IDS・IPSの信頼性への不安の整理
信頼性という言葉には複数の意味が含まれます。まとめて確認しようとすると質問が漠然として回答も曖昧になるため、対象を分けて一つずつ確かめていきましょう。
不安の種類の分類
不安の中身は、大きく4つに分かれます。機器やサービスが止まらないかという不安、必要な通信を検知できるかという不安、ベンダーへ預ける情報が守られるかという不安、使い続けられるかという不安です。それぞれ確認先も判断基準も異なります。
自社にとってどれが重いかは、業務の性質によって変わります。通信が止まると業務が停止する環境では、稼働の安定に対する重みが大きくなります。まず優先して確かめる項目を決めておくと、限られた時間の中でも検討を進められます。関係者と優先順位を共有しておきましょう。
確認できる情報の範囲
ベンダーが公開している情報には限りがあります。公式サイトで確認できる項目、契約前の問い合わせで回答を得られる項目、開示されない項目に分けておくと、確認作業を効率よく進められます。
開示されない項目については、そのこと自体を不信の材料とせず、代わりに何を確認できるかを尋ねてみましょう。個別の内容を公開していなくても、対応の考え方や手順については説明を受けられる場合があります。質問の仕方を変えることで、判断に使える情報を得られることがあります。
機器やサービスが止まる場合への備え
IDS・IPSは、監視だけを行う構成と、通信の経路上に置いて遮断まで行う構成があります。どちらの構成かによって、停止したときの影響が変わる点を押さえておきましょう。
停止したときの通信の扱い
通信の経路上に置く構成では、機器が停止した際に通信をそのまま通すのか、通信を止めるのかなど、停止時の挙動を確認しておく必要があります。前者は業務を継続しやすい一方で監視されない通信が流れる可能性があり、後者は通信そのものが停止する可能性があります。
停止時の挙動は製品や構成によって異なるため、自社の要件に合うかを確認しましょう。挙動を設定で変更できるか、冗長化やバイパス機能が用意されているかも契約前に確認しておくと安心です。判断が難しい場合は、情報システム部門や経営層とあわせて方針を決めることが求められます。
障害情報の公開状況
クラウド上のサービスとして提供される場合、稼働の状況を専用のページで公開しているベンダーがあります。過去の障害の発生時期や影響範囲、復旧までの経緯を確認できると、対応の姿勢を知る手がかりになります。
公開されていない場合は、契約前の問い合わせで直近の状況や対応の考え方を質問してみましょう。あわせて、計画的なメンテナンスの時間帯と事前告知の期間も確認しておくと、自社の業務時間と重なる可能性を把握できます。管理者へ通知が届く仕組みがあるかもあわせて確かめておきましょう。
冗長化と代替手段の検討
停止の影響を抑える方法として、機器を複数用意して片方が停止しても継続できる構成があります。ただし費用が増えるため、業務への影響の大きさと照らし合わせて判断する必要があります。
構成を検討する際は、切り替えにかかる時間、切り替えが自動か手動か、切り替え後に設定が引き継がれるかを確認しましょう。冗長化を採らない場合でも、停止時に誰がどう対応するかの手順を決めておくと、実際に起きた際の混乱を抑えられます。手順は文書にまとめ、関係者が参照できる場所に置いておきましょう。
検知しきれない場合への備え
導入すればすべての脅威を防げるものではありません。対象となる範囲を理解したうえで、他の対策と組み合わせる前提で計画を立てましょう。
対象となる範囲の理解
IDS・IPSが扱えるのは、監視している経路を流れる通信です。監視の対象外となる経路の通信や、暗号化された通信の内容については、扱える範囲が限られる場合があります。
また、検知に使う条件に合致しない手法については通知されません。条件は更新によって追加されますが、新しい手法が現れてから条件が用意されるまでには時間差が生じる可能性があります。これらの前提を理解しておくと、導入後に想定と異なるという評価が生じにくくなります。
他の対策との組み合わせ
ネットワーク側の監視だけでは把握しきれない部分は、端末側で動作する対策や、利用者への教育で補う考え方があります。どの層で何を防ぐのかを整理しておきましょう。
整理の際は、社外との出入り口、社内のネットワーク、端末、利用者の操作という段階ごとに、現在どの対策があるかを一覧にします。重なりや抜けが見えると、追加すべき対策の優先順位を判断できます。すべてを一度にそろえる必要はなく、影響の大きい箇所から順に進める方針が現実的です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でIDS・IPSの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
ベンダーへ預ける情報の扱い
クラウド型の製品や、監視を委託するサービスでは、通信の記録がベンダー側へ送られる場合があります。どの範囲の情報が扱われるかを把握しておきましょう。
預ける情報の範囲
まず、どのようなデータが送られるかを確認します。検知した内容だけでなく、通信元や通信先の情報、通信の内容の一部が含まれる場合があります。個人情報や機密情報に該当する項目が含まれるかは、社内の規程に照らして判断する必要があります。
データの保存場所、保存される期間、契約終了後の扱いを契約前に確認し、情報システム部門や管理部門と共有しておきましょう。送信する項目を選べる場合は、必要な範囲に限定する設定も検討できます。書面で確認しておくと、後の説明にも使えます。
対策状況と認証の確認
ベンダー側の管理体制については、第三者機関の認証を取得しているかが判断材料の一つになります。ただし認証の対象範囲は組織全体の場合とサービス単位の場合があり、内容は一律ではありません。
取得している認証の名称、対象範囲、更新の状況まで確認すると実態に近い理解ができます。監視を委託する場合は、作業を行う担当者の権限管理や、作業内容の記録が残る仕組みについても確認しておきましょう。取引先から一定の条件を求められている場合は、その要件と照らし合わせることが必要です。回答の内容は書面で受け取り、社内の記録として保管しておきましょう。
提供終了への備えと評価情報の読み取り方
製品には提供の期限が定められている場合があります。あわせて、公開されている評価をどう受け止めるかも整理しておきましょう。
サポート期限と後継製品の確認
機器を設置する構成では、保守やサポートを受けられる期限があらかじめ定められていることがあります。期限を過ぎると、検知に使う条件の更新が行われなくなる可能性があります。
契約前に、サポートの期限、期限後の扱い、後継の製品への移行の考え方を確認しておきましょう。移行にかかる費用と作業の範囲も把握しておくと、長期の計画を立てられます。期限は管理台帳に記録し、複数人が確認できる状態にしておくことをおすすめします。期限が近づいた段階で予算の確保を始められるよう、社内の会計の時期とあわせて計画しておくとよいでしょう。
実績数値の前提の確認
導入実績として示される数値は、集計の対象範囲や期間の取り方がベンダーによって異なります。累計で数えているのか現在の契約数なのかによって意味は変わります。
数値の大小だけで判断せず、どのような条件で集計されたものかを確認しましょう。自社と近い規模や業種での利用があるかを個別に問い合わせるほうが、判断には役立ちます。事例の紹介を依頼し、運用の体制や導入時の課題を聞ければ、より具体的な比較ができます。
口コミ情報の扱い方
利用者の評価には、良い内容と厳しい内容の両方が含まれます。厳しい評価を見ると不安になりますが、内容を読むと自社には当てはまらない条件のものも含まれています。
確認したいのは、その評価がどの機能や場面に関するものか、投稿された時期はいつかという点です。時間が経った評価は、その後の改善で状況が変わっている可能性があります。自社の利用条件に近い意見を選んで参考にし、気になる内容はベンダーへ直接確認するとよいでしょう。
保守やサポートの範囲が明確なIDS・IPS
信頼性の判断では、障害時の対応体制や提供形態も材料になります。その範囲を確認しやすい製品を紹介します。
ビジネスセキュリティ(VSR)
- 業界最多クラスのセキュリティ機能の中から独自のカスタムが可能
- 管理者負担軽減!導入から運用、保守まですべて一括対応。
- 24時間365日の障害検知・切り分けから復旧対応までサポート!
株式会社 USEN ICT Solutionsが提供する「ビジネスセキュリティ(VSR)」は、機器をレンタルで利用するマネージド型のサービスです。機器に障害が発生した場合は24時間365日体制のオンサイト保守に対応し、24時間の監視とあわせて提供されます。導入前のコンサルティングから初期設定、運用や管理、障害対応までが一括で請け負われるため、対応の窓口が分かれにくい構成です。導入事例には金融インフラや自治体、製造業などの分野が挙げられています。
Total Security Function Service (株式会社東計電算 / Toukei (Thailand) Co., Ltd.)
- 企画から運用まで一貫したワンストップ支援
- 振る舞い検知で未知の脅威にも対応
- 自社データセンターを活用したクラウド提供
McAfeeNetworkSecurityPlatform (Musarubra Japan株式会社)
- 統合検知で高精度、低誤検知を実現。
- 専用ハード設計で10Gbps~100Gbps級通信に対応。
- 複数センサーを集中管理し、VIPSで運用可能。
まとめ
IDS・IPSの信頼性は、停止時の通信の扱い、検知できる範囲、ベンダーへ預ける情報、提供の期限という順で確認していくと整理できます。すべてを事前に見通すことはできませんが、確認できる項目を並べ、停止時の手順や他の対策との組み合わせを決めておくことで不安は和らげられます。気になる製品があれば、資料請求で条件を確かめて比較検討を進めてみてください。


