IP電話とは
IP電話とは、インターネットプロトコルを利用したIP回線を介して、音声通信を行う電話です。簡単にいえば、インターネットに接続して通話ができる電話です。IP電話には以下の3つの種類があります。
- ■0ABJ番号IP電話
- 「03」や「06」など0からはじまる10桁番号のIP電話。市外局番を利用できる。総務省が定める厳しい基準をクリアした通信事業者のみ取得可能。固定電話と同等の高い通話品質が特徴。NTT東日本・西日本の「ひかり電話」、ほかの事業者が提供する「光電話」などがある。
- ■050IP電話
- 「050」からはじまる11桁番号のIP電話。市内外局番が含まれないため、携帯電話やスマートフォンでも利用可能。050型のIP電話同士なら無料で通話できる場合も多い。ただし、ネットワーク環境によっては通話品質低下の懸念がある。2024年4月より、050番号を新規取得する際の本人確認が義務化された。
- ■電話番号不要IP電話
- 特定の電話番号をもたず、インターネット回線を利用して音声通話を行うサービス。同じアプリ同士なら無料で通話可能だが、固定電話への発信はできない。「LINE」「Skype」「Facebook Messenger」などがある。
参考:携帯電話の犯罪利用の防止|総務省
IP電話の仕組み
IP電話では以下の流れで通話が行われます。
- 1.電話機が音声信号を電気信号に変換する
- 2.VoIPゲートウェイ(※)が電気信号をデジタル化しIPパケット(※)に変換する
- 3.IPパケットがインターネットを通して相手側に送信される
- 4.VoIPゲートウェイがIPパケットを電気信号に復元する
- 5.電話機が電気信号を音声信号に変換する
※VoIPゲートウェイとは、電話回線とインターネット回線を中継し、音声データを送受信するための通信装置。VoIPはインターネット上で音声データを送受信する技術。ゲートウェイは異なるネットワークやコンピュータ同士を中継する機器。
※IPパケットとは、IPネットワークの通信用に分割されたデータ(パケット)のひとつ。
ここでは、IP電話の仕組みを「発信」と「受信」にわけて詳しく解説します。
発信側:VoIP技術により音声情報をIPパケットに変換・送信する
IP電話を発信する際、VoIPゲートウェイと呼ばれる機器を用います。VoIPゲートウェイが音声信号をデジタル化し、IPパケットに変換。そして、インターネット回線を通じてIPパケットを相手の元に届けます。
受信側:VoIP技術によりIPパケットを音声情報に復元・変換する
受信元に届いたIPパケットは、そのままの状態では音声が聞こえません。VoIPゲートウェイによって電気信号に復元し、電話機を通じて再度、音声信号に変換されます。これにより相手との通話が可能になります。
VoIP技術の実行に必要なプロトコル「SIP」とは
IP電話では、音声情報をパケット化する前に電話の接続処理を行います。その際に使われるのが「SIP」です。
SIPとは、データをパケット化して送信する際に必要な「呼制御」を実行するプロトコルです。相手のIPアドレスやポート番号・セッションを確保し、IP電話の発着信を制御するのが役割です。シグナリングとも呼ばれます。
シグナリングプロトコルには、H.323やMGCPといったほかの方式もあります。しかし、汎用性や拡張性の面でSIPを採用する企業が多いでしょう。VoIP技術についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
内線・外線をつなぐ「IP-PBX」とは
IP電話はVoIP技術とSIPによって成り立ちますが、ビジネスフォンとしてIP電話を使用する場合には「IP-PBX」が必要です。
IP-PBXとは、外線と内線の発着信制御を行うPBXの機能を、IP電話の通信網で利用できるようにした電話交換機です。IP電話の内線と外線を自由につなぎ変えるのが役割です。
IP-PBXを利用すれば、インターネット回線で接続でき、さまざまな端末との連携が可能に。これにより、パソコンやスマートフォンを内線端末として利用できるようになります。
最近は、IP-PBXの進化版として登場したクラウドPBXが主流です。クラウド上でPBXを利用できるため導入コストを抑えられるほか、多拠点でも運用しやすいのが特徴です。PBXについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
IP電話と固定電話・携帯電話の違い
2024年1月にNTT東日本・西日本は、固定電話の局内設備を従来のアナログ回線からIP網に移行しました。ここでは、「IP電話」「固定電話(アナログ回線・IP網)」「携帯電話(スマートフォン)」の違いをまとめました。
|
IP電話 |
固定電話(アナログ回線) |
固定電話(IP網) |
携帯電話(スマートフォン) |
仕組み |
インターネットプロトコルを利用して、音声データを送受信する |
電話機同士をアナログ回線でつなぎ、中継点である電話局を経由して音声を送る |
電話機と電話局をアナログ回線でつなぎ、電話局のIP網に接続して音声を送る |
携帯電話機と基地局(電波塔)を電波でつなぎ、通信回線を通して音声や文字、画像を送る |
初期費用 |
無料~10,000円ほど |
35,000円前後(電話加入権を新規購入した場合) |
35,000円前後(電話加入権を新規購入した場合) |
4,000円前後(新規契約の場合) |
通話料金 |
9円前後/3分(全国一律) ※固定電話への通話 |
9円~40円/3分(距離により変動) ※固定電話間 |
9円~10円/3分(全国一律) ※固定電話間 |
9円前後/3分(全国一律) ※固定電話への通話 |
利用端末 |
電話機/PC/携帯電話/スマートフォン |
電話機 |
電話機 |
携帯電話/スマートフォン/ガラケー |
参考:固定電話(加入電話・INSネット)のIP網移行|NTT東日本
IP電話と固定電話の違いについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
IP電話の導入メリット・デメリット
IP電話を活用するメリットとデメリットを以下にまとめました。導入を検討する際の参考にしてください。
- ■メリット
- ●IP電話の多くが同事業者間の通話料・転送料金が無料。全国に拠点のある企業や海外との通話を頻繁に行う企業を中心に、大幅なコスト削減が可能。
- ●専用の回線工事が不要なためスピーディーに導入できる。既存のネットワークを活用することで、初期コストも抑えられる。
- ●PCやスマートフォンを利用できるため、在宅勤務や出張中でも会社の電話番号で通話が可能。
- ●新しい電話番号や回線を追加するのが容易で、ビジネスの成長にあわせてシステムを柔軟に拡張できる。
- ●顧客管理システム(CRM)など、ほかのビジネスツールと連携できるため、顧客対応の効率が向上する。
- ■デメリット
- ●インターネット接続を利用するため、回線速度や安定性が通話品質に大きく影響する。回線が遅い場合やネットワークに負荷がかかっている場合、音声の遅延や途切れが発生しやすくなる。
- ●停電やネットワーク障害が発生するとIP電話も利用できなくなる。停電時にはバックアップの通話手段が必要。
- ●インターネットを介して音声データがやり取りされるため、ハッキングや盗聴のリスクが存在する。特にビジネス用途で機密情報を扱う場合には、適切なセキュリティ対策が不可欠。
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- 正確・迅速な共有で顧客対応を高速化!営業ノウハウの俗人化解消
株式会社RevCommが提供する「MiiTel Phone(ミーテルフォン)」は、電話対応を効率化するクラウド電話サービスです。トーク解析AIを搭載し、自動で通話の録音と文字起こしを行います。オペレーターと顧客の会話を可視化することで改善点を把握しやすくなり、オペレーターの生産性向上につながります。
《CLOUD PHONE》のPOINT
- サポートが充実し、初めての方でも始めやすい
- 多機能の管理画面でスムーズな電話管理が可能
- 音声品質が最高クラスAランクの評価実績
株式会社Wizが提供する「CLOUD PHONE」は、スピーディーな導入と手厚いサポートに定評のあるクラウドPBXです。契約後、最短1週間で利用を開始でき、導入後は専用窓口でトラブル対応を支援します。また、全国14都道府県の市外局番や、0120番号・050番号など、さまざまな電話番号を取得できる自由度の高さも特徴です。
《RemoTEL》のPOINT
- 最短1営業日で利用を開始可能!
- 1か月単位で契約できる柔軟な料金体系!
- オプションで通話録音にも対応!
株式会社ジェイドコーポレーションが提供する「RemoTEL」は、現在利用中の電話番号を変更せずにIP電話化するサービスです。03などの地域番号もそのまま利用できます。高い通話品質を保持しており、コールセンター業務での利用実績も豊富です。1か月単位での契約も可能なため、通話が増える特定の時期だけに導入するなどの柔軟な運用にも対応します。
より多くのIP電話サービスを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。050型IP電話を中心に、おすすめ製品を紹介しています。
まとめ
IP電話とは音声信号を格納したIPパケットを相手に送信することで、インターネット上での通話を可能にしたものです。音声データを送信するだけでなく、電話としての機能をもたせるには、SIPによる発着信制御がカギです。仕組みを理解して、IP電話導入を検討してみましょう。
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