XRシステムで連携が必要になる場面
XRとは、現実に情報を重ねるAR、仮想の空間を体験するVR、両者を組み合わせるMRをまとめた呼び方です。表示する内容を用意し、機器へ届け、利用の状況を把握するという流れの各段階で、他の仕組みとのつながりが必要になります。
表示する内容を用意する段階
コンテンツの元になるのは、設計データ、撮影した映像、資料といった既存の情報です。これらをどこから取り込むかによって、必要な連携先が決まります。手作業でファイルを移す運用では、更新のたびに作業が発生します。
確認したいのは、取り込める形式の一覧、変換が必要な場合の手順、保管場所から直接読み込めるかという点です。設計データを扱う場合は、そのデータの大きさに制限があるかも確認しましょう。取り込みの作業時間は、更新の頻度が高いほど運用へ影響します。
機器へ届けて状況を把握する段階
作成した内容を利用者の機器へ届ける工程と、誰がどこまで利用したかを把握する工程も連携の対象です。機器の台数が多いほど、一台ずつ操作する運用は現実的でなくなります。
確認したいのは、複数の機器へまとめて配信できるか、機器の状態を一覧で確認できるか、利用の記録を外部の仕組みへ渡せるかという点です。研修として実施する場合は、学習の管理を行う仕組みへ記録を渡せると、受講状況の集計がまとまります。記録として残せる項目の範囲も、あわせて確認しておきましょう。
設計データと保管場所との連携
製造業や建設業では、既存の設計データをどう扱うかが導入の可否を左右します。
設計データを扱う仕組みとの連携
CADとは、設計図や立体の形状をコンピューター上で作成する仕組みです。その出力をXRシステムへ取り込めると、実物を作る前に空間で確認できます。ただし、形式や情報の持ち方が異なるため、変換の工程が必要になる場合があります。
確認したいのは、対応している形式の一覧、変換の手順は自動か手動か、変換後に失われる情報はあるかという点です。部品の名称や属性の情報が引き継がれるかは、確認作業のしやすさに影響します。データの大きさによっては、表示の動作が重くなる場合もあるため、実際のデータで試せる機会があるか聞いておきましょう。
保管場所との連携
クラウド上の保管場所にコンテンツや素材を置いている場合、そこから直接読み込める仕組みがあると、手元へ複製する手間を省けます。複数の担当者で作業する際にも、最新の内容を共有しやすくなります。
確認したいのは、対応している保管サービスの種類、読み込めるファイル形式、更新した内容が自動で反映されるかという点です。あわせて、アクセスの権限をどう設定するかも整理しておきましょう。誰がどのファイルを読み込めるかは、社内の情報管理の方針とあわせて決める必要があります。
コミュニケーションの仕組みとの連携
離れた場所の相手と一緒に使う用途では、会議や連絡の仕組みとのつながりが運用を左右します。
ビデオ会議の仕組みとの連携
現場の映像を離れた場所へ送り、指示を受ける使い方では、既存の会議の仕組みを使えると導入が進みやすくなります。参加する側が新しいアプリケーションを用意する必要がなくなるためです。
確認したいのは、対応している会議の仕組みの種類、参加する側に必要な準備、画面に印を付けて指示できるかという点です。あわせて、やり取りを記録として残せるか、その保存先はどこかも確認しましょう。会議の仕組み側の設定が必要になる場合もあるため、情報システム部門と一緒に確認することをおすすめします。
グループウェアとの連携
グループウェアとは、社内の連絡や情報共有をまとめて行う仕組みです。研修の案内や、利用の依頼をこの仕組みから届けられると、利用者が使い始めやすくなります。
確認したいのは、社内で使用している認証の仕組みでログインできるか、案内を配信する機能があるか、予定表と連動できるかという点です。機器の貸し出しを管理している場合は、その予約と連動できるかも確認項目になります。利用者ごとに別のIDとパスワードを管理する形になると、問い合わせが増える可能性があります。導入時の案内をどの手段で届けるかも、あわせて計画しておきましょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でXRシステムの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
機器の管理と接続手段
専用の機器を使う場合、その台数が増えるほど管理の仕組みが重要になります。
機器を管理する仕組みとの連携
複数の機器を扱う場合、内容の配信、設定の適用、状態の確認をまとめて行える仕組みがあると運用の負担を抑えられます。機器の紛失に備えた対応も、この仕組みで行う場合があります。
確認したいのは、対応している管理の仕組みの種類、まとめて設定を配布できるか、機器の充電や利用の状態を確認できるかという点です。あわせて、機器を紛失した際に内容を消去できるかも確認しましょう。すでに端末を管理する仕組みを導入している場合は、その製品名を伝えて組み合わせの可否を確認してください。
接続手段による連携
APIとは、外部のプログラムからシステムを操作したり情報を取得したりするための接続手段です。利用の記録を自社の仕組みへ渡したい場合や、配信を自動化したい場合に検討されます。
確認したいのは、仕様書が公開されているか、実行できる操作の範囲はどこまでか、認証の方式は何か、一定時間あたりの実行回数に上限があるかという点です。開発を担当する部門や委託先がある場合は、仕様の確認に同席してもらうと判断が早まります。開発の工数と費用も、比較の材料に含めてください。
XRシステムの連携性を比較する進め方
連携の可否は資料に記載があっても、実際に使えるかどうかは条件次第です。
連携先ごとの確認項目を整理する
下表は、代表的な連携先について確認したい項目をまとめたものです。対応の記載があるだけで判断せず、条件まで確認すると導入後のずれを減らせます。
| 連携先 | 確認したい項目 |
|---|---|
| 設計データの仕組み | 対応形式、変換の手順、失われる情報、データの大きさの制限 |
| クラウド保管場所 | 対応サービス、読み込めるファイル形式、更新の反映、権限の設定 |
| ビデオ会議 | 対応する仕組み、参加側の準備、画面への書き込み、記録の保存先 |
| グループウェア | 社内認証でのログイン、案内の配信、予定表や貸出との連動 |
| 機器の管理 | 対応する管理の仕組み、設定の一括配布、状態の確認、紛失時の対応 |
| API | 仕様書の公開、操作できる範囲、認証方式、実行回数の上限 |
連携できない部分の運用を決める
すべての工程が自動で連携できるとは限りません。手作業が残る部分については、担当者と頻度、確認の手順を決めておくと運用が安定します。作業の一覧を手順書にまとめ、複数の担当者が対応できる状態にしておきましょう。
また、連携が一時的に止まった場合の対応も決めておく必要があります。原因はXRシステム側だけでなく、連携先の仕様変更や通信の状況など複数が考えられます。管理者へ通知が届く仕組みがあるか、復旧後に不足した分を反映できるかを、導入前に確認してください。双方のベンダーへ確認できる体制を用意しておくと、対応が進みやすくなります。
既存の仕組みとつなげたいXRシステム
設計データの取り込みや会議の仕組みとの組み合わせは、運用の手間に直結します。連携を前提に検討したい製品を集めました。
Tours
- 360度空間を歩き回り企業文化を体験的に伝達
- クリック操作で社員紹介やクイズを組み込める
- バーチャル見学からシームレスにエントリーへ誘導
株式会社Toursが提供する「Tours」は、360度の高精細な映像で空間を再現する採用向けのサービスです。管理画面から内容の編集と更新を行える作りで、公開したツアーから応募の申し込みへつなげる導線も用意されています。既存の採用サイトとどう組み合わせるかは、現在の構成を伝えて確認するとよいでしょう。
Vuforia Engine (PTCジャパン株式会社)
- 平面や立体、円柱にコンテンツを投影
- 認識した対象物に情報を付加
- 静止画像からビデオを作るビデオプレイバック
Unity Reflect (ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社)
- SketchUp・BIM 360・Navisworks・Rhino・Revitからデータを統合
- 用途・目的に合わせてライセンスを選択可能
- プラットフォームを問わないシームレスな使用感
Vuforia Chalk (PTCジャパン株式会社)
- モバイルアプリ・Webアプリで手軽に利用
- 最大5人が参加可能なセッションで議論可能
- AR空間に貼りつくアノテーションで的確に指示
XRシステムに関するFAQ
XRシステムの連携について、よく寄せられる質問と回答をまとめました。
- Q1: 設計データはそのまま取り込めますか?
- 形式によっては変換の工程が必要になります。現在使用しているデータの形式とおおよその大きさを伝えて、対応の可否と手順を確認してください。
- Q2: 複数の機器へまとめて内容を配信できますか?
- 対応する仕組みを備えた製品があります。すでに端末を管理する仕組みを導入している場合は、その製品名を伝えて組み合わせの可否も確認しましょう。
- Q3: 既存のビデオ会議の仕組みを使えますか?
- 対応する種類は製品によって異なります。参加する側に必要な準備や、会議の仕組み側で設定が必要かも、情報システム部門と一緒に確認することをおすすめします。
- Q4: 利用の記録を他のシステムへ渡せますか?
- 接続手段が提供されていれば可能な場合があります。渡せる項目の範囲と、学習の管理を行う仕組みへの対応状況を確認してみてください。
まとめ
XRシステムの連携性は、内容を用意する段階、機器へ届ける段階、状況を把握する段階に分けて整理すると比較しやすくなります。設計データは形式と変換の手順、会議の仕組みは参加側の準備、機器管理は一括配布と紛失時の対応が確認の焦点です。手作業が残る部分は手順書に明記しておきましょう。現在使用しているシステムを一覧にしたうえで、複数の製品資料を取り寄せて比較検討を進めてください。

