XRシステムの導入条件を整理する進め方
XRとは、現実に情報を重ねるAR、仮想の空間を体験するVR、両者を組み合わせるMRをまとめた呼び方です。条件は複数の観点にまたがるため、順序を決めて整理すると抜けを防げます。
変更しにくい条件から確認する
まず確認したいのは、後から変えにくい項目です。データを保管する場所、契約を結ぶ相手、対応する機器の種類といった条件は、導入後に変更しようとすると作り直しが必要になる場合があります。
これらの条件は、社内の規程に定められている場合があります。情報システム部門や法務の担当者へ確認し、満たすべき項目を一覧にしましょう。一覧ができたら、候補となる製品がその条件を満たすかを先に確認します。満たさない製品を早い段階で外せると、その後の比較に集中できます。
質問の形に置き換える
条件を確認する際は、対応しているかという問いではなく、どのように対応するかを尋ねる形にすると具体的な回答を得られます。保管場所であれば選べる地域を、記録であれば残る項目と保存期間を聞く形です。
回答は文書で受け取り、一覧にまとめておきましょう。対応の可否だけでなく、追加の契約や作業が必要かも記録します。複数社へ同じ質問を行うと、条件をそろえた比較ができます。回答が得られなかった項目は、その事実も残しておくと社内で説明する際に役立ちます。
安全管理にかかわるXRシステムの条件
設計データや現場の映像を扱う場合、管理の水準は選定の中心的な条件になります。
データの保管と取り扱いを確認する
確認したいのは、コンテンツやデータを保管する場所を選べるか、通信と保管における暗号化がどう行われるか、社外の機器へ内容を保存する際の扱いはどうかという点です。機器を紛失した場合の備えも確認しておきましょう。
あわせて、遠隔支援などで現場の映像を送る場合、その映像がどこに保存され、どの範囲まで閲覧できるかも確認が必要です。取引先の敷地内で撮影する場合は、先方の許可も必要になります。撮影と保存に関する社内の方針を整理してから、製品の条件と照らしてください。方針が定まっていない場合は、情報システム部門や法務の担当者と先に整理しておきましょう。
認証の表示が示す範囲を確認する
資料に情報セキュリティ関連の認証が記載されている場合、その表示が何を示すのかを確認しておくと判断を誤りにくくなります。組織の管理体制について第三者が審査したことを示すもので、製品の機能を直接示すものではありません。
確認したいのは、認証の対象が提供会社なのか特定のサービスなのか、取得時期と有効期限はいつか、審査の範囲に自社が利用する部分が含まれるかという点です。自社が求める管理項目については、一覧にして提示し、個別に対応可否を確認する進め方が確実です。判断に迷う場合は、情報システム部門や専門事業者へ相談してください。
提供体制と契約にかかわる条件
どこの事業者と、どのような形で契約するかも、運用のしやすさに影響します。
国内での提供体制を確認する
確認したいのは、契約を国内の法人と結べるか、日本語での資料とサポートが提供されるか、機器の調達や修理をどこへ依頼するかという点です。機器を伴う導入では、故障時の対応が業務へ直接影響します。
あわせて、代替の機器を借りられるか、修理にかかる期間の目安はどの程度かも確認しておきましょう。海外で開発された製品を国内の事業者が取り扱っている場合は、サポートの範囲がどこまでかも確認が必要です。提供元の所在地だけで判断せず、実際の対応体制を確認することが大切です。機器の台数が多い場合は、まとめて管理する方法も相談しておきましょう。
契約と費用の条件を確認する
契約には、最低利用期間や、機器を購入するか借りるかといった選択肢があります。利用の頻度が読みにくい段階では、短期間から始められる契約が適している場合があります。
確認したいのは、最低利用期間、機器の購入と貸与の条件、利用者数や機器の台数による料金の変動、コンテンツの作成費用が別途かかるかという点です。あわせて、作成したコンテンツの権利がどちらに属するか、契約終了後も使えるかも確認しておきましょう。この点は後から交渉しにくいため、契約前の確認が重要です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でXRシステムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
連携とコンテンツの自由度
既存のシステムとつなぐ方法や、表示する内容をどこまで自社で作れるかも確認しておきたい条件です。
接続手段の仕様を確認する
APIとは、外部のプログラムからシステムを操作したり情報をやり取りしたりするための接続手段です。学習の記録を人材管理の仕組みへ渡したい場合や、コンテンツの配信を自動化したい場合に必要になります。
確認したいのは、仕様書が公開されているか、実行できる操作の範囲はどこまでか、認証の方式は何かという点です。あわせて、一定時間あたりの実行回数に上限があるかも確認しておきましょう。開発を担当する部門や委託先がある場合は、仕様の確認に同席してもらうと判断が早まります。
コンテンツを編集できる範囲を確認する
表示する内容を自社で作成や編集できるかは、継続して活用するうえで重要な項目です。作成のたびに外部へ依頼する形では、更新の速さと費用に制約が生じます。
確認したいのは、編集の画面が用意されているか、専門的な知識が必要か、既存のデータを取り込めるかという点です。作成にかかる時間の目安も聞いておきましょう。あわせて、作成した内容を複数の機器へ配信する仕組みや、版を管理する仕組みがあるかも確認すると、運用の形を描きやすくなります。試用の機会があれば、短い内容を実際に作成してみると必要な工数を把握できます。
多言語対応と遠隔作業支援の条件
海外の拠点で使う場合や、離れた場所から支援する用途では、追加の確認項目があります。
海外拠点で使う場合
確認したいのは、画面の表示や操作の案内が複数の言語に対応しているか、コンテンツ内の文字を言語ごとに切り替えられるか、現地からの接続に問題がないかという点です。同じ内容を言語ごとに作り直す必要があるかも、作業量に影響します。
あわせて、機器を現地で調達できるか、故障時の対応をどこが担うかも確認しましょう。国によっては、データの取り扱いに関する規制が異なる場合があります。対象の国を一覧にして、法務や現地の担当者と要件を確認してから選定を進めてください。現地の担当者にも試用に参加してもらうと、実際の使い勝手も確かめられます。
遠隔作業支援に使う場合
現場の作業者が装着した機器の映像を離れた場所へ送り、指示を受ける使い方では、通信の状況が使い勝手を左右します。工場や建設現場では、通信が届きにくい場所もあります。
確認したいのは、必要となる通信の速度、通信が不安定な際の動作、映像の品質を調整できるかという点です。あわせて、支援する側が画面に印を付けて指示できるか、やり取りを記録として残せるかも確認しましょう。記録を残す場合は、映像の保存期間と閲覧できる範囲の設定もあわせて確認してください。撮影される作業者への説明と同意の取り方も、社内の担当者と整理しておく必要があります。
導入条件を相談したいXRシステム
扱う情報の保護や機器の調達、多言語への対応は事前に確認しておきたい条件です。要件を伝えて相談したい製品を紹介します。
Tours
- 360度空間を歩き回り企業文化を体験的に伝達
- クリック操作で社員紹介やクイズを組み込める
- バーチャル見学からシームレスにエントリーへ誘導
株式会社Toursが提供する「Tours」は、360度の高精細な映像で空間を再現する採用向けのサービスです。パソコンとスマートフォンから閲覧でき、専用の機器を用意せずに体験してもらえます。管理画面から内容を編集できるため、公開後の更新も自社で進められます。国内の事業者による提供のため、契約や運用の条件を日本語で確認できます。
HoloLens2 (日本マイクロソフト株式会社)
- Windows 10搭載ホログラフィックPC
- MicrosoftのクラウドとAIで強化
- 商用対応の管理機能付き
Vuforia Chalk (PTCジャパン株式会社)
- モバイルアプリ・Webアプリで手軽に利用
- 最大5人が参加可能なセッションで議論可能
- AR空間に貼りつくアノテーションで的確に指示
RealWear (株式会社電巧社)
- 100dBの騒音下でも両手を塞がずに作業を継続できる音声操作。
- IP66防塵・防水、耐衝撃、高堅牢設計で過酷な現場に対応。
- 高画質映像を共有し、遠隔指示や技術継承を支援。
XRシステムに関するFAQ
XRシステムの導入条件について、よく寄せられる質問と回答をまとめました。
- Q1: データの保管場所は選べますか?
- 製品によって対応が異なります。社内の規程で条件がある場合は、選べる地域を提示してもらい、必須条件として扱うことをおすすめします。
- Q2: 作成したコンテンツの権利はどちらに属しますか?
- 契約の条件によって異なります。契約終了後も使えるかという点も含めて、後から交渉しにくい部分であるため、契約前に確認しておきましょう。
- Q3: コンテンツは自社で編集できますか?
- 編集の画面を備えた製品があります。専門的な知識が必要かどうか、既存のデータを取り込めるかもあわせて確認し、更新の運用を描いてから判断してください。
- Q4: 通信が届きにくい現場でも使えますか?
- あらかじめ内容を機器へ保存しておける仕組みがあれば、利用できる場合があります。遠隔支援のように通信を伴う用途では、必要な速度と不安定時の動作を確認しましょう。
まとめ
XRシステムの導入条件は、後から変えにくい安全管理と契約の条件を先に確認し、続いて連携やコンテンツの自由度、拠点と用途に応じた要件を整理すると絞り込みが進みます。撮影した映像の扱いやコンテンツの権利は、契約前の確認が欠かせません。条件の一覧を用意したうえで、複数の製品資料を取り寄せて比較検討を進めてください。

