050から始まる電話番号とは
050で始まる電話番号とは、2002年から運用開始したインターネット回線を用いたIP電話サービスの一種です。それまで電話は電話回線を用いるのが一般的でしたが、IP電話はインターネットプロトコルを利用して音声の送受信を行います。市外局番などの地域情報をもたないため、物理的な場所に依存せず利用できるのが特徴です。
050番号の利用には専用機器を必要としますが、Webブラウザやスマートフォンアプリからも利用できるようになったため、2020年度末時点で050番号の利用数は899万件にいたっています。導入の手軽さから迷惑電話や詐欺に悪用されることもあり、総務省は契約者の本人確認を義務化する方針を示しています。
「050+通信事業者の識別番号+加入者番号」で構成され、発信地域は特定できませんが、通信事業者の特定は可能です。法律に従ってIP電話で使用される番号であり、ビジネスシーンでも利用されている電話番号です。
参考:松本総務大臣閣議後記者会見の概要(令和5年6月16日)|総務省
参考:令和3年版 情報通信白書 提供状況|総務省
050から始まる電話番号の導入メリット
050から始まる電話番号は、回線工事不要で番号取得まで時間がかかりません。またスマートフォンやパソコンなどで利用できるほか、通話料が割安な点もメリットです。詳しく見ていきましょう。
電話番号の取得が簡単で工事不要
050から始まる電話番号は、取得が簡単で専用の配線や設備などの工事が不要です。インターネット環境さえあれば、通信事業者やサービスプロバイダへ申し込んだ後はすぐに番号が割り当てられ利用をスタートできます。また市外局番などの地理的な制約がないため、オフィスが移転した場合でも番号維持が可能です。
スマートフォンやパソコンでも利用可能
050電話番号は、社員が所有するスマートフォンにアプリをダウンロードするだけで、あらためてビジネス用のスマートフォンを支給や貸与する必要はありません。社員にとっても、携帯電話を2台もちする必要がなく、使い慣れたスマートフォンで会社用とプライベート用を切り替えて利用できるのがメリットです。またテレワークで取引先に電話する際に、自宅にいながら会社の番号で発信可能です。業務利用分は会社へ請求がいくため、簡単に公私分計できます。
初期費用や通話料が割安
050で始まる電話番号はインターネット回線を使用するため、従来の固定回線を使用する場合と比較すると通話料が割安です。さらに050電話番号同士の通話が無料になるサービスもあり、海外発信のコストを抑えられます。また、ネット環境さえあれば利用開始できるため、端末購入費用がかかりません。専用アプリを導入するだけなので、社用携帯をあらためて一台用意するよりはローコストで済みます。
以下の記事では、IP電話(050電話)アプリについて詳しく解説しています。おすすめの製品情報や選び方などを紹介しているため、興味のある方はあわせてご覧ください。
050電話の料金相場
実際に、電話回線を用いた通常の電話番号と、050で始まる電話番号を用いた場合の料金を比較してみましょう。通常の電話番号は、電話加入権を新規購入した場合、初期費用が35,000円ほどかかるのに対し、050電話番号は多くの場合無料です。さらに月額基本料金が数百円からと安価に設定されています。
また一般的に通常の電話番号では、海外など通話先との距離に比例して通話料も上がりますが、050電話番号は海外でも国内でも通話料は一律です。さらに提携しているプロバイダであれば、050電話同士の通話料が無料になります。
|
050から始まる電話番号 |
通常の電話番号 |
初期費用 |
多くが無料 |
35,000円前後(電話加入権を新規購入した場合) |
月額基本料 |
数百円 |
1,500円~2,000円前後 |
050番号同士の通話料金 |
無料(同じプロバイダ間など条件あり) |
有料 |
導入をお急ぎの方や、IP電話(050電話)について詳しく知りたい方は、資料請求(無料)の利用がおすすめです。複数企業の製品・サービスを比較することで、費用感や機能の違いを把握しやすくなるのでぜひご利用ください。
\ 法人向けIP電話 の製品を調べて比較 /
製品をまとめて資料請求!
資料請求フォームはこちら
050電話番号の導入デメリット
さまざまなメリットがある050電話番号ですが地域番号が表示されないため、電話に出てもらえない可能性があります。また、発信制限や通話品質の面でデメリットもあります。詳しく見ていきましょう。
どこの会社かわかりづらく危ないと思われる
050電話番号は、地域ごとに割り振られた番号ではなく全国共通の番号を利用します。そのため、どこから発信しているのかわかりづらく、迷惑電話や勧誘電話などと警戒される場合もあります。050電話番号を利用する際には、自身の所属する会社や役職、通話目的などを説明することが大切です。
110や119など発信制限がある
050電話番号は、地域番号が割り振られないため、位置情報が特定できません。そのため、110や119などの緊急電話番号に発信できないのがデメリットです。ただし、通常110や119にかけると管轄内の警察署や消防署につながる仕組みになっているため、緊急時は最寄りの警察・消防署の番号を利用して通報すればよいでしょう。
通話品質が安定しないこともある
050電話はインターネット回線を利用するため、通信環境によっては通話品質が安定しません。通信速度が遅くなったりネットワークの混雑や障害が発生したりした場合、通話品質が低下する可能性があります。050電話の導入前に、無料トライアルやデモを活用し、通話品質を確かめてみましょう。
050から始まる電話番号の取得方法
050から始まる電話番号を導入する方法について解説します。各方法のメリットや注意点についても説明しているので、自社の導入目的や利用シーンにあわせて最適な方法を選びましょう。主な取得方法は以下の3つです。
- ●IP電話アプリの導入
- ●VoIPアダプターを利用し固定電話をネットに接続
- ●クラウドPBXの導入
IP電話アプリの導入
もっとも簡単な方法です。利用契約を締結してスマートフォンに専用アプリを導入します。利用料金を支払えば、050から始まる電話番号を使えます。
ただし、インターネット回線を利用する以上、パケット料金が増大する点には注意が必要です。また後述の方法と比べて、音声品質がやや劣る傾向にあります。音声品質が悪く、適切に発言が伝わらない状況は、ビジネスにおいて思わぬ損失を招く危険性があるため気をつけましょう。
VoIPアダプターを利用し固定電話をネットに接続
固定電話機で050の電話番号を利用したい場合は、VoIPアダプターを利用しましょう。VoIPアダプターとは、電話機をインターネット回線につなぐ装置です。電話機から入力された音声がインターネット回線を通れるようにしたり、反対に受信したデータを電話機から出力できる形式に変換したりします。
スマートフォンアプリの利用と比べ、音質が安定しているのが特徴です。ただし、災害や停電などで電力供給がなくなった場合、通話できなくなるため対策が必要です。
クラウドPBXの導入
PBXとは電話交換機のことで、外線と内線、あるいは内線同士を接続します。従来のPBXはオフィスに設置し、固定電話機を接続して利用するのが一般的でした。
近年、注目を集めているのが、クラウド上にPBXを設置するクラウドPBXです。インターネット回線を利用して、内線・外線通話、転送を行います。サービス提供元によって利用できる電話番号に違いがありますが、050番号の取得も可能です。
専用アプリを導入することで、PCやスマートフォンからも利用可能です。留守番電話や保留機能、市外局番から始まる電話番号を利用できるサービスなどもあります。緊急電話番号も利用できるため、災害対策としても有効でしょう。ただし、ほかの方法と比べて費用が高額な傾向にあります。
050電話の選定ポイント
050電話を選ぶ際には、月額料金や通話料金、音声品質などを比較します。そのほかにも、製品によってさまざまな付加サービスが提供されています。あわせてチェックしてみましょう。
- ■月額費用や通話料金
- 050電話番号を契約する際は、通話料金や契約条件を把握する。契約アカウント数はサービスごとに異なるため、利用対象を明確にし通話頻度や通話時間を考慮する。
- ■通話以外の付加サービス
- スマートフォンを内線として使用可能にする内線化サービスやパソコン連携、着信転送などさまざまな付加サービスがあるため、自社の業務に必要な機能が搭載されているものを選定する。
- ■音声品質
- 音声品質はインターネット回線の影響を受けるため、無料トライアルを活用するなどして品質を確かめる。安定性を重視する場合は、ひかり電話などの0ABJ型IP電話もおすすめ。
- ※0ABJ型IP電話:加入電話と同じように「03」や「06」など0から始まる10桁の電話番号
他社に選ばれている050電話・IP電話サービスから比較してみたい方は、以下の最新資料請求ランキングもご覧ください。気になる製品があれば資料を取り寄せ、比較してみましょう。
050電話番号の活用効果
050電話番号(IP電話)の機能は、ビジネスシーンでも大いに活躍します。コスト削減だけでなく、業務効率化や顧客満足度の向上、社内コミュニケーションの強化などが期待できるでしょう。実際には以下のような活用効果があります。
- ■顧客満足度の向上
- 一つの050番号を複数端末に割り当てられるため、対応効率を向上できる。IVR(自動音声応答システム)機能を備えたクラウドPBXで050番号を導入すれば、取次業務を一部自動化可能。保留時間の短縮なども見込めるため、顧客満足度の向上にもつながる。
- ■柔軟な働き方に対応可能
- スマートフォン利用が可能で公私分計できるため、テレワークなど柔軟な働き方が実現する。
- ■社内コミュニケーションの強化
- 音声会議やチャット機能などを搭載しているほか、端末にデータを残さずクラウド上で電話帳を管理共有できるものもある。単なる通話にとどまらず、社内コミュニケーションの活性化にも効果的。
- ■グローバル対応
- 一般的に長距離電話や国際電話の通話料を抑えられるため、全国に拠点のある企業や海外展開している企業でも役立つ。
050から始まる電話番号を利用し通話コストを削減しよう
050から始まる番号は手軽に電話番号を入手できるため、営業電話や詐欺電話に使われた時期があり、怪しいというイメージをもつ方もいるでしょう。しかし実際は、法律に則って使用される番号であり、大手企業のお客様相談センターなどでも導入されています。
050電話番号を導入する最大のメリットはコスト削減ですが、ほかにも利便性や顧客満足度の向上、社内コミュニケーションの強化など期待できる効果が大きいといえます。050電話番号の取得やIP電話の導入を検討する際は、資料請求をして複数企業の製品・サービスを比較するところからはじめましょう。