基本性能は十分か
クラウドメールに限らず、メールシステム選定の際に確認しておきたい性能はさまざまです。初期費用や利用料金などが予算に合っているかはもちろん重要ですが、費用のみに注視して他の確認を怠ることも危険です。メールデータの保存容量や期間、連携できるメールソフト、添付ファイルの最大サイズなど、最低限の条件は確認しておきましょう。
導入後は無制限にユーザーを追加できるオンプレミスのメールシステムと異なり、クラウドメールでは利用可能なユーザー数に制限がある場合も。現在の従業員数に対応しているかはもちろん、将来的な展望も踏まえて確認しておく必要があります。メールフィルタリング機能やアンチスパム機能、セキュリティ機能など、基本となる各機能についてもチェックしましょう。
ユーザーにとって使いやすいか
基本性能をおさえたら、次に注視するべきなのはユーザーインターフェースです。多くの場合Webブラウザでの操作となるクラウドメールですが、現状のメールソフトと大きく乖離しているインターフェースである場合は注意が必要となります。従業員にとって、業務時間内に幾度となく行うメール対応において、メールサービスの操作性は、業務効率に大きく左右します。
メールの表示方式(スレッド方式や個別方式)や表示メールの数、サムネイルの有無など、設定画面からある程度カスタマイズできるものもありますが、事前に確認しておくことは意外に重要です。
また、フィルタのルール設定や転送設定、メール管理設定、フォルダ振り分け設定などを変更する管理画面の操作性も合わせて確認しておきましょう。IDごとにメールの作成や送信などの操作を制限したい場合などには、システム管理者向けのユーザー管理機能についてもチェックが必要です。
オプションや拡張性は自社ニーズに応えているか
基本性能と操作感がマッチするサービスを絞れたら、次はオプション機能や他のアプリケーションソフトとの連携をチェックします。企業におけるコンプライアンス意識の高まりから、もはや必須となりつつあるメールアーカイブ機能や、誤送信防止機能、メール監査機能、迷惑メール対策機能など、オプションとして選択できるメール機能はバラエティに富んでいます。
さらに、クラウドメールの中には、マウスをのせるだけでアドレスからアドレス帳を表示したり、住所から地図を表示したりといったアプリケーション連携機能を持つものもあります。こうしたオプション機能、拡張性から自社に必要なものを選び取ることで、よりよいメール活用が実現し、業務の効率化にもつながるのです。
クラウド環境の安全性・信頼性があるか
自社の業務メールのすべてをクラウドサービス提供会社へ託すことになるクラウドメールサービスには、可能な限り最高の安全性と信頼性を求めるべきです。セキュリティ対策が万全であることはもちろん、トラブル発生の頻度やその復旧速度などから算出されるサービスの稼働率と、その品質保証(SLA:Service Level Agreement)を確認しておくことはマストとなっています。
また、クラウドのサーバが設置されているデータセンターの立地や設備、運用についても確認が必要です。国際的な競争にさらされるメーカーや、重要情報を多く扱う金融機関などでは、メールサーバが国内にあることも重要となります。海外にサーバがあるデータは、当該国の国家権力が行使されると、抗うすべはありません。変化する世界情勢の中で大切なデータを守るうえでは気をつけておきたいポイントです。
現在のシステムから移行しやすいか
既存メールシステムやフリーメールからの移行方法についてもチェックしておきましょう。新規にクラウドメールサービスを利用するにあたり、過去のメールデータなどを移す作業が必要なことがあるでしょう。「作業を行うためのツールは提供されているか?」「移行作業にどの程度の期間を要するか?」といったポイントも抑えておく必要があります。
どうしても発生してしまう移行期間には、新旧両方のシステムでもメールを送受信できるように並行的に運用する必要がある場合も。トラブルの生じがちなこうした作業について、どんなノウハウと経験を持っているベンダーか、確認しておくのがおすすめです。
よりよいクラウドメールを選定・比較しよう
「クラウドメール」とひと口に言っても、選択肢は数多く存在しています。5つの選定ポイントを踏まえて、自社ニーズに合うクラウドメールサービスを選びましょう。クラウドメールを比較したい方は以下の記事を参考にしたり、各社製品の資料請求をしてみたりするのもおすすめです。