SCMシステムとは
SCMシステムとは、原材料の調達から消費者に販売するまでのサプライチェーン全体を一元管理し、最適化するためのシステムです。
SCMシステムを導入すると、リアルタイムでサプライチェーンの情報を共有できます。例えば、小売店のPOSシステムから販売情報が迅速に在庫管理や物流管理、生産管理に反映されます。リアルタイムでの情報共有によって、正確な需要予測が可能となり、調達や生産のタイミングが最適化します。
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▼【比較表】おすすめのSCMシステム一覧
SCMシステムの必要性
従来システムの多くは、需要予測や部品調達、生産、販売といった一連のプロセスを個別に管理していました。そのため、プロセス間の無駄や部門間の連携不足が生じ、問題が発生した際の原因究明や対応に時間がかかることが多々ありました。
SCMシステムは、サプライチェーン全体を最適化し、あらゆる情報を一元管理することで、無駄を排除します。また、組織全体の連携が強化され、トラブルに強い体制を構築できます。グローバル化したサプライチェーンネットワークにおいても、顧客ニーズや市場環境の変化に迅速かつ的確に対応できるため、商品を製造・販売する多くの業界・企業でSCMの導入が進んでいます。
SCMとERPとの違い
SCMとERPは、それぞれ異なる管理対象と目的をもつシステムです。SCMはサプライチェーン全体の管理に特化しており、主に調達・生産・物流・販売といったプロセスを対象とします。SCMは外部のサプライヤーや物流パートナーとの連携強化や、リアルタイムでの情報共有を目的としています。
一方、ERPは企業全体の基幹業務を統合的に管理し、人事・調達・製造・財務・会計など多岐にわたる業務をカバーするシステムです。企業内の各部門のデータを一元化し、経営全体の透明性と効率化を目的としています。つまり、SCMは業務全体を管理するERPの重要な役割の一つであるといえます。
SCMシステムのタイプ分類
この記事では、おすすめのSCMシステムを以下の2つに分類して紹介します。自社にあう製品を選ぶ参考にしてください。
幅広い業界に対応できるSCMシステム
さまざまな業界で幅広く活用できるSCMシステムです。基本機能を包括的に提供しており、広範な業務プロセスをカバーします。また、国内外での導入実績をもつ製品もあります。日本特有の業務要件への対応をはじめ、多言語・多通貨や海外取引時のインボイス発行などの機能も搭載しており、大規模企業やグローバル展開している企業にもおすすめです。
▼幅広い業界に対応できるSCMシステムを比較
特定の業界や業務に特化したSCMシステム
特定の業界や業務に特化した専門性の高いSCMシステムです。例えば、組立加工やプロセス製造、医薬品など製造業向けのシステムや、販促物に特化したシステムなどが提供されています。自社業務により適したシステムを導入できれば、サプライチェーンの最適化を促進しやすいでしょう。
▼特定の業界や業務に特化したSCMシステムを比較
SCMシステムの機能
SCMには「予測・計画」「実行」「評価・モニタリング」といった役割が存在します。ここでは、SCMシステムの機能をそれぞれの役割ごとに紹介します。
予測・計画
将来の需要に対応するための調達計画や生産計画を立案し、効率的なサプライチェーン管理を支援します。具体的な機能は以下のとおりです。
- ■需要予測
- 将来の需要を予測し、予測にもとづいて資源の配分や製品の生産計画を立案する。
- ■調達計画
- 必要な資材や部品を調達するための計画を立てる。
- ■製造計画
- 生産設備や労働力の計画を立て、生産プロセスを管理する。
- ■リードタイム管理
- 製品が完成するまでの時間や物流にかかる時間を管理し、納期を守るための計画を策定する。
実行
予測や計画にもとづいて実際のサプライチェーン活動を管理・実行します。具体的な機能は以下のとおりです。
- ■受注管理
- 顧客からの注文を受けて、処理・追跡するなど受注業務を管理する。
- ■生産管理
- 製造ラインをスケジュールどおりに稼働させ、生産を進行する。
- ■物流管理
- 商品の輸送経路を最適化し、効率的な物流を実現する。
- ■在庫管理
- 在庫の受発注や移動、保管を管理し、在庫の動向を分析する。
- ■顧客管理
- 顧客の情報や注文履歴などをデータベース化し、必要に応じてアクセスできるようにする。
評価・モニタリング
サプライチェーンのパフォーマンスを定量的に評価し、定期的なモニタリングを行います。具体的な機能は以下のとおりです。
- ■パフォーマンス分析
- 運営効率やコスト効率の分析を行い、業績の改善点を把握する。
- ■KPI設定
- サプライチェーンのパフォーマンスを測定し、目標達成度を定量化する。
SCMシステム導入のメリット
SCMシステムの導入によって得られるメリットは以下のとおりです。
- ■情報の一元管理による人的リソースを最適化できる
- サプライチェーンの情報は原則として、SCMのシステム上で自動的に収集・蓄積される。情報の整理や分類といった業務が軽減し、自社の人的リソースを需給変動の確認や、サプライチェーンの改善検討といった重要業務に専念させることが可能。
- ■在庫の最適化を実現できる
- SCMシステムで情報共有することにより、販売数量をリアルタイムで把握可能。販売数量の変動にあわせて、システム上で自動的に在庫数量を調整することで、常に最適な在庫数を維持できる。
- ■急激な需要変動への対応が可能になる
- SCMシステムには、蓄積した情報を分析する機能を備えている製品もある。分析機能の活用により、専門的な知識をもたずとも現在のサプライチェーンの概況や改善すべき点の把握が可能。また、分析した情報を活かして将来的な需要の変動を予測することで、急激な需要変動にも対応できる。これにより、販売機会のロスを避けられる。
以下の記事ではSCM導入のメリットとデメリットについて詳しく解説しています。成功事例なども紹介しているのであわせて参考にしてください。
SCMシステムの比較ポイント
SCMシステムは、製品ごとにさまざまな機能や特徴があります。自社に最適な製品を選定するために留意すべきポイントを紹介します。
管理範囲や得意分野が自社の課題とマッチしているか
SCMシステムは製品によって、業務範囲や得意分野が異なります。企業全体のサプライチェーンを改善したいのか、あるいは在庫の最適化やリードタイムの短縮など特定の一部分を見直したいのか、によって選ぶべきシステムは変わります。また、業界や企業規模によっても適切なSCMシステムが異なるため、過去の実績や類似業界での成功事例を参考にするのも有効です。
既存システムと連携できるか
ERPシステムやCRMシステム、生産管理システムなど、すでに導入しているシステムとのスムーズなデータ連携が可能かどうか確認しましょう。また、既存システムとのインターフェースやデータ形式の互換性も考慮する必要があります。適切なAPIやデータインポート・エクスポート機能が提供されているかどうかを確認することで、導入後のシステム運用やデータの一元管理が円滑に行えます。
サポート体制が充実しているか
導入するSCMベンダーが提供するサポート体制についてもチェックしておきましょう。具体的には、24時間対応のサポート窓口があるか、トラブルシューティングの専門家がいるかどうか、問題解決までの平均対応時間やサービスレベル契約がどのように設定されているかを確認します。
さらに、サポートの品質やフィードバックの速さも重要です。顧客満足度や評判をチェックすることで、トラブル時に期待どおりのサポートが受けられるかどうかを判断できます。サポート体制に優れたSCMベンダーは、安定したシステム運用と問題解決の迅速さを両立します。
なお、最新の人気製品から導入を検討したいという方は、以下のランキングも参考にしてください。
【比較表】おすすめのSCMシステム一覧
今回紹介するおすすめのSCMシステムについて、提供形態やレビュー評価などを一覧表にまとめました。各製品の詳細情報は後ほど紹介しているので、気になる製品をチェックしてみてください。
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
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幅広い業界に対応できるSCMシステムを比較
ここからは、タイプ別に各システムの特徴を詳しく紹介します。まずは、幅広い業界に対応できるSCMシステムをまとめました。
《PlanNEL》のPOINT
- 400社超のグローバル企業に採用されたSCMソリューション
- 需要予測精度を80%に
- 計画リードタイムを80%短縮
ザイオネックス株式会社が提供する「PlanNEL」は、低コストな導入を実現したSCMシステムです。需要予測・販売計画・補充計画といった機能にわかれており、小規模から始められます。また、AIや統計を活用した高精度な需要予測により、過剰在庫や品切れの防止が可能です。
OpenText Active Orders for JEITA(ECALGA)
製品・サービスのPOINT
- 基幹系システムとデータ連携し、業務データのやり取りを自動化
- 各業務プロセスやKPI等を可視化&迅速なアクション対応
- 国内・海外で利用可能。現地言語でのサポートにも対応
オープンテキスト株式会社が提供する「OpenText Active Orders for JEITA(ECALGA)」は、発注者と受注者双方の業務プロセスを可視化するシステムです。注文・納期回答・出荷・請求の業務プロセスを可視化して一元管理します。また、多言語・多通貨に対応しているため、海外からも安心して使用可能です。
《LMS-PSI》のPOINT
- ■リアルタイムな生販在の情報を基に、精度の高い生産計画を立案
- ■物流拠点と輸送のキャパを考慮し在庫・輸配送計画を立案
- ■サプライチェーン全体を可視化し、需要の変化に迅速に対応
株式会社セイノー情報サービスが提供する「LMS-PSI」は、生産・販売・在庫のリアルタイム統合管理により、全社で将来の見込み在庫を共有し、計画の最適化と納期調整を実現します。ホワイトボード機能で各部門の計画を一画面で確認し、余剰在庫を抑制。さらに、実績にもとづく計画変更や物流リソースのシミュレーションが可能です。
Oracle Supply Chain Management
製品・サービスのPOINT
- サプライチェーンの一連の流れをクラウド上で完結
- 複雑な分析やシミュレーションが可能
- データの一貫性と高い視認性を実現
日本オラクル株式会社が提供する「Oracle Supply Chain Management」は、需要分析や供給計画までのサプライチェーンを管理するシステムです。需要・供給・注文処理・生産といった、一連のプロセスに対応しています。さらに、機械学習とAIを活用した分析機能により、生産性が向上します。
Coupa Supply Chain Design & Planning
製品・サービスのPOINT
- 高度なAI・テクノロジーを用いて、より優れた意思決定が行える
- 需要のモデル化で、精度の高い需要シナリオや分析が可能
- ノーコードで素早く作成・展開するソリューションを提供
Coupa株式会社が提供する「Coupa Supply Chain Design & Planning」は、AI・テクノロジーの活用で迅速な意思決定を行い、DX推進やコラボレーション促進を支援します。機械学習やマクロ経済データ・What-ifシナリオの活用により、高精度な需要予測が可能です。また、分析とデザインを繰り返して、変化にすばやく対応します。
《SAP SCMソリューション》のPOINT
- 低コストでSCMの導入が可能!
- 生産性や持続性の維持が可能!
- 成功を収めている企業の実例あり!
SAPジャパン株式会社が提供する「SAP SCMソリューション」は、環境への配慮とレジリエンス(回復力)を備えた持続可能なSCMシステムです。人工知能やIoTで製造業務を合理化して廃棄物を最小限に抑えます。また、ビジネスニーズの変化や不確実性に即対応できます。さらに透明性が高く、株主や取引先の情報が公開されているのも特徴です。
特定の業界や業務に特化したSCMシステム
続いて、特定の業界や業務のサプライチェーンを最適化するSCMシステムを紹介します。
mcframe 7 SCM
ビジネスエンジニアリング株式会社が提供する「mcframe 7 SCM」は、あらゆる生産形態に対応した製造業向けSCMシステムです。見込み生産や受注生産・半見込み生産といった生産形態を組み合わせることが可能です。また、EDI連携により、コミュニケーションロスを防いで顧客満足度向上につなげます。
RapidResponse
株式会社エクサが提供する「RapidResponse」は、超高速処理でサプライチェーン全体を支援する製造業向けSCMシステムです。市場変化をすぐ察知し、過去のシナリオと複数比較も行えるため、短時間で最適な意思決定を行えます。また、国内だけでなく、グローバル製造業への導入実績が豊富です。
Connecting One Cloud
大日本印刷株式会社が提供する「Connecting One Cloud」は、販促物のサプライチェーンを一元管理するシステムです。2001年から国内初の販促物SCMシステムとして、サービス展開しています。制作発注・注文管理・在庫管理・費用管理といった機能により、業務効率化を図ります。
PPPlan
日鉄ソリューションズ株式会社が提供する「PPPlan」は、食品業界特化型のSCM計画クラウドサービスです。20年以上にわたる業界経験と知識をもとに開発され、需要予測や在庫管理の最適化を支援します。サブスクリプションモデルで提供されているため、低コストで迅速な導入が可能です。
まとめ
SCMシステムを活用することで、サプライチェーン情報のリアルタイム共有や在庫の最適化が可能です。また、急激な需要の変更にも対応できるため、販売機会の損失防止にもつながります。
製品によって機能や特徴が異なるため、各社製品の資料請求をして製品をよく比較し、自社に最適なSCMシステムを導入しましょう。