コンピューターウイルスとは何を指すか
種類を追う前に、用語の関係を押さえておきましょう。日常的にウイルスと呼ばれているものには、性質の異なるものが含まれています。
マルウェアとウイルスの関係
悪意のある動作を行うプログラム全般は、マルウェアと総称されます。ウイルスはその一種で、本来は他のファイルに入り込んで広がるものを指す言葉です。
ただし実務では、マルウェア全般を指してウイルスと呼ぶ場面も多くあります。この記事でも、広く使われている呼び方に合わせて解説を進めます。対策を検討する際は、名称の細かい区別よりも、どの経路から入り、何をするものなのかを理解しておくことが役立ちます。
感染が広がる主な経路
入り込む経路は一つではありません。メールの添付ファイルやメール本文に記載されたリンク、改ざんされたWebサイトの閲覧、外部記憶媒体の接続、更新されていないソフトウェアの弱点を突いた侵入など、複数の入り口が考えられます。
近年は、業務に関係があるように見せかけた文面で開かせようとする手口も知られています。技術的な対策だけでなく、不審なメールを受け取った際の報告先を周知しておくことも、早い段階での把握につながります。経路が複数ある以上、対策も一つに絞らない考え方が求められます。
広がり方による種類
どのように増えていくかによって、いくつかの種類に分かれます。代表的な三つを確認します。
ファイルに寄生して広がるタイプ
他のプログラムやファイルに入り込み、そのファイルが実行されたときに動作する種類です。感染したファイルが社内で共有されると、開いた端末へ広がっていきます。狭い意味でのウイルスは、この性質を持つものを指します。
共有フォルダに置かれたファイルを多くの従業員が開く環境では、影響が広がる可能性があります。各端末での対策に加えて、共有領域を検査する仕組みを組み合わせる構成が採られます。
単独で自己増殖するタイプ
他のファイルに入り込むことなく、自分自身の複製を作って広がる種類です。ワームと呼ばれます。ネットワークを通じて他の端末へ移動するものもあり、対処が遅れると広範囲に及ぶ場合があります。
ソフトウェアの弱点を突いて侵入するものもあるため、更新プログラムを適用しておくことが備えの一つになります。増殖の過程でネットワークの負荷が高まり、業務システムの応答が遅くなるといった影響が生じることもあります。
正規のソフトを装うタイプ
役に立つソフトウェアや業務に関係する文書のように見せかけ、利用者に開かせることで侵入する種類です。トロイの木馬と呼ばれます。それ自体は増殖せず、侵入した後に外部と通信して別のプログラムを取り込む動作をするものもあります。
見た目では判断しにくいため、提供元が確かでないファイルを開かない運用が備えになります。あわせて、外部への不審な通信を検知する仕組みや、端末の挙動を監視する仕組みを組み合わせる構成が採られます。
被害の内容による種類
感染した後に何をするかという観点でも分類できます。対策の優先順位を考えるうえで、こちらの理解が役立ちます。
データを暗号化して金銭を要求するタイプ
端末やサーバ上のファイルを暗号化し、元に戻すことと引き換えに金銭を求める種類です。ランサムウェアと呼ばれます。業務が止まる影響が大きく、近年は情報の公開をほのめかす手口も知られています。
備えとしては、定期的な複製の取得が挙げられます。ただし、複製したデータが同じネットワーク上にあると同時に被害を受ける可能性があります。保管場所を切り離す、復元の手順を実際に試しておくといった対応まで含めて計画しておきましょう。
情報を盗み出すタイプ
端末に保存された情報や、入力された内容を外部へ送り出す種類です。キーボードの入力を記録するものや、画面の情報を取得するものが知られています。目立った動作をしないため、気づきにくい点が特徴です。
認証情報が盗まれれば、正規の利用者を装った接続につながる可能性があります。IDとパスワードだけに頼らない認証の仕組みや、通信の記録を確認できる体制とあわせて備えることが望まれます。
侵入の痕跡を隠すタイプ
侵入した事実や、動作しているプログラムの存在を隠す種類です。ルートキットと呼ばれます。管理者から見えにくい状態を作り出すため、通常の確認では気づけない場合があります。
この種の侵入が疑われる場合は、対象の端末を切り離したうえで詳しく調査する必要があります。社内で判断が難しい場合は、専門の事業者へ相談する経路をあらかじめ用意しておきましょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でウィルス対策の一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
対策を進める際の考え方
種類が多岐にわたるため、一つの対策で完結させることは難しくなります。二つの段階に分けて備える考え方を確認します。
感染を防ぐための備え
対策ソフトの導入に加えて、OSやソフトウェアの更新プログラムを適用しておくことが基本の備えになります。弱点が残ったままの状態は、侵入の入り口になり得ます。
あわせて、メールの添付ファイルの扱い、外部記憶媒体の利用、権限の付与範囲といった運用面の取り決めも必要です。従業員への周知は一度で終わらせず、繰り返し伝える機会を設けましょう。技術と運用の両面で重ねて備える考え方が現実的です。
感染した場合の対応
入口ですべてを止めきれない前提で、気づいた後にどう動くかを決めておきます。端末をネットワークから切り離すかどうかを誰が判断するのか、誰に連絡するのか、記録をどう残すのかといった手順です。
夜間や休日に発生した場合の連絡経路も整理しておきましょう。担当者一人に判断が集中する体制では対応が滞る要因になります。復元の手順を実際に試しておくと、有事の際に慌てずに進められます。
ウイルス対策ソフトの選び方
製品によって守れる範囲も管理の手間も異なります。比較の段階で確認しておきたい基準を三つ挙げます。
対象範囲と端末数の整理
最初に、何を守るのかを決めます。従業員のパソコンが中心なのか、サーバやスマートフォンも含めるのか、社外に持ち出す端末があるのかによって、必要な機能が変わります。
あわせて、対象となる端末の台数と今後の増減の見込みも整理しましょう。台数に応じた料金体系を採る製品が多く、規模の想定は費用の試算に直結します。拠点が複数ある場合は、まとめて管理できるかも確認しておきたい項目です。
検知の仕組みと管理機能
既知のものと照合する方式に加えて、挙動から判断する方式や、端末の動きを継続して監視する仕組みを備えた製品もあります。守りたい対象と、想定する手口に応じて必要な範囲を判断しましょう。
管理者向けの機能も確認点です。各端末の対策状況を一覧で確認できるか、更新が適用されていない端末を把握できるか、検知した際に通知が届くかといった点が該当します。台数が多い環境では、この部分が運用の負担を左右します。
費用体系とサポート範囲の確認
料金は、端末数に応じた年間の契約が中心ですが、機能ごとのプラン分けや複数年の契約による割引もあります。数年単位の総額で比べると、製品ごとの差が見えやすくなります。
サポートについては、どこまで対応してもらえるのかを具体的に確かめます。操作方法の案内にとどまるのか、感染が疑われる際に相談できるのかは製品ごとに差があります。社内に専任の担当を置けない場合は、監視や対応を委託するサービスも含めて検討しましょう。
ウイルスへの備えに対応した対策製品
検知の方式や端末の監視にあわせて検討できる、ウイルス対策製品を紹介します。
ESET PROTECT MDR
- 業界最速のMDRレスポンス ※ESET社調べ
- エンドポイントのセキュリティ対策をひとまとめで任せられる
- 24×365でキヤノンMJグループが日本語対応!安心して任せられる
キヤノンマーケティングジャパン株式会社が提供する「ESET PROTECT MDR」は、端末の監視と対応を組み合わせたセキュリティサービスです。既知のウイルスとの照合に加えて、不審な挙動を検知する仕組みを備えており、専門の担当者による監視の支援も受けられます。企業の端末数にあわせた導入が可能です。
AppGuard
- 定義ファイル不要の「OSプロテクト型」
- 未知・既知を問わず、高度なサイバー攻撃による侵害を未然に防止
- 端末に対して悪いコトをさせず、「攻撃の無効化」を実現
DAIKO XTECH株式会社が提供する「AppGuard」は、不正なプログラムの実行を防ぐ仕組みを備えた端末向けのセキュリティ製品です。既知の脅威との照合に頼らない防御の考え方を採用しており、未知の手口への備えとして活用されます。既存の対策ソフトと組み合わせて導入する構成にも対応しています。
AvastBusinessAntivirus (株式会社ノートンライフロック)
- ファイル、ウェブ、メール、挙動監視で脅威を遮断。
- サイバーキャプチャー/サンドボックスで不審ファイルを安全分析
- クラウド・オンプレ構成で端末を一元管理。
McAfeeTotalProtection (マカフィー株式会社)
- 実績あるウイルス対策容量
- AIとクラウド技術によるリアルタイムの多層保護で脅威に対応
- VPN・パスワードマネージャー・ID・個人情報モニタリング機能
コンピューターウイルスに関するよくある質問
対策を検討する担当者から寄せられることの多い質問と回答をまとめました。
- Q1: 対策ソフトを入れれば感染を防げますか?
- リスクを下げる手立てにはなりますが、すべてを防げるわけではありません。未知の手口や、利用者をだまして操作させる手口もあります。更新プログラムの適用や運用ルールの整備とあわせて備えることが望まれます。
- Q2: 感染したかどうかはどう確認できますか?
- 動作が急に遅くなる、身に覚えのない通信が発生するといった変化が手がかりになる場合がありますが、目立った兆候が出ないものもあります。対策ソフトの検知結果や通信の記録を確認し、判断が難しい場合はベンダーや専門の事業者へ相談しましょう。
- Q3: 無料の対策ソフトでも業務で使えますか?
- 管理者による一括管理や問い合わせ窓口が用意されていない場合があります。台数が多い環境では、対策状況を把握できるかどうかが運用に影響します。社内規程や求められる管理水準を踏まえて判断しましょう。
- Q4: 複製を取っておけばランサムウェアに備えられますか?
- 復旧の手立てとして有効ですが、複製したデータが同じネットワーク上にあると同時に被害を受ける可能性があります。保管場所を切り離す、復元の手順を実際に試しておくといった対応まで含めて計画することをおすすめします。
まとめ
コンピューターウイルスの種類は、広がり方と被害の内容という二つの軸で整理できます。広がり方ではファイルに寄生するもの、単独で増殖するもの、正規のソフトを装うものがあり、被害の内容では暗号化して金銭を求めるもの、情報を盗み出すもの、痕跡を隠すものが知られています。経路も手口も複数ある以上、対策ソフトの導入だけで完結させず、更新の適用や運用ルール、感染時の対応手順まで含めて備えましょう。まずは資料請求から比較を進めてみてください。


