IP電話アプリ(050アプリ)とは
IP電話アプリとは、インターネット回線を利用する音声通話システムのことです。スマートフォンやタブレットなどの端末に専用のアプリケーションをインストールするだけで、簡単にIP電話として利用できます。
なお、IP電話とはインターネットを介して通話する電話のことです。アナログ回線を使用する固定電話よりも低コストで利用可能で、通話料金は距離にかかわらず一律です。また一つの端末で電話番号を使い分けたり、電話回線をもたずに03や050などの固定電話番号を利用できたりと、多くのメリットがあります。
IP電話アプリ(050アプリ)の仕組みと機能
IP電話アプリは、VolPゲートウェイと呼ばれる装置を使用します。音声をデジタルデータに変換して送信し、受信側で音声を復元する仕組みです。ただし、IP電話アプリのみでは通話しか行えず、転送や伝言などの機能は有していません。そのためビジネスフォンとして使用する場合には、外線や内線の発着信制御を行うPBX(電話交換機)を同時に使用します。
PBXを使用したIP電話アプリには、以下のような機能が搭載されています。
- ●通話機能
- ●通話録音機能
- ●Web電話帳機能
- ●顧客管理システムなど関連システムとの連携機能
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IP電話の種類
IP電話には、「0ABJ型」「050型」「電話番号不要型」の3つの種類があります。IP電話アプリも製品によって以下のいずれかに該当します。
- ■0ABJ型
- 「03」や「06」など0からはじまる10桁のIP電話番号です。総務省の定める厳しい基準をクリアした通信事業者のみが取得できる番号で、固定電話と同等の高い通話品質が担保されています。
- ■050型
- IP回線を利用した050からはじまる11桁のIP電話番号です。発信場所を問わず050はじまりの電話番号を利用できます。ネットワーク環境によっては通話品質の低下が懸念されます。
- ■電話番号不要型
- LINEやSkype、Facebook Messengerなど、特定の電話番号を使わない通話サービスです。同じアプリを利用すれば無料で通話が可能です。ただし、固定電話への発信には対応していません。
IP電話についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
IP電話アプリ(050アプリ)とPBXの違い
前述のとおり、IP電話アプリをビジネスフォンとして利用する際にはPBXが必要です。IP電話アプリとPBXは同時に活用される場合が多いため両者を混同しがちですが、IP電話アプリは通話の手段やサービスで、PBXはIP電話を業務利用するためのビジネスツールです。
なおPBXには、導入形態の違いによりいくつかの種類があります。IP電話アプリ利用時には、IP電話専用のIP-PBXやPBX機能をクラウド上で利用するクラウドPBXの活用が一般的です。どちらもインターネット回線を用いるため、コールセンターシステムなど業務システムとの連携がスムーズに行え、電話業務をさらに効率化できます。
以下の記事では、クラウドPBXを比較して紹介しています。機能やメリット、選定ポイントなども詳しく解説しているため、クラウドPBXへの理解を深めたい方は参考にしてください。
IP電話アプリ(050アプリ)の選び方
IP電話アプリのサービス料金や通話品質、搭載機能などは製品によりさまざまです。ここでは、自社にあうIP電話アプリを選ぶためのポイントを解説します。
通話品質
IP電話アプリの通話品質は、使用しているインターネット回線の影響を受けます。インターネット回線の混雑時などに通信速度が遅くなると、通話が不安定になったりノイズが発生したりするでしょう。また、利用しているスマートフォンとの相性も通話品質に影響するといわれています。IP電話アプリ導入前に、無料トライアルやデモなどを利用して通話品質を確かめてみましょう。
なお、ひかり電話(光電話)などの0ABJ型IP電話であれば、固定電話と同等の安定性が期待できます。回線の安定性を重視したい場合は、0ABJ型に対応したIP電話事業者を選定するとよいでしょう。
月額費用や通話料金
IP電話アプリの電話料金は、月額料金+通話料で設定されている場合が多いでしょう。月額料金はユーザーごとの従量課金制と、毎月一定額を支払う月額制に分かれます。通話料金の費用相場は1ユーザーにつき110~3,000円です。
また、IP電話アプリの050番号同士なら通話無料の製品もありますが、携帯電話や固定電話、国際電話につなげる場合には通話料金がかかります。契約できるアカウント数なども製品により異なるため、架電対象を明確にし、頻度や通話時間を考慮して通話料金を比較しましょう。
IP電話アプリの料金相場は、以下の記事で詳しく解説しています。
通話以外の必要な機能
IP電話アプリは、サービスによって搭載機能も異なります。IP電話アプリの主な機能は以下のとおりです。
- ■内線化
- 内線化とは、携帯電話(スマートフォン)を内線として使用可能にすることです。外出が多い従業員に内線化した端末を持たせれば、社内にいるときと同じ回線で通話できます。外線を利用するよりも通話料金を抑えられるでしょう。
- ■PC連携
- PCと連携できるIP電話アプリであれば、顧客情報を参照しながら対応できます。また各システムとの連携により、業務の効率化を図れるでしょう。
- ■通話履歴・録音
- 通話内容の録音や履歴の検索が可能です。電話の応対品質を改善できるでしょう。
このほか、留守番電話やプッシュ通知、AIを利用した機能などもあるので、自社の業務にあわせて製品を選定しましょう。
サポート体制
製品導入や運用におけるサポート体制では、内容はもちろん対応時間なども確認しましょう。電話以外にメールやオンラインなど、複数の連絡手段があると安心です。例えば、初期設定や操作方法を電話や遠隔操作でサポートしてくれるサービスもあるため、情報システム部門などの専任担当者がいない企業に適しているでしょう。
また、停電時やシステム障害発生時の対応についても、事前の確認が大切です。導入実績が多く安定稼働しているベンダーであれば、トラブルに幅広く対応できるでしょう。
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【比較表】おすすめのIP電話アプリ(050アプリ)
ここでは、ITトレンドがおすすめするIP電話アプリを紹介します。提供形態や機能、お試しの有無など各製品の特徴を比較しているため、自社にあうIP電話アプリ選びの参考にしてください。
IP電話アプリ(050アプリ)を比較
比較表で紹介したおすすめ製品とともに、IP電話アプリの代表的な製品もピックアップして解説します。利用ユーザーによる口コミ評価も確認できるので、サービス利用時のイメージをつかみやすいでしょう。気になる製品は、緑の「+資料請求リストに追加」ボタンでカート追加しておき、あとからまとめて資料請求すると便利です。
《MiiTel》のPOINT
- アポ率・成約率が向上する『成果の出る営業トーク』が身につく
- 教育工数を削減し新人も短期間で即戦力へ!マネジメント効率改善
- 正確・迅速な共有で顧客対応を高速化!営業ノウハウの俗人化解消
「MiiTel」は、株式会社RevCommが提供するAI機能搭載のクラウドIP電話です。AIが電話対応を自動解析し可視化することで、社員教育やコンプライアンス遵守などのさまざまな目的に活用できます。また、顧客管理システムと連携すれば、ワンクリック架電や顧客情報の自動表示が可能なため、電話対応業務の効率化につながるでしょう。
提供形態 |
クラウド |
無料デモ・トライアル |
ー |
参考価格 |
初期費用無料、月額5,980円~/ID |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
いい点 卸売・小売業・商業(商社含む) 750名以上 1,000名未満
改善してほしい点 情報処理、SI、ソフトウェア 500名以上 750名未満
《Re:lation クラウド電話》のPOINT
- 電話もメールもチャットも一画面で効率的に管理ができる
- 録音や文字起こし機能で電話記録が残る
- 複数ツールの導入がないからコストを抑えられる
株式会社インゲージが提供する「Re:lation クラウド電話」は、メールやチャットも一元管理できるIP電話です。電話を受けると、対応する従業員のPC画面に顧客との対応履歴が表示されるほか、通話情報は自動的に録音およびテキスト化されます。問い合わせ業務全般に対応しているため、他ツールを導入する必要もありません。スマートフォンアプリはAndroidで使用可能です。
提供形態 |
クラウド / SaaS / サービス |
無料デモ・トライアル |
無料デモ・10日間の無料トライアル |
参考価格 |
月額3,000円~/ID |
いい点 教育・教育学習支援関係 750名以上 1,000名未満
改善してほしい点 通信サービス 1,000名以上 5,000名未満
《RemoTEL》のPOINT
- 最短1営業日で利用を開始可能!
- 1か月単位で契約できる柔軟な料金体系!
- オプションで通話録音にも対応!
株式会社ジェイドコーポレーションが提供する「RemoTEL」は、スマホアプリで会社番号からの発信ができるIP電話サービスです。コールセンター業務でも利用できるほどの高品質な通話に定評があります。フリーダイヤルや地域の番号も変更することなく使用でき、顧客との通話などあらゆるシーンで活用しやすいでしょう。1か月単位での契約も可能です。
提供形態 |
クラウド / SaaS / ASP |
無料デモ・トライアル |
ー |
参考価格 |
初期費用11,000円、月額6,050円/5ID |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
いい点 卸売・小売業・商業(商社含む) 10名以上 50名未満
改善してほしい点 卸売・小売業・商業(商社含む) 10名以上 50名未満
LaLa Call
「LaLa Call」は、株式会社オプテージが提供する法人向け050通話アプリです。LaLa Call同士なら通話無料のため、内線として活用すればコスト削減に役立つでしょう。月額利用料が110円(税込み)で、スマートフォンでも簡単に利用できます。
FleaLine
株式会社コヴィア・ネットワークスが提供する「FleaLine」は、個人やSOHO、中小企業で使用できるインターネット電話サービスです。拡張性が優れており、小規模からスタートしても、規模の拡大にあわせて柔軟にアカウントを増やせます。サービス利用料金は、440円×外線数と、月額基本料金1,100円/ID×内線数をあわせた価格です。
Skype番号
Microsoft社が提供する「Skype番号」は、Skypeアカウントに050型IP電話番号を付与して、携帯電話や固定電話からの着信の受け取りを可能にするサービスです。国外との電話でのやり取りが多い企業や海外出張の機会が多い企業に適しているでしょう。
My 050
ブラステル株式会社が提供する「My 050」は、使いたい時に使いたい分だけチャージして利用するプリペイド式の050番電話アプリです。0120からはじまるフリーダイヤルへの無料通話も可能です。8日間の無料トライアルを実施しているので、通話品質や使い勝手を確かめてから導入できます。
IP電話アプリ(050アプリ)のメリット
企業にIP電話アプリを導入した場合のメリットは、以下の3つが挙げられます。
- ●電話コストを削減できる
- ●電話番号の使い分けができる
- ●スマートフォンやPCで導入できる
ここでは、IP電話アプリの導入効果を解説します。
電話コストを削減できる
アナログ回線を利用した固定電話に比べ、IP電話アプリは初期費用や通話料金が安価な傾向にあります。例えば、専用機器や配線工事が不要なため導入コストを抑えられます。また、携帯電話への通話料金が1分あたり10円ほどの低価格設定のサービスが多く、通話距離にかかわらず一律料金で利用可能です。さらに、通話無料のIP電話アプリもあるため、企業全体の通信費を削減できるでしょう。
電話番号の使い分けができる
IP電話アプリは、企業内で複数の電話番号を使用可能なため、用途にあわせて使い分けられます。部署や問い合わせ窓口ごとに異なる電話番号を用いることで、取次や折り返しの手間を削減できるでしょう。
また、BYOD(個人端末をビジネス利用すること)を採用する企業にも有効です。プライベートの電話番号とビジネスの電話番号を区別できるため、業務利用分の通話料金が明確化し、経費を算出しやすいでしょう。
スマートフォンやPCで導入できる
IP電話アプリなら、スマートフォンやタブレット、PCからも会社の固定電話番号による電話の発着信が可能です。外出時に会社の固定電話への着信に対応したり、会社の電話番号を使って発信したりできるため、リモートワークや外出の多い企業に便利です。また、アプリごとの通話記録や利用状況の確認を管理画面で一括して行えるため、情報システム部門などの担当者も管理しやすいでしょう。
IP電話を導入するメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。デメリットも紹介しているので、理解を深めたい方はあわせてご一読ください。
IP電話アプリ(050アプリ)の注意点
IP電話アプリにはコスト削減・業務効率化などのメリットがありますが、携帯電話や固定電話と全く同じように活用できるわけではありません。導入時には以下の点に注意して検討するとよいでしょう。
- ●インターネット回線の影響を受ける
- ●緊急通報ができるか確認する
- ●停電対策の内容を把握する
ここでは、IP電話アプリ導入時に注意する点を解説します。
インターネット回線の影響を受ける
インターネット回線を使用するIP電話アプリは、ネット回線の状態が通話品質に影響します。通話が一定数を超えると突然電話が切断されたり、ノイズが発生して聞き取りにくくなったりする可能性があります。
また、スマートフォンでIP電話アプリを使用する場合、Wi-Fiの接続状態や近くにある電子機器の影響を受けやすいでしょう。IP電話アプリ利用で起こり得るトラブルを想定し、事前に対応策を講じることが必要です。
緊急通報ができるか確認する
IP電話アプリには、特定の電話番号に発信できない製品があります。例えば050番号を使用するIP電話アプリは、警察や消防などの緊急通報に発信できない製品が多いため、注意してください。緊急時に備えて、最寄りの警察署や消防署の電話番号を登録しておきましょう。
停電対策の内容を把握する
IP電話アプリは、停電時間が長引くと電力復旧後でも使用できないケースが報告されています。そのため、停電が発生しても安定して使用できるか、導入前に確認することが大切です。あわせて、予備発電機の導入やスマートフォンでの発信、固定電話やひかり電話(光電話)と併用するなどの対策も行いましょう。
IP電話アプリのメリットとデメリットを把握し、さっそく製品を検討したい場合は、以下のページより資料請求の活用がおすすめです。ユーザーから問い合わせの多かった資料請求ランキング順にIP電話製品を紹介しているため、人気傾向をつかむうえでも役立ちます。
IP電話アプリ(050アプリ)の活用シーン
IP電話アプリの主な活用シーンは、以下のとおりです。
- ●業務とプライベートで使用する番号をわける
- ●業務用携帯のコストを抑える
- ●外出中やテレワーク・リモートワーク時の電話対応を可能にする
- ●従業員同士の通話料を削減する
自社にあう最適なIP電話アプリを導入しよう
IP電話アプリの導入によって通話コストを抑えられ、電話番号の使い分けも可能です。自社の業務通話の利便性向上やコスト削減、多様な働き方への対応を検討している方は、この機会にIP電話アプリの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
製品をじっくり検討したい方には、下のボタンより一括資料請求がおすすめです。自社にあうIP電話を導入して、コスト削減につなげましょう。