ITアウトソーシングで任せられる業務
ひとくちにITアウトソーシングといっても、任せられる範囲は幅広くあります。まずは代表的な業務を整理しておきましょう。
社員からの問い合わせへの対応
パソコンが動かない、印刷ができない、パスワードがわからないといった相談を受け付ける業務です。ヘルプデスクと呼ばれることもあります。件数は多いものの、一件あたりの内容は定型的なものが中心です。
この業務を任せると、社内の担当者が本来の業務に集中できます。受付の時間帯を広げたり、電話とチャットの両方で受けたりと、社内だけでは整えにくい体制も組めます。対応した内容の記録を残してもらえるかも確かめたい点です。同じ相談が繰り返される場合、その原因を社内で見直す手がかりになります。
機器の管理と設定
パソコンの購入、初期設定、社員への配布、故障時の交換といった一連の作業です。入社や退職の時期には作業が集中します。台数が多いほど、管理する手間も増えていきます。
どこまで任せるかは契約によって変わります。設定作業だけを任せる形もあれば、機器の調達から廃棄までを含める形もあります。廃棄の際にデータを消去した証明を出してもらえるかも、確認しておきましょう。
サーバやネットワークの運用
サーバが正常に動いているかの監視、更新作業、障害が起きたときの対応などです。夜間や休日も含めて見張る必要があるため、社内だけで体制を組むのは負担が大きい業務です。
専門的な知識が必要な領域でもあります。安全に関する対策や、機器の更新の判断には経験が求められます。どこまでの対応を含むのか、障害時にどのくらいで着手するのかを、契約の段階で確かめましょう。
ITアウトソーシングを利用するメリット
外部に任せる利点は、人手が増えることだけではありません。対応の質や、費用の見通しにも関わります。3つの角度から整理します。
専門の人材を採用しなくても体制を整えられる
IT分野の人材は採用が難しく、採用できても育成に時間がかかります。外部に任せれば、必要な業務の対応をすぐ始められます。担当者が1人しかいない会社では、その人が休んだときの備えとしても役立ちます。
幅広い分野に対応できる点も利点です。社内の担当者が得意でない領域を補ってもらえます。ただし、任せる会社によって得意な分野は異なるため、自社が必要とする領域に対応できるかを確かめる必要があります。
担当者が本来の業務に集中できる
問い合わせ対応や機器の設定に時間を取られると、社内の仕組みを改善する仕事に手が回りません。定型的な業務を任せることで、担当者は計画づくりや業務の見直しに時間を使えます。
兼任している担当者ほど、効果を感じやすくなります。総務や経理の仕事と兼ねている場合、IT関連の相談が入るたびに作業が中断します。窓口を外部に移せば、この中断そのものを減らせます。社員にとっても、誰に聞けばよいか迷わずに済むようになります。
費用の見通しを立てやすくなる
人を雇う場合、給与や社会保険の負担が固定的にかかります。委託であれば、契約した範囲に応じた費用で済みます。業務の量が変わったときに、契約の内容を見直す形で調整することもできます。
ただし、契約の範囲を超える対応には追加費用がかかります。何が含まれ、何が別料金なのかを確かめないと、想定より高くつくこともあります。年間の総額で比べることが重要です。想定していない作業が続くと、当初の見積もりから離れていきます。
委託する前に確かめたい注意点
任せれば安心というわけではありません。次の点を押さえたうえで検討しましょう。
社内に知識が残りにくくなる
対応をすべて任せると、自社のシステムがどう組まれているかを知る人がいなくなります。委託先を変えたいときや、新しい仕組みを検討するときに、判断できる人が社内にいない状態は困ります。
対応の記録や、システムの構成に関する資料を自社にも残してもらいましょう。定期的な報告の場で、内容を説明してもらう形にする方法もあります。社内で最低限の把握をする担当者を決めておきましょう。
対応の範囲と速さを明確にする
どこまでが契約に含まれるかがあいまいだと、いざというときに対応してもらえません。受付の時間帯、障害が起きたときにどのくらいで着手するか、休日の扱いを具体的に確かめましょう。
対応が遅れる原因は一つとは限りません。委託先の体制だけでなく、自社の連絡の遅れや、機器を提供する会社の対応が関わることもあります。責任の分かれ目を契約書で確かめ、どちらが何を行うかを整理しておきましょう。
情報の取り扱いを確認する
委託先は、自社のシステムや社員の情報に触れることになります。誰がどこまでアクセスできるのか、作業の記録が残るのかを確かめましょう。さらに別の会社に再委託される場合の扱いも確認が必要です。
情報の管理に関する認証を受けているかを尋ねる方法もあります。契約書に守秘に関する条項が含まれているかも確かめましょう。判断に迷う場合は、法務の担当者に確認する流れを決めておくと安心です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でITアウトソーシングサービスの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
委託先を選ぶときの確認項目
提供される内容は会社によって違います。任せたい範囲と、進め方、契約期間と見直し条件など3つの点から確認しましょう。
任せたい業務の範囲を決める
まず、今どんな業務にどれだけ時間がかかっているかを書き出します。そのうえで、どこを任せたいのかを決めましょう。すべてを任せるのか、問い合わせ対応だけを任せるのかで、選ぶ相手も費用も変わります。
自社が使っている機器やサービスに対応できるかも確かめる点です。特定の業務システムを使っている場合、その知識があるかを尋ねてみましょう。対応できない部分は自社に残るため、その量も把握しておきましょう。誰が引き受けるかも決めておく必要があります。
連絡の方法と報告の形を確かめる
誰が窓口になるのか、どの手段で連絡できるのかを確認します。担当者がつくのか、共通の窓口なのかで、やり取りのしやすさが変わります。緊急時の連絡先と、対応できる時間帯もあわせて確かめましょう。
報告の内容も確認したい点です。どんな問い合わせが多かったか、どんな作業を行ったかがわかる形なら、社内の改善にも活かせます。報告の頻度と、見本を見せてもらえるかを契約前に聞いておきましょう。
契約の期間と見直しの条件を確かめる
最低の契約期間が定められているかを確認しましょう。始めてみて合わないと感じたときに、変更や解約ができるかは重要な点です。契約を終える際に、何か月前に伝える必要があるかも確かめておきます。
業務量が変わったときの扱いも聞いておきましょう。社員数が増減した場合に費用がどう変わるか、対応の範囲を後から追加できるかを確認します。将来の変化を見込んだうえで、無理のない契約にすることが重要です。
社内のIT業務を任せられるアウトソーシングサービス
ヘルプデスクや運用管理といった業務範囲にあわせて検討できる、ITアウトソーシングサービスを紹介します。
ライフサイクルマネジメントサービス
- セイノーグループで培ったシステム構築・保守ノウハウを凝縮
- サーバー、PC、スマホ、ハンディなど様々なデバイスを取り扱い
- 全国規模の物流網を駆使した配送サービスをセットで提案
株式会社セイノー情報サービスが提供する「ライフサイクルマネジメントサービス」は、パソコンやIT機器の調達から運用、廃棄までを一貫して支援するサービスです。機器の導入計画の作成や、日々の運用にかかる作業を委託先へ任せられます。IT資産の管理まで含めて依頼できるため、担当者が限られる企業での活用が想定されます。
IT顧問 情シス君
- 広範囲で情シス業務をカバーでき、何でも引き継ぎ可能
- 引き継ぎ資料・手順書・マニュアルの作成を行い、内製化も支援
- 3レイヤー体制による適材適所で脱属人化を無駄なくサポート
株式会社デジタルハックが提供する「IT顧問 情シス君」は、社内の情報システム業務を外部の担当者に相談しながら進められるサービスです。専任の情報システム担当を置きにくい企業に向けて、日常的な相談や運用の支援を行います。委託できる範囲は企業の状況にあわせて調整でき、必要な業務から依頼を始められます。
情シスSourcing(ソーシング)
- 必要時に必要な分だけ利用可能 | 運用コストを適正化
- 貴社情シスポジションで課題解決 | 単純アウトソース以上の効果
- 将来体制も考慮し成長まで支援 | 中長期視点でのサポート
ハイブリィド株式会社が提供する「情シスSourcing(ソーシング)」は、情報システム部門の業務を外部へ委託できるサービスです。ヘルプデスクの対応や機器の管理といった日常業務を任せられる構成になっています。社内に専任の担当者がいない状況でも、必要な範囲を選んで依頼できる点が特徴です。
マネージドITサービス (株式会社リコー)
- FAQ自動作成機能で運用負荷を軽減
- 有人チャットへのスムーズな切り替え機能
- AIによる高度な質問理解と回答
SCSK (SCSK株式会社)
- 顧客接点業務の品質向上と効率化をITと運用で実現。
- 自社の経験を活かし、顧客の働き方改革を実現。
- 長年のIT経験と豊富なソリューションでIT部門の変革を支援。
ITアウトソーシングに関するよくある質問
委託を考えるときによく寄せられる疑問をまとめました。社内で話し合う際の参考にしてください。
- Q1: 社員数が少なくても委託できますか?
- 少人数の会社向けの契約を用意している会社もあります。まずは問い合わせ対応など、一部の業務から始める方法もあります。自社の規模と業務量を伝えたうえで、対応できるかを確認しましょう。
- Q2: 社内の担当者は不要になりますか?
- 委託先とのやり取りや、社内の方針を決める役割は残ります。すべてを任せきりにすると、判断できる人がいない状態になります。窓口となる担当者は社内に置く形が現実的です。
- Q3: 費用はどのくらいかかりますか?
- 任せる範囲、社員数、機器の台数によって幅があります。相場だけで判断せず、自社の条件を伝えて複数社から見積もりを取りましょう。含まれる範囲が違うと、金額だけでは比べられません。
- Q4: 委託を始めるまでにどのくらいかかりますか?
- 引き継ぐ業務の量と、今の状況を整理する作業で変わります。数か月を見込む例があります。今使っている機器やシステムの一覧をまとめる時間も、予定に入れておきましょう。
まとめ
ITアウトソーシングには、専門の人材を採用しなくても体制を整えられること、担当者が本来の業務に集中できること、費用の見通しを立てやすくなることというメリットがあります。一方で、社内に知識が残りにくい点や、対応範囲の明確化、情報の取り扱いという課題も伴います。まずは今の業務量を書き出し、任せる範囲を決めましょう。資料請求を活用して比べてみてください。

