データを蓄積するDWHの機能
DWHとは、複数のシステムから集めたデータを分析しやすい形で蓄積しておく基盤です。まず、データを受け入れて保持する部分の機能を見ていきます。
大量のデータを保持する仕組み
分析向けの基盤では、行ではなく列の単位でデータを保持する方式が多く採用されています。集計では特定の列だけを読み込むことが多いため、この方式は読み込む量を抑えられます。あわせて、圧縮によって保管する容量を減らす仕組みも備えている場合があります。
比較する際は、保持できるデータ量に上限があるか、上限に近づいた際にどう対応するか、圧縮の効果はどの程度かを確認しましょう。あわせて、古いデータを費用の低い保管方法へ移せるか、その場合に分析へ含められるかも確認項目です。長期にわたって蓄積を続ける場合、この選択肢の有無が運用に影響します。
データを取り込む仕組み
各システムからデータを受け入れる部分も、日々の運用を左右します。決めた時刻に自動で実行できるか、更新された分だけを取り込めるかによって、処理にかかる時間が変わります。
確認したいのは、接続できるシステムの種類、取り込みの頻度を設定できるか、失敗した際に通知が届くか、再実行できるかという点です。処理の実行履歴を一覧で確認できると、状況の把握が進みます。あわせて、取り込んだ件数や合計値を検査する処理を組み込めるかも見ておくと、誤ったデータの蓄積を防ぎやすくなります。
処理性能にかかわる機能
集計にかかる時間は、分析の進み方に直結します。速さを支える仕組みと、その調整方法を確認しましょう。
集計を速くする仕組み
処理を速くする方法には、複数の計算資源で分担して実行する方式、頻繁に使う集計をあらかじめ計算して保持しておく方式、読み込む範囲を絞り込む仕組みなどがあります。どの方式に対応しているかは製品によって異なります。
比較の際に注意したいのは、公表されている性能値をそのまま比べないことです。測定に使われたデータの内容や処理の種類によって結果は変わります。確認したいのは、自社のデータと似た条件で試せる機会があるか、処理ごとの所要時間を記録できるか、遅い処理の内容を分解して確認できるかという点です。実際に試した結果で判断する進め方が確実です。
処理の資源を調整する仕組み
分析が集中する時期だけ処理の資源を増やし、通常時は抑えるという運用ができると、費用と性能の両面を調整できます。この調整が停止を伴うかどうかは、業務への影響に関わります。
確認したいのは、資源の変更が停止なしで行えるか、変更にかかる時間はどの程度か、自動で調整する仕組みがあるかという点です。あわせて、用途ごとに資源を分けられるかも見ておきましょう。ある部門の重い処理が他の部門の作業へ影響しない構成にできると、利用者が増えても運用しやすくなります。
管理と統制にかかわる機能
データが増えるほど、何がどこにあり、誰が使えるのかを管理する仕組みが重要になります。
項目と経緯を管理する仕組み
蓄積されたデータについて、項目の意味や出どころを記録しておける仕組みがあると、担当者が変わっても内容を確認できます。ある数値がどのデータからどう計算されたかをたどれる機能も、報告の根拠を示す際に役立ちます。
確認したいのは、項目に説明を登録できるか、検索して探せるか、加工の経緯を自動で記録できるかという点です。手作業で一覧を作る運用は、更新が滞ると実態と合わなくなります。自動で収集される仕組みがあるかを確認しましょう。あわせて、外部の管理ツールと連携できるかも、すでに仕組みを持っている場合は確認項目になります。
権限と記録を管理する仕組み
誰がどのデータへアクセスできるかを設定する機能は、扱う情報の重要度が高いほど細かさが求められます。表の単位だけでなく、列や行の単位で制限できるかによって、設計の幅が変わります。
確認したいのは、権限を設定できる単位、役割ごとにまとめて管理できるか、権限の一覧を出力できるかという点です。あわせて、誰がいつどのデータへアクセスしたかの記録が残るか、保存期間はどの程度かも確認しましょう。特定の列の内容を伏せて表示する機能があれば、個人に関わる情報を含む表も広く共有しやすくなります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でDWHの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
費用を調整する機能
従量の料金体系では、使い方によって支出が変わります。調整に使える機能を把握しておきましょう。
使用状況を把握する仕組み
費用を管理するには、まず何にどれだけ使っているかを把握する必要があります。利用者別や処理別に使用量を確認できると、見直しの対象を絞り込めます。
確認したいのは、使用状況を確認する画面があるか、部門や用途ごとに集計できるか、一定の水準に達した際に通知が届くかという点です。あわせて、上限を設定して超過を防ぐ仕組みがあるかも見ておきましょう。想定外の支出を避けるうえで、これらの機能は運用の安心につながります。
使い方を最適化する仕組み
費用を抑える方法には、使わない時間帯に資源を止める、読み込む範囲を絞る設計にする、頻繁に使う集計をあらかじめ計算して保持する、といった選択肢があります。どれが効くかは使い方によって変わります。
確認したいのは、資源の自動停止に対応しているか、費用が大きい処理を特定できる仕組みがあるか、改善の提案を示す機能があるかという点です。あわせて、一定量を前もって契約すると単価が下がる仕組みがあるかも確認しておきましょう。使用量が安定してきた段階で、契約の形を見直す材料になります。
DWHの機能を比較する進め方
機能の一覧を並べるだけでは判断が難しいため、自社の条件に照らして優先順位を決めてから比較します。
機能ごとの確認項目を整理する
下表は、代表的な機能について比較時に確認したい項目をまとめたものです。搭載の有無だけでなく、設定できる範囲まで確認すると導入後の差が見えてきます。
| 機能 | 確認したい項目 |
|---|---|
| データの保持 | 上限の有無、圧縮の効果、保管方法の切り替え、分析への含め方 |
| データの取り込み | 接続先の種類、更新分だけの取り込み、通知と再実行、検査の設定 |
| 処理の速さ | 自社データでの検証、所要時間の記録、処理内容の分解確認 |
| 資源の調整 | 停止の有無、変更にかかる時間、自動調整、用途ごとの分離 |
| 項目と経緯の管理 | 説明の登録、検索、加工経緯の自動記録、外部ツールとの連携 |
| 権限と記録 | 設定できる単位、役割での管理、一覧の出力、アクセス記録の保存 |
| 費用の調整 | 使用状況の確認、上限設定、自動停止、前払い契約の条件 |
必要な機能の優先順位を決める
すべての機能を備えた製品を選べば安心とは限らず、使わない機能に費用や設定の手間をかける状態にもつながります。まず、扱うデータの量と種類、分析の目的、関わる人数を書き出し、そこから必要な機能を導く進め方が有効です。
例えば、多くの部門が同時に分析を行う環境では資源の分離が優先され、監査への対応が求められる企業では権限と記録の機能が中心になります。データ量が大きく増え続ける見込みなら、保管方法の切り替えと費用の調整が重要です。優先順位を整理したうえで、自社のデータでの検証ができるかもあわせて相談してみてください。
必要な機能から選ぶDWH
蓄積、処理の速さ、管理と統制のどこを重視するかで選ぶ製品は変わります。役割の異なる製品を紹介します。
Dr.Sum
- 導入実績8,000社超!顧客満足度No.1・サポート品質ランク★★★
- 散在したデータを一元化、10億件のデータも1秒台で◆高速集計◆
- 直感的な操作で誰でも簡単にデータ分析が可能
ウイングアーク1st株式会社が提供する「Dr.Sum」は、企業内のデータを収集して高速に集計するデータ分析基盤です。データの統合や加工、権限の管理といった機能を備えています。オンプレミスとクラウドの両方に対応しており、保管の条件にあわせて構成を選べる点も検討の材料になります。
DWH構築サービス ~貴社独自のデータモデル構築~
- 最適なデータモデリング
- 圧倒的な透明性
- 変更に強い
キヤノン電子テクノロジー株式会社が提供する「DWH構築サービス ~貴社独自のデータモデル構築~」は、大量のデータを統合・蓄積して分析につなげるためのDWH構築サービスです。データもシステムも内容が見えない状態にしない方針が示されており、構築後に自社で運用を続ける形も見据えて相談できます。クラウドとオンプレミスの両方に対応します。
BigQuery (グーグル・クラウド・ジャパン合同会社)
- 世界中の企業が利用するデータ分析基盤
- DWHと機械学習機能が統合されている。
- サーバーレスでインフラ管理不要
AmazonRedshift (アマゾンウェブサービスジャパン合同会社)
- 次世代SageMakerと統合し、データレイクハウス分析を強化
- ゼロETL統合で運用DB等とほぼリアルタイム連携
- Amazon Qで自然言語によるSQLオーサリングを簡素化
DWHに関するFAQ
DWHの機能について、よく寄せられる質問と回答をまとめました。
- Q1: 公表されている処理速度で比較できますか?
- 測定に使われたデータや処理の種類によって結果が変わるため、単純な比較は難しい指標です。自社のデータと似た条件で試せる機会があるかを確認してみてください。
- Q2: 処理の資源は後から増やせますか?
- 対応する製品では変更できます。停止を伴うか、変更にかかる時間はどの程度か、自動で調整する仕組みがあるかをあわせて確認しておきましょう。
- Q3: 列や行の単位で閲覧を制限できますか?
- 設定できる単位は製品によって異なります。個人に関わる情報を含む表を広く共有したい場合は、特定の列を伏せて表示する機能の有無も確認するとよいでしょう。
- Q4: 費用が想定を超えないようにできますか?
- 使用量の上限を設定できる仕組みや、一定の水準で通知が届く仕組みがあるかを確認しましょう。使用状況を部門別に集計できると、見直しの対象も絞り込めます。
まとめ
DWHの機能は、データを蓄積する仕組み、処理を速くする仕組み、管理と統制の仕組み、費用を調整する仕組みという4つの役割に分けると比較しやすくなります。搭載の有無だけでなく、自社のデータで実際にどう働くかを確認することが大切です。処理速度は公表値ではなく検証で判断しましょう。扱うデータと分析の目的を整理したうえで、複数の製品資料を取り寄せて比較検討を進めてください。

