国産CDNでも対応に時間がかかるケース
日本語でのサポートや国内の商習慣への対応を期待して国産CDNを選ぶ企業もあります。ただし、国産であることと、対応の速さが一致するとは限りません。対応に時間がかかる場合の背景と、契約前に確認したい点を紹介します。
契約プランによる対応の差
CDNのサポートは、契約しているプランによって対応の内容が異なる場合があります。下位のプランでは問い合わせがメールのみで、回答までに数営業日かかることもあれば、上位のプランでは電話や優先対応が受けられる場合もあります。
国産の製品であっても、サポートの体制は事業者やプランごとに異なります。「国産だから対応が早い」と考えず、契約予定のプランで受けられるサポートの内容と、回答までの目安時間を資料で確認しましょう。
問い合わせ内容の伝え方による差
問い合わせへの回答に時間がかかる原因は、事業者側だけにあるとは限りません。発生している現象や設定の状況、発生した日時などの情報が不足していると、事業者が状況を把握するためにやり取りが増え、解決までに時間がかかる場合があります。
問い合わせの際は、対象のドメインやURL、エラーの内容、再現の手順、管理画面の画面写真などを整理して伝えましょう。社内で問い合わせのテンプレートを用意しておくと、担当者が変わっても同じ品質で問い合わせができます。
契約前に確認したい対応条件
サポートへの不安を減らすには、契約前に対応の条件を具体的に確認しておくことが大切です。問い合わせの手段と受付時間、障害時の連絡手段、回答の目安時間、対応範囲が設定の案内までか作業の代行まで含むかが主な確認項目です。
サービス品質保証の内容を記したSLAに、サポートの応答時間が含まれているかも確認しましょう。代理店経由で契約する場合は、問い合わせ先が代理店か事業者かも確認が必要です。確認した内容は、比較表に記録しておきましょう。
ISMS対応と記載されたCDNで確かめたいこと
セキュリティ要件の厳しい企業では、ISMS認証を取得しているかを選定の条件にすることがあります。ただし、「ISMS対応」という表示だけでは、自社の要件を満たすかを判断できない場合があります。確認したい点を3つ紹介します。
認証の対象範囲
ISMS認証は、国際規格ISO/IEC 27001にもとづき、情報セキュリティを管理する仕組みを第三者が審査して与えるものです。認証は組織全体ではなく、特定の部門や拠点、サービスを対象に取得されている場合があります。
そのため、事業者がISMS認証を取得していても、自社が利用するCDNサービスが認証の範囲に含まれていない可能性があります。認証機関が公開している情報や、事業者が提供する資料で対象範囲を確認しましょう。
認証の有効期限と更新状況
ISMS認証には有効期限があり、継続するには定期的な審査を受ける必要があります。公式サイトに認証の取得が記載されていても、情報が更新されておらず、すでに期限が切れている可能性も考えられます。
認証の登録番号や有効期限を確認し、認証機関の公開情報と照らしあわせると確実です。海外の事業者の場合は、海外の認証機関で取得していることもあるため、確認方法を事業者に問い合わせるとよいでしょう。更新の審査を受けた時期も、あわせて確認できると安心です。
認証以外に確認したい資料
ISMS認証は、管理の仕組みが整っていることを示すもので、個別の機能や設定の安全性を保証するものではありません。自社の要件を満たすかを判断するには、認証以外の資料もあわせて確認することが大切です。
例えば、セキュリティに関するホワイトペーパーや、外部監査の報告書であるSOC2報告書、データを処理する地域の情報、障害や事故の報告方針などが挙げられます。どの資料が必要かは、社内のセキュリティ担当者と相談して決めましょう。
API必須の環境で注意したいCDN側の制限
記事を管理するCMSや社内システムと連携してCDNを操作したい企業では、プログラムから操作するためのAPIが使えることが導入の条件です。ただし、APIが提供されていても、利用には制限がある場合があります。導入前に確認したい3つの制限を紹介します。
呼び出し回数の上限
CDNのAPIには、一定時間内に呼び出せる回数や、一度に処理できる件数に上限が設けられている場合があります。上限は、事業者のシステムを安定して運用するために設定されているもので、製品やプランによって異なります。
更新の多いサイトで、記事や商品を更新するたびにキャッシュ(一時保存したデータ)削除のAPIを呼び出す仕組みにすると、上限に達して処理が失敗する可能性があります。想定する呼び出し回数を見積もり、上限に達した場合の動作と再実行の方法を確認しましょう。
APIで操作できる範囲
管理画面で行える操作が、APIでも同じように行えるとは限りません。キャッシュの削除はAPIで実行できても、不正な通信を遮断するWAFのルール変更や証明書の管理は管理画面からしか操作できないといった場合もあります。
自動化したい作業を一覧にし、それぞれがAPIで実行できるかを公開されている仕様書で確認しましょう。仕様書が英語のみの場合は、開発部門が内容を理解できるかもあわせて確認しておくと安心です。APIで実行できない作業は、手作業の手順として残しておく必要があります。
APIの仕様変更への備え
CDNのAPIは、機能の追加や改善にあわせて仕様が変更されることがあります。古いバージョンのAPIの提供が終了すると、連携していた仕組みが動かなくなる可能性があります。
事業者が仕様変更をどのように告知しているか、旧バージョンをどの程度の期間使えるかを確認しましょう。連携の仕組みを作った担当者だけが内容を把握している状態は避け、設計書や設定内容を社内で共有しておくことが大切です。告知を受け取る連絡先は、個人ではなく部署の共有アドレスにしておきましょう。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でCDNの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
カスタマイズ前提でCDNを導入して失敗するケース
自社の要件にあわせて細かく設定を作り込める点を重視してCDNを選ぶ企業もあります。ただし、カスタマイズを前提にした導入は、運用の段階で負担が増える場合があります。起こりうる失敗を2つ紹介します。
独自設定が保守の負担になる
配信ルールを細かく作り込んだり、配信拠点で動く独自のプログラムを組み込んだりすると、設定の内容を理解している人が限られてしまう場合があります。担当者が異動すると、設定を変更できる人がいなくなるおそれがあります。
また、独自の設定が増えるほど、サイトの構成を変更する際の確認作業も増えます。カスタマイズは本当に必要な範囲にとどめ、設定の目的と内容を文書に残しておきましょう。複数の担当者で内容を理解しておくことも欠かせません。
製品の仕様変更で設定が使えなくなる
CDNの機能は、事業者の判断で変更や提供終了が行われることがあります。特定の機能に依存した独自の設定を作り込んでいると、仕様変更の際に作り直しが必要になる可能性があります。
また、他の製品へ乗り換える際にも、独自の設定は移行の手間を増やす要因です。標準の機能で要件を満たせないかをまず検討し、カスタマイズが必要な場合は、将来の移行も想定した設計にしておくと安心です。事業者の機能変更の告知も、定期的に確認しましょう。
導入条件への不安を減らす確認の進め方
導入条件への不安は、資料を読むだけでは解消しにくい場合があります。不安な点を整理して事業者に質問し、検証や契約条件で確かめることで、導入後の想定外を減らせます。確認の進め方を2つのステップで紹介します。
不安な点を質問リストにまとめる
まず、サポートの対応条件や認証の対象範囲、APIの上限、カスタマイズの範囲など、不安な点を質問リストにまとめましょう。質問は「対応していますか」ではなく、「何時間以内に回答がありますか」のように具体的に書くと、比較しやすい回答を得られます。
同じ質問リストを複数の事業者に送れば、回答の内容や速さを比較でき、サポートの姿勢を知る手がかりとして役立ちます。回答は一覧表にまとめ、選定会議の資料として活用しましょう。
検証と契約条件で確かめる
回答の内容は、トライアルや検証環境で実際に確かめることが大切です。APIを試しに呼び出して上限の動作を確認したり、サポートに問い合わせて回答の速さを確認したりしましょう。
確認した条件のうち、重要なものは契約書やSLAに記載されているかを確認します。口頭や資料だけの説明では、後から条件が変わる可能性もあるため、法務部門と相談しながら契約内容を確認しましょう。契約更新時に条件が変わる可能性がないかも確認が必要です。
サポートやAPIの導入条件で比べるCDN
国内でのサポート対応やセキュリティ認証、API、カスタマイズの範囲など、導入条件を確かめながら比較したいCDNサービスを紹介します。
エッジキャッシュCDN
- 限られた予算で効率化・年間予算を決定しやすい月額定額料金採用
- 専門知識不要・設定やチューニングはすべてサポートが実施
- Webサイトやサーバーに変更を加えることなく導入可能
合同会社レッドボックスが提供する「エッジキャッシュCDN」は、Webサイトやサーバーに変更を加えることなく導入できるCDNサービスです。設定やチューニングはすべてサポートが実施する体制のため、社内で大がかりなカスタマイズを行う前提を置かずに導入を検討できます。キャッシュ技術を活用し、Web表示速度の向上や突発的な負荷への対策、CMSなどのセキュリティ強化を行えます。サポートの対応時間や認証の取得状況は、問い合わせて確認しましょう。
J-Stream CDNext (株式会社Jストリーム)
- 国内産CDNを完備!安定した配信環境をご提供
- 利用者の要望に沿った配信環境の設定が可能!柔軟な運営を実現
- 動作が重くなりやすい動的コンテンツにも対応!
IDCFクラウド CDN (株式会社IDCフロンティア)
- 国内外に多数の拠点!居場所を問わず安定した配信が可能!
- ログをリアルタイムで保存!利用者の動向をすぐに掴める!
- 豊富な料金プランでニーズに合った契約ができる!
HyperCDN (株式会社ハイパーボックス)
- 国内エッジサーバー多数でキャッシュ配信し負荷分散。
- SSL対応、CNAMEで自社ドメイン利用可。
- 転送量ダッシュボード、アラート、アクセスログを提供。
CDN77 (DataCamp Limited)
- リアルタイムでの詳細なレポートと分析機能を提供。
- API経由でCDN設定の自動化と管理が可能。
- HTTP/3など最新技術をサポート
CloudflareWorkers (Cloudflare Japan株式会社)
- 世界中に分散されたエッジネットワークで低レイテンシーを実現。
- オリジンサーバー不要でインフラ管理を効率化。
- 使った分だけ支払う従量課金制。
CDNetworks (株式会社シーディーネットワークス・ジャパン)
- 1.24Tbps規模のDDoS攻撃を防ぎ、ブラウザゲーム基盤を保護
- ベトナム有料テレビ著作権侵害対策を強化
- IDC中国WAAP評価で強力なWAAP能力を評価
まとめ
CDNの導入条件に不安がある場合は、「国産」「ISMS対応」「API対応」といった表示だけで判断せず、具体的な条件を確認することが大切です。国産でもプランによってサポートの対応は異なり、認証は対象範囲と有効期限の確認が必要です。APIの上限や操作範囲、カスタマイズの保守負担も事前に把握しておきましょう。不安な点を質問リストにまとめ、資料請求をして複数のCDNを比較検討してみてください。

