SaaS管理ツールとは
SaaS管理ツールとは、社内で利用しているSaaSサービスの利用人数や利用状況、利用コストなどを一元管理するツールです。SaaS管理システムやSaaS管理サービスとも呼ばれます。複数のSaaSサービスの契約情報を一括で管理し、アカウントの発行や棚卸など手間のかかる作業をまとめて実施できます。
なおSaaS(サースまたはサーズ)とは、クラウドサーバ上にあるソフトウェアをインターネット経由で利用するサービスのことです。コロナ禍におけるテレワークの普及によって、SaaSサービスやシステムを導入する企業が急増しました。企業によっては、数十以上のSaaSサービスを利用しているケースもあるでしょう。
利用SaaSが複数ある場合、SaaSごとのアカウント作成や削除、利用人数やコストの正確な把握には膨大な労力が必要です。アカウント管理業務を担当する情報システム部門にとって大きな負担となるため、業務効率化を促進するためにSaaS管理ツールが導入されています。
SaaS管理ツールの機能
SaaS管理ツールにはどのような機能が搭載されているのでしょうか。ここでは、主な機能を3つ紹介します。
- ■アカウントの一元管理機能
- 社員や組織ごとのSaaSアカウントの発行や棚卸、ライセンス数の確認ができます。各SaaSやプランごとに契約更新日も把握可能です。
- ■利用状況の分析機能
- 利用SaaSのプラン・利用金額・支払い先を登録し、会社や組織、社員ごとのSaaS利用コストを可視化します。また、各SaaSの使用率も把握できます。
- ■セキュリティ対策機能
- 二要素認証やIPアドレス制限、管理者権限、セキュリティルール設定などの機能があります。自社のセキュリティ要件にあわせて設定可能です。
SaaS管理ツールのメリット
前述した機能を用いることで、実際にどのようなメリットを得られるのでしょうか。主な導入メリットは以下の3つです。
業務負担の軽減
複数のSaaSサービスのアカウント情報を可視化し、一元管理できることがSaaS管理ツール導入の大きなメリットです。例えば社員の入退社や異動時には、利用SaaSごとにアカウントの発行・削除を行う必要があります。利用しているSaaS数が多ければ多いほどアカウント管理は煩雑化し、不要なアカウントの消し忘れや設定ミスなどのリスクが高まるでしょう。
SaaS管理ツールの導入によって、ユーザーや組織ごとのアカウント情報を把握しやすくなり、効率的なSaaS運用を実現できます。
コストの見直しや無駄の削減
利用SaaSにかかるコストや使用率などが一目でわかるレポート機能によって、使われていない不要アカウントを洗い出せます。利用頻度の低いサービスの契約解除やプランの見直しなどの対策を講じ、自社に適したライセンス数を保つことでコストの最適化が図れます。
また、部署ごとに異なるSaaSサービスを導入している企業もあるでしょう。SaaS管理ツールを導入し、部署を横断して厳選したSaaSのみ導入・管理することで、会社や組織全体の大幅なコスト削減が可能です。
セキュアな環境の構築
各部署や個人がSaaSを独自に利用している場合、多くのセキュリティリスクが生じます。ツールを導入し社内のSaaSを一元管理することで、アカウント放置による退職者の不正アクセスや、個人で契約しているSaaSを業務で利用するシャドーITなどの問題を解決できます。
さらに、二要素認証やIPアドレス制限などのセキュリティ機能により、各企業のセキュリティ要件にあった適切なシステム運用が叶うでしょう。組織全体のセキュリティレベルが向上し、情報漏えいのリスクも低減します。
SaaS管理ツールのデメリット
導入メリットの多いSaaS管理ツールですが、あえてデメリットを挙げるとすれば以下の2つが考えられます。
導入コストの発生
ツールの利用にはコストがかかります。利用SaaSの種類やアカウントの数が少なければ、管理担当者の作業工数はかからないため、ツールを導入する効果は低いでしょう。
一方で、複数のSaaSを管理・運用する場合には、アカウントの発行や削除、棚卸などの作業が煩雑化します。ツールを導入することで、高い費用対効果と業務効率の向上が見込めます。
初期登録が必要
SaaS管理ツール導入時には、利用しているすべてのSaaSアカウントの情報登録が必要です。アカウント数が多いほど登録には手間がかかります。ただし、SaaSアカウントの契約情報を自動収集できるツールもあるため、初期登録に懸念がある場合は自動収集機能をもつ製品を検討するとよいでしょう。
SaaS管理ツールの機能やメリットについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
SaaS管理ツールのタイプ
SaaS管理ツールには、多機能タイプやアカウントの一元管理に役立つタイプ、利用状況の把握に強みをもつタイプなどがあります。以下で詳しく解説します。
多彩な機能を備えたSaaS管理ツール
多彩な機能を備えたSaaS管理ツールは、SaaSアカウントの管理から利用状況の可視化、セキュリティまで幅広く対応できるのが特徴です。アカウントの発行・削除や分散された従業員データの一元管理、シャドーアカウントの検出やファイルの共有状況を可視化するなど、さまざまな機能を搭載しています。さらに、権限管理や監査ログなどのセキュリティ面における対策も充実しています。
アカウントの一元管理に役立つSaaS管理ツール
アカウントの発行や棚卸、ライセンス数の確認など、サービスごとに設定されているアカウント情報をまとめ、管理を効率化するタイプのSaaS管理ツールもあります。製品によっては、社内をはじめ外部関係者のSaaSアカウント管理にも対応可能です。年度初めに新入社員のアカウントを大量に発行する場合や、組織改編時にアカウントを見直す場合などに活用しやすいでしょう。
利用状況の把握に強みをもつSaaS管理ツール
SaaS管理ツールには、誰がいつ、どのSaaSにアクセスしたかなど利用状況の可視化に強みをもつツールもあります。SaaSツールの利用頻度を割り出し、社内管理できていないシャドーITを検出することで、コストの最適化を図ったりセキュリティ対策を強化したりできます。
SaaS管理ツールの選び方
SasS管理ツールを選ぶ際のポイントは以下の4つです。それぞれ詳しく解説します。
- ・連携できるSaaSは何か
- ・管理画面は見やすいか
- ・コスト管理機能を有しているか
- ・セキュリティ対策は十分か
連携できるSaaSは何か
SaaS管理ツールといっても、すべてのSaaSを管理できるわけではありません。管理可能なSaaSは製品によってさまざまです。自社で利用しているSaaSサービスが管理対象に含まれているか、事前に確認しましょう。
また、多くのSaaS管理ツールは管理対象のSaaSを拡充しています。今後追加される管理対象も考慮して選ぶとよいでしょう。
管理画面は見やすいか
ツールの操作性も重要なポイントです。特に管理画面の使いやすさを確認しましょう。SaaS管理ツールは、システム管理者だけでなく一般の従業員も利用する頻度が高いため、誰にとっても使いやすい製品を選ぶ必要があります。
どの程度の操作性を求めるかは、自社の社員のITリテラシーによっても変わってくるでしょう。無料トライアルが提供されている製品も多いので、実際に操作してから判断することをおすすめします。
コスト管理機能を有しているか
SaaS運用コストの削減を目的に、SaaS管理ツールの導入を考えている企業も多いでしょう。例えば、部署や個人別にSaaSの利用コストを把握できれば、各SaaSの費用対効果を算出しやすくなります。また、前回比や前々回比などのコスト推移を簡単に閲覧できれば、契約プランの見直しやほかのサービスへの乗り換えを検討しやすく、契約が自動更新される前に対処可能です。
なお、ツールごとに搭載されているコスト管理機能は異なります。どのくらいの業務効率化やコスト削減を実現できるか、導入前にじっくり検討しましょう。
セキュリティ対策は十分か
SaaS管理ツールでは、ユーザーアカウントなどの重要な情報を数多く扱います。複数のSaaSにおける情報が集約されているため、万が一社外に流出すれば甚大な被害につながりかねません。
情報漏えいを防ぐために、多くのSaaS管理ツールにはIP制限やアカウントロックといったセキュリティ機能が搭載されています。自社に必要なセキュリティ機能を網羅し、セキュリティ要件に沿った運用ができるツールを導入しましょう。
効率よく比較検討を進めたい方には、一括資料請求の利用がおすすめです。各製品の機能や特徴をじっくり比べられるほか、費用感もつかみやすくなるでしょう。
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【比較表】おすすめSaaS管理ツール
ITトレンドの資料請求数が多かったSaaS管理ツールを一覧にまとめました。各製品の価格や機能、無料トライアルの有無を参考にして、製品を比較してみましょう。
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製品名 |
対象規模 |
機能 |
価格 |
無料トライアル |
レビュー評価 |
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マネーフォワードAdmina |
50名以上 |
ダッシュボード/シャドーIT防止/アカウント情報の自動取得 |
初期費用無料 月額無料/50ID~、300円/51ID〜300ID |
◯(14日間) |
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dxeco(デクセコ) |
すべての規模に対応 |
ダッシュボード/契約更新管理/シャドーIT防止/アカウント情報の自動取得 |
初期費用無料、月額10,000円~/20名 |
◯(1か月) |
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ジョーシス |
すべての規模に対応 |
契約更新管理/シャドーIT防止/アカウント情報の自動取得/シングルサインオン |
ー |
◯(14日間) |
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zooba |
すべての規模に対応 |
契約更新管理/シャドーIT防止/アカウント情報の自動取得 |
月額50,000円〜 |
◯ |
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※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
ここまでに紹介したおすすめのSaaS管理ツールは、以下のボタンから一括資料請求ができます。各製品をじっくり比較検討するためにご活用ください。
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多彩な機能を備えたSaaS管理ツール
ここからは、アカウント管理や利用状況の把握など多彩な機能を搭載したツールを紹介します。気になる製品は資料請求をしてじっくり比較し、自社に最適なツールを検討しましょう。
《ジョーシス》のPOINT
- デバイスやSaaS利用状況が可視化され、管理工数削減が可能
- 情シスの把握していないシャドーIT・SaaSアカウントも自動検知
- 自動反映されるITデバイス台帳により更新漏れ防止。作業効率化
ジョーシス株式会社が提供する「ジョーシス」は、SaaSアカウント発行からIDの検知、オンライン棚卸、従業員情報管理まで幅広い機能を備えたシステムです。セキュリティも充実し、管理者権限のカスタマイズに対応しています。また、調達・キッティング・廃棄といったITデバイス関連のアウトソーシングもあわせて提供されています。
価格 |
ー ※ユーザー数に対応した料金体系 |
無料トライアル |
◯(14日間) |
対象規模 |
すべての規模に対応 |
機能 |
契約更新管理/シャドーIT防止/アカウント情報の自動取得/シングルサインオン |
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
いい点 情報処理、SI、ソフトウェア 100名以上 250名未満
改善してほしい点 情報処理、SI、ソフトウェア 50名以上 100名未満
アカウントの一元管理に役立つSaaS管理ツール
サービスごとに設定されているアカウント情報の一元管理に強みをもつSaaS管理ツールを紹介します。アカウントの発行や削除、棚卸を効率化したい場合におすすめです。
《zooba》のPOINT
- 棚卸しに強い!SlackやTeamsでアンケート回答・集計を実行
- 人事データ、デバイス、SaaS、オンプレアプリの一元管理台帳
- SlackやTeamsでのAIヘルプデスクサポートを実現!!
株式会社zoobaが提供する「zooba」は、社内をはじめ外部協力者のSaaSアカウントも自動で収集し一元管理するクラウドサービスです。人事システムとの連携機能や特許出願済みの独自アラート機能などによって、SaaS運用をトータルサポートします。さらに、運用コンサルティングサービスも提供しており、幅広い業務課題に対応可能です。
価格 |
月額50,000円〜 |
無料トライアル |
◯ |
対象規模 |
すべての規模に対応 |
機能 |
契約更新管理/シャドーIT防止/アカウント情報の自動取得 |
YESOD
株式会社イエソドが提供する「YESOD」は、利用中のSaaSから自動的にアカウント情報や権限情報を取得し、棚卸を効率化します。ブラウザからログインするだけですぐに連携可能で、APIの準備や設定は必要ありません。Google Workspace上のメールアドレスにもとづいて名寄せし、情報を一元管理できます。
Zylo
Zylo社が提供する「Zylo」は、Microsoft 365やSalesforceといったSaaS利用状況や支出を一元管理するツールです。特許出願中のDiscovery Engineにより、組織内のSaaSをすべてリアルタイムに可視化します。管理データを提供するだけでなく、実用的なインサイトを提示することで、最適なSaaS利用を支援します。
利用状況の把握に強みをもつSaaS管理ツール
各社員のSaaS利用状況を可視化したり、シャドーITを検出したりするなどして、コストの最適化やセキュリティ性を高めたい場合におすすめのSaaS管理ツールを紹介します。
《マネーフォワードAdmina》のPOINT
- ISMSに必要な情報資産(SaaSとデバイス)をAdminaに統合
- 利用していないアカウントを自動検知。不要なコストを大幅削減に
- アカウント作成と削除を効率化。工数削減と不正アクセスの防止に
マネーフォワードi株式会社が提供する「マネーフォワードAdmina」は、アカウントの一元化とコスト削減に役立つSaaS管理サービスです。金融機関との連携実績をもつマネーフォワードグループだからこその高度なセキュリティが特徴です。シャドーIT・シャドーIDを検知し、潜在的なリスクを排除するほか、220種類以上のSaaSと最短1クリックで連携可能です。
価格 |
初期費用無料 月額無料/50ID、300円/51ID〜300ID |
無料トライアル |
◯(14日間) |
対象規模 |
50名以上 |
機能 |
ダッシュボード/シャドーIT防止/アカウント情報の自動取得 |
いい点 人材サービス 1,000名以上 5,000名未満
改善してほしい点 情報処理、SI、ソフトウェア 10名以上 50名未満
《dxeco(デクセコ)》のPOINT
- 契約SaaSとその契約情報を一元管理。会計システムとも連携可能
- 誰が、いつ、どのSaaSにアクセスしたかを把握
- 社内管理できていない「シャドーIT」の一覧も表示可能
株式会社オロが提供する「dxeco(デクセコ)」は、契約しているSaaSの金額・契約数・アカウント情報・契約担当者などを一元管理するシステムです。アンケート機能を搭載し、社員からID情報を取得できます。会計システムとの連携により、仕入や発注の情報にもとづいてSaaSを検出可能です。ブラウザの拡張機能を活用すれば、いつ誰がSaaSを利用したかもわかります。
価格 |
初期費用無料 スタータープラン:月額10,000円〜/20名、スタンダードプラン:月額50,000円~/100名 |
無料トライアル |
◯(1か月) |
対象規模 |
すべての規模に対応 |
機能 |
ダッシュボード/契約更新管理/シャドーIT防止/アカウント情報の自動取得 |
SaaS管理ツールを導入し業務効率とコストを最適化しよう
自社にあったSaaS管理ツールを導入できれば、コストの削減やアカウント管理業務の効率化が実現します。コスト管理やセキュリティ対策などの機能のほか、連携性や操作性に着目しツールを選定しましょう。
なお、ツールごとに特徴や強みは異なるため、資料をもとに製品をよく比較検討することがおすすめです。以下のボタンよりSaaS管理ツールの一括資料請求が可能です。ぜひ活用して、自社に最適なSaaS管理ツールを見つけてください。