DWH(データウェアハウス)システムとは
DWH(データウェアハウス)システムとは、企業や組織が蓄積する大量のデータを効率的に収集、保存、管理、分析するための専用のデータベースシステムです。主に、意思決定支援やビジネス分析の目的で使用されます。
DWHシステムの特徴
DWHシステムには、以下のような特徴があります。
- ●異なるデータソース(ERP・CRM・IoT・Webアプリケーションなど)からデータを収集し、統一した形式で一元管理する。
- ●データを上書き更新せず、時系列で永久的にデータ保存される。
- ●商品や顧客などのサブジェクト(内容)ごとに、データを分類して保管する。
- ●リアルタイムでデータ分析を行う「OLAP分析」に特化している。
- ●BIツールやダッシュボードと連携し、データにもとづいた意思決定を支援する。
DWHシステムをお探しの方へ
この記事では、おすすめのDWHシステムを提供形態別に分類し、価格や特徴などを比較しています。「すぐにツール選定に移りたい」という方は、以下の見出しをクリックして、詳しい製品情報をご覧ください。
また、おすすめ製品を一覧表で比較したい方は、以下の見出しからご確認ください。
▶【比較表】おすすめのDWHシステム
DWHシステムとDB(データベース)・データレイクとの違い
DWHシステムと同じく、データ保存を目的とするシステムに「DB(データベース)」と「データレイク」があります。これらとDWHシステムはなにが違うのか、以下にまとめました。
|
DWHシステム |
BD(データベース) |
データレイク |
目的 |
大量のデータを統合・保存し、履歴分析や意思決定を支援 |
日常業務のトランザクション処理の効率化 |
構造化・非構造化を問わず、あらゆるデータを柔軟に保存 |
データ形式 |
主に構造化データ |
主に構造化データ |
構造化、非構造化、半構造化データをそのまま保存 |
データ処理 |
高速な分析処理(OLAP) |
高頻度のリアルタイム処理(OLTP) |
必要に応じた後処理(ELT) |
更新頻度 |
低頻度のバッチ処理 |
常時のデータ更新 |
必要に応じたデータ追加 |
保存期間 |
長期間(履歴データを蓄積) |
短期間(リアルタイムデータが中心) |
長期間(大量データの保管) |
主な用途 |
経営分析、KPI管理、トレンド分析など |
顧客管理、在庫管理、販売処理など |
AI・機械学習、IoTデータ解析、大規模データ分析などへの柔軟な活用 |
ユーザー |
ビジネスアナリスト、経営層 |
システム管理者、一般ユーザー |
データサイエンティスト、エンジニア |
システムごとの違いは以下の記事でも解説しています。
DWHシステムの導入メリット
DWHシステムを導入する主なメリットとして、以下の5つが挙げられます。
- ●異なるシステムや部門からのデータを統合し、一貫性のある分析基盤を構築できる。
- ●高速なクエリ処理と履歴データの活用により、データドリブンな意思決定が可能になる。
- ●過去データを蓄積して、長期的なトレンド分析や予測に活用できる。
- ●重複データの削減や分析プロセスの自動化により、業務効率化やコスト最適化が実現する。
- ●データ暗号化やアクセス制御により、データ保護とコンプライアンス対応が強化される。
DWHシステムのメリットについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
DWHシステムのデータ活用例
DWHシステムは、主にビジネスの効率化や顧客満足度向上に役立てられます。ここでは、業界ごとのDWHデータ活用例を紹介します。
- ■EC業界
- ・顧客の購入履歴、閲覧履歴、カート放棄データなどをもとに、パーソナライズされた商品提案やキャンペーンを実施。
・商品ごとの売上推移や季節性を可視化し、需要予測や在庫管理を最適化。
・カテゴリ別や地域別の売上データを分析し、どの商品や市場に注力すべきかを判断する。
- ■小売業界
- ・POSデータをDWHに取り込み、時間帯別や曜日別、店舗別の販売動向を分析。スタッフのシフト管理や在庫補充を最適化する。
・POSデータをもとに関連性の高い商品(パンとバターなど)を分析し、セット割引や商品配置の改善を実施。
- ■金融業界
- ・顧客の取引履歴をDWHで分析し、不正行為の兆候を特定。
・顧客のローン履歴や支払履歴を統合し、信用スコアの正確性を向上。
- ■ヘルスケア業界
- ・病院内の電子カルテや検査データをDWHに集約し、患者の診療傾向を分析。よくある診療ケースや季節性に応じたリソース(医師・機材)の最適配分を図る。
・待ち時間データや患者のフィードバックデータを統合し、運用効率化や満足度向上に役立てる。
- ■製造業界
- ・生産ラインや機械から収集したセンサーデータを分析し、稼働率を最適化する。
・機械や設備の稼働データをDWHに蓄積し、故障のパターンを分析してダウンタイムを削減。
・生産データをもとに、製品の品質に影響を与える要因を特定し、不良品発生率を低減。
- ■運輸・物流業界
- ・配送ルート、時間、燃料消費データを統合し、最適な配送計画を立案。
・複数倉庫の在庫データをDWHで統合し、最適な倉庫配置や在庫補充を実現。
- ■教育業界
- ・学生の成績、出席率、オンライン学習データを統合し、学習の傾向や課題を特定。
・教員の稼働状況や学校運営コストを可視化し、予算配分を最適化する。
DWHシステムは、さまざまな業界のビックデータ活用を支援します。さっそく製品の比較・検討を進めたい方は、下のボタンより一括資料請求をご活用ください。
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EDWシステムの2つのタイプ
EDWシステムは、提供形態によって以下の2タイプに大別できます。
- ■クラウド型
- ベンダーが提供するサービス上で運用されるタイプ。サーバレスのため自社でインフラを管理する必要がなく、データ量や使用量に応じて柔軟なリソース拡張も可能。初期費用も安く抑えられる。データ量や分析ニーズが急速に変化するスタートアップや中規模企業に適している。
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- ■オンプレミス型
- 自社内のサーバやデータセンターに設置して運用するタイプ。高度なカスタマイズが可能で、特定の要件にあわせたDWHを構築できる。一方で、初期費用が高く運用や保守の負担が大きくなりやすい。データを自社で完全管理するため、セキュリティ要件が厳しい場合に適している。
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DWHシステムの比較ポイント・選び方
DWHシステムを効果的に運用するためには、以下の5つのポイントを比較してみてください。
画面の操作性
DWHシステムは多くの従業員が利用するため、誰でも簡単に操作できることが求められます。特に、視覚的にわかりやすく、データ分析結果を直感的に理解できるUI(インターフェイス)が重要です。操作が難しいと利用者の習熟に時間がかかり、業務効率が低下する可能性があります。
無料トライアルを提供している製品も多いため、導入前に実際の操作感を確認することで、自社に適したシステムを見つけやすくなります。
データの処理速度
大量のデータを迅速に処理するためには、メモリ処理やインデックス最適化などの高速な書き込み処理を可能にする仕組みが必要です。DWHシステムを検討する際は、自社の利用用途に適した処理速度が確保されているかを確認しましょう。
また、クラウド型DWHではインメモリ処理や自動スケーリング機能が処理速度を向上させます。これにより、リアルタイム分析や迅速な意思決定が可能となり、業務の効率化や競争力の強化につながります。
データ容量の拡張性
ビジネスの成長やデータソースの増加にともない、DWH導入後もデータ量は増え続けます。データ容量が不足すると業務の継続性に影響するため、ストレージの拡張のしやすさが重要です。
一部の製品では改修が必要な場合もありますが、多くの場合、わずか数ステップで拡張が可能です。特に、クラウド型DWHはプランの変更のみで容量を柔軟に追加できます。データ量や今後の増加傾向に適した製品を選定しましょう。
外部ツールとのデータ連携性
DWHシステムは、外部の基幹システムやETLツール、BIツールなどと連携して利用することが多く、データの取り込みや分析において連携性が重要です。スムーズな連携が可能であれば、データの移行や統合が効率化され、業務全体の生産性も向上します。
システム選定時には、自社で利用中のシステムや今後導入予定のシステムとの互換性を確認しましょう。特に、API対応やデータフォーマットの互換性をもつDWHを選定することで、運用がより円滑になります。
料金体系
DWHシステムの料金体系には、主に従量課金制と固定料金制の2つがあります。従量課金制は、使用したデータ量や処理回数に応じて料金が発生するため、初期コストを抑えやすく、必要な分だけ柔軟に利用できるのが特徴です。なお、利用量が増加すると予想以上にコストが膨張するリスクがあります。
固定料金制は、大規模運用でもコストを一定に抑えられるのがメリットです。ただし、使用頻度が低い場合には割高になることもあるため注意しましょう。自社の運用規模やデータ利用量を考慮し、コストパフォーマンスにすぐれた料金システムを検討することが重要です。
【比較表】おすすめのDWHシステム
ここからは、DWHのおすすめ製品を紹介します。まずは、製品の特徴や価格、提供形態などを比較してみましょう。また、ITトレンド編集部が調査し見えてきたDWH製品の傾向もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
- ●提供形態はクラウド型が大半。
- ●分析機能を備えた製品も多い。ただし、分析可能なデータ形式や種類は製品によって異なるため、用途に応じてBIツールとの連携が求められる。
- ●動画や音声などの非構造化データを保管可能な製品もわずかだがある。
- ●ほとんどの製品が高速検索に対応している。
- ●ノーコード開発が可能な製品や、直感的UIをもつ製品は日本製が多い。
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製品名 |
提供形態 |
参考価格 |
無料トライアル |
特徴 |
口コミ |
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Dr.Sum |
オンプレミス / クラウド |
ー |
ー |
リアルタイムで大規模データを集計・分析 |
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Mashu |
クラウド / SaaS |
テーブル数:月額1円~/10,001テーブル~ ユーザー数:月額100円~/91人~ ※無料プランあり |
◯ |
「欲しいデータ」をワンストップで発見 |
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AirLake |
クラウド / SaaS / サービス |
月額400,000円~ ストレージやトランザクションによりデータ課金が発生 |
ー |
非構造化データを自動で構造化 |
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ー |
AnalyticMart |
オンプレミス / クラウド |
ー |
ー |
きめ細かいサポートを提供 |
ー |
ー |
Amazon Redshift |
クラウド |
ー |
◯(90日間) |
AWS上で提供されるペタバイト規模のDWH |
ー |
ー |
Azure Synapse Analytics |
クラウド |
ー |
◯(30日間) |
データ統合とDWH、ビッグデータ分析がワンストップ |
ー |
ー |
YDC SONAR |
クラウド |
ー |
◯(90日間) |
ETL・DWH・BI機能をオールインワンで提供 |
ー |
ー |
Smart DWH |
クラウド |
ー |
ー |
ユーザー操作を効率化する自動化支援機能を搭載 |
ー |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
人気傾向をもとに製品を比較・検討したい方は、以下より最新の資料請求ランキングをご確認ください。
▶クラウド型DWHシステムを比較
初期コストが低く、拡張性にすぐれたクラウド型DWHを紹介します。
《Mashu》のPOINT
- 全メタデータを集結させ、ワンストップで欲しいデータを検索
- データレイクやRDBMSの接続情報を設定しメタデータを蓄積
- メタデータを通常データとして格納&テキスト形式に変換し活用
株式会社ROBONが提供する「Mashu」は、データ活用を効率化するためのツールです。分散したデータを一元的に管理し、必要なデータを素早く見つけ出せます。メタデータの自動登録やシステム変更への対応に加え、
AIや曖昧検索機能を活用して迅速なデータ検索が行えます。さらに、メタデータの共有や活用を柔軟に行えるため、業務に応じたデータ管理が可能です。
《AirLake》のPOINT
- 非構造化データをノーコードで誰でも簡単に変換・利用できる
- データの形式や社内外問わずどこからでも必要なデータを収集可能
- 外部システムとのシームレスな連携により分析・機械学習が可能に
株式会社DATAFLUCTが提供する「AirLake」は、AI‐OCRを用いてさまざまなファイルをデータベース化するノーコードクラウドデータプラットフォームです。PDFやExcelデータはもちろん、手書き文字や動画、音声などの非構造化データも収集し蓄積します。また、ETLツールやVPN、APIなどにより外部システムとの連携も可能。幅広いデータを構造化し、あらゆる業務のデータ活用に貢献します。
Amazon Redshift
アマゾンウェブサービスジャパン合同会社が提供する「Amazon Redshift」は、クラウド型のデータ集約・分析プラットフォームです。SQLを利用して、DWHをはじめデータベース運用やデータレイクのデータも効率的に分析できます。また、高速な並列処理技術を活用し、大規模データのスピーディーな処理が可能に。数万社の導入実績をもち、多様なビジネスシーンで活用されています。
Azure Synapse Analytics
Microsoft社の「Azure Synapse Analytics」は、データ統合とDWH、ビッグデータ分析を一元的に提供するプラットフォームです。ノーコードツールを活用すれば、プログラミング知識がなくても簡単に操作できます。また、サーバレスオプションや専用リソースオプションが選べる柔軟な設定が特徴。T-SQL・KQL・Python・Scala・Spark SQL・.Netなど、多様な言語にも対応しています。さらに、DWHやデータ統合などの用途によって選べる5つの料金プランが用意されており、ニーズにあわせたコスト最適化が可能です。
YDC SONAR
株式会社ワイ・ディ・シーが提供する「YDC SONAR」は、AI機能で品質予測値を算出する製造業向けのデータ活用プラットフォームです。ノンプログラミングでデータにもとづいた予想モデルを作成でき、生産効率化や品質改善、予防保全に活用可能。また、複雑なデータ分析を直感的な操作で行うため、データ活用初心者でも安心して利用できます。
Smart DWH
株式会社システムサポートが提供する「Smart DWH」は、データの収集・加工が可能なETL/EALを備えたDWHシステムです。文字コードやデータ形式の変換を自動化し、大量のデータを簡単かつスピーディーに収集します。また、ユーザー操作履歴の管理やデータ暗号化により、機密性の高いデータも安全に運用できます。
おすすめ製品はまとめて資料請求が可能です。以下のボタンからご利用ください。
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▶オンプレミス型DWHシステムを比較
自社要件にあわせたカスタマイズが可能なオンプレミス型DWHを紹介します。
《Dr.Sum》のPOINT
- 導入実績7,200社超!散在したデータを一元化、すぐ使える状態に
- 10億件のデータも1秒台で集計できる◆高速集計◆
- 直感的な操作で誰でも簡単にデータ分析が可能
ウイングアーク1st株式会社が提供する「Dr.Sum」は、7,200社以上の導入実績を誇る高性能なデータ基盤です。特許を取得した高速な技術により、1秒台で10億件のデータを1秒台で集計が可能。大量データの蓄積や分析も効率的に行うため、さまざまな分野や規模の企業で活用されています。さらに、レスポンスのよいサポート体制により、導入後も安心して運用できます。
AnalyticMart
三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社が提供する「AnalyticMart」は、1億件のデータをわずか3秒で処理可能な高性能データベースエンジンを搭載しています。高度なデータ圧縮技術により、最大40分の1に圧縮できるため、ストレージの使用量を大幅に削減可能です。さらに、使い慣れたExcelを活用してデータ分析やグラフ作成ができる直感的な操作性も特徴。専門知識がなくても簡単にデータ活用が進められます。
まとめ
DWHシステムは大量のデータを統合・保存し、ビジネス分析や意思決定を支援するデータベースシステムです。製品選定時には、操作性・拡張性・処理速度・連携性・料金体系を確認し、自社のニーズや規模に適した製品を見つけましょう。
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