IP電話とは
IP電話とは、インターネットプロトコルを利用したIP回線を介して、音声通信を行う電話のことを指します。簡単にいえば、インターネットに接続して通話ができる電話です。
IP電話と同じくインターネットを介した電話として、光電話もありますが、これは光回線を利用しています。IP回線にはいくつか種類があり、光回線やADSL、CATVなどが挙げられます。
IP電話はリーズナブルなADSL、ひかり電話は通信速度の速い光回線を利用することが多いですが、2024年以降は国内の固定電話網がIP回線へ移行することに伴いADSLは廃止され、光回線や高速モバイル通信が普及していくとみられます。
なお、固定電話はアナログ回線を利用しており、電話機同士をメタル線でつないで、中継点である電話局を経由して音声が届く仕組みです。IP電話は電話回線を引く必要がなく、導入コストが抑えられるうえ、通話料が安いという点もメリットでしょう。
参考:固定電話網の円滑な移行|総務省
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2024.04.17
IP電話とは?固定電話との違いや仕組み、メリットも解説
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IP電話の仕組み
では、IP電話の仕組みをもう少し詳しく見ていきましょう。
VoIP技術により音声情報をIPパケットに変換する
VoIPとは、インターネット上で音声データを送受信するための技術です。
IP電話をする際、VoIPゲートウェイという機器を用います。VoIPゲートウェイが音声信号をデジタル化し、IPパケットに変換します。そして、IPパケットがインターネットを通じて相手の元に届き、通話ができるようになります。
VoIP技術によって音声信号をIPパケットに変換・送信する過程は、以下のとおりです。
- 1.電話機が音声信号を電気信号に変換する
- 2.VoIPゲートウェイが電気信号をデジタル化しIPパケットに変換する
- 3.IPパケットがインターネットを通して相手側に送信される
VoIP技術によりIPパケットを音声情報に復元する
相手の元に届いたIPパケットは、そのままの状態だと音声を聞くことはできません。IPパケットを音声情報に復元する必要があります。IPパケットを復元し音声信号として出力するまでの過程は、以下のとおりです。
- 1.VoIPゲートウェイがIPパケットを電気信号に復元する
- 2.電話機が電気信号を音声信号に変換する
- 3.電話機から音声が出力される
VoIP技術の実行に必要なプロトコル「SIP」とは
音声情報をパケット化する前に電話を接続するための処理を行わなければなりません。その際に使われるプロトコルが「SIP」です。ここからは、IP電話でスムーズな会話を実現するために不可欠な「SIP」について紹介します。
電話の接続や切断に使うプロトコル
SIPとは、データをパケット化して送信する際に必要な「呼制御」を行うためのプロトコルです。
IP電話の発着信を制御しており、シグナリングとも呼ばれています。シグナリングを行うものとして他にもH.323やMGCPなどが知られていますが、汎用性や拡張性の面でSIPを採用する企業が多いです。
IP電話では音声通話をする前に、呼制御によって相手のIPアドレスやポート番号・セッションを確保します。SIPによって呼制御がなされなければ、IPパケットをどこに送信すべきかわからないため必要なプロセスとなります。
拡張性が高いため相互接続できないことも
VoIPゲートウェイは、IP電話機とあわせて独自開発されることが多く、拡張性が高いです。その反面、開発元によってURIの表記方法など仕様が異なり、他製品やVoIP事業者同士の相互接続に問題がある場合があります。
これを受けて、情報通信分野で標準化とその普及をはかる「一般社団法人情報通信技術委員会」では、相互通信の仕様の策定をしているほか、国内外でSIPの相互接続の実装に向けた活動が行われています。
ICT関連企業中心の業界団体「テレコムサービス協会」や、国際的なSIPの相互接続イベントの「SIPit」、政府設立の「高度通信システム相互接続推進会議」では、異なる開発元同士の相互接続の確認・検証・分析が進められています。
参考:HATSフォーラム(高度通信システム相互接続推進会議)
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内線・外線をつなぐ「IP-PBX」とは
IP電話はVoIP技術とSIPによって成り立ちますが、ビジネスフォンとしてIP電話を使う場合はに「IP-PBX」が必要です。ここでは「IP-PBX」について紹介します。
IP電話専用のPBX
PBXとは、外線や内線の発着信制御を行う電話交換機のことです。複数の電話端末を利用する企業などに置かれ、1台で汎用的な社内通話網を構築します。
例えば内線Aから外線に電話をかけたい時は、PBXが内線網の内にあるAと外線をつなぎます。内線Bと内線C同士で通話したいときは内線網の中にあるBとCをつなげます。
IP-PBXは、PBXの機能をIP電話の通信網で利用できるようにした電話交換機です。ハードウェアが必要な「交換機ベース」と、サーバに専用ソフトウェアをインストールする「サーバベース」の2種類があり、IP電話の内線と外線を自由につなぎ変えることができます。
さまざまな端末とつなぐことができる
IP-PBXを利用すれば、社内LANによってTCP/IPでの接続が可能になります。そのため、ネットワークを通じてさまざまな端末と連携がとれるようになります。固定電話機以外に、パソコンで電話機能を使えるソフトフォンや、専用アプリでスマホを内線端末として利用できます。
最近はクラウドPBXが主流に
IP-PBXの進化版として登場したのが、クラウドPBXです。従来PBXは構内に置かれていましたが、クラウドPBXはクラウド上でPBXを利用できます。ハードウェアを必要としないので導入コストを抑えられるほか、場所に関係なく使えることで多拠点展開をする企業でも運用がしややすいというメリットがあります。
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IP電話の仕組みを理解して導入を検討しよう
IP電話とは音声信号を格納したIPパケットを相手に送信することで、インターネット上での通話を可能にしたものです。
音声データを送信するだけでなく、電話としての機能を持たせるには、SIPによる発着信制御がカギになります。また、ビジネスフォンとしてIP電話を使う場合は、内線と外線の発着信制御ができるIP-PBXやクラウドPBXも必要です。
仕組みを理解して、IP電話の導入を検討してみましょう。