SaaS管理システムとは
SaaS管理システムとは、企業が利用する複数のSaaSサービスを一元管理するためのシステムです。具体的には、各種SaaSサービスのアカウントやアクセス権限管理、利用状況やパフォーマンスの監視、コスト管理などをまとめて実施できます。
クラウド上のソフトウェアをインターネット経由で利用できるSaaSは、導入が簡単かつ低コストなため、近年多くの企業が導入しています。企業によっては数十以上のSaaSサービスを利用しているケースもあり、管理の煩雑さが課題です。そこで複数のSaaSサービスを効率的に管理できるSaaS管理システムが注目されています。
なお、以下の記事ではSaaS管理システムの機能やメリットなどを詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
SaaSの市場規模から見るSaaS管理システムの需要
ここからは、SaaSの市場動向データをもとに、SaaS管理システムの需要を分析します。SaaSの市場規模は近年急速に変化しており、総務省が発表している「令和5年版情報通信白書」には次のように記載されています。
世界のICT市場(支出額)は、スマートフォンやクラウドサービスの普及などにより、2016年以降増加傾向で推移している。2022年は578.9兆円(前年比19.8%増)と大きく増加し、2023年は614.7兆円まで拡大すると予測されている。日本のICT市場(エンタプライズIT支出額)は、2022年には27.2兆円(前年比5.2%増)と大きく増加すると見込まれている。産業別では、銀行/投資サービス(同7.9%増)や政府官公庁/地方自治体(同7.7%増)が大きく増加した
参考:令和5年版情報通信白書|総務省
これらのデータは、国内外においてICT市場が拡大しており、それに伴いSaaSの利用も増加していることを示しています。
日本国内の市場規模
日本国内におけるクラウドサービスの市場規模は、総務省が発表している「令和4年通信利用動向調査」において、以下のように解説されています。
クラウドコンピューティングサービスを利用している企業の割合は引き続き7割を超えている。「非常に効果があった」または「ある程度効果があった」とする企業は、利用企業全体の89.0%に上った
クラウドサービスを利用する理由は、「場所、機器を選ばずに利用できるから」(51.1%)が最も高く、次いで「資産、保守体制を社内に持つ必要がないから」(42.5%)となっている
参考:令和4年通信利用動向調査|総務省
SaaSサービスを一部でも利用している国内企業が、7割以上を占め、SaaSサービスの有用性が示されています。特にファイル保管・データ共有サービスや社内ポータルサービス、電子メールサービスの利用が多く、業務効率化を目的とした導入が進んでいます。
また、SaaSサービスは社内外問わずどこからでも利用できるため、厚生労働省が推進する「柔軟な働き方」を実現するために導入する企業も多いでしょう。そして、SaaSサービスの普及に伴い、複数のSaaSサービスを一元管理できるSaaS管理システムの導入も増加傾向にあります。
海外の市場規模
次に、海外における市場規模の動向を紹介します。株式会社グローバルインフォメーションが2023年4月に公開しているSaaSサービスの市場調査レポートでは、次のように報告されています。
世界のサービスとしてのソフトウェア市場規模は、2023年から2030年にかけて13.7%のCAGRで成長し、2030年には8,192億3,000万米ドルに達すると予測されています。
同市場の主な成長要因としては、企業におけるアウトソーシングビジネスモデルの採用が拡大していること、また、世界的に中小企業や新興企業の数が増加していることが挙げられます。
参考:市場調査レポート|株式会社グローバルインフォメーション
国内の市場と同じく、SaaSサービスはその拡張性や利便性、費用対効果が高いことから、需要が高まり続けている状況です。特に、人事管理や会計などの事務作業の効率化を目指す動きが顕著です。
それだけでなく、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAI(人工知能)などの新技術の進展で、より効率的で生産性の高いSaaSサービスの提供が期待されています。
これらの動向は、SaaS市場のさらなる拡大とともに、SaaS管理システムの有用性と必要性が増していることを示す要因となるでしょう。
【ITトレンド独自調査】導入を検討している企業規模の割合
ITトレンドでSaaS管理システムの資料請求をしたユーザーの傾向を調査しました。
従業員規模別に見ると、最も資料請求が多かったのは10名未満の企業で、全体の40%を占めています。これに続くのは1,000名以上5,000名未満の企業で、35.2%です。
人員や予算、時間などのリソースが限られてる小規模企業では、業務効率が非常に重要です。そのため多くの企業において、SaaSサービス管理の自動化や効率化が図れるSaaS管理システムの利用が検討されています。一方、従業員数が多い大企業では、アカウントの作成や削除、利用人数の把握などに大きな手間がかかるためSaaS管理ツールを必要としています。
以上のことから、企業規模にかかわらずSaaS管理システムの需要が高まっているといえるでしょう。
SaaS管理システムのメリット
SaaS管理システムを導入すると、主に以下のようなメリットが得られます。
- ●業務負担の軽減
- ●費用の見直し
- ●セキュリティの強化
SaaS管理システムの最大のメリットは、各SaaSサービスのデータやセキュリティ、コストなどの一元管理によって、管理業務の負担軽減やSaaS運用における効率化が見込めることです。また、SaaSサービスのコストや使用率などを一目で把握できるレポート機能を活用して、利用サービスの見直しを行えばコストの最適化が図れるでしょう。
さらに、セキュリティポリシーの統合やアクセス権限管理の効率化など、セキュリティ対策においても効果的です。
以下の記事では、おすすめのSaaS管理システムを紹介しています。メリットや選び方についても詳しく解説しているため、あわせて参考にしてください。
SaaS管理システムの需要はこれからも拡大していく
SaaS市場の成長に伴い、SaaS管理システムを導入する企業は今後も増え続けると予想されます。SaaS管理システムを導入すれば、SaaSの利便性や費用対効果はさらに高まるでしょう。ただし、製品によって機能や特徴が異なるため、それぞれ比較したうえでの検討・導入をおすすめします。
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