業種別コンプライアンス違反リスクの概要
業種によって、データの取り扱いや施設の要件に関する規制が存在します。これらを事前に把握せずに施設を選ぶと、後から対応コストが膨らむことがあります。
金融業界でFISC準拠を怠った場合のリスク
金融機関がFISC安全対策基準に準拠していないデータセンターを利用した場合、金融庁の検査・監督において指摘を受ける可能性があります。特に顧客の金融情報を預けるサーバーが置かれる施設はFISC準拠を要件とする場合が多く、非準拠施設の利用は規制上のリスクです。
また、セキュリティ事故により顧客情報が漏洩した場合、施設の基準が不十分であれば監督官庁からの行政処分に発展するリスクがあります。施設選定の段階でFISC準拠を確認することは、金融業界では必須の手続きです。
医療情報の国内保管要件を見落とした場合の問題
電子カルテや医療画像などの医療情報は、厚生労働省のガイドラインにより原則として国内のサーバーに保管する必要があります。海外のデータセンターや、データが海外サーバーに複製・バックアップされる施設を誤って選択してしまうと、ガイドライン違反となるリスクがあります。
クラウドサービスを利用する場合も同様で、データの保管リージョンを日本国内に限定できるかどうかを確認することが必要です。契約書や規約にデータ保管場所が明記されているかを確認し、不明点は書面で回答を求めましょう。
製造業でのBCP未整備によるサプライチェーン障害
製造業の基幹システムが停止すると、工場のラインが止まりサプライチェーン全体に影響が及ぶ可能性があります。データセンターが被災した際に業務を継続できる体制が整っていなければ、取引先への納期遅延・損害賠償リスクが発生します。
製造業がデータセンターを選ぶ際は、地震・水害リスクの低い立地への分散配置と、DRサイトとの連携計画を事前に検討することが重要です。施設側がDR設計の相談に乗ってくれるかどうかも確認しましょう。
業種別の見落としがちな選定ミスと対策
コンプライアンス要件だけでなく、業種特有の運用上の懸念も事前に把握しておくことが重要です。
個人情報保護法対応とデータ管理体制の確認
個人情報を大量に取り扱う企業では、データセンター施設が情報セキュリティの国際規格(ISO/IEC 27001など)を取得しているかどうかを確認することが推奨されます。また、データセンター事業者を「委託先」として扱い、適切な委託契約(秘密保持・再委託の制限など)を締結することも法的リスク管理の観点から重要です。
個人情報保護法の改正に伴い、第三者提供・国外移送の規制が強化されています。施設がどのように個人情報を取り扱うかを事前に書面で確認しておきましょう。
流通・ECサイトでのピーク時の性能設計ミス
セール期間や年末年始などにアクセスが集中するECサイトや小売業のシステムでは、ピーク時のトラフィックに対応できる帯域と冗長性を持つ施設が必要です。通常時の帯域で施設を選んでしまうと、セール時のトラフィック増大でシステムが応答不能になるリスクがあります。
バーストトラフィック対応が可能な施設や、CDNとの連携が容易な施設を選ぶことで、ピーク対応コストを抑えながら安定稼働を実現できます。
スタートアップ・IT企業での急速な成長への対応不備
急成長するスタートアップでは、当初想定より速いペースでサーバー・ストレージが増加することがあります。拡張性が低い施設や長期固定契約の施設を選んでしまうと、成長に合わせた柔軟な対応が難しくなります。
月単位の契約更新が可能な施設や、クラウドと組み合わせたハイブリッド構成で急な需要増に対応できる設計を初期から検討することが、スタートアップには特に重要です。
業種別データセンター選定を成功させるための確認プロセス
業種特有のリスクを回避するためには、体系的な確認プロセスを実施することが重要です。
RFP(提案依頼書)を活用した業種別要件の整理
複数のデータセンターを公正に比較するためには、自社の業種固有の要件を記載したRFP(Request for Proposal)を作成し、各施設に回答を求めることが有効です。FISC準拠・医療情報ガイドライン対応・PCI DSS準拠など、業種固有の要件をRFPに明記することで、対応可否を施設側から書面で確認できます。
RFPへの回答内容の詳細さと正確さは、施設の業種対応力と誠実さを評価する材料です。回答が曖昧な施設は、実際の対応時にも同様の問題が起きるリスクがあります。
業種専門のコンサルタントや仲介サービスの活用
金融・医療・製造など専門性の高い業種では、データセンター選定の経験が豊富な業種専門のコンサルタントを活用することが有効です。業種固有の規制要件を熟知したコンサルタントは、見落としがちなリスクを事前に指摘し、適切な施設を提案してくれます。
また、複数の施設から最適な提案を集めてくれる仲介サービスを利用すると、自社でのリサーチ工数を大幅に削減しながら、業種要件に合った施設を効率的に比較できます。
規制当局や業界団体への事前相談
業種によっては、データセンターの選定が規制当局の監督対象になる場合があります。金融機関が新たなデータセンターを利用する場合、事前に規制当局への届出や承認が必要なケースもあります。不明点は事前に規制当局や業界団体に相談し、法的リスクを事前に解消しておきましょう。
業界団体が発行するガイドラインや自主基準(銀行協会・日本医師会など)も参照することで、業界全体のベストプラクティスを踏まえた施設選定が可能になります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品と比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でデータセンターソリューションの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
業種別リスクに対応したデータセンターソリューションの紹介
金融・医療・製造業など、業種別の要件や懸念点に対応したデータセンターソリューションを紹介します。
御殿山データセンター
- 品川駅より徒歩15分のビジネスに適した環境と利便性に優れた立地
- 安全性が高い地盤で地震・液状化・浸水など災害危険度が低く安心
- 24時間365日の有人監視!堅牢なセキュリティと高水準の運営品質
主要駅から徒歩圏内のアクセスしやすい立地に構えるデータセンターです。免震構造・24時間有人監視を備え、FISC安全対策基準に準拠。専用管理ポータルで機器管理も効率化できます。
IIJデータセンターサービス
- 利便性の高い都市型センター、郊外型センター、海外にも展開中
- 耐震・免震構造、24時間365日体制の設備など万全の体制でご提供
- 構内配線に接続するだけで広帯域バックボーンへ接続可能
全国16拠点と海外にネットワークを持ち、耐震・免震構造を備えた大規模データセンターです。自社クラウドとの親和性が高く、24時間365日の運用体制で企業のITインフラを支えます。
ゼロエミッション・データセンター 石狩(ZED石狩)
- 24/7 カーボンフリー電力で稼働し、脱炭素経営の推進にも貢献
- 地震・津波・洪水のリスクが低い、北海道石狩のデータセンター
- ハウジング/コロケーション対応。運用から障害対応まで一括支援
北海道石狩に位置し、24時間365日カーボンフリー電力で稼働する環境配慮型データセンターです。脱炭素経営とBCP対策を同時に実現でき、地震・津波リスクが低い立地条件も評価されています。
ビジネスiDC
- 専門アドバイザーが最適なデータセンターをご提案
- 日本全国80ヵ所以上のデータセンターをご案内できます
- データセンター×クラウドのハイブリッドも提案可能
全国80ヵ所以上のデータセンターから最適な施設を提案する選定支援サービスです。専門アドバイザーが業種・規模・予算に合わせてプランを提案。月額116,000円からのスターターパックも用意されています。
IDCフロンティア (株式会社IDCフロンティア)
- ソフトバンクGのデジタルインフラ企業
- 約73%の顧客がマルチインフラ構成を利用。
- 東京府中データセンターは超高負荷に対応
ICC-IDCデータセンター (株式会社石川コンピュータ・センター)
- 電子制御された安全空間にサーバー委託ができる
- いつでも高速かつ安全なネット回線を提供
- 仮想基盤「Vase」導入で動作を軽快に
まとめ
業種別のデータセンター選定では、自社が属する業界の規制・コンプライアンス要件を最初に把握することが重要です。金融はFISC準拠、医療は国内保管要件、製造はBCP設計、ITはスケーラビリティを最優先に確認しましょう。施設選定前に自社の業種要件をリスト化し、施設担当者に書面で確認することが安全な導入への近道です。


