法人向けポケットWi-Fiとは
法人向けポケットWi-Fiとは、企業が契約主体となって利用するモバイルデータ通信端末(モバイルルーター)のサービスです。個人向けサービスと基本的な仕組みは同じですが、ビジネス利用に適した契約形態やサポート体制が整っている点が特徴です。
働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により、近年はオフィス以外の場所で業務を行う機会が増えています。そのため、外出先や自宅でも安定した通信環境を確保できる法人向けポケットWi-Fiへのニーズが高まっています。
法人向けポケットWi-Fiのメリット
企業が法人契約でポケットWi-Fiを導入すると、コスト管理や運用面でさまざまなメリットがあります。ここでは、特に押さえておきたい主なメリットを3つに絞って解説します。
通信コストの削減と管理の一元化
従業員が個人のスマートフォンでテザリングを行ったり、個別にWi-Fiを契約したりすると、通信費の把握や経費精算が煩雑になりがちです。法人向けポケットWi-Fiを一括で導入することで、複数台契約による割引やデータシェアプランを活用でき、通信量の無駄を抑えられます。
全体の通信コスト削減につながるほか、請求書を一本化できるため、経理部門の業務負担軽減にも寄与します。
工事不要ですぐに利用可能
光回線などの固定回線では、申込みから開通までに1か月以上かかるケースも少なくありません。一方、ポケットWi-Fiは端末が届き次第利用を開始できるため、短期間で通信環境を整えられます。
急なテレワーク対応や短期プロジェクトの仮設オフィス、イベント会場など、即時性が求められる場面にも適しています。また、オフィス移転やレイアウト変更の際も配線工事が不要なため、柔軟な運用が可能です。
場所を選ばずセキュアな通信環境を構築可能
フリーWi-Fiなどの公衆無線LANは利便性が高い一方で、セキュリティ面に不安が残ります。法人向けポケットWi-Fiを利用すれば、暗号化された通信環境を確保でき、外出先でも安心して業務を進められます。
社内システムへのアクセスや顧客データの送受信も安全に行えるほか、VPN(仮想プライベートネットワーク)対応オプションを利用することで、より高度なセキュリティ対策を講じられます。
法人向けポケットWi-Fiの注意点
法人向けポケットWi-Fiは多くのメリットがありますが、導入前に確認しておくべき注意点も存在します。事前に把握しておくことで、導入後のトラブルや想定外のコスト発生を防げます。
無制限プランでも速度制限がかかる場合がある
多くのサービスでは「データ無制限」をうたっていますが、短期間に大量の通信を行った場合、一時的に通信速度が制限されるケースが見られます。例えば、「3日間で一定容量以上を使用した場合」など、サービスごとに独自の制限条件が設けられています。
また、完全無制限とされるプランであっても、ネットワークが混雑する時間帯には通信速度が低下する場合もあります。Web会議や大容量ファイルの送受信が多い業務では、実質的な制限内容を約款や公式情報で事前に確認しておくことが重要です。
電波状況は利用エリアに左右される
ポケットWi-Fiはモバイル回線を利用しているため、地下や高層階、トンネル、山間部などでは電波が入りにくくなる場合があります。また、利用する回線(ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイル、WiMAXなど)によって、通信品質が安定しやすいエリアも異なります。
導入前には、従業員が主に利用するエリアがサービス提供範囲内であるか、建物の構造上電波が届きやすいかを確認しておきましょう。多くのサービスでは無料トライアルが用意されているため、本契約前に実機で通信状況を確認すると安心です。
契約期間の縛りと解約金の有無を確認する
法人向けプランの多くでは、2年や3年といった契約期間が設定されています。更新月以外に解約した場合、違約金や解約事務手数料が発生することも珍しくありません。
さらに、端末代金を分割払いにしている場合には、途中解約時に残りの端末代金を一括で支払う必要が生じるケースもあります。短期間の利用を想定している場合は、契約期間の縛りがないプランやレンタル型サービスの選定により、トータルコストを抑えやすくなります。
法人向けポケットWi-Fiの3つのタイプ
法人向けポケットWi-Fiは、利用する回線や仕組みによって大きく3つのタイプに分けられます。それぞれ特性が異なるため、自社の利用シーンに合ったタイプを選ぶことが重要です。
WiMAX系(高速通信を重視する企業向け)
WiMAX系は、UQコミュニケーションズが提供するWiMAX 2+やWiMAX +5G回線を利用するタイプです。高速通信と大容量通信が特徴で、データ容量を気にせず利用できるプランが多く用意されています。
Web会議や動画視聴、大容量ファイルの送受信が多い業務に適しており、都市部を中心に快適な通信環境を確保しやすい点がメリットです。一方で、地下や建物内などでは電波が弱くなる場合があるため、利用環境の確認が欠かせません。
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キャリア・MVNO系(エリアの広さと安定性を重視)
ドコモ・au・ソフトバンクといった大手携帯キャリアの回線、またはそれらを利用したMVNO回線を使用するタイプです。スマートフォンと同じ通信網を利用するため、全国的に電波が届きやすく、地方や屋内でも安定した通信が期待できます。
出張や現場作業が多い企業に向いていますが、無制限プランの場合は月額料金がやや高くなる傾向があります。
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クラウドSIM系(柔軟性・コスト重視)
クラウドSIM系は、ドコモ・au・ソフトバンクなど複数キャリアの回線を自動で切り替えて利用する仕組みを採用しています。場所に応じて最適な回線を選択するため、つながりやすさが特徴です。
比較的リーズナブルな料金設定のサービスが多く、海外利用に対応している点も魅力です。ただし、通信速度はWiMAX系やキャリア系と比べると控えめな場合があります。
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法人向けポケットWi-Fiの選定ポイント
数あるサービスの中から自社に合ったポケットWi-Fiを選ぶためには、いくつかの重要な比較ポイントを押さえておく必要があります。ここでは、特に確認しておきたい4つのポイントを解説します。
通信速度とデータ容量
まずは、業務内容に必要な通信性能を明確にすることが重要です。メールやチャットが中心であれば小容量プランでも対応できますが、Web会議やクラウドサービスを頻繁に利用する場合は、高速かつ大容量のプランが求められます。特に、Web会議での映像送信やファイル共有に影響する「上り速度」についても確認しておくと安心です。
利用エリアと電波の安定性
主な利用場所が都市部なのか、地方や屋内が中心なのかによって、適した回線は異なります。WiMAX系は高速通信が強みですが、場所によっては電波が弱くなることがあります。一方、キャリア系やクラウドSIM系は幅広いエリアに対応しており、安定性を重視する企業に向いています。
コストパフォーマンス
月額料金だけでなく、初期費用や端末代金、解約金などを含めたトータルコストで比較しましょう。端末代金が割引で相殺されている場合でも、途中解約時に残債が発生することがあります。法人向けの複数台割引やキャンペーンの有無も確認し、コストとサービス内容のバランスを見極めてください。
契約形態と運用のしやすさ
端末購入型かレンタル型かによって、運用方法やコスト構造は大きく異なります。長期利用を前提とする場合は購入型、短期利用や台数変動が多い場合はレンタル型が向いています。また、契約期間の縛りがないプランを選べば、将来的な見直しもしやすくなります。
法人向けポケットWi-Fiの活用シーン
法人向けポケットWi-Fiは、さまざまな業種・業務シーンで活用されています。代表的な利用例を紹介するので、自社の業務に当てはめながら、導入後の活用イメージを具体化してみてください。
営業部門での活用
外回りの営業担当者にとって、移動中や訪問先での情報確認は業務効率に直結します。顧客先でプレゼンテーション資料を表示したり、在庫状況をリアルタイムで確認したり、商談後すぐに見積書を作成・送信したりと、スピーディーな対応が可能になります。
また、カフェや駅構内での待ち時間を活用して報告書作成やメール対応を行えば、帰社後の事務作業時間の削減にもつながります。データ容量を気にせず利用したい場合は、無制限プランを選択すると安心です。
建設・工事現場での活用
建設現場や工事現場では、固定回線の導入が難しいケースも少なくありません。ポケットWi-Fiを導入すれば、現場事務所での図面データ確認やクラウドストレージへのアップロード、施工管理アプリの利用がスムーズに行えます。
さらに、現場の進捗状況を写真や動画で本社へリアルタイムに共有することで、遠隔地からの指示や確認もしやすくなります。工事期間が限られているプロジェクトでは、契約期間の縛りがないサービスを選定すれば、コスト効率の向上も期待できます。
テレワーク・在宅勤務での活用
自宅に固定回線がない従業員や、引っ越し直後で回線工事が間に合わない従業員に対して、ポケットWi-Fiを貸与することで、すぐにテレワーク環境を整えられます。Web会議やVPN接続による社内システムへのアクセスも安定し、オフィス勤務と遜色ない業務遂行が可能です。
自宅に限らず、コワーキングスペースや帰省先など、場所にとらわれない働き方を支援できる点もメリットといえます。
イベント・展示会での活用
展示会やセミナー、ポップアップストアなどの一時的なイベントでは、短期間のみ通信環境が必要になることがあります。来場者向けタブレットでのアンケート回収や、決済端末を使ったキャッシュレス決済、デジタルサイネージによる動画配信など、幅広い用途に対応できます。
イベント終了後に解約や休止ができるサービスを選べば、不要なコストを抑えながら効率的な運用が可能です。
▶WiMAX系の法人向けポケットWi-Fiおすすめ比較
ここからは、通信タイプ別に法人向けポケットWi-Fiのおすすめ製品を紹介します。まずは、高速かつ大容量通信を重視する企業に適したWiMAX系のサービスを見ていきましょう。
Broad WiMAX
株式会社リンクライフが提供する「Broad WiMAX」は、WiMAX +5Gに対応した高速通信と、データ容量を気にせず利用しやすいプランが特徴のサービスです。法人向けプランでは、複数台契約による割引や請求書払いに対応しており、企業利用にも配慮された契約形態が用意されています。Web会議や大容量データの送受信が多い企業に適しており、最短即日発送に対応している点も、スピード感を重視するビジネスシーンではメリットといえるでしょう。
カシモWiMAX
株式会社MEモバイルが提供する「カシモWiMAX」は、月額料金がシンプルで分かりやすい点が特徴のWiMAXサービスです。契約期間中の月額料金が一定のため、長期的なコスト管理がしやすくなっています。端末代金が実質無料となるキャンペーンが用意されている場合もあり、初期費用を抑えて導入したい企業に向いています。不要なオプション加入を前提としない契約条件も、安心して選びやすいポイントです。
UQ WiMAX
UQコミュニケーションズ株式会社が提供する「UQ WiMAX」は、WiMAX回線を直接提供する事業者による公式サービスです。WiMAX +5Gに加え、auの5G・4G LTE回線にも対応しており、幅広いエリアでの通信に対応しています。サポート体制も充実しており、全国のauショップなどで相談できる点は、初めて法人向けポケットWi-Fiを導入する企業にとって安心材料の一つです。
5G CONNECT
株式会社FREEDiVEが提供する「5G CONNECT」は、WiMAX +5G対応端末をレンタル形式で利用できるサービスです。端末を購入する必要がないため、初期費用を抑えやすい点が特徴です。一定期間のモニター利用が用意されており、実際の利用環境で通信状況を確認してから本契約を検討できる点は、法人利用において安心感があります。
▶キャリア系の法人向けポケットWi-Fiおすすめ比較
キャリア系のポケットWi-Fiは、地方や屋内などでも安定した通信環境を求める企業に適しています。
楽天モバイル 法人向けポケット型WiFi
楽天モバイル株式会社が提供する「法人向けポケット型WiFi」の法人向けプランは、利用データ量に応じて料金が変動する料金体系が特徴です。データ使用量が少ない月はコストを抑えやすく、利用状況に応じた柔軟な運用が行えます。楽天回線エリア内では大容量通信に対応しており、コストと通信量のバランスを重視する企業にとって選択肢の一つとなります。
SoftBank 法人向けモバイルWi-Fiルーター
ソフトバンク株式会社が提供する「法人向けモバイルWi-Fiルーター」は、全国に広がるソフトバンク回線を利用した安定した通信品質が特徴です。5G対応端末も用意されており、複数台同時接続にも対応しています。法人専用のサポート体制が整っているため、導入台数が多い企業や、サポート重視で選びたい企業にも適しています。
▶クラウドSIM系の法人向けポケットWi-Fiおすすめ比較
クラウドSIM系は、月額コストを抑えたい企業や、短期利用・海外利用を想定している企業に向いています。
AiR-WiFi
株式会社FREEDiVEが提供する「AiR-WiFi」は、クラウドSIM技術を採用し、ドコモ・au・ソフトバンクの回線に対応したポケットWi-Fiサービスです。利用場所に応じて回線を切り替える仕組みにより、つながりやすさが期待できます。比較的大容量のデータプランが用意されており、海外利用にも対応しているため、出張の多い企業にも適しています。
縛りなしWiFi
株式会社HUMAN LIFEが提供する「縛りなしWiFi」は、契約期間の縛りがないプランを主力とするポケットWi-Fiサービスです。解約時の違約金が発生しないため、利用期間が確定していないケースでも導入しやすい点が特徴です。クラウドSIMに対応しており、必要な期間だけ柔軟に利用したい企業や、短期プロジェクト用途に向いています。
法人向けポケットWi-Fiでよくある質問(FAQ)
ここでは、法人向けポケットWi-Fiの導入を検討する際によくある質問と回答をまとめました。契約前の疑問解消にお役立てください。
Q1. 法人契約と個人契約の違いは何ですか?
法人契約では請求書払いに対応しているため、クレジットカード決済が不要となり、経理処理がスムーズです。複数台契約による割引や、法人専用のサポート、管理者向けの管理機能が提供される点も特徴です。一方、個人契約ではこれらの法人向けサービスが利用できない場合が一般的です。
Q2. 何台から法人契約が可能ですか?
多くのサービスでは、1台から法人契約が可能です。ただし、複数台割引などの優遇措置は、5台以上や10台以上から適用されるケースがあります。将来的な台数増加を想定し、拡張しやすいサービスを選ぶと安心です。
Q3. 契約期間の縛りがないプランはありますか?
あります。解約金が発生しないプランや、レンタル形式で短期利用に対応しているサービスも提供されています。短期プロジェクトやイベント用途には、こうした柔軟なプランが適しています。
Q4. 海外でも利用できますか?
対応状況はサービスによって異なります。クラウドSIM系は、端末をそのまま海外で利用できる場合が多く、追加のSIM手配が不要です。WiMAX系やキャリア系は国内専用となることが多いため、海外利用を想定する場合は事前確認が必要です。
Q5. セキュリティ対策は十分ですか?
法人向けポケットWi-Fiは、WPA2やWPA3などの暗号化に対応しており、基本的なセキュリティは確保されています。より高い安全性が求められる場合は、VPN対応サービスや、紛失時のリモートロック機能なども確認しておくと安心です。
まとめ
法人向けポケットWi-Fiは、テレワークや外出先、現場業務など多様な働き方を支える重要な通信インフラです。通信速度やデータ容量、利用エリア、契約期間の条件を比較し、自社の業務内容に適したサービスを選ぶことが導入成功のポイントとなります。
複数台導入や短期利用の可否も含めて検討し、コストと運用のバランスを見極めたうえで、最適な法人向けポケットWi-Fiを導入しましょう。


