暗号化ソフトにおける連携性の重要性
暗号化ソフトは単体で動かすものではなく、社内のさまざまなシステムと組み合わせて運用するケースが多くあります。ここでは、なぜ連携性が選定の重要な基準になるのかを確認しましょう。
連携性が低いと運用負荷が増える理由
暗号化ソフトが既存の認証基盤や業務システムと連携できない場合、ユーザー情報や権限設定を暗号化ソフト側で個別に管理する必要が生じます。管理者は複数のシステムで同じ情報を二重に登録・更新する手間が発生し、情報の食い違いや設定漏れが起こりやすくなります。
特に従業員数が多い企業では、入社・異動・退職のたびに手作業で権限を変更すると、更新漏れによるセキュリティリスクが高まります。既存システムと連携できる暗号化ソフトを選べば、ユーザー情報の変更が自動的に反映され、管理工数を抑えながら安全性を保てます。また、担当者が複数の管理画面を確認する手間も減るため、情報システム部門の負担軽減にもつながります。
連携性を確認すべきタイミング
暗号化ソフトの連携性は、導入を検討し始めた段階で確認しておくことが大切です。契約後に連携できないことが判明すると、想定していた運用フローを組み直す必要が生じ、導入スケジュールに影響します。
具体的には、自社が既に利用しているAD、SSO製品、クラウドストレージ、MDMの名称を洗い出したうえで、候補となる暗号化ソフトの対応状況を製品資料やベンダーへの問い合わせで確認するとよいでしょう。無料トライアルがある製品であれば、実際の連携動作を試してから判断できます。導入担当者だけでなく、実際に運用する情報システム部門を交えて確認すると、現場で想定していない不具合を事前に洗い出しやすくなります。
Active Directoryやシングルサインオンと連携できる暗号化ソフト
社内の認証基盤と連携できる暗号化ソフトを選ぶと、ユーザー管理の手間を大幅に減らせます。ここではADとSSOそれぞれとの連携について解説します。
AD連携でユーザー情報を同期する仕組み
Active Directoryと連携できる暗号化ソフトは、ADに登録されているユーザー情報や組織階層をそのまま取り込み、暗号化ソフト側で改めてアカウントを作成する必要がありません。異動や退職があった場合も、AD側の情報を更新するだけで暗号化ソフトの利用権限に反映されます。
この仕組みにより、情報システム部門は複数の管理画面を行き来せずに済み、権限の更新漏れによる情報漏えいリスクを抑えられます。特に組織変更が多い企業や、部署ごとにアクセス範囲を細かく分けたい企業にとって、AD連携は選定時の重要な確認項目です。同期の頻度や反映までの時間差も製品によって異なるため、実際の運用に耐えられる速度かどうかを確認しておくと安心です。
SSO製品との連携によるログイン負担の軽減
シングルサインオンに対応した暗号化ソフトであれば、従業員は一度のログイン認証で暗号化ファイルへのアクセスも許可されるため、個別にパスワードを入力する手間が省けます。パスワードの使い回しによる漏えいリスクを減らせる点もメリットです。
SSO連携を導入する際は、自社が利用しているSSO製品の認証方式に暗号化ソフトが対応しているかを事前に確認する必要があります。対応方式が異なると連携できないケースもあるため、ベンダーへの問い合わせや検証環境での確認が有効です。あわせて、多要素認証との組み合わせが可能かどうかも確認しておくと、より高いセキュリティ水準を維持しながら利便性を確保できます。
クラウドストレージやMDMと連携できる暗号化ソフト
テレワークの普及に伴い、クラウドストレージやモバイル端末と組み合わせて使える暗号化ソフトへの需要が高まっています。それぞれの連携ポイントを見ていきましょう。
BoxやOneDriveなどクラウドストレージとの連携
クラウドストレージと連携できる暗号化ソフトは、ストレージにアップロードしたファイルを自動的に暗号化したり、ダウンロード時に復号したりする処理を透過的に行います。利用者は普段どおりの操作でファイルを扱いながら、裏側で暗号化の保護を受けられます。
クラウドストレージ連携を確認する際は、対応するストレージサービスの種類だけでなく、ファイルの同期速度や既存フォルダ構成への影響もあわせて確認しておくと、導入後の使い勝手のずれを防げます。社外との共有機能を頻繁に使う企業では、共有リンクを発行した際も暗号化状態が維持されるかを確認しておくとよいでしょう。
スマホやタブレットのMDMとの連携
MDM(モバイルデバイス管理)と連携できる暗号化システムは、社外に持ち出すスマートフォンやタブレットの端末情報をMDM側で一元管理しながら、端末内のデータ暗号化状態を確認できます。紛失や盗難が発生した際も、MDMからのリモートロックやデータ消去と組み合わせて対応しやすくなります。
モバイル端末を業務で利用する企業が増えるなか、MDMと暗号化ソフトを別々に管理すると設定の整合性が取りづらくなります。両者が連携できる組み合わせを選ぶことで、モバイル端末のセキュリティポリシーを一貫して運用できます。私物端末を業務利用するBYOD環境では、業務データと個人データの領域を分けて管理できるかどうかも、あわせて確認しておきたいポイントです。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)で暗号化の一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
監査ログの出力形式や運用面で確認したいポイント
暗号化ソフトを長期的に運用するうえでは、連携性に加えて監査ログの扱いやすさも重要な確認項目です。ここでは運用面でチェックしておきたい内容を解説します。
監査ログのCSV出力が柔軟な製品を選ぶ意味
暗号化ソフトの監査ログをCSV形式で出力できると、社内のログ管理システムや表計算ソフトに取り込んで独自の集計・分析が可能です。誰がいつどのファイルにアクセスしたかを一覧化しやすくなり、内部監査や情報セキュリティ報告書の作成時にも活用できます。
CSV出力の柔軟性を確認する際は、出力できる項目の種類や、期間指定・条件絞り込みができるかどうかもあわせて確認するとよいでしょう。ログの粒度が細かいほど、インシデント発生時の原因調査がしやすくなります。定期的にログを自動出力できる機能があれば、担当者が手動でエクスポートする手間も省けます。
API連携の柔軟性を見極めるポイント
自社開発の業務アプリと暗号化ソフトを連携させる場合、公開されているAPIの種類やドキュメントの整備状況を事前に確認しておく必要があります。APIが充実していれば、暗号化・復号処理を業務アプリの処理フローに組み込みやすくなります。
また、APIの仕様変更やサポート体制もあわせて確認しておくと安心です。開発担当者が実際にテスト環境でAPIを試し、想定する処理が問題なく動作するかを検証してから本導入を判断することをおすすめします。サンプルコードやSDKが提供されている製品であれば、開発初期の実装コストを抑えやすくなります。
既存システムとの連携性に優れたデータベース・ファイル暗号化ソフト
業務システムやアクセス権限、監査ログとの連携性を重視するなら、データベースやファイルの暗号化に特化した製品も選択肢です。ここでは連携性や運用面に強みを持つ製品を紹介します。
D.AMO DP
- 既存データベースに後付けでクエリー変更せずに導入可能
- 選択的暗号化を実現しデータベースの機密性と可用性を両立
- 暗号化+アクセス制御+監査ログのAll-In-Oneパッケージで提供
ペンタセキュリティ株式会社が提供する「D.AMO DP」は、Oracle・SQL Server向けのデータベース暗号化ソフトです。カラム単位での暗号化に対応しており、業務システムのアクセス権限に合わせた細かなアクセス制御が行えるほか、誰がどのデータにアクセスしたかを記録する監査ログ機能も備えています。既存の認証・権限管理の仕組みと組み合わせて運用しやすい点が特徴です。
D.AMO DE
- 暗号化の導入時アプリケーションのコードやクエリーの改修不要
- カラム単位で機密データを選択的に暗号化
- 暗号化+アクセス制御+監査ログのAll-In-Oneパッケージで提供
ペンタセキュリティ株式会社が提供する「D.AMO DE」は、PostgreSQLやMySQLなどOSS系データベース向けの透過的暗号化ソフトです。データベースエンジンレベルで動作するため、既存の業務システムを改修することなく導入でき、システム連携時の改修コストを抑えたい企業に適しています。
InterSafeFileProtection (アルプスシステムインテグレーション株式会社)
- 18年連続シェアNo.1のWebフィルタリング技術を応用。
- ファイル単位でアクセス権限を細かく設定可能
- 操作ログ記録で不正アクセス・情報漏洩を追跡可能
TrellixCompleteDataProtection (Musarubra Japan株式会社)
- ドライブ暗号化とアクセス制御で端末データを保護。
- USBやクラウドなど多様なチャネルでDLPが情報流出を防止。
- 単一コンソールで運用を統合し、監査・法令対応を支援。
WinMagicSecureDoc (ウィンマジック・ジャパン株式会社)
- マルチデバイスを単一コンソールで管理可能。
- リムーバブルメディアも暗号化対応。
- PBConnex™で認証前のデバイス起動・データアクセスを制限。
SophosEncryption (ソフォス株式会社)
- OS標準暗号化を活用しCentralで鍵管理と復旧を簡素化。
- 暗号化のまま編集・共有でき業務を止めない設計。
- 複数端末とOSの暗号化を可視化し統制・規制対応。
まとめ
暗号化ソフトを選ぶ際は、暗号化そのものの強度だけでなく、AD・SSOなどの認証基盤、クラウドストレージ、MDM、業務アプリとの連携性を確認することが重要です。監査ログのCSV出力など運用面の使いやすさもあわせてチェックし、自社の既存システム構成にあった製品を選定しましょう。製品選定の参考にしてください。


