VOCとは
VOCとは「Voice Of Customer」の略で、アンケートやコールセンターへの問い合わせなど直接企業に届いた意見をはじめとした「お客様の声」を意味します。市場調査やSNSで発せられた情報などから広く顧客の声を集めて、顧客満足度をより高める製品やサービスの開発に活用されています。
VOCを取り巻く企業の現状と課題
インターネットやITツールが普及した昨今、顧客の声もビッグデータ化しています。VOCの収集から分析、企業活動への活用といった一連の「VOC活動」は、重要性は認識されています。しかし、課題を抱える企業が多いのも現状です。
VOC活動における課題点は以下のとおりです。
- ●量が多すぎてデータの整理や分類に手が回らない
- ●分析に割ける人材リソースが不足している
- ●部署ごとにちらばっていて全社で集約できていない
- ●収集はできているが分析や活用方法がわからない
そのほか、サイレントカスタマーの声を把握できていないなどの課題点も挙げられるでしょう。顧客ニーズの多様化が拡大する今、効率的にVOCを収集・分析し、サービス提供や商品開発に活かすことが求められています。
VOC分析を行うメリット
VOCを集めて分析し、顧客ニーズの見える化を実施することで、顧客満足度向上のほかにどのようなメリットを得られるのでしょうか。
売上アップ
POSデータの分析には限界がありました。ポイントカードなどの普及でID-POSになっても、購入したお客様の属性や売上傾向を把握できます。しかし、なぜ買わないかまでは理解しきれません。VOCは買わない理由を具体化できるため、苦情などとの相関関係を見つけたうえでの対策を打てます。「買わないお客様」を「買うお客様」にできるでしょう。
製品開発
お客様からの要求や評価などから、製品の開発や改善を進められます。今ではソーシャルメディアも発達しており、購入者以外の幅広い潜在顧客からの声を集めることが可能です。大量のデータと高度な分析手法によって、顧客自身も認識していない隠れたニーズを発見できるのです。
お客様満足度の向上
お客様の不満や要求をスピーディーに拾い上げ、優先順位を付けて対応できます。ツールによってはフローを管理し、処理の遅れている案件の可視化も可能です。迅速で的確な対応により、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。
VOCの活用法とポイント
VOCを活用するには、どのような目的でVOCを収集し分析したいのかを明確にする必要があります。目的がはっきりすれば、必要な情報や分析方法、データの運用方法なども明らかになるでしょう。ここからはVOCの収集方法から分析方法など、具体的な活用の仕方についてわかりやすく解説します。
1.VOCの収集方法を選ぶ
まず分析に必要なVOCを収集します。VOCの主な収集方法は以下のとおりです。
- ●アンケートやインタビューによる調査
- ●コールセンターへの問い合わせ、クレーム
- ●SNSなどの市場調査
- ●ECサイトのレビュー
欲しい情報や顧客にあわせ、それぞれのチャネルを使い分けるのが有効です。例えば、顧客の本音が聞きたいときはアンケート、顧客の声を掘り下げたいときはインタビューを活用しましょう。
2.専用システムで管理する
VOC活動は全社的に取り組む必要があるため、部署単位での管理や一部のみに共有するだけでは意味がありません。基幹システムを用いて収集したデータを管理することで、部署間で共有できるようにしましょう。また、既存のシステムを活用するのもひとつの手段です。例えばコールセンターシステムやCRMでVOCを管理すれば、顧客情報と紐付いた管理ができます。
3.VOC分析を通じた施策を運用する
VOCの分析にはツールの導入のほか、担当チームや活用体制の構築が重要です。VOCの分析ツールには、コールセンターでの音声録音機能やテキストマイニングツール、アンケート分析ツールなどが挙げられます。これらのツールを用いて、「A4サイクル」と呼ばれる仕組みを運営していくのが効果的です。
- ●Accept:顧客の声を集める
- ●Analyze:分析ツールでVOCを分析する
- ●Acknowledge:分析結果を社内で共有する
- ●Act:施策を実行する
A4サイクルを回し、継続的な収集と迅速な分析・施策が重要視されます。
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VOCの活用例
ここでは、VOCの収集から分析、活用までの流れをふまえたうえでの活用事例を紹介します。
VOC活用例1.テキストマイニング
ある保険会社では営業担当、店頭窓口、コールセンター、アンケートなどから多くの声を集めていましたが、量が多すぎて有効活用できていませんでした。そこで、テキストマイニング手法を活用した機械的な分析を実施します。クレーム以前の感想程度の意見も吸い上げ、改善に活かせるようになりました。
具体的には伝票の書式や窓口対応の改善、駐車場の位置表示の変更などを行い、お客様の声を関係者全員が共有し閲覧できるようにしました。担当者はサービス提供事業者のコンサルティングに助けられたと語っています。
VOC活用例2.アンケート分析
車の付属品を製造し、カー用品店やDIYに卸している某社は、これまで製品に同梱しているアンケートハガキの回収に努めてきました。また、店舗にもアンケート用紙を置いて、イベントキャンペーンでもお客様の声を多く集めていました。
しかし、これらのデータを集計・分析するマンパワー不足が課題に挙がります
。そこで、課題解決のためにアンケート分析やフィルタリング機能を活用できるVOCツールを導入しました。結果、短時間で高精度の分析ができるようになりました。従来数週間かかっていた分析処理が、1時間ほどで完了すると担当者は高く評価しています。
VOCを活用し、顧客満足度の向上に努めよう
顧客の声を活かした商品企画は、顧客の満足度だけでなく、企業への信頼度やVOCのさらなる収集に役立ちます。分析をアウトソーシングしたり、VOC分析ツールを活用したりしながら、企業活動に活かしていきましょう。