SCMとERPとの違い
SCMは「調達→生産→物流→販売」の商品開発から、販売に至るサプライチェーンの最適化を図ることです。生産管理システムや在庫管理システムを導入して、需要予測や生産性の向上を図ります。対してERPとは、「ヒト・カネ・モノ・情報」といった経営資源を、一元管理して効率よく運用することです。会計システムや販売管理システムを導入して、経営業務の効率化を実施します。
SCMとERPの大きな違いは管理対象です。SCMは企業のサプライチェーンが対象ですが、ERPは企業全体を管理します。ERPはSCMより業務範囲が広く、経営を行ううえで重要といえるでしょう。
SCMシステムの導入を成功させるポイント
続いて、SCMシステムの導入を成功させるポイントを紹介します。
企業内の意思決定を重視
企業は、経営層によるトップダウンの意思決定で動いています。経営層は企業内部だけでなく業界や市場動向を把握しているため、意思決定の指示内容に正当性があります。
現場社員は、新事業や新システム導入といった変化を好みません。これは意思決定プロセスが整っていない状態といえます。経営層の指示がとおらないと、SCMシステムを導入しても効果は発揮されない可能性があります。
SCMシステムの導入に限らずいかなる変化へ対応するために、意思決定プロセスを整えましょう。
導入コストを考慮
SCMシステムは導入にかかるイニシャルコストや、運用面でのランニングコストが発生します。それだけでなく、運用担当者に支払う人件費や操作方法を伝授する研修費用が必要です。ストレージ量やユーザー数などに応じて金額は変わります。例えば、グループ会社は、規模が大きく関連会社や小会社を含むので高額になるでしょう。クラウド型のSCMシステムは、サーバの新規導入が不要なため費用が抑えられます。
導入前に合計でどれぐらい費用がかかるのか確認すべきです。業者に問い合わせて見積依頼すれば、導入コストを算出してもらえます。
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SCMシステムの比較ポイントは?
SCMシステムの比較ポイントを紹介します。
解決したい課題や既存システムとの相性があうか
自社サプライチェーンの課題を明確にすることが重要です。SCMシステムは製品によって、業務範囲や得意分野が異なります。企業全体のサプライチェーンを改善したいのか、あるいは部署ごとの一部を見直したいのかによって変わります。自社サプライチェーンの課題を解決するSCMシステムを選定すべきです。
そのほかにも、導入後に既存システムとうまく連携するのかを確認しましょう。連携機能が備わったSCMシステムは、既存システムの機能をいかしながら使用できます。連携やカスタマイズに対応していないと、相性があわないかもしれません。そのときは、既存システムを残さず、SCMシステムに置き換える方法がよいでしょう。
トラブル発生時に窓口へ相談できるか
SCMシステム導入後は、次のトラブル発生が考えられます。
- ・担当者がはじめての利用になるため操作できない
- ・地震などの災害が発生して動かない
- ・サプライチェーンの課題が解決しない
上記のトラブルが発生した際は、業者に問い合わせると解決してもらえます。サービス内容に相談窓口サポートが設けられているのか確認しましょう。相談窓口サポートは無償ではなく、有償の場合があります。トラブル発生時に相談できないと導入効果が発揮できません。
そのほかにも、業者担当者の対応を確かめるべきです。担当者との相性が悪いと、加入していても適切なサポートを受けられないかもしれません。
【比較表】おすすめのSCM一覧
ここでは、この記事で紹介している一部製品の比較表を紹介しています。各製品の詳細情報については、後ほど紹介していますので、気になる製品をチェックしてみてください。
※"ー"の情報はITトレンド編集部で確認できなかった項目です。詳細は各企業にお問い合わせください。
ITトレンド編集部厳選!SCMシステムを比較
ITトレンド編集部が厳選するSCMシステムを比較して紹介します。
Oracle Supply Chain Management
製品・サービスのPOINT
- サプライチェーンの一連の流れをクラウド上で完結
- 複雑な分析やシミュレーションが可能
- データの一貫性と高い視認性を実現
日本オラクル株式会社が提供。需要分析や供給計画までのサプライチェーンを管理するSCMシステムです。需要・供給・注文処理・生産といった、一連のプロセスに対応しています。機械学習とAIを活用した分析機能により、生産性が向上します。メーカーや小売業など、サプライチェーンの管理工数がかかる企業におすすめです。
《PlanNEL》のPOINT
- 400社超のグローバル企業に採用されたSCMソリューション
- 需要予測精度を80%に
- 計画リードタイムを80%短縮
ザイオネックス株式会社が提供。低コストな導入を実現したSCMシステムです。SCPの世界標準プロセスに、過去20年のノウハウが加えられています。需要予測・販売計画・補充計画といった機能にわかれており、小規模から始められます。AIや統計を活用した高精度な需要予測により、過剰在庫や品切れを防ぐことが可能です。
OpenText Active Orders for JEITA(ECALGA)
製品・サービスのPOINT
- 基幹系システムとデータ連携し、業務データのやり取りを自動化
- 各業務プロセスやKPI等を可視化&迅速なアクション対応
- 国内・海外で利用可能。現地言語でのサポートにも対応
オープンテキスト株式会社が提供。発注者と受注者双方の業務プロセスを可視化するSCMシステムです。注文・納期回答・出荷・請求の業務プロセスを可視化して、一元管理します。発注者と受注者の注文確認といったデータ送受信を自動で行います。多言語・多通貨に対応しているため、海外からも安心して使用することが可能です。納品書やラベルをPDF作成できます。
Coupa Supply Chain Design & Planning
製品・サービスのPOINT
- 高度なAI・テクノロジーを用いて、より優れた意思決定が行える
- 需要のモデル化で、精度の高い需要シナリオや分析が可能
- ノーコードで素早く作成・展開するソリューションを提供
Coupa株式会社が提供。AI・テクノロジーの活用で、迅速な意思決定を行うSCMシステムです。DX推進やコラボレーション促進を支援します。機械学習やマクロ経済データ・What-ifシナリオの活用により、高精度な需要予測を行うことが可能です。分析とデザインを繰り返して、変化にすばやく対応します。
まだまだある!そのほかのSCMシステムを比較
まだまだあるSCMシステムを比較して紹介します。
SAP SCMソリューション
SAPジャパン株式会社が提供。環境への配慮とレジリエンス(回復力)を備えた、持続可能なSCMシステムです。ビジネスニーズの変化や不確実性に即対応することが可能です。透明性が高く、株主や取引先の情報が公開されています。人工知能やIoTで製造業務を合理化して廃棄物を最小限に抑えられるため、環境へ配慮しています。
mcframe 7 SCM
ビジネスエンジニアリング株式会社が提供。あらゆる生産形態に対応したSCMシステムです。見込み生産や受注生産・半見込み生産といった生産形態を、組み合わせることが可能です。EDI連携により、コミュニケーションロスを防いで顧客満足度向上につなげます。多言語・多通貨だけでなく、インボイス発行に対応しており、海外で使用できます。
SynapseSUITE
株式会社日立ソリューションズ東日本が提供。サプライチェーンプランニングを得意とするSCMシステムです。需要予測・発注計画・在庫管理・生産計画などに特化したソフトが用意されています。生産スケジューラを使用すれば、秒単位で計画することが可能です。販売管理や生産管理システムとの連携により、業務効率化を図ります。
RapidResponse
株式会社エクサが提供。超高速処理でサプライチェーン全体を支援するSCMシステムです。需要計画・供給計画・在庫管理などの機能が備わっています。国内だけでなく、グローバル製造業への導入実績が豊富です。超高速処理で、市場変化をすぐ察知します。過去のシナリオを複数比較でき、短時間で最適な意思決定を行えます。
Connecting One Cloud
大日本印刷株式会社が提供。販促物のサプライチェーンを一元管理するSCMシステムです。2001年から国内初の販促物SCMシステムとして、サービス展開しています。制作発注・注文管理・在庫管理・費用管理といった機能により、業務効率化を図ります。カスタマイズ不要で、常に最新バージョンを利用することが可能です。
SCMシステムの導入事例
SCMシステムの導入事例を紹介します。
- ・導入目的
- ある大手飲料メーカーは、需要予測の精度を向上させることに注力しています。過剰在庫や品切れを最小限に抑えて、コスト削減するためです。取り組みの一環として、SCMシステムを導入しました。
- ・導入前の課題
- 賞味期限が短い製品の取り扱いにより、過剰在庫や品切れの多発が課題です。原因は、システムを導入せずに精度の低いExcelで需要予測を行っていたためです。
- ・導入効果
- 製品ごとに補充計画・在庫運用計画を行い、一元管理します。需要予測と計画立案を自動で運用すると、需要予測の精度が向上します。
その結果、課題であった過剰在庫と品切れを阻止でき、コスト削減につながりました。
SCMシステムを比較して自社への導入を検討しよう
SCMシステムの比較ポイントは下記のとおりです。
- ・サプライチェーン課題と既存システムの相性確認
- ・相談窓口がついているか
導入効果を発揮するための成功ポイントは以下です。
導入効果を最大化するために、上記の比較・成功ポイントは理解すべきです。これらを考慮したうえで、SCMシステムを比較して自社への導入を検討しましょう。