めない場合に備えて、データの出力方法や移行先の候補をあらかじめ検討しておくと安心です。
まとめ
生体認証システムの信頼性を確かめるには、障害や情報漏えい、サービス終了といったリスクを前提に考えることが大切です。提供会社の備えと、自社の対応策を確認しましょう。生体情報は変更できないため、保存方式や暗号化、削除の取り決めは特に丁寧に確認しましょう。
導入実績の数字や口コミは根拠と背景を確かめて参考にし、気になる製品は資料請求して詳細を比較してみてください。

