規模に合わない施設選びで発生するリスク
データセンターの選定では「今の規模に合っているか」だけでなく「将来の規模変化に対応できるか」も重要な視点です。両方を考慮しないと、短期間での移設・契約変更が必要になる可能性があります。
スペックオーバーによるコスト超過の懸念
大規模施設の広いラックスペースや高い電力容量を、実際には半分も使っていないという状況は珍しくありません。使っていないスペースに対しても基本料金が発生する契約では、毎月固定費が嵩む原因になります。初期工事費や設備費が高額な施設を選んだ場合、初期投資の回収に時間がかかります。
規模に合わない施設を選んでしまうリスクを下げるには、最初は最小利用単位から始められる施設を選び、必要に応じて段階的に拡張できる契約形態を選ぶことが有効です。1/4ラック・1ラック単位での柔軟な契約に対応した施設を優先的に候補に入れましょう。
容量不足による緊急移設コストの懸念
急成長した企業がデータセンターの容量を使い切ってしまい、急きょ追加スペースを確保しようとしたところ、同施設内では空きがなく、別施設への移設を余儀なくされるケースがあります。移設には機器の搬出・搬入・ネットワーク再設計・テスト稼働などのコストと時間がかかり、業務への影響が生じます。
このリスクを避けるには、契約時点で将来3〜5年の事業成長計画を踏まえた余裕スペースを確保することと、同施設内での追加ラック手配が速やかにできるかを事前に確認することが重要です。
規模変化に伴う解約時の違約金リスク
長期契約でコスト割引を受けていた場合、事業縮小や組織再編によってデータセンターの利用規模を下げたいときに、解約違約金や早期解約手数料が発生することがあります。事業の変化が激しい業種では、短期・中期での柔軟な契約変更ができる施設を選ぶことが賢明です。
契約前に「解約時の条件」「利用規模の縮小が可能か」「月次更新に切り替えられるか」を施設担当者に確認しておくことが、後々のコストリスクを軽減します。
規模に合った施設選びのための実践的なチェック方法
規模に合った施設を選ぶためには、現状の資産棚卸しと将来計画の両方を踏まえた選定プロセスが必要です。
現状のサーバー・機器資産を棚卸しする
まず、現在使用中のサーバー台数・ラック数・消費電力・通信帯域を正確に把握することが出発点です。把握できていない機器や、将来的に統廃合する予定の機器があれば、それらを含めた最終的な必要スペースを試算してからデータセンターの条件を決めましょう。
特に「気づいたら使われていないサーバーがラックを占有していた」というケースでは、先に社内の資産整理を行ってからデータセンターの選定に進むことで、無駄なスペース契約を避けられます。
3〜5年後の成長シナリオを複数設定する
事業の成長スピードは予測が難しいため、楽観・中立・保守の三つのシナリオを想定して、それぞれの場合にどの規模の施設が適切かをシミュレーションしておくことも有効です。楽観シナリオでは拡張性が高い施設、保守シナリオでは最小単位から始められる施設というように、シナリオに応じた候補を絞り込めます。
専門アドバイザーにシナリオを共有して施設を提案してもらうと、自社だけでは気づかない最適解が見つかることがあります。
段階的な拡張計画を施設担当者と事前に合意する
最初は小規模で始め、将来的にラックや電力容量を追加する計画がある場合は、その拡張計画を施設担当者と事前にすり合わせておくことが重要です。施設側に余裕スペースがあること・追加の際の工期と費用が明確なことを確認したうえで契約を結びましょう。
また、他の入居者の増加により将来的に追加スペースが確保できなくなるリスクもあります。拡張オプションの優先確保や、事前予約の仕組みが用意されているかも確認しておくと安心です。
企業規模の変化に対応したデータセンター戦略の見直し
ビジネス環境の変化に合わせて、データセンター戦略を定期的に見直すことが、コストと効率を最適化する鍵です。
M&Aや組織再編時のデータセンター統合課題
合併・買収・分社化などの組織再編が発生すると、複数のデータセンターを統合・整理する必要が生じることがあります。異なる施設に分散していたシステムを統合する際は、データの移行・ネットワークの再設計・セキュリティポリシーの統一など、技術的な課題が山積します。
M&Aの計画段階から、現行のデータセンター契約(解約条件・契約期間)を経営・法務部門と共有し、統合後のIT環境設計に組み込んでおくことが重要です。
クラウドファーストへの移行とデータセンターの役割変化
企業がクラウドファースト戦略を採用するにつれて、オンプレミス機器の削減・データセンター利用規模の縮小が起きることがあります。この場合、長期契約の解約コストや、クラウドとの接続性(ハイブリッド構成)を維持するための施設選定が課題になります。
現在のデータセンター利用をすべてクラウドに移行する計画がある場合でも、移行期間中はハイブリッド構成が必要になるケースが多いです。柔軟な契約変更が可能な施設を選んでおくことで、移行計画の自由度が高まります。
事業拡大に伴うグローバルデータセンター戦略
海外展開を進める企業では、現地法規制に対応したデータの現地保管(データローカライゼーション)要件を満たすデータセンターを各国に確保する必要があります。グローバルに複数拠点のデータセンターを運用する場合は、各施設の管理を統一したポータルで行えるベンダーを選ぶと、運用の複雑さを軽減しやすいです。
海外拠点のデータセンター選定では、現地のコンプライアンス要件・法規制・政治的リスクも考慮に入れる必要があります。グローバルなデータセンター選定には、現地の専門家によるアドバイスを活用することをお勧めします。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品と比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でデータセンターソリューションの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
規模に合わせて選べるデータセンターソリューションの紹介
小規模から始めて段階的に拡張できる施設や、規模・予算に応じたアドバイスを提供するサービスを紹介します。
S-Port データセンターサービス
- 1/4・1/2ラックなど、小規模な案件にも柔軟に対応可能
- 高電力提供可能な都心型データセンターを低価格で提供
- マルチキャリア対応/インターネット/24時間監視運用サービス提供
都心立地で高品質・低コストを実現するデータセンターです。1/4ラックの小規模から利用でき、震度6強相当の耐震設計と48時間の自家発電に対応。マルチキャリア接続も可能です。
ビジネスiDC
- 専門アドバイザーが最適なデータセンターをご提案
- 日本全国80ヵ所以上のデータセンターをご案内できます
- データセンター×クラウドのハイブリッドも提案可能
全国80ヵ所以上のデータセンターから最適な施設を提案する選定支援サービスです。専門アドバイザーが業種・規模・予算に合わせてプランを提案。月額116,000円からのスターターパックも用意されています。
東京・大阪エリア MCDRコロケーションソリューション
- ミッションクリティカルデータの安全性、可用性を担保する設計
- 将来の拡張要件に対応した大容量電源を提供可能
- 大阪中心部から約20km、東京エリアと共に災害リスクの低い地域
東京・大阪に立地するハイパースケール向け高密度データセンターです。ISO27001/SOC2認証取得済みで、1ラック単位から柔軟に利用可能。高いセキュリティ基準と拡張性を両立しています。
IIJデータセンターサービス
- 利便性の高い都市型センター、郊外型センター、海外にも展開中
- 耐震・免震構造、24時間365日体制の設備など万全の体制でご提供
- 構内配線に接続するだけで広帯域バックボーンへ接続可能
全国16拠点と海外にネットワークを持ち、耐震・免震構造を備えた大規模データセンターです。自社クラウドとの親和性が高く、24時間365日の運用体制で企業のITインフラを支えます。
QTnet福岡第3データセンター (株式会社QTnet)
- 供給電力は最大30kVA/ラック、GPUなど高負荷サーバーに対応
- 1,400ラック収容可能な拡張性のあるサーバールーム
- 低災害リスク、高い利便性を誇る福岡に立地
ICC-IDCデータセンター (株式会社石川コンピュータ・センター)
- 電子制御された安全空間にサーバー委託ができる
- いつでも高速かつ安全なネット回線を提供
- 仮想基盤「Vase」導入で動作を軽快に
まとめ
企業規模に合わないデータセンター選びは、コスト超過・容量不足・移設コストなどの問題を引き起こします。現状の資産棚卸しと将来の成長シナリオを踏まえた選定を行い、段階的に拡張できる契約形態を持つ施設を選ぶことがリスク回避の基本です。迷ったときは専門アドバイザーに相談することも有効な手段です。


