CDNの連携性が運用負荷を左右する理由
CDNはWebサイトの配信経路に入るため、サーバやCMS、分析ツールなど多くのシステムと関わります。連携の方法によって、日々の作業量やトラブル時の対応のしやすさが変わります。まずは連携性が重要な理由と、連携方式の種類を整理しましょう。
連携が不十分な場合に残る手作業
CDNと、サイトを更新するCMSが連携していないとします。この場合、記事や商品情報を更新するたびに、管理画面を開いて手動でキャッシュ(一時保存したデータ)を削除しなければなりません。更新の多いサイトでは作業の漏れが起きやすく、古い情報が表示される原因になりかねません。
また、アクセスログを分析ツールへ自動で送れない場合は、ファイルをダウンロードして加工する作業が発生します。こうした手作業は担当者の負担になるだけでなく、特定の人しか対応できない状態を生みやすいため、導入前に連携範囲を確認しておきましょう。
主な連携方式の種類
CDNと他のシステムをつなぐ方法には、主に3つの種類があります。1つ目はCDN事業者やCMSの開発者が提供するプラグインや拡張機能、2つ目はAPIを使った独自の連携、3つ目はログの転送やファイルの出力によるデータ連携です。
プラグインは設定の手間が少ない一方、対応している製品やバージョンが限られます。APIは自由度が高いものの、開発の知識が必要です。自社の体制と目的にあわせて、どの方式が使えるかを確認しましょう。
クラウドやCMSとのCDN連携
CDNの連携先として代表的なのが、サイトのデータを置くクラウドサービスと、サイトを更新するCMSです。AWSやAzureといったクラウドとの組み合わせ方と、WordPressとの連携で確認したい点を紹介します。
AWSとの連携
AWSを利用している場合、同じ事業者が提供するCDNを選ぶと、ストレージや負荷分散の仕組みを配信元として管理画面から選択でき、設定の手間を減らせる場合があります。権限の管理や請求も同じアカウントでまとめられる点がメリットです。
一方で、他社のCDNでもAWS上のサーバやストレージを配信元として指定できます。その場合は、CDN以外からの直接アクセスを制限する設定や、AWSからCDNへのデータ転送にかかる費用も含めて比較しましょう。
Azureとの連携
Azureを利用している企業でも、同じ事業者のCDNサービスを使うと、ストレージやWebアプリの実行環境を配信元として設定しやすくなります。アカウントや権限の管理をAzureの仕組みに統一できる点も利点です。
ただし、提供されるCDNサービスの種類や機能構成は見直されることがあるため、最新の提供状況を公式情報で確認しておくことが大切です。他社のCDNと組み合わせる場合は、配信元の指定方法と証明書の設定手順を事前に確認しましょう。
WordPressとの連携
WordPressでは、画像などのURLをCDNのドメインに書き換えるプラグインや、記事を更新したときに自動でキャッシュを削除するプラグインを使って連携する方法があります。CDN事業者が公式のプラグインを提供している場合もあります。
注意したいのは、ログイン中の画面や管理画面をキャッシュの対象から外す設定です。外し忘れると、ほかの利用者に管理画面の情報が表示されるおそれがあります。WordPress側のキャッシュ用プラグインとの併用方法も確認しておきましょう。
ECカートや監視ツールとのCDN連携
ECサイトや重要なサービスサイトでは、ECカートシステムや、アクセス解析、監視ツールとの連携も確認が必要です。売上や障害対応に直結する連携のため、手作業が残らないか、異常にすぐ気付けるかという観点で確認しましょう。
ECカートシステムとの連携
ECカートシステムとCDNを組み合わせる場合、商品画像や商品一覧はキャッシュし、カートや決済の画面はキャッシュしない設定が基本です。カートシステムによってはCDNが組み込まれているものや、外部CDNの利用に制限があるものもあるため、事前に確認が必要です。
価格や在庫を更新した際に、関連するページのキャッシュを自動で削除できるかも重要です。カートシステムの提供会社に、外部CDNとの連携実績や推奨設定があるかを問い合わせておくと、導入時の手戻りを減らせます。
アクセス解析ツールとの連携
CDNを導入すると、利用者のアクセスの多くは配信拠点で処理されるため、オリジンサーバのログだけでは全体のアクセス状況を把握できなくなります。そのため、CDNのアクセスログを分析ツールへ連携できるかが重要です。
ページに埋め込むタグ型のアクセス解析ツールは、CDNを経由しても基本的には計測を続けられます。ただし、タグを含むページのキャッシュ設定によっては計測に影響する場合もあるため、導入後に数値の変化を確認しましょう。
監視ツールとアラートの連携
サイトの障害にすぐ気付くには、CDNのエラーの発生状況や配信の遅れを監視ツールで確認できる状態にしておくことが大切です。CDNの指標を外部の監視ツールに送る機能や、ログをリアルタイムに転送する機能があるかを確認しましょう。
異常を検知したときに、メールやチャットツールへ通知できるかも重要な項目です。通知の条件を細かく設定できれば、不要な通知を減らし、本当に対応が必要な異常を見逃しにくくなります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でCDNの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
APIやデータ出力で広がるCDNの活用
APIやデータ出力の機能を活用すると、CDNの運用を自動化したり、社内の報告業務に配信データを活かしたりできます。API連携のしやすさや、CSVなどでのデータ出力の柔軟性を比較する際のポイントを紹介します。
APIで自動化できる操作
APIとは、プログラムからCDNの操作を行うための窓口です。キャッシュの削除や配信設定の変更、利用状況の取得などをAPIで実行できれば、社内のツールや、更新を本番環境へ反映するデプロイの仕組みに組み込んで自動化できます。
APIの使いやすさを比較する際は、日本語のドキュメントがあるか、サンプルコードや開発者向けのライブラリが用意されているかを確認しましょう。呼び出し回数の上限や、APIの利用に必要な認証の方法も製品ごとに異なるため、仕様書で確認しておくことが大切です。
設定をコードで管理する仕組み
複数のサイトや環境を管理する企業では、CDNの設定をコードとして記述し、変更履歴を残しながら管理する方法があります。Terraformなどの構成管理ツールに対応しているCDNなら、設定の複製や差分の確認が容易です。
この方法を使うと、検証環境で確認した設定を本番環境へそのまま反映でき、手作業による設定ミスを減らせます。一方で、導入には開発や運用の知識が必要です。社内の体制で扱えるかを開発部門と相談してから検討しましょう。
ログやCSV出力の柔軟性
社内の報告や費用の配賦にCDNの利用データを使う場合は、管理画面からCSV形式でデータを出力できるかを確認しましょう。出力できる項目や期間、サイト別や日別などの集計単位は製品によって異なります。
より詳細な分析には、アクセスログを外部のストレージや分析基盤へ自動で転送する機能が役立ちます。ログの転送に追加料金がかかる製品もあるため、必要なデータの粒度と費用のバランスを考えて選びましょう。ログの保存期間や形式も、あわせて確認しておくと安心です。
連携性を見極めるためのCDN選定の手順
連携性は、資料の記載だけでは判断しにくい部分です。既存システムの状況を整理し、実際に動作を確かめる手順を踏むことで、導入後の想定外の手作業やトラブルを減らせます。2つのステップで進め方を紹介します。
既存システムの棚卸し
まず、CDNとつなぐ可能性のあるシステムを一覧にしましょう。サーバやストレージ、CMS、ECカート、アクセス解析、監視ツール、社内の運用ツールなどが対象です。
それぞれについて、どのような連携が必要か、現在どの作業を手作業で行っているかを書き出します。この一覧をベンダーに提示すれば、対応可否や推奨の連携方法を具体的に回答してもらいやすくなり、製品間の比較もしやすくなります。連携先ごとに担当部署を記載しておくと、確認作業の分担にも役立ちます。
検証環境での動作確認
候補を絞り込んだら、トライアルや無料枠を使って、検証環境で連携の動作を確認しましょう。本番環境で試すと、設定ミスによって利用者に影響が出るおそれがあるため、検証用のサブドメインなどを用意することをおすすめします。
確認の際は、更新時のキャッシュ削除やログの転送、通知の到達など、正常に動くかだけでなく、エラー時に記録が残るか、再実行できるかもあわせて確かめておくと安心です。確認結果は記録し、社内の比較資料に反映しましょう。
クラウドやAPIとの連携で比べたいCDN
クラウドサービスやCMSとの連携、APIを使った運用の自動化を検討する際に比較したいCDNサービスを紹介します。連携方法や対応範囲を資料で確認しましょう。
エッジキャッシュCDN
- 限られた予算で効率化・年間予算を決定しやすい月額定額料金採用
- 専門知識不要・設定やチューニングはすべてサポートが実施
- Webサイトやサーバーに変更を加えることなく導入可能
合同会社レッドボックスが提供する「エッジキャッシュCDN」は、Webサイトやサーバーに変更を加えることなく導入できるCDNサービスです。既存のクラウド環境やCMSの構成を大きく変えずに、配信の高速化を図りたい場合に検討の候補に入ります。キャッシュ技術を活用し、Web表示速度の向上や突発的な負荷への対策、CMSなどのセキュリティ強化を行えます。特定のサービスとの連携可否やAPIの提供有無は、自社の環境を伝えたうえで問い合わせて確認しましょう。
Amazon CloudFront (アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社)
- 世界中へ高速・低遅延でコンテンツを配信
- DDoS保護と暗号化でセキュリティを強化
- 従量課金制で配信量に応じた柔軟な料金体系
AzureContentDeliveryNetwork (日本マイクロソフト株式会社)
- グローバルな高速・高信頼性コンテンツ配信。
- カスタムドメインHTTPSなどでコンテンツをセキュアに保護可能。
- Azureとの統合で数分で導入、スケーラブルに対応。
Google Cloud CDN (グーグル合同会社)
- Googleのエッジ網でコンテンツを高速配信
- 遅延低減によるウェブ・アプリの性能向上
- キャッシュ活用でサーバー負荷と帯域コストを削減
CDN77 (DataCamp Limited)
- リアルタイムでの詳細なレポートと分析機能を提供。
- API経由でCDN設定の自動化と管理が可能。
- HTTP/3など最新技術をサポート
KeyCDN (proinity LLC)
- 世界のエッジサーバーを活用した低遅延配信CDN
- HTTP/2・Brotliによる高速化・性能最適化
- APIとSDKで既存インフラやアプリへ容易に統合可能。
Netlify (株式会社デジタルキューブ)
- サーバーレスで低コスト・低負荷、高速・安全に構築。
- 適切な開発とセキュリティ対策で安全なアプリを実現
- ウェブサイトやデータを統合し、管理と分析を効率化する。
CloudflareWorkers (Cloudflare Japan株式会社)
- 世界中に分散されたエッジネットワークで低レイテンシーを実現。
- オリジンサーバー不要でインフラ管理を効率化。
- 使った分だけ支払う従量課金制。
まとめ
CDNの連携性は、日々の運用の手間やトラブル時の対応に大きく影響します。AWSやAzureなどのクラウド、WordPress、ECカート、アクセス解析や監視ツールとの連携方法を確認しましょう。あわせて、APIやCSV出力で自動化できる範囲も比較することが大切です。既存システムの棚卸しと検証環境での動作確認を行えば、導入後の手作業を減らせます。自社のシステム構成にあうCDNを見つけるために、資料請求をして比較検討してみてください。

