債権管理システムとは
まず債権とは何かを説明します。債権とは、ある人や法人(債権者)が特定の人や法人に、特定の物や金銭を請求できる権利のことです。
したがって債権管理システムは、取引における債権を管理するシステムです。取引先や案件、科目、部門等の債権を把握します。
債権管理システムの機能
債権管理システムは取引における債権を管理するシステムです。システムの細かい機能は以下のとおりです。
- ●売掛金等の管理・消込機能
- ●受取手形のてん末管理機能
- ●債権回収の支援、書類作成機能
これらの機能について、詳しくみていきましょう。
売掛金等の管理・消込機能
業務で最も多く発生する債権として、売掛金があります。売掛金は発生と支払いが繰り返し行われるという特徴があります。個々の売掛金と入金が対応していないと、現状が把握できなくなりがちです。
債権管理システムの主要な機能として、取引ごとに発生した債権と入金をひも付ける機能があります。入金があった際、取引先ごとの売掛の一覧からマッチング、消込が可能です。さらに、銀行のFBデータと連動し、突合を自動的に行う機能を持つシステムが搭載されているため、取引先ごとの売掛金の滞留状況を把握することが容易になります。
受取手形のてん末管理機能
企業で利用される債権の形態として、ほかに受取手形、小切手があります。債権管理システムでは、受取手形に関する情報も入力でき、個々の手形の取立てや銀行割引、裏書譲渡などの「てん末」を辿れます。手形取引で最も大きなリスクとなる、不渡による未回収を防ぐために役立つのです。
債権回収の支援、書類作成機能
確実な債権回収は、キャッシュフロー改善にとって極めて重要なポイントです。滞留する売掛金の回収のためには、支払期限を過ぎた債権額の確定、そして未払いの状況に合わせて請求書、督促等の手立てを打っていく必要があります。
債権管理システムでは、支払期限を過ぎた債権について注意喚起が表示されるため、回収時期を見逃しません。また、取引先に送付する書類発行機能も搭載されており、請求書や督促状の作成、印刷までの業務をシームレスに行えます。
債権管理システムのメリット
債権管理システムの機能を理解したところで、導入するメリットが何か気になるのではないでしょうか。債権管理システムをメリットは以下の3点になります。ミスが減るだけではなく作業効率があがるため、内容をしっかりとおさえておきましょう。
- ●一括管理ができる
- ●回収の効率が上がる
- ●ミスが減る
一括管理ができる
取引先ごとに購入日や入金が異なったり、入金が分割で行われたりすると、管理が手間になります。また支店や支社によって債権の回収が異なることで、財政状況が悪化し、非効率的な体制になってしまいます。
債権管理システムを導入することで売掛金や入金が一括になるため、管理がスムーズです。
回収の効率が上がる
債権管理システムを利用することで、債権回収の効率が上がります。
効率化することで、支払いの遅延状況がすぐに表示され、回収に必要な書類がすばやく作成が可能です。未回収金が発生した場合でもシステムに従って対応できるため、未回収債権を早期に解決できます。
ミスが減る
債権管理システムで一括管理をすることで、手作業だったデータ入力や金額の計算などの作業が自動化できるため、人的ミスが減らせます。
債権管理は金銭のやり取りであるため、1度のミスで会社全体の信用問題につながってしまいます。作業の精度や効率をあげるためにシステムを導入するとよいでしょう。
債権管理システム導入のメリットについては、以下の記事で詳しく解説しているので、よろしければご覧ください。
債権管理システムのデメリット
債権管理システムのデメリットは、システムの導入に時間を要することと、コストがかかることです。しかし適切に導入できれば便利なシステムとなります。
導入に時間がかかる
新たな債権・債務管理システムを導入すると、社員が慣れるまでに時間がかかります。
システムを導入して、使い方を社員へレクチャーするようにしましょう。
費用がかかる
システムを導入すると、初期費用や月額費用がかかります。社内でどのような機能が必要かどうかを話し合い、費用対効果が合っているか検討しましょう。
おすすめしたい債権管理システム
債権管理システムを導入することでさまざまな取引が一元管理できて、効率化できます。請求の自動化が可能な製品が多くありますが、月額料金や他の会計システムと連携が可能かどうかなど細かい機能が異なります。
おすすめの債権管理システムを比較
債権管理システムは、業務効率化や財務改善に期待ができるツールですが、会社規模や業態に合わせたさまざまな製品があります。
特徴や機能についてよく確認をしつつ、口コミ(レビュー)チェックの活用が有効です。
T-CHECK Plus
株式会社東計電算 / Toukei (Thailand) Co., Ltd. 《T-CHECK Plus》のPOINT
- 豊富な照合パターンで明細・伝票単位で柔軟な照合を実現!
- PDFをアップロードするだけで簡単自動照合!
- インボイス発行事業者照合にも対応可能!
ITトレンドにおける年間資料請求ランキング2年連続第1位を獲得。高度なAI-OCR機能搭載で、紙媒体の書類しか受領できないケースでもAI-OCRが照合可能なデータへ自動化します。
初期費用 |
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主な機能 |
高度なAI-OCR機能(オプション)照合済み / 検収オンリー(請求オンリー)/ 売上オンリー(仕入オンリー)/ 単価差等ステータス毎にデータを自動振り分け
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特徴 |
2021年から「新収益認識基準」に対応/明細・伝票単位で柔軟な照合を実現/PDFをアップロードするだけで簡単自動照合 |
《V-ONEクラウド》のPOINT
- 消込作業を大幅に削減!機械学習による高い照合率
- クレジットや口座振替などのBtoC決済管理にも対応
- メーカーや卸売業特有の検収データ照合にも対応
V-ONEクラウドは現在の請求システムを変えずに、入金消込・債権管理を自動化し、コスト削減が可能です。
システムに関する専門知識は一切不要です。導入の際には担当がサポートし、初めての方でもスムーズに本稼働まで至っています。
初期費用 |
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主な機能 |
異なる金融機関の複数口座入金データを自動連携/API連携機能 |
特徴 |
消込作業を大幅に削減/BtoC決済管理や卸売業特有の検収データ照合にも対応。
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いい点 卸売・小売業・商業(商社含む) 5,000名以上
改善してほしい点 コンサル・会計・法律関連 250名以上 500名未満
《freee支出管理 Fullプラン》のPOINT
- ルールに基づき、会社の支出を自動で制御
- 高精度OCRによる自動明細取得で入力ミスや計算ミスを大幅削減!
- 作業量69%削減!データやマスタの連携で経理担当者の業務効率化
freee会計では、支払管理レポートが自動で作成されるため支払期日の管理や任意期間内の買掛金の変動を見ることで支払の遅延を防ぎます。
また、データをインターネットバンキング(IB)に連携しており、総合振り込み用のファイルを作成できます。
初期費用 |
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主な機能 |
債務一覧の確認が可能/総合振込ファイルの作成/決済仕訳の登録
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特徴 |
「freee会計」の経理機能が使える/進化し続けるクラウド型/分かりやすいUIで自動仕訳や振込データの自動生成
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製品・サービスのPOINT
- 請求書データの保存・入力・適格請求書判定の自動化
- 申請 / 承認のハンコリレーを電子化してテレワークに対応
- 請求書の受取と開封 / 保管 / 入力をBPOで
マネーフォワードクラウド債務支払いでは、業務効率化するためにBPOサービスを提供しています。また請求書のデータ化するだけではなく、事前申請・支払い依頼・承認・請求管理まで一括で管理ができます。
初期費用 |
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主な機能 |
電子帳簿保存法/AI-OCRを介して請求書の自動読み取りが可能/APIで連携 |
特徴 |
煩雑な紙の取り回しをペーパーレスに/ハンコリレーを電子化してテレワークに対応
請求書の受取と開封 / 保管をBPOで |
改善してほしい点 放送・広告・出版・マスコミ 50名以上 100名未満
製品・サービスのPOINT
- 単体会計から連結会計、債権・債務や原価管理まで一貫サポート
- 豊富な業務系システムと業界ソリューションとの連携で全社最適化
- スキャナ保存など先進技術を採用。制度改正にもタイムリーに対応
OBIC7会計情報システムでは会計情報を一元管理し、業務プロセスが可視化できます。内部統制強化や経営の意思決定支援、予算統制マネジメント、IFRSの全面適用に向けて会計基準や制度改正に対しても迅速な対応が可能です。
初期費用 |
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主な機能 |
財務会計システム/汎用仕訳連携・為替差損益計算機能/間接費配賦・完成・仕掛振替・原価収支管理機能/入金消込
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特徴 |
単体会計から連結会計、債権や原価管理まで一貫サポート/豊富な業務系システムと業界ソリューションとの連携/スキャナ保存など先進技術を採用。
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いい点 金融・証券・保険 250名以上 500名未満
《支払管理の達人》のPOINT
- 毎月の支払い業務をシンプル化
- 自社の業務に合わせた柔軟なカスタマイズ
- 各財務会計ソフトに連携
支払い管理の達人は、対応している会計システムから出力した仕訳伝票をシステムに入れるだけで金額を集計、支払日を自動計算できます。「電子債権の達人」とセットで使うと手形発行・でんさい発生作成などの機能が使用可能です。
初期費用 |
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主な機能 |
データ受け入れ機能で二重入力防止/電子債権の達人との自動連携が可能。 |
特徴 |
毎月の支払い業務をシンプル化/自社の業務に合わせた柔軟なカスタマイズ各財務会計ソフトに連携/支払予定・振込データを簡単作成可能 |
《電債の達人》のPOINT
- 手形もでんさいも期日現金も多様な決済手段をまとめて管理
- 紙の手形管理の煩雑さをシステムで大幅に効率化
- 発生(受領)から決済まですべてのてん末を自動管理可能
電子債権の達人は、でんさいネット・電手・紙の手形・ファクタリング・期日現金の5種類の支払い方法に対応しているソフトです。
9社の会計ソフトと仕訳連携ができるため、仕訳の二重入力をせずに済みます。
初期費用 |
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主な機能 |
でんさいネット・電手・紙の手形・ファクタリング・期日現金の管理が可能/会計ソフト連携機能搭載 |
特徴 |
手形や期日現金も多様な決済手段をまとめて管理/紙の手形管理の煩雑さをシステムで大幅に効率化/発生(受領)から決済までのてん末を自動管理可能 |
連携できるシステム |
SMILE/大蔵大臣NX/FX4クラウド/PCA会計DX/弥生/GLOVIA smart/鑑定奉行i10/財務応援R4/MJSLINK |
《URIHO》のPOINT
- URIHOは「倒産・支払い遅延」も保証対象で使いやすい!
- 審査は最短即日!
- 安心の定額制。かかるのは月額料金だけ!登録は何社でも!
URIHOは自動車保険のように未払いに備えられる保証サービスです。経営悪化や倒産などで支払いがされなかった場合、取引先の代わりにURIHOが支払いをします。安心の定額制で、かかるのは月額料金のみです。
初期費用 |
Aプラン:9,800円 |
Bプラン:29,800円
Cプラン:99,800
主な機能 |
倒産・支払い遅延の保証機能が搭載 |
特徴 |
手続きはネットで完結/定額料金だけで何社でも取引先数を登録できる |
債権管理システムを選ぶ際のポイント
債権管理システムの製品を紹介しましたが、どのような基準で選べばいいか迷ってしまうのではないでしょうか。選ぶときのポイントは次の3点になります。
必要な機能や、他の会計システムとの連携が可能なのかを視野に入れながら選びましょう。
システムの利用者を想定する
債権管理システムによって設定や使い勝手が異なるため、担当者のスキルの想定が必要です。担当者の簿記や経理の知識のレベルに合わせて、細かい設定か簡単な操作で使えるものなのかをチェックしましょう。
導入までの工程にどれぐらいかかるか
債権管理システムを選んだあと、すぐに使いたいと思っていても、製品によっては数か月かかる場合があります。
また社員へのレクチャーが必要になるため、それも含めた導入工程を検討しておきましょう。
既存システムと連携ができるか
システム間の連携が可能か確認しましょう。特にグループ会社が多い企業は、債権管理データの共有範囲を細かく設定できるかどうかも検討するとよいです。
連携機能が可能な場合、仕訳データを会計管理システムに出力できたり、入金消込を自動化したりできます。
債権管理システムについて、どういった製品があるのか興味がある方はITトレンド内掲載製品の資料請求ランキングをご覧いただけます。よろしければ製品比較の参考にしてください。
債権管理システムの機能を知って導入を検討しよう
債権管理の機能を紹介しましたが、債権管理システムは、債権のデータを同時に、一括して管理することに大きな意義があります。
債権管理システムは、財務安全性の高い経営を行うという会社の重要課題に、確かなソリューションを提供するツールであるといえるでしょう。ぜひシステムの導入を検討してみてください。