DX支援を依頼する前に導入条件を整理する理由
DX支援サービスとは、DXの構想づくりから実行、定着までを外部の専門家が支援する、または業務の一部を請け負うサービスです。条件が定まらないまま比較を始めると、判断の軸がぶれやすくなります。
条件を決めないまま比較したときの迷い
支援会社ごとに、得意な領域や支援の進め方、費用の考え方は異なります。条件が決まっていないと、どの提案が自社にあうのか判断できず、比較に時間がかかる場合があります。
見積もりの内容を比べる際にも、前提となる条件がそろっていないと、金額の差の理由がわかりません。条件は書面にまとめ、各社に同じ内容で伝えることが、公平な比較の出発点です。条件の整理は、支援会社の初回相談の場で一緒に進める方法もあります。
必須条件と希望条件の分け方
すべての条件を満たす会社を探すと、候補がなくなる場合があります。満たさなければ依頼できない必須条件と、あれば望ましい希望条件に分けて整理しましょう。
例えば、取引先から求められるセキュリティ要件は必須、対応言語の多さは希望というように、事情にあわせて決めます。条件の整理は、次の表のように優先度を付けると進めやすくなります。
優先度は、社内の関係者と話し合って決めましょう。迷う項目は、いったん希望条件に入れて後から見直せます。
| 区分 | 考え方の例 |
|---|---|
| 必須条件 | 社内規程や取引先の要請により、満たさないと依頼できない項目 |
| 希望条件 | 満たしていれば運用が楽になるが、代替手段もある項目 |
社内で確認が必要な関係者
導入条件は、DXの担当者だけでは決められない場合があります。情報システム部門、法務部門、総務部門、現場の責任者など、関係する部署に早めに確認しましょう。
特にセキュリティや契約の条件は、後から追加すると選定のやり直しになる場合があります。関係者から条件を聞き取る時間を、スケジュールに組み込んでおくと安心です。確認した内容は、一覧にして記録しておくと便利です。
会議の時間も確保しておきましょう。回答期限も決めておきましょう。
日本語対応と国内の商習慣への対応条件
国内の企業が依頼する場合、言語や商習慣への対応は、見落としがちな条件です。ただし、対応の水準は会社によって異なるため、確認する観点を整理します。
日本語での対応範囲
日本語対応といっても、打ち合わせは日本語だが資料は英語、といった場合もあります。提案書、報告書、問い合わせ窓口、研修資料のうち、どれが日本語で提供されるかを確認しましょう。
海外の事業者に依頼する場合は、日本の担当者が常駐するのか、時差のある地域から対応するのかも、連絡のしやすさに影響します。対応時間の目安を、契約前に確認しておくと安心です。言語の条件は、実際の資料の見本を見て確かめるのが確実です。
国内の商習慣や法令への理解
稟議の進め方や取引先との慣習、請求や支払いの時期など、国内の商習慣にあった提案ができるかは、実務に影響します。国内企業の支援経験があるかを尋ねてみましょう。
法令に関わる業務では、個人情報保護法や電子帳簿保存法、インボイス制度などへの理解も確認項目です。ただし、法的な判断が必要な部分は、弁護士や税理士などの専門家に確認するよう、支援会社が案内するかも見ておきましょう。回答の根拠となる資料も、可能な範囲で見せてもらいましょう。
多言語や海外拠点への対応
海外に拠点がある会社では、現地の従業員向けの研修や資料が、現地の言語で必要な場合があります。多言語で支援できるか、翻訳は誰が担うのかを確認しましょう。
各国の法令や商習慣への対応は、支援会社の経験によって異なります。対応が難しい地域がある場合は、現地の協力会社と連携できるか、費用は別途かかるかも、事前に聞いておきましょう。
海外拠点の担当者にも、事前に意見を聞いておくと安心です。対象の言語と範囲を、一覧にしておきましょう。
セキュリティ要件と認証の確認条件
DX支援では、自社の業務情報や顧客情報を支援会社に共有する場面があります。セキュリティ要件が厳しい企業では、委託先の管理水準を確認することが欠かせません。確認の観点を整理します。
情報の取り扱いルールの確認
まず、支援会社に共有する情報の種類と範囲を整理しましょう。個人情報や取引先の機密情報が含まれる場合は、秘密保持契約を結び、取り扱いのルールを文書で確認します。
確認したい点として、情報の保管場所、アクセスできる担当者の範囲、支援終了後に情報を返却または削除する手順が挙げられます。社内のセキュリティ規程に求める項目があれば、あらかじめ支援会社に伝えておきましょう。契約書の条項は、法務部門にも確認してもらいましょう。
ISMSなど認証の取得範囲の確認
ISMSとは、情報セキュリティを管理する仕組みで、国際規格ISO/IEC 27001にもとづく認証制度があります。このほか、個人情報の取り扱いを評価するプライバシーマークもあります。
認証を取得していても、対象は組織の一部の事業所や業務に限られる場合があります。認証の取得範囲が、自社の依頼内容を担当する部署や拠点を含んでいるかを、証明書などで確認しましょう。認証の有無だけで、安全性を判断しないことも大切です。
再委託と作業環境の確認
支援会社が、業務の一部を別の会社に再委託する場合があります。再委託の有無、再委託先の範囲、再委託先に対する管理の方法を、契約前に確認しておきましょう。
作業を行う場所や使用する機器の条件も確認項目です。自社の環境で作業するのか、支援会社の環境にデータを持ち出すのかによって、リスクの考え方が異なります。不明点は情報システム部門に相談しましょう。
回答は書面でもらい、保管しておくと後で確認できます。契約書にも内容を明記してもらいましょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でDX支援・コンサルティング・アウトソーシングの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
システム連携やカスタマイズに関する条件
既存のシステムとの連携や、自社にあわせた作り込みが必要な場合は、支援会社の対応範囲を事前に確かめる必要があります。連携とカスタマイズに関する条件を整理します。
既存システムとのAPI連携の要否を確かめる
APIとは、異なるシステム同士がデータをやり取りするための接続の仕組みです。会計や販売管理など、すでに使っているシステムと連携が必要な場合は、その条件を明確にしておきます。
連携の方法は、システムの提供元が用意するAPIを使う場合と、個別に開発する場合があります。支援会社がどちらに対応できるか、連携先の提供元との調整は誰が担うかを確認しましょう。連携の要否は、現場の運用を踏まえて判断しましょう。
カスタマイズ対応の範囲と費用を確認する
カスタマイズとは、既存の製品やサービスを自社の業務にあわせて変更することです。どこまで柔軟に対応できるかは、支援会社や使用する製品によって異なります。
画面の変更、帳票の追加、業務フローの調整など、対応できる範囲を具体的に尋ねましょう。変更を加えると、将来のバージョンアップ時に追加の作業が必要になる場合もあります。
費用の考え方もあわせて確認しておきます。必要な変更か、運用で補えるかも検討しましょう。
追加開発や改修の窓口を決める
運用が始まってから、業務の変化にあわせた改修が必要になる場合があります。依頼の窓口、見積もりの手順、対応にかかる期間の目安を、契約前に決めておきましょう。
支援期間の終了後も改修を依頼できるか、他社に引き継ぐ場合に必要な資料を提供してもらえるかも、確認項目です。特定の会社にしか対応できない状態にならないよう、設計書の引き渡しを条件に加える方法もあります。費用の算出方法も、事前に確認しておきましょう。
IT人材がいない会社が満たしたい受け入れ条件
社内にIT人材がいない中小企業でも、DX支援を活用して取り組みを進められる場合があります。ただし、外部に任せきりにせず、最低限必要な社内の受け入れ条件を確認しておきましょう。
- 窓口となる担当者を決められること
- 打ち合わせや確認に、一定の時間を確保できること
- 最終的な判断を行う責任者が決まっていること
社内で用意する担当者と時間
IT人材がいなくても、自社の業務を理解している窓口担当者は必要です。支援会社の質問に答え、現場との調整を行う役割を、誰が担うかを決めましょう。
担当者が他の業務と兼務する場合は、打ち合わせや確認に使える時間を事前に見積もります。支援会社にも、その時間の範囲で進められる計画を作成してもらうよう、依頼しておくと無理が生じにくくなります。
兼務の負担が大きい場合は、支援範囲を見直す方法もあります。代理の担当者も決めておくと安心です。
現場の協力を得るための準備
DXの取り組みは、現場の従業員の協力がないと定着しにくい傾向があります。取り組みの目的や、現場の業務にどう関わるのかを、早い段階で説明しておきましょう。
説明の資料づくりや、現場向けの説明会の実施を、支援会社に手伝ってもらえるかも確認ポイントです。現場の不安や要望を聞く場を設け、計画に反映する姿勢も大切です。早めの説明が、導入後の協力につながります。
現場の声は、議事録に残して共有しておきましょう。説明の機会は複数回設けると伝わりやすくなります。
専門用語を使わずに相談できるかの確認
IT人材がいない会社では、専門用語が多い説明を理解するのが難しい場合があります。初回の相談で、わかりやすい言葉で説明してくれるか、質問しやすい雰囲気かを確かめましょう。
わからない点を聞いたときに、丁寧に説明してくれるかは、その後の信頼関係に影響します。複数社の担当者と話し、説明のわかりやすさを比べておくと、依頼後の進めやすさをイメージできます。社内の関係者にも同席してもらい、感想を共有しましょう。
提供エリアと対象規模で確認したいDX支援
依頼前に確認したい条件のうち、提供エリアと対象とする従業員規模、依頼の単位に着目して紹介します。セキュリティ認証や連携に関する条件は、各社へ個別に確認しましょう。
ICTコンシェルジュ
- 「売上拡大」「業務効率改善」「リスク回避」を実現
- 定期訪問により課題に合わせた解決策を伴走支援
- IT周りのお困りごともリモートサポートにて即時対応
株式会社テクニカが提供する「ICTコンシェルジュ」は、定期訪問を通じて現状把握と課題の可視化、改善に取り組むDX支援サービスです。提供エリアは近畿で、対象は従業員10名以上500名未満の会社と示されています。条件に当てはまるかを先に確認したうえで、定期訪問の頻度やリモートサポートの範囲を個別に相談しましょう。対応できない条件がある場合に備えて、他の候補とあわせて資料請求し、条件を横並びで比べておくと安心です。
情シスSourcing(ソーシング)
- 企画業務から運用業務までほぼ全領域での支援が可能
- どんな情報システム業務も、半日作業から個別依頼ができる
- 情報システム部員を本来の企画業務へシフトすることが可能
ハイブリィド株式会社が提供する「情シスSourcing(ソーシング)」は、情報システム業務をコンサルティングから運用支援まで、小ロットでアウトソーシングできるサービスです。提供エリアは全国で、対象は従業員10名以上とされています。半日作業から個別に依頼できるため、依頼の単位や範囲を決めたうえで、対応可能な業務を確認するとよいでしょう。そのほかの導入条件は、他の候補とあわせて資料請求し、条件を横並びで比べておくと安心です。
スポットPM
- 従来の一般的なコンサルとは異なり、低予算・小規模でも相談可能
- リサーチから運用まで、プロジェクトをスピーディーに推進
- プロジェクト専属のAIエージェントで工数削減とナレッジ化を実現
rayout株式会社が提供する「スポットPM」は、プロジェクトの整理から実装、運用のサポートまでを一貫して進めるPMサービスです。提供エリアは全国で、対象規模は全ての規模とされています。事前のヒアリングで計画を提案する流れのため、依頼したい内容と体制を整理してから相談すると、条件のすり合わせが進めやすくなります。そのほかの導入条件は、他の候補とあわせて資料請求し、条件を横並びで比べておくと安心です。
IT顧問 情シス君
- 広範囲で情シス業務をカバーでき、何でも引き継ぎ可能
- 引き継ぎ資料・手順書・マニュアルの作成を行い、内製化も支援
- 3レイヤー体制による適材適所で脱属人化を無駄なくサポート
株式会社デジタルハックが提供する「IT顧問 情シス君」は、社内のIT導入や運用に関する情シス業務を引き継ぐIT支援サービスです。対象は全ての規模とされ、全国でオンライン対応と現地対応を行うと示されています。必要なときに必要な分だけ依頼できる形のため、依頼したい業務の範囲を明確にして相談しましょう。現地対応の範囲や、そのほかの導入条件は、他の候補とあわせて資料請求し、条件を横並びで比べておくと安心です。
DXレディネス (ライフイズテック株式会社)
- 大手中心に100社以上でDX人材育成を支援
- 全ビジネス人材をDX推進の主体者へ
- 全員がデジタルで課題解決できる状態へ
DXモジュールシリーズ (株式会社FAプロダクツ)
- シミュレーションで最適生産投入を自動化
- 仮想空間で設備を再現するバーチャルコミッションニング
- 設備異常を予知保全システムで検知「Siluro」
船井総合研究所 (株式会社船井総合研究所)
- 200社以上の導入実績と豊富な業種ノウハウ
- 複数業務を一元管理し、業務効率と可視化を強化。
- ワンストップ支援と業務に合わせた個別カスタマイズ
DX支援に関するよくある質問
DX支援・コンサルティングの導入条件について、よくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:導入条件は、何から整理すればよいですか?
- A:依頼の前提となる必須条件と、あれば望ましい希望条件に分けると整理しやすくなります。社内規程や取引先の要請は必須条件になる場合があるため、関係部署にも早めに確認します。
- ■Q2:ISMSの認証があれば、セキュリティ面は問題ないですか?
- A:認証の有無だけで判断することは避けましょう。取得範囲が自社の依頼内容を担当する部署や拠点を含むかを、証明書などで確認します。再委託や作業環境の確認もあわせて行いましょう。
- ■Q3:API連携やカスタマイズは、どこまで依頼できますか?
- A:対応範囲は支援会社や使用する製品によって異なります。連携先や変更したい点を具体的に伝え、対応の可否と費用の考え方を確認しましょう。
- ■Q4:IT人材がいない会社でも依頼できますか?
- A:依頼できる場合があります。ただし、窓口となる担当者と確認の時間、最終判断を行う責任者は社内で用意しましょう。専門用語を使わずに説明してもらえるかも、比較の材料です。
まとめ
DX支援・コンサルティング・アウトソーシングを依頼する前の導入条件は、必須と希望に分けて整理することが大切です。言語や商習慣への対応、セキュリティ要件と認証の範囲、システム連携やカスタマイズの対応範囲、社内の受け入れ体制を確認しましょう。整理した条件を同じ内容で複数社に伝えて比較してください。資料請求で詳細を確認するのも一つの方法です。

