DX支援サービスにおける連携性の考え方
DX支援サービスは、ソフトウェアのように機能の有無で連携性を測るものではありません。支援会社がどの範囲まで設計や調整を担うかによって、連携の進み方が変わります。まず、連携性を三つの面から整理します。
既存システムとの接続を支援する範囲
DX支援でいう連携性とは、既存の基幹システムや業務ツールと新しい仕組みをつなぐ際に、支援会社が関わる範囲を指します。要件の整理だけを担う場合もあれば、接続の設計や開発まで担う場合もあります。
範囲は支援会社や契約内容によって異なります。見積もりの前に、連携の設計、開発、テスト、本番への切り替えのうち、どこまでが支援内容に含まれるかを書面で確認しましょう。含まれない作業は、自社か別の会社が担当することになります。
他ベンダーとの役割分担の整理
企業によっては、基幹システムの保守会社やクラウドの運用会社など、複数のベンダーとすでに取引しています。新しい支援会社が加わると、窓口や作業範囲が重なったり、抜けたりする可能性があります。
契約の前に、全体の進行を誰が管理し、どの作業をどの会社が担当するかを一覧にしましょう。保守契約の内容によっては、既存システムの設定変更に既存ベンダーの承認が必要な場合もあります。早めに確認しておくと、後からの手戻りを抑えられます。
社内部門との調整の進め方
連携は、システム同士だけでなく社内の部門同士にも関わります。経営企画、情報システム、現場の各部門で、データの管理者や更新のタイミングが異なる場合があるためです。部門ごとに優先したい目的が異なる場合もあるため、事前に意見を集めておくと調整が進みます。
支援会社に、部門をまたぐ会議の設定や論点の整理を依頼できるかを確認しましょう。あわせて、社内の窓口を1人に限らず複数人で決めておくと、支援会社からの確認事項が滞りにくくなります。担当者が不在でも回答できる体制を整えておきましょう。
基幹システムやRPAと連携する際の確認点
基幹システムやRPAとの連携は、DX支援の相談で話題になりやすいテーマです。連携の対象によって確認すべき内容が異なるため、下の表で全体像を押さえてから、順に見ていきましょう。
| 連携の対象 | 確認したい内容 |
|---|---|
| 基幹システム | やり取りするデータの項目、更新の頻度、基本情報の管理者 |
| RPA | 任せる業務の範囲、画面変更時の修正担当、運用開始後の保守 |
| 連携方式 | API、CSV、RPAの複数案と、それぞれの費用や運用負担 |
基幹システムとの連携対象データの整理
基幹システムとは、会計や販売、在庫などの中核業務を管理するシステムで、ERPと呼ばれる統合型の製品も含まれます。DX支援では、どのデータを、どの頻度で、どの向きにやり取りするかを最初に整理します。ERPは製品によって、データの持ち方や入出力の仕組みが異なる場合があります。
対象データの項目や更新の頻度、取引先や商品といった基本情報の管理者を決めておかないと、連携後にデータの不一致が起こる場合があります。既存システムの保守会社にも、連携の可否や制約を確認しておきましょう。
RPAとの連携で任せる作業の切り分け
RPAとは、パソコン上の定型操作をソフトウェアのロボットに任せる仕組みです。DX支援の中で、対象業務の選定や、処理手順を定めるシナリオの設計を支援してもらえる場合があります。
RPAは画面操作を自動化するため、連携先の画面が変わると動作しなくなる可能性があります。画面変更時の修正を誰が担当するか、運用開始後の保守も支援に含まれるかを、依頼前に確認しましょう。業務の変更を把握する窓口も決めておくと安心です。
連携方式の選定に関する相談のしかた
システムをつなぐ方法には、APIによる直接連携、CSVファイルの受け渡し、RPAによる画面操作などがあります。どれが適しているかは、既存システムの仕様や更新の頻度によって異なります。
支援会社が特定の方式に偏らず、複数の案と注意点を示してくれるかを確認しましょう。費用や運用負担を比べられる資料が示されれば、社内で合意を得る際にも役立ちます。選んだ理由が文書で残ると、後から担当者が変わっても経緯を確認できます。
クラウドやBIツールとデータをつなぐ進め方
クラウドやBIツールとの連携では、支援会社が自社のデータや環境に触れる場面が増えます。作業の範囲や権限の与え方を先に決めておくと、安心して任せやすくなります。
AWSやAzureなどのクラウド環境との連携
AWSやAzureなどのクラウドサービスと連携する場合、支援会社が自社のクラウド環境に入って作業する場面があります。作業用のアカウントや権限をどこまで付与するかを、事前に決めておく必要があります。
クラウドの構成を支援会社が設計する場合は、費用の負担先や、作業後の環境の引き渡し方法も確認事項です。運用を自社で引き継ぐ想定なら、設計書や設定内容の資料を成果物に含めてもらいましょう。引き継ぎの説明会を実施してもらえるかも、あわせて相談しておくと安心です。
BIツールで見たい指標の事前整理
BIツールとは、社内のデータを集めてグラフや表にし、経営判断に使いやすくするソフトウェアです。DX支援では、どの指標をどのデータから集計するかの設計を支援してもらえる場合があります。
連携の前に、見たい指標の定義を部門間でそろえておくことが重要です。同じ「売上」でも集計の基準が部署ごとに異なると、BIツールの数値が食い違う可能性があります。定義を文書に残し、支援会社と共有しておくと、設計後の修正を抑えられます。
アクセス権限とセキュリティの確認
外部の支援会社がデータや環境に触れる以上、アクセス権限の範囲と作業記録の取り扱いを決めておく必要があります。必要最小限の権限だけを付与し、作業期間が終わったら削除する運用が考えられます。担当者ごとにアカウントを分けると、作業の記録を追跡しやすくなります。
契約書の秘密保持の条項に加えて、データの持ち出しや再委託の可否も確認しましょう。社内のセキュリティ規程にもとづいて、情報システム部門の確認を受けておくと進めやすくなります。
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API連携とCSV出力で確認したい点
API連携とCSV出力は、システムをつなぐ代表的な方法です。DX支援の連携性を確認する際は、どちらの方法でも、対応範囲と異常時の動きを具体的にたずねておきましょう。
API連携の対応範囲の確認
APIとは、システム同士がデータをやり取りするための窓口です。DX支援でAPI連携を行うには、連携先のシステムがAPIを公開していることや、利用に追加費用や回数の上限がないことが前提条件となります。
支援会社に確認したいのは、API連携の設計と開発のどちらを担うかという点です。連携先の仕様変更で動作に影響が出る場合もあるため、変更があったときの対応もあわせて確認しましょう。連携先のシステム側の保守会社と、情報を共有する手順も決めておくと進めやすくなります。
CSV出力の項目と形式の確認
CSVとは、表形式のデータをカンマで区切って保存するファイル形式です。APIが使えない既存システムとの連携では、CSVの出力と取り込みが現実的な方法になる場合があります。
確認したいのは、出力できる項目の範囲、文字コード、日付や数値の書式を指定できるかという点です。変換の手順書や取り込み用のひな形を支援会社が成果物として用意するかも、依頼前に決めておきましょう。項目が増えた場合に、誰が設定を変更するかも確認事項です。
連携が止まったときの復旧体制の確認
連携は、一度つなげれば終わりではありません。連携先の仕様変更や認証期限の切れ、データ量の増加などが重なると、処理が止まったり、一部のデータが反映されなかったりする場合があります。
異常を検知して通知する仕組みがあるか、履歴から原因をたどれるか、手動で再実行できるかを確認しましょう。夜間や休日の連絡窓口が決まっているかも、運用開始前の確認事項です。復旧の目標時間を支援会社と話し合っておくと、業務への影響を見通しやすくなります。
DX支援・コンサルティングの連携性を比べる方法
連携性は、パンフレットの表記だけでは判断しにくい項目です。公開情報と問い合わせの回答を組み合わせ、同じ条件で複数の支援会社を比べる進め方を紹介します。
公式サイトと資料で確認できる情報
まず各社の公式サイトや資料で、対応できる連携の対象、支援の範囲、成果物の例を確認しましょう。連携対象のシステム名が書かれていても、設計だけなのか開発まで含むのかは、記載の仕方によって読み取れない場合があります。
記載がない項目は、資料請求や問い合わせの際に質問として書き出しておくと便利です。回答は文書で受け取り、比較表に書き加えていくと、社内で共有しやすくなります。複数の担当者で同じ表を確認すると、見落としも防ぎやすくなります。
提案依頼書への連携条件の記載
複数の会社を同じ条件で比べるには、提案を依頼する時点で連携の条件を明記するのが有効です。条件が文章で示されていれば、見積もりの前提がそろい、金額や支援範囲の違いを読み取りやすくなります。書いておきたい項目を、次のリストにまとめます。
- ■対象システム
- 連携したい既存システムやクラウド環境の名称と保守会社
- ■連携方式とデータ
- API、CSVなどの希望と、やり取りするデータの項目や頻度
- ■異常時の対応
- 通知、再実行、連絡窓口に関する希望
条件がそろっていれば、各社の提案の違いを比べやすくなります。提案内容に不明点があれば、条件を追記して再度確認しましょう。回答の形式も表や箇条書きにそろえるよう依頼すると、比較の手間を抑えられます。
公的資料と事例の参考のしかた
考え方の整理には、経済産業省の「デジタルガバナンス・コード」や、情報処理推進機構(IPA)が公表している「DX白書」などの公的資料が参考になります。DXを進める際の考え方や企業の動向を、中立的な情報で確認できます。
支援会社の導入事例は、自社と業種や連携対象が近いものを選んで読みましょう。事例の中で、連携の範囲や社内の体制まで書かれているかを見ると、依頼後の姿を想像しやすくなります。事例と自社の条件が同じとは限らないため、質問の材料として使うとよいでしょう。
連携の調整を任せられるDX支援サービス
既存システムやベンダーとの調整を含めて支援を依頼したい場合に、確認の材料となるサービスを紹介します。対応できる連携の範囲は、資料請求や問い合わせで個別に確認しましょう。
IT顧問 情シス君
- 広範囲で情シス業務をカバーでき、何でも引き継ぎ可能
- 引き継ぎ資料・手順書・マニュアルの作成を行い、内製化も支援
- 3レイヤー体制による適材適所で脱属人化を無駄なくサポート
株式会社デジタルハックが提供する「IT顧問 情シス君」は、専属の情シス担当として、社内のIT導入や運用の業務を引き継ぐIT支援サービスです。セキュリティやクラウドインフラのほか、グループウェアや営業、経理、労務といった他職種の専門ツールに関する業務にも対応するとされています。戦略策定から実装、運用、トラブルシューティングまでを支援し、提供エリアは全国です。サポートはオンラインと現地の両方に対応し、全国47都道府県が対象と案内されています。
情シスSourcing(ソーシング)
- 企画業務から運用業務までほぼ全領域での支援が可能
- どんな情報システム業務も、半日作業から個別依頼ができる
- 情報システム部員を本来の企画業務へシフトすることが可能
ハイブリィド株式会社が提供する「情シスSourcing(ソーシング)」は、情報システム業務をコンサルティングから運用支援までアウトソーシングできるサービスです。コンサルティングやSE、プログラミング、運用サービスの領域を1社で支援でき、要件が固まっていない段階から実装を支援するとしています。半日作業から個別に依頼でき、対象は従業員10名以上、提供エリアは全国です。
スポットPM
- 従来の一般的なコンサルとは異なり、低予算・小規模でも相談可能
- リサーチから運用まで、プロジェクトをスピーディーに推進
- プロジェクト専属のAIエージェントで工数削減とナレッジ化を実現
rayout株式会社が提供する「スポットPM」は、低予算・小規模でも相談できるPM(プロジェクトマネジメント)サービスです。プロジェクトの整理から定例会議の実施、ベンダーコントロール、実装や運用のサポートまでを一気通貫で担うため、複数のベンダーや社内部門との調整が必要な場面で検討できます。提供エリアは全国で、対象の規模は問いません。社内の課題整理から実装、運用の立ち上げまで関わる点が、部門をまたぐ調整に役立つと考えられます。
FLUEDの営業DXコンサルティングパートナー (株式会社FLUED)
- 国内2社限定のHubSpotダイヤモンドパートナー
- BtoBマーケ・営業・オペレーションDXを一気通貫で実現
- BtoB特化、HubSpot導入実績多数。
大和総研 (株式会社大和総研)
- 営業プロセス・組織を再設計し、属人的営業から脱却
- Salesforceで営業の見える化を実現
- レポート活用・定着支援でDX推進体制を構築
CrawlOneSmallBusiness (アドブレイク株式会社)
- 指定サイトの情報を自動収集しCSV等で定期納品。
- 要望に合わせて取得項目や頻度を柔軟に設計。
- 画像/動画取得、社内連携、BI構築を支援。
DX支援に関するよくある質問
DX支援の連携性についてよくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:既存の基幹システムと連携できるかは、どこで確認できますか?
- A:公式サイトの記載だけでは設計までか開発までか読み取れない場合があります。対象システム名とデータ項目を伝えたうえで、支援範囲を提案書で確認しましょう。
- ■Q2:APIが使えない場合は、連携をあきらめるしかありませんか?
- A:CSVの受け渡しやRPAなど、別の方法で連携できる場合があります。それぞれの運用負担と注意点を、支援会社に比較してもらいましょう。費用の違いもあわせて確認します。
- ■Q3:他のベンダーが関わっていても、依頼できますか?
- A:依頼できる場合は多くありますが、既存ベンダーの承認が必要なケースもあります。役割分担の一覧を作り、窓口を決めてから進めましょう。
- ■Q4:連携が止まったときは、誰に連絡すればよいですか?
- A:契約時に、連絡窓口と対応時間を確認しておきましょう。原因が複数の場合もあるため、発生日時や状況を記録して共有すると、調査が進みやすくなります。
まとめ
DX支援・コンサルティング・アウトソーシングの連携性は、基幹システムやRPA、クラウド、BIツールとの接続範囲を確認すると見極めやすくなります。APIやCSVの対応、他ベンダーや社内部門との役割分担、連携が止まったときの復旧体制も、依頼前に決めておきたい項目です。自社の条件を整理したうえで、複数の支援会社を同じ基準で比べましょう。気になるサービスがあれば、資料請求で詳細を確認してみてください。

