ITトレンドがおすすめする製品・サービス
- ■提供形態別
- クラウドで利用できる:HOPE LifeMark-HX
- オンプレミスで運用できる:Wing、ドクターソフト
- ■更改時に重視する点別
- 部門システムとの連携・データ統合:HOPE LifeMark-HX、Wing
- 部門システム(標本画像・輸血)の更新:WebPath、GINGABld
- 長期間の診療記録の保存・活用:ドクターソフト、HOPE LifeMark-HX
大病院の電子カルテ乗り換えが更改プロジェクトになる理由
大病院の電子カルテは、診療科や病棟、検査や手術などの部門をつなぐ院内の情報基盤です。そのため、乗り換えの影響は病院全体に及びます。まずは、大病院ならではの難しさを確認しましょう。
オーダリングと多数の部門システムの連携
大病院では、電子カルテから検査や画像診断、処方、注射、輸血、給食などのオーダーを出し、各部門システムが受け取って処理する仕組みがあります。部門システムは別々の提供会社が開発していることもあります。
電子カルテを乗り換えると、これらの接続をすべて新しい電子カルテにあわせて作り直し、テストする必要があります。接続先が多いほど、関係する提供会社との調整に時間がかかります。まずは現行の接続先と連携内容を一覧にすることから始めましょう。
同一ベンダーでの更新とベンダー変更の違い
同じベンダーの後継製品に更新する場合は、データ構造や部門システムとの接続を引き継げる部分があり、移行の負担を抑えられる可能性があります。一方で、価格や機能を他社と比べにくくなる面もあります。
別のベンダーへ変更する場合は、データ移行と部門システムの再接続、職員の再教育がすべて必要になり、プロジェクトの負荷は大きくなります。どちらが適しているかは、現行システムへの満足度や費用、将来の拡張方針によって変わるため、両方の選択肢を比べたうえで判断しましょう。
診療科ごとのテンプレートとカスタマイズ
大病院の電子カルテには、診療科ごとの記録テンプレートやオーダーセット、病院独自の画面や帳票が長年にわたって追加されていることがあります。これらは新しい電子カルテへそのまま移せない場合があります。
乗り換えにあたっては、既存のテンプレートやカスタマイズを棚卸しし、本当に必要なものを選び直すことが大切です。標準機能で代替できる業務は運用を見直すと、移行後の保守費用や次回更改時の負担を抑えることにつながります。
大病院向け電子カルテの調達と仕様書づくり
大病院の電子カルテは、複数の提供会社から提案を受けて選ぶ進め方がよく取られます。院内の要求を仕様書にまとめる段階で、比較の公平さと移行後の運用のしやすさが左右されます。
現行システムの棚卸しと要求仕様のまとめ方
要求仕様をまとめる前に、現行の電子カルテと部門システムの構成、利用している機能、運用上の課題を整理します。各部門に聞き取りを行い、必須の要件と、あると望ましい要件を分けて整理すると、提案を比べやすくなります。
要件を細かく書きすぎると、特定の製品しか応えられない仕様になるおそれがあります。業務で実現したいことを中心に書き、実現方法は各社の提案を受けて比べる形にすると、選択肢を広く保てます。
入札やプロポーザルなど調達方式の選択
公立病院や国立大学病院などでは、入札や総合評価方式、公募型プロポーザルといった手続きで電子カルテを調達することがあります。調達方式によって、仕様書の公表から契約までに必要な期間が変わります。
価格だけでなく、移行支援の体制や稼働後の保守体制も評価できるよう、評価項目と配点を事前に決めておくことが大切です。院内の規程や設置主体のルールを確認し、調達の手続きにかかる期間もプロジェクトの日程に組み込みましょう。
保守費用と次回更改を見据えた契約
電子カルテの費用は、導入時だけでなく、稼働後の保守費用やサーバなどの機器の更新費用も含めて考える必要があります。契約期間中の総額で各社の提案を比べると、判断の材料がそろいます。
また、次の更改で別のベンダーを選ぶ可能性に備え、契約終了時にデータをどの形式で出力できるか、その費用は誰が負担するかを契約に盛り込んでおくと安心です。部門システムとの接続仕様を開示してもらえるかも確認しておきましょう。
大病院の診療データを移行する際の論点
大病院の電子カルテには、長期間にわたる大量の診療データが蓄積されています。すべてを新しいシステムへ移すと、作業量と費用が大きくなるため、移行対象と方法を計画的に決めることが重要です。
移行対象期間と旧システムの参照環境
データ移行では、どの期間の、どの種類のデータを新しい電子カルテに移すかを決めます。直近の診療で参照する頻度が高いデータは移行し、古い記録は旧システムを参照用に残して閲覧する方法も考えられます。
ただし、診療録は法令で一定期間の保存が求められており、乗り換え後も必要なときに読める状態を保つ必要があります。旧システムを残す場合は、保守期間やサーバの維持方法、閲覧できる職員の範囲もあわせて決めておきましょう。
SS-MIX2標準化ストレージと標準コードの活用
SS-MIX2は、患者情報や病名、処方、検体検査などの診療データを標準的な形式で保存するための仕様で、厚生労働省標準規格の一つです。現行システムでSS-MIX2のストレージを整備している場合、データ移行や他施設との連携に活用できる可能性があります。
また、臨床検査コードについては、厚生労働省がJLAC10を改善したJLAC11を標準規格として電子カルテ等の標準仕様に位置づける方針を示しています。乗り換えを機に、院内で使うコードの対応状況も確認しておきましょう。
画像や文書データの扱い
放射線画像や内視鏡画像、スキャンした同意書などの文書データは、電子カルテ本体とは別の画像システムや文書管理システムで保存されていることがあります。これらのデータ量は大きいため、移行の方法と期間を別に計画する必要があります。
画像システムを継続して使う場合は、新しい電子カルテから過去の画像を呼び出せるかを確認します。文書データは、検索に必要な患者番号や文書の種類などの情報を正しく引き継げるかも、移行テストで確認しましょう。
大病院の電子カルテ稼働までのリハーサルと院内体制
新しい電子カルテの稼働日は、全診療科と全病棟が一斉に切り替わる重要な日です。事前のリハーサルと院内の体制づくりによって、稼働直後の混乱を小さくできます。
部門代表が参加するプロジェクト体制
大病院の更改プロジェクトでは、病院長や事務部門の責任者のもとに、診療科や看護部、薬剤部、検査部、医事課などの代表者が参加する体制を組むことが重要です。各部門の要望を集め、運用の変更を決める場が必要になるためです。
決定事項や検討の経緯は議事録として残し、担当者が交代しても引き継げるようにしましょう。情報システム部門だけに判断を任せず、現場の代表者が責任を持って運用を決める体制が、稼働後の定着にもつながります。
本番前のリハーサルと稼働判定
稼働前には、外来受付から入院、手術、退院までの一連の流れを、各部門の職員が実際の業務に近い形で試すリハーサルを行います。部門システムとの接続や帳票の出力、夜間の運用もこの段階で確認します。
リハーサルで見つかった課題は一覧で管理し、対応の状況を確認したうえで、予定どおり稼働するかを判定する会議を開くと判断の根拠が明確です。稼働を延期する場合の基準も、あらかじめ決めておきましょう。
更改に組み込む医療DX施策とサイバー対策
大病院の電子カルテ更改は、国の医療DX施策やサイバーセキュリティへの対応を組み込む機会でもあります。次の更改までの期間も考えると、今後の方針を踏まえて要件を決めておくことが大切です。
次回更改で求められる共有サービスと電子処方箋への対応
厚生労働省は、電子カルテを導入済みの医療機関に対し、電子カルテ情報共有サービスや電子処方箋への対応改修を次回のシステム更改の際に進める方針を示しています。電子カルテ情報共有サービスは、診療情報提供書や退院時サマリーなどを医療機関の間で共有する国の仕組みです。
更改の要求仕様には、これらへの対応を含めるかどうかを明記し、対応時期と費用を各社に確認しましょう。部門システム側の改修が必要になる場合もあるため、部門システムの提供会社にも早めに相談しておくと安心です。
クラウドネイティブ化の方針と大病院の位置づけ
国は、カスタマイズされたオンプレミス型から、クラウドネイティブを基本とする廉価な電子カルテへの移行を図る方針を示しています。ただし、2026年3月に公表された病院向けの標準仕様は中小病院向けで、大規模な病院へは段階的に広げる方向とされています。
厚生労働省の資料では、病院向けにクラウド型電子カルテを提供しているベンダーは現状限られているとされています。今回の更改で選ぶ構成が、次の更改時の選択肢にどう影響するかも検討しておきましょう。
安全管理ガイドラインとサイバー対策
医療機関には、医療法施行規則にもとづくサイバーセキュリティ確保のための措置が求められています。厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」は、2026年6月に第7.0版へ改定されました。
更改では、バックアップの取り方やシステム停止時の診療継続の手順、提供会社との責任の分担を、ガイドラインを踏まえて仕様と契約に反映させることが重要です。
外部のネットワークとの接続点や、保守作業で使うリモート接続の管理方法も確認項目です。稼働後も定期的に訓練を行い、手順を見直せる体制を整えておきましょう。
大病院の更改で検討したい電子カルテ関連製品
大規模病院に対応する電子カルテと、更改にあわせて検討したい部門システムを一覧にまとめました。電子カルテ本体の機能や部門業務の対応範囲を比較し、自院の課題にあう製品を探す際の参考にしてください。
| 製品名 | 特徴 |
|---|---|
| HOPE LifeMark-HX | 大中規模病院向けのクラウド型電子カルテ。医事会計や部門システムのデータを統合管理できる |
| Wing | クラウドとオンプレミスに対応する病院向け電子カルテ。各部門のシステムと連携し、サーバー1つで複数施設を運用 |
| ドクターソフト | レセコンの機能を一体化した電子カルテ。患者数やカルテ数の制限なく長期的に保存できる |
| WebPath | Webブラウザから利用でき、画像と標本情報を関連付けて検索・二次利用できるシステム |
| GINGABld | 輸血予定や製剤管理、使用期限の確認に使うシステム。輸血伝票からの重複入力を減らせる |
更改プロジェクトで比較したい大病院向け製品
電子カルテ本体に加え、部門システムの更新など、大病院の更改で検討範囲に入りやすい製品を紹介します。
HOPE LifeMark-HX (富士通株式会社)
- カルテが見やすく、記載しやすく、情報を探しやすい
- 医療従事者の判断をサポートし、医療の質とスピードを向上させる
- 日常業務を止めることがない、スムーズなシステム運営を実現
Wing (株式会社ライブワークス)
- システムトラブルの発生なし!24時間・365日の安定稼働実績!
- デバイスを問わず運用!スマートデバイスで往診対応も!
- サーバーひとつで同一法人の複数施設の業務を実現!
ドクターソフト (株式会社油井コンサルティング)
- 医療行為を入力すればレセプトや処方箋を一挙に発行できる!
- カルテに直接手書き可能、画像・ビデオ挿入で紙以上の利便性!
- 同一患者のカルテを同時に複数の担当者で入力可能!
WebPath (メディカルシステム株式会社)
- 正晃テック株式会社の登録商標
- Web技術利用でWebブラウザから利用可能
- 画像と標本情報を関連付け、瞬時に検索・二次利用可能
GINGABld (メディカルシステム株式会社)
- 輸血関連情報へ素早くアクセス
- 輸血伝票からの重複入力を削減し業務を合理化。
- バーコードで入力ミス防止・検査結果変更履歴を管理
まとめ
大病院向け電子カルテの乗り換えは、オーダリングと多数の部門システム、長期間の診療データを含む複数年の更改プロジェクトです。同一ベンダーでの更新とベンダー変更の違いを踏まえ、仕様書づくりと調達、SS-MIX2なども活用したデータ移行、リハーサルと院内体制を計画的に進めましょう。国の医療DX施策やセキュリティ対応も要件に組み込むことが大切です。複数の電子カルテの資料請求をして、移行支援や連携の対応状況を比較してみてください。

