暗号化ソフトは企業規模によって選び方が変わる
暗号化ソフトと一口にいっても、対象となる情報の量や管理する端末数、求められるコンプライアンス水準は企業規模ごとに異なります。ここでは10名規模と30名規模の小規模企業を例に、それぞれで重視すべき視点を整理します。
従業員10名規模の企業に適した暗号化ソフトの条件
従業員10名規模の企業では、専任のIT担当者がいないケースが多く、設定や運用の分かりやすさが最優先の条件です。管理画面がシンプルで、初期設定から数十分で暗号化を開始できる製品を選ぶと、日常業務を止めずに導入できます。
具体的には、クラウド型で自動アップデートに対応した製品を選ぶと、パッチ適用の手間が減ります。また、月額料金が端末数に応じて変動する従量課金制であれば、少人数でも過剰なコスト負担を避けられ、事業の成長にあわせて契約を見直しやすくなります。
30名規模の企業にちょうどいい暗号化ソフトの選定基準
30名規模になると部署が複数に分かれ始め、営業資料や顧客情報など機密度の異なるファイルが混在します。そのため、フォルダ単位や部署単位でアクセス権限を分けられる暗号化ソフトが適しています。
あわせて、退職者や異動者が出た際に権限をすぐに削除・変更できる管理機能があるかも確認しておきましょう。権限管理が煩雑だと情報漏えいのリスクが高まるため、管理画面から一括で設定変更できる製品を選ぶと運用の負担を抑えられます。
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50名規模の企業が比較すべき暗号化ソフトの機能
50名を超える企業では扱う情報量が増え、情報漏えい対策としての暗号化がより重要といえます。ここでは比較の際に確認したい機能面と、コスト・サポート体制の観点を紹介します。
情報漏えい対策として確認すべき暗号化機能
情報漏えい対策を目的とするなら、ファイルの持ち出しや外部送信を検知するログ機能を備えた暗号化ソフトが適しています。誰がいつどのファイルにアクセスしたかを記録できれば、万が一の際に原因を特定しやすくなります。
加えて、AESなどの標準的な暗号化アルゴリズムを採用しているかも確認しておきましょう。国際的に広く使われている方式であれば、取引先から暗号化強度を問われた際にも説明しやすく、第三者機関の認証を取得している製品であれば信頼性の裏付けにもなります。
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導入・運用コストとサポート体制の比較ポイント
50名規模では、初期費用に加えて運用フェーズでのサポート体制も比較材料です。導入時の設定代行や、障害発生時の問い合わせ窓口の対応時間を事前に確認しておくと、トラブル時の対応がスムーズです。
また、既存の業務システムとの連携可否も確認すべき点です。ファイルサーバーやグループウェアと連携できる製品であれば、従業員が普段の操作を大きく変えずに暗号化を利用でき、社内への定着がしやすくなります。
100名規模の企業における暗号化システムの導入事例
100名規模になると拠点や部門が複数に分かれ、統一されたルールでの管理が課題です。ここではUSBメモリ制限とアクセス権限管理という、実際によくある導入事例を紹介します。
USBメモリなど外部デバイスの持ち出し制限事例
100名規模の企業では、USBメモリやスマートフォンへのデータコピーを制限する暗号化システムの導入事例が多く見られます。許可されたデバイス以外への書き込みをブロックすることで、意図しない情報の持ち出しを防ぐ仕組みです。
実際の運用では、業務上必要な部署だけデバイス利用を許可し、それ以外は原則禁止とするポリシーを設定する例が一般的です。導入後は誰がどのデバイスを使用したかのログが残るため、監査対応や社内教育の材料としても活用できます。
部門別アクセス権限を活用した情報統制の事例
複数部門を抱える企業では、経理や人事など機密性の高い部門のフォルダだけを別階層で暗号化し、閲覧権限を役職や部署に応じて細かく設定する事例があります。これにより、必要な人だけが必要な情報にアクセスできる環境を整えられます。
権限設定はシステム部門だけでなく、各部門の責任者が定期的に見直す運用にすると、組織変更や人事異動の際にも権限の実態と乖離しにくくなります。年に一度の棚卸しを組み込んでいる企業もあります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で暗号化ソフトの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
300名以上のエンタープライズ企業に向いた暗号化システムの要件
300名を超える組織では、拠点をまたいだ一元管理と、外部監査に耐えうる証跡管理が求められます。ここでは大規模組織ならではの要件と、上場企業がコンプライアンス強化のために重視するポイントを紹介します。
大規模組織で求められる拡張性と一元管理機能
300名以上の企業では、拠点や子会社が増えても運用の手間が急激に増えない拡張性の高さが重要です。ライセンスの追加や端末の追加登録を管理コンソールから一括で行える製品であれば、情報システム部門の負担を抑えられます。
また、クラウド型の管理基盤を採用している製品なら、国内外の拠点からでも同じポリシーで暗号化状況を確認できます。全社で統一したセキュリティ水準を保ちやすく、拠点ごとに異なる運用になってしまう事態を避けられます。
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上場企業がコンプライアンス強化のために重視するポイント
上場企業では、内部統制報告制度への対応として、暗号化の実施状況を客観的に説明できる証跡が欠かせません。アクセスログや暗号化対象データの一覧を自動で出力できる機能があれば、監査対応の工数を減らせます。
加えて、個人情報や取引先情報を扱う場合は、法令やガイドラインで求められる水準の暗号化アルゴリズムを採用しているかも確認が必要です。第三者による脆弱性診断を定期的に受けている製品であれば、監査の際にも説明しやすくなります。
導入前に確認しておきたい暗号化ソフトのチェックポイント
製品を絞り込む前に、社内の状況を整理しておくと比較検討がスムーズに進みます。ここでは暗号化対象の明確化と、将来的な拡張性という2つの視点から確認事項を紹介します。
自社で暗号化すべき対象データを明確にする
暗号化ソフトを検討する前に、どのデータを保護したいのかを整理しておく必要があります。顧客情報を扱うデータベースを守りたいのか、営業資料などのファイルを守りたいのかによって、適した製品のタイプが異なるためです。
対象データが曖昧なまま製品を選ぶと、必要な機能が不足したり、逆に過剰なオプションでコストがかさんだりすることがあります。まずは社内の情報資産を洗い出し、優先度の高いデータから暗号化の範囲を決めていくと、比較検討の軸が定まります。
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社員数の増減を見据えた拡張性を確認する
企業は成長や組織再編によって従業員数が変化します。契約時の人数だけでなく、今後1~2年程度の増員計画も踏まえたうえで、ライセンス数を柔軟に変更できる製品を選ぶと契約の見直しがしやすくなります。
グループ会社や複数拠点を持つ企業であれば、拠点をまたいで一つの管理コンソールで運用できるかどうかも重要な確認事項です。将来的に拠点が増える可能性がある場合は、初めから拡張性を考慮した製品を選んでおくと、後々の切り替え作業を減らせます。
顧客情報を守るデータベース暗号化ソフトの選定ポイント
企業規模が大きくなるほど、ファイル単位の暗号化だけでなく、顧客情報や取引データを保管するデータベース自体の暗号化が課題です。ここでは利用しているデータベースの種類に応じた製品を紹介します。
D.AMO DP
- 既存データベースに後付けでクエリー変更せずに導入可能
- 選択的暗号化を実現しデータベースの機密性と可用性を両立
- 暗号化+アクセス制御+監査ログのAll-In-Oneパッケージで提供
ペンタセキュリティ株式会社が提供する「D.AMO DP」は、Oracle・SQL Serverなどの商用データベースに対応した暗号化ソフトです。カラム単位で暗号化範囲を指定できるため、氏名や口座番号など機密性の高い項目だけを保護し、業務への影響を抑えながら導入できます。アクセス制御機能や監査ログ機能も備えており、誰がどのデータにアクセスしたかを記録し、内部統制や外部監査への対応にも活用できます。
D.AMO DE
- 暗号化の導入時アプリケーションのコードやクエリーの改修不要
- カラム単位で機密データを選択的に暗号化
- 暗号化+アクセス制御+監査ログのAll-In-Oneパッケージで提供
ペンタセキュリティ株式会社が提供する「D.AMO DE」は、MySQLやMariaDBなどオープンソース系データベースに対応した透過的暗号化ソフトです。データベースエンジンのレベルで動作するため、既存のアプリケーションやシステムを改修することなく導入できる点が特徴です。コストを抑えつつOSSデータベースを運用している企業でも、顧客情報や機密データの暗号化を実現できます。
データベース単位の暗号化のほか、以下のような製品もあわせて比較検討することをおすすめします。
データ暗号化 (タレスジャパン株式会社)
- 物理・仮想サーバーのデータ管理を、鍵とポリシーで一元化。
- 高性能な暗号化で外部・内部脅威からデータを保護。
- 独立したデータ保護と鍵管理でクラウド移行を支援。
WinMagicSecureDoc (ウィンマジック・ジャパン株式会社)
- マルチデバイスを単一コンソールで管理可能。
- リムーバブルメディアも暗号化対応。
- PBConnex™で認証前のデバイス起動・データアクセスを制限。
SophosEncryption (ソフォス株式会社)
- OS標準暗号化を活用しCentralで鍵管理と復旧を簡素化。
- 暗号化のまま編集・共有でき業務を止めない設計。
- 複数端末とOSの暗号化を可視化し統制・規制対応。
TrellixCompleteDataProtection (Musarubra Japan株式会社)
- ドライブ暗号化とアクセス制御で端末データを保護。
- USBやクラウドなど多様なチャネルでDLPが情報流出を防止。
- 単一コンソールで運用を統合し、監査・法令対応を支援。
まとめ
暗号化ソフトは、10名規模の小規模企業から300名以上のエンタープライズまで、企業規模に応じて重視すべき機能やコストの考え方が異なります。小規模企業では操作のしやすさとコスト、大規模企業では一元管理と監査対応が重要です。自社の従業員数や組織構成を踏まえたうえで、複数の製品を比較し、無理なく運用を続けられる暗号化ソフトを選びましょう。


