データ分析とは
データ分析とは、データを収集・整理・成型・取捨選択などし、そこから意味を見出す行為です。
近年、IT技術の進歩により企業は膨大なデータを収集できるようになりました。しかし、データはそのままでは意味を持ちません。人間がデータに働きかけ、積極的に意味を見出してこそ役に立ちます。
そこで、昨今はさまざまな分野のビジネスでデータ分析が行われるようになりました。特に、経営判断やマーケティングではデータの分析・活用は不可欠となっています。
データ分析の代表的な手法
一口にデータ分析と言っても、その手法は多岐に渡ります。では、代表的な6つの手法を見ていきましょう。
1.アソシエーション分析
アソシエーション分析とは、データ同士の関係性を分析する手法です。特にマーケティング分野で、商品の売上向上を目的に利用されることが多いです。
たとえば、アソシエーション分析の意義を端的に表現した例として、ビールとおむつの話があります。これは、ビールとおむつが同時に購入されやすいことが判明したという話です。
一緒に購入されやすいのは、おむつを購入しに来店した父親が、同時に自分が飲むビールを購入するためと考えられています。しかし、人間が考えただけでおむつとビールの関係性を発見するのは極めて難しいでしょう。アソシエーション分析によってデータを分析したからこそ、このような因果関係を発見できるのです。
こうした商品同士の関係性を明らかにできれば、マーケティング施策に活かせます。上述の例で言えば、おむつとビールを近い位置に陳列しておけば、売上向上を期待できるでしょう。
2.クロス集計分析
クロス集計は、属性ごとにデータを集計し、その特徴を分析する手法です。アンケート結果の分析などによく用いられます。
たとえば、顧客全員に実施したアンケート結果に際立った傾向が見られなくても、男女別に集計し直せば何か分かるかもしれません。ほかにも、居住地や年齢、職業、独身・既婚、子どもの有無などの属性で集計することもできるでしょう。
3.決定木分析
決定木分析は、1つの属性に「もしこの属性が加わったらどうなるか」という仮説を繰り返し、複数の結果を導く分析手法です。仮説の繰り返しを図示すると樹形図になることから、決定木分析と呼ばれています。
例として、アイスクリームの売れ筋について考えてみましょう。集計した販売データを見ると、気温が高い日によく売れていることが判明したとします。
しかし、これを気温が高い日と低い日に分け、それぞれについて晴れ・曇り・雨という属性を加えて考えるとどうなるでしょうか。もしかすると、気温とはあまり関係なく、晴れの日に一番よく売れていることが分かるかもしれません。
このように、複数の属性を考慮することで高度な分析と予測が実現します。各事象が起きる確率の計算も可能なため、リスクマネジメントに用いられることも多いです。
4.ロジスティック回帰分析
基本的に、データ分析では複数の結果を分析対象とします。たとえば、「商品Aと一緒に購入されやすい商品は何か」という分析では、商品BやCなどいくつかの結果が考えられます。また、「いくつ売れたか」という分析でも、1個、2個…という風に複数の結果が生じえます。
一方、ロジスティック回帰分析では「イエス」か「ノー」の2つしか扱いません。「商品Aは売れたか否か」など、結果が2択の事象のみを扱います。
ロジスティック回帰分析を行えば、対象の事象がどのくらいの確率で発生するのかを突き止めることが可能です。そのため、マーケティングにおける購買予測はもちろん、医療において病気の発症率などを分析するためにも使われます。
5.クラスター分析
クラスター分析とは、似通ったデータを集めてグループ分けする手法です。生じたグループをクラスター(集団)と呼びます。マーケティング分野におけるセグメント分析やブランディングなどに用いられることが多いです。
たとえば、顧客を性別によってグループ分けすれば、男女別の購買傾向を探れるでしょう。ほかにも、年齢や職業、よく購入する商品のジャンル、年間購入金額、購入頻度などさまざまな観点からグループ分けできます。
6.主成分分析
主成分分析とは、1つのデータが持つ属性を集約して減らす手法です。似通った属性をひとまとめにして、データを扱いやすくすることを目的とします。
例として、ある顧客がアンケートで「漫画が好き」「小説が好き」「電子書籍をよく読む」と回答したとしましょう。しかし、この3つの属性を個別に扱うと分析が難しくなります。そこで、「本が好き」という要素(主成分)を抽出すれば扱いやすくなるでしょう。
この例では初めから属性が3つしかありませんが、数百に及ぶ属性がある場合は、主成分分析によってデータの扱いやすさが大幅に向上します。ただし、一部の情報は切り捨てることになるため注意が必要です。上記の例では、好きなジャンルや、紙の本が好きなのか電子書籍が好きなのかは分からなくなります。
データ分析を成功させるポイント
続いて、データ分析を成功させるポイントを2つ紹介します。
目的の明確化
データ分析を行うには必ず目的が必要です。なぜなら、目的が分かっていなければ分析の方針を決められないからです。
たとえば、「ターゲットに最適化したマーケティング施策を実施したい」という目的がある場合、クラスター分析が適しています。一方、「売れやすい商品の組み合わせを発見したい」のであれば、アソシエーション分析が最適でしょう。
まず初めに目的を設定してから、適切なデータと手法を活用するのが正しい順番です。データや分析手法は、目的を達成するための1つの手段に過ぎないことを意識しましょう。
分析データの活用・柔軟な解釈
先述のとおり、データ分析は目的達成の手段に過ぎません。つまり、分析データは目的達成のためのアクションに結び付けなければ意味がないということです。
例として、商品Aの売上を伸ばすため、商品Bと組み合わせて売ろうとした場合を考えてみましょう。このとき、アソシエーション分析で両者が一緒に購入されやすいことが分かったのなら、予定どおりセットで売るのが有効と言えます。
ところが、予想どおりの結果が出なかったら柔軟に対処しなければなりません。データや分析手法は適切だったかに加え、そもそも仮説が間違っている可能性も考慮する必要があります。別の手法で分析し直すのか、あるいはまったく別の観点から商品Aの売上向上を目指すのか、分析データを踏まえて慎重に検討しましょう。
この点はコンピュータは行ってくれません。データ分析さえすれば良いのではなく、最終的には人間が頭で考えなければならない点に注意しましょう。
分析データをうまく活用し、売上や利益につなげよう!
分析データを活用すれば、人間が頭で考えるだけでは分からない知見を得られます。データ分析の代表的な手法は以下のとおりです。
- ■アソシエーション分析
- ■クロス集計分析
- ■決定木分析
- ■ロジスティック回帰分析
- ■クラスター分析
- ■主成分分析
また、データ分析を成功させるためのポイントは以下の2つです。
以上を踏まえて分析データを活用し、ビジネスに活かしましょう。