レポーティングツールのメリット ~ 3つの活用ケース ~
レポーティングツールは定義された概念が確立されているわけではありません。各ツールの出自も多彩です。それらツールの理解を助けるために、モデルケースを使って活用事例とメリットをご紹介します。
メリット1.環境報告書の作成期間を短縮
A社広報部では自社の環境活動報告を社外に公表するために、さまざまな数値を収集し、それらをグラフ化しています。その効果的なグラフ作成と効率化のために採用したのがレポーティングツールです。
従来使っていたエクセルの限界を超えるビジュアル化の機能で、インパクトある表現が可能になりました。また、ビジュアル化を一部外部に依頼していたコスト削減と期間短縮が可能になりました。現在では新商品情報、社内報、会社案内などに積極的に活用しています。
メリット2.ERPのカスタマイズを軽減
B社ではERP導入に当たって、カスタマイズの代わりに、レポーティングツールの採用を選択しました。日本企業が海外製のERPを採用する際、カスタマイズの要求が集中するのが帳票部分です。
これは日本企業の文化かもしれません。その要求に従っていてはカスタマイズ費用が跳ね上がりますし、バージョンアップにも影響が出ます。そこで、帳票出力部分にレポーティングツールを採用し、日本企業好みのビジュアルな帳票作成を実現しました。
メリット3.会議資料作成の手作業を自動化
C社はエクセルを使って月1回の役員会議の資料づくりをしていました。各種データベースからのデータ抽出、テーブル加工、グラフ化に手間取り、さらには上司への承認フローが複雑で大きな負担となっていました。
これらエクセルの操作とワークフロー自動化のために導入したのがレポーティングツールです。使い慣れたエクセルのアドインの形で導入でき、担当者はレポート作成の負担から解放され、本来の重要な業務に時間を割けるようになりました。
そもそも「レポーティングツール」とは?
レポーティングツールのメリットを解説しましたが、そもそもレポーティングツールとは、どのようなツールなのでしょうか。ここからは、レポーティングツールの概要と必要性を解説します。
ビジネスデータを可視化するツール
データ可視化(ビジュアライゼーション)とは、膨大な数値や言葉などデータの傾向や関係性を、直観的に見て理解できるような画像・グラフ・図・表などに変換することです。レポーティングツールは、ビジネスデータを可視化するツールで、データを抽出し、クロス集計表やグラフなど、ニーズに応じたさまざまな帳票やレポートを作成します。
傾向や関係をわかりやすく訴えることはもちろん、鮮やかな色彩、美しい配置、インパクトある構成が求められます。レポーティングツールは、経営層においては間違いのない判断、現場においては迅速なビジネス展開などを支援する各種資料の作成、さらにはそれら資料や報告書の作成から公表までのワークフローの支援までをカバーします。
レポーティングツールが必要になった背景
かつて、ビジネスの原資となる金やモノは、社員の目の前で動き、物理的に把握することができました。例えば、トラックの荷台に商品を積んで納品し、代金を現金で集金していました。しかし、今では商品は物流業者が運び、伝票だけが届きます。その伝票も電子化されています。お金も振り込みになり、データだけが転送されてきます。
実物の金もモノも見えなくなり、データだけになってしまったのです。数字だけのデータから自社のビジネス像全体を把握しなければなりません。このために必要になったのが「可視化」です。
今や業務システムや接続されている端末から大量のデータが生み出されています。SNSなどインターネットからも膨大な量のデータを収集できます。ビッグデータの時代となり、人間が把握できる量の限界をはるかに超えてしまいました。ここにもレポーティングツールの必要性があります。抽出や集計の自動化と視覚化が求められているのです。
レポーティングツールについてより詳しく知りたい方には下記の記事がおすすめです。
帳票ツールやBIツールとの違い
レポーティングツールと同様のレポート作成機能を持つ帳票ツールとBI(ビジネスインテリジェンス)ツールとの違いを確認しておきましょう。実は、厳密な線引きはありません。得意とする領域が異なり、システムの規模などが違います。
【帳票ツール】
業務システムや基幹系システム(ERP)の帳票作成機能を補完するツール。帳票の中には「月間販売レポート」などの報告書も含まれ、製品によってはグラフ作成機能などもあります。得意領域は、請求書や納品書などの帳票フォームの設計機能、既存帳票の取込み、帳票印刷、PDF出力など、帳票に特化した機能です。
【BIツール】
データ分析を得意領域とするツール。エクセルなどに収まらない大量の時系列データを扱えるETL機能やDWH機能を持ち(あるいは、それらの専用製品と連携して)、原因を探したり、商品や顧客を分類する分析機能が充実しています。
ダッシュボードといわれるレポーティングに近い機能もありますが、固定された定型レポートと異なり、表示されたグラフから気になるポイントをドリルダウン(深堀り)やスライス(切出し)という機能で、グラフを動的に変化させることができます。
相対的にシステムの規模が大きく、分析のために販売管理や顧客管理のデータを統合するなど、一部専門的なスキルが必要な場合があります。レポーティングツールに比べ、利用者のスキルを必要とする特徴があります。
レポーティングツールのメリットをおさえて導入を検討しよう!
レポーティングツールを必要とする背景とメリットについて、ご理解いただけたでしょうか。現在、日次、週次、月次と多くの定型レポートを数多く作成しているようであれば、生産性の大きな改善を期待できるレポーティングツールの導入を検討する価値があります。