IPSでDDoS攻撃は防げるのか?
結論からいうと、IPSでDDoS攻撃を防ぐことは可能です。IPSは不正侵入防御システムと呼ばれ、すべてのトラフィックを監視し、洗浄することで正常な通信のみをサーバに送る役割をはたしています。そのため、DDoS攻撃もIPSによって検知され、洗浄されるのです。これにより、サーバに大量のトラフィックが集中することを防げます。
ちなみに、不正侵入検知システムと呼ばれるIDSでは、DDoS攻撃に対する防御はできません。IDSの役割は、あくまでもトラフィックの監視と不正侵入の検知・通知であり、攻撃への防御機能は搭載されていないからです。
そもそもDDos攻撃/Dos攻撃とは
DDos攻撃とは、複数のコンピュータから一斉に大量のリクエストを送信し、サーバに負荷をかける攻撃のことです。Webサービスやサイトを接続不可の状態にしてしまいます。DDos攻撃が複数のコンピュータによる攻撃である一方、Dos攻撃は単一のコンピュータによる攻撃のことを指します。
IPS・IDSで対応できるそのほかの攻撃
では、DDoS攻撃以外にIPS・IDSは、どのような攻撃に対応できるのでしょうか。代表的な2つの攻撃について解説します。
SYNフラッド攻撃
SYNフラッド攻撃とは、DoS攻撃の一種でサーバダウンやサービスの停止などを引き起こす攻撃のことです。通常、サイトのアクセスはPCとWebサーバ間でのSYNパケットや、ACKパケットのやり取りで成立しています。
SYNフラッド攻撃は、SYNパケットを大量に一斉送信しますが、サーバ側からのACKパケットの返信を無視します。サーバとしては返信を待っている間もメモリを使うため、ほかからの接続要求に応えられず、サービス停止やサーバダウンを引き起こしてしまうのです。
ワーム
ワームとは、単体で存在し、自身で増殖できるマルウェアの一種です。ウイルスと違って感染対象をもたず、ネットワークに侵入すると次々と増殖しPCリソースを占拠して処理能力を低下させます。また、PC内のファイルを削除したり、メールやSNSを介して別のPCに侵入したりするなど、さまざまな症状があらわれます。
攻撃の防御までできるIPSは、SYNフラッド攻撃やワームなどのパケットがもつ特徴を検知できるため、これらの攻撃を遮断することが可能なのです。
IPS・IDSについてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。製品の資料請求も可能なので、興味のある方はぜひお申し込みください。
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IPS・IDSで対応できない攻撃
IPS・IDSを導入したからといって、万全というわけではありません。ここでは、IPS・IDSが対処できない攻撃について解説します。
Webアプリケーションへの攻撃
Webアプリケーションとは、Webサーバ上で動作するアプリケーションのことです。近年利用するユーザーが増加しており、脆弱性を狙った攻撃も比例して増加しています。
IPS・IDSは主に、内部ネットワークやDMZ(DeMilitarized Zone)と呼ばれる外部・内部ネットワークから隔離されたネットワーク上に設置され、社内システムやOSなどを外部の攻撃から守っています。そのため、そもそもWebアプリケーション層は対象外であり、検知できないのです。
SQLインジェクション
SQLインジェクションとは、Webサーバに接続したデータベースと連携するWebアプリケーションの脆弱性を突く攻撃のことです。
SQLとは、データベースから情報を要求する際に使われる言語のことです。SQLインジェクション攻撃は、サーバへ悪意あるSQL文を送信することで、データベース内の情報を改ざんしたり削除したりするなどの不正操作を行います。
クロスサイトスクリプティング
クロスサイトスクリプティングとは、入力フォームや掲示板など、ユーザーからの書き込みをWeb上に表示するアプリケーションの脆弱性を突いた攻撃のことです。Webサイトに悪意あるスクリプトを埋め込み、個人情報やCookie情報を取得し悪用します。
これらの攻撃は、IPS・IDSが不向きといわれている難読化(文字コードを圧縮・変換して読みづらくする手法)を用いているため、防御できない攻撃とされているのです。
しかし、だからといって、これらの攻撃を黙って見ているしかないわけではありません。Webアプリケーションに対する攻撃は、「WAF」を利用して防ぐことが可能です。IPSとWAFを用いた多層防御が有効になるでしょう。WAFついて知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
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