【部署別】保管すべき文書の種類と期間
保管すべき文書は、総務関連で2〜5年、経理関連で7年、会社法関連の書類で10年と、法律によって保存期間が異なります。ここでは、部署別に取り扱う文書の種類と保管期間について詳しく解説します。
経理部で扱う文書の保管期間
経理部で扱う文書の保管期間は、以下のとおりです。
- ■永久保存するもの
- 決算、株式増資、中長期予算、年次予算、固定資産に関する書類
- ■保管期間30年
- なし
- ■保管期間10年
- 計算書類および附属明細書、会計帳簿および事業に関する重要書類、財務関係書類、月次・年次決算書類
- ■保管期間7年
- 仕訳帳などの各種帳簿類、決算に関する書類、領収書などの取引証明書類、売買報告書など有価証券の取引証憑書類、契約書などの取引証憑書類、電子取引に関する電磁的記録、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、配偶者特別控除申告書、保険料控除申告書、給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書、課税仕入などの税額の控除に関する帳簿・請求書、資産の譲渡・課税仕入・課税貨物の保税地域からの取引に関する帳簿、源泉徴収簿
- ■保管期間5年
- 事業報告、監査報告、会計監査報告、会計参与が用意すべき計算書類・附属明細書・会計参与報告、金融機関等が保存する非課税貯蓄申込書・非課税貯蓄申告書、金融機関等が保存する海外転勤者の財産形成非課税住宅貯蓄継続適用申告書・海外転勤者の国内勤務申告書などの写し、金融機関等が保存する退職等に関する通知書、監査役の監査報告書、退職等に関する通知書、海外転勤者の財政形成非課税住宅貯蓄継続用申告書・海外転勤者の国内勤務報告書などの写し
- ■保管期間3年
- 賃金台帳(源泉徴収簿を兼ねている場合は7年保存)、賃金その他労働関係の重要書類
人事部で扱う文書の保管期間
人事部で扱う文書の保管期間は、以下のとおりです。
- ■永久保存するもの
- 人事に関する重要書類、従業員の労務・人事・給与・社会保険関係の書類、労働協約に関する書類、表彰や懲戒に関する文書
- ■保管期間30年
- 労働者に関する作業概要などの定期記録、上記労働者の特定化学物質等健康診断個人表、焼却施設等作業の記録、放射線業務従事者の健康診断記録、常時焼却施設等のダイオキシン類の濃度の定期測定記録
- ■保管期間10年
- ー
- ■保管期間7年
- ー
- ■保管期間5年
- 従業員の身元保証書、誓約書、雇用保険の被保険者に関する書類、雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿
- ■保管期間3年
- 労働者名簿、賃金台帳、雇用・解雇・退職に関する書類、災害補償に関わる書類、タイムカードや残業命令書・残業報告書、労災保険に関する書類、労働保険に関する書類
- ■保存期間が1〜2年間
- 雇用保険関係の書類、健康保険・厚生年金保険関係の書類、住所姓名の変更届、出勤簿・休暇届・欠勤願・休暇使用記録表
総務部で扱う文書の保管期間
総務部で扱う文書の保管期間は、以下のとおりです。
- ■永久保存するもの
- 定款、株主名簿・新株予約権原簿・社債原簿・端株原簿・株券喪失登録簿、登記・訴訟関係書類、官公庁への提出文書・官公署からの許可書・認可書・通達などに関する重要な書類、知的所有権に関する書類、社規・社則またはこれに関する通達文書、効力の永続する契約に関わる書類、重要な権利や財産に関わる書類、社報・社内報・重要刊行物、重要統計文書、儀式・祭典に関する文書、関連会社に関する文書、会計監査に関する文書、外部団体への加入・脱退に関する書類、製品の開発・設計に関わる重要な書類(特許書類など)
- ■保管期間30年
- ー
- ■保管期間10年
- 株主総会議事録・取締役会議事録・監査役会議事録・委員会議事録、重要会議の議事録、満期または解約となった契約書、製品の取引に関する記録、損害保険に関する重要な文書、社内全般の通達に関わる文書、福利厚生に関する重要な文書、経営管理のために重要で後列となる文書
- ■保管期間7年
- ー
- ■保管期間5年
- 事業報告、有価証券届出書・有価証券報告書とその添付書類・訂正届出書の写し、契約期限のある覚書・念書・協定書、重要事項のやりとりに関わる書類、診療録(カルテ)、産業廃棄物管理表
- ■保管期間3年
- 四半期報告書・半期報告書とその訂正報告書の写し、官公署関係の認可や出願の書類、業務日報・社内会議の記録・契約書など後に参照可能性のある書類、消耗品や購入品の受け入れ・払い戻し・保管の書類、統計書類、企画・広告・宣伝・市場調査などに関する書類、業務日報、外部団体への寄付や賛助に関する書類
参考:
国税庁行政文書管理規則|国税庁
文書保管の方法
文書を保管するための効率的な方法について解説します。
エクセルで管理する
エクセルでは以下のような項目別に管理シートを作成し、文書管理する方法が一般的です。
- ・業務内容
- ・文書名
- ・作成部署
- ・作成者
- ・更新者
- ・作成日
- ・更新日
- ・文書の管理番号
- ・保存期間
- ・廃棄日
- ・備考欄
文書の保管状況に変更が生じた場合は、管理シートを直接編集し内容を更新します。管理する項目や文書の数が少ない場合におすすめです。多くの文書を管理する場合は、作業工数が増えるため別の方法を考えたほうがよいでしょう。
社外の保管サービスを活用する
文書を第三者企業が保有する倉庫に保管できるサービスもあります。保管だけでなく、必要な文書を検索したり、不要な文書を削除したりすることも可能です。保管する箱の単位ごとに料金が発生するため、倉庫をレンタルするよりもコストを抑えられます。社内で文書保管するのが困難な場合や、倉庫の保管スペースを節約したい場合などにおすすめです。
社外の保管サービスは、ベンダーごとに倉庫の立地状況やセキュリティ性能などが異なります。そのため利用の際は、事前にセキュリティ対策や情報管理体制などをしっかりと確認しましょう。
文書管理システムを使って電子化する
文書管理システムを使うと、文書の保管業務を電子化できます。各文書をシステム上で一括管理できるため、好きな保管期間を設定したり、必要な文書を検索したりすることも簡単です。
保管が義務付けられた文書は、事業年度が多くなるほど増えていきます。紙媒体で保存していると管理が煩雑になり担当者の負担も増えるので、電子化によって業務効率化を図るのもよいでしょう。
文書保管における注意点
文書を保管するうえでの注意したいポイントを解説します。
十分なセキュリティ対策をとる
文書を保管する際は、機密情報などを記載した重要文書などが外部に漏えいしないように、十分なセキュリティ対策をとる必要があります。文書を保管するエリアや文書を扱える管理人を限定するなどして、外部に流出しないような仕組みを作りましょう。機密文書などの重要書類を別途鍵付きの箱に収納するのもおすすめです。また、文書保管用の倉庫を利用し、耐震設計などの災害対策を充実させる必要もあります。
顧客の個人情報や会社の機密文書などが外部に流出すると、莫大な損害賠償責任を問われる可能性があるので注意しましょう。
災害に備える
耐震構造の施設や棚を利用するなどして、災害時でも文書が消失・破損しないようにしましょう。火災の原因になりやすいキッチンや喫煙室の近くに文書を保管しないことも大切です。
文書の物理的な流出を抑えたい場合は、文書管理業務全体を電子化するのもおすすめです。複数の拠点で文書を管理できるようになり、災害時での紛失や破損を防止できます。
文書保管の期間を押さえて、効率的に管理をしよう!
文書の保管期間は、総務関連で2〜5年、経理関連で7年、会社法関連の書類で10年とさまざまです。法務担当に相談するなどして事前にしっかりと確認しておきましょう。
また、文書の保管には、エクセルや社外の保管サービスを利用したり、文書管理システムを使って電子化したりする方法があります。どの方法でもセキュリティや災害対策をしっかりと行うことが大切です。文書保管の期間を押さえて、効率的に管理しましょう。