DX支援を依頼したあとの運用体制が重要な理由
DX支援サービスとは、DXの構想づくりから実行、定着までを外部の専門家が支援する、または業務の一部を請け負うサービスです。依頼しただけで成果が出るわけではなく、社内の体制が成否に影響します。
支援が終わったあとも続く運用の負担
DXの取り組みは、仕組みを整えて終わりではありません。業務の変化にあわせた見直しや、従業員への説明が継続して発生します。
外部の支援が終わった後に、誰が何を引き継ぐのかを決めておかないと、運用が止まる場合があります。依頼の段階から支援終了後の姿を想定し、必要な社内の役割を洗い出しておきましょう。
運用に必要な作業を一覧にしておくと、社内で担える部分が見えてきます。依頼時に、運用の負担も試算しておきましょう。
社内と外部で担う役割の違い
社内の担当者は、自社の業務や社風、意思決定の流れを把握しています。一方、外部の支援会社は、他社の事例や専門的な知識、進め方の型を持っている点が特徴です。
この違いを活かすには、方針の決定や現場との調整は社内、情報収集や設計、進行管理は外部というように役割を分けます。分担の例を整理しておくと、依頼範囲を決めやすくなります。
自社の担当者の経験にあわせて、外部に任せる部分を調整することもできます。役割の線引きは書面に残しておきましょう。
| 役割 | 担当の目安 |
|---|---|
| 方針の決定、予算の承認 | 社内(経営層や推進責任者) |
| 現場との調整、従業員への説明 | 社内(推進担当者) |
| 課題の整理、進め方の設計、進行管理 | 外部(支援会社)、社内と共同 |
体制が曖昧なときに起こる滞り
役割分担が曖昧なまま進めると、対応する人が決まらず、確認や判断が遅れる場合があります。支援会社が社内の誰に聞けばよいかわからず、作業が止まるケースも考えられます。
こうした滞りを防ぐには、窓口となる担当者と、判断を行う責任者を明確にしておくことが有効です。不在時の代理の担当者も決めておくと、連絡が途切れにくくなります。
連絡の経路を図にまとめ、関係者に配布しておくと、確認の手間を減らせます。体制図を作成しておくと確認が容易です。
社内に担当者が少ない会社の運用体制
経営企画の担当者が1人の会社や、情報システム部門を置いていない会社では、社内だけでDXを進めるのは難しい場合があります。外部との分担の考え方を整理します。
経営企画担当が1人で進める場合の負担軽減
担当者が1人だと、会議の準備や資料づくり、現場との連絡が一人に集中しやすくなります。支援会社に、定例会の進行や議事録の作成、進捗の管理を任せられるかを確認しましょう。
ただし、社内の意思決定や現場への説明は、担当者が担う部分として残ります。担当者の作業時間を事前に見積もり、無理のない頻度で関われる体制かを、支援会社と確認しておくと安心です。会議の回数や資料の量を、担当者の負担にあわせて調整できるかも尋ねてみましょう。
情シスがいない会社で外部に任せる範囲
情報システム部門がない会社では、ツールの選定や設定、トラブル時の対応を担える人が社内にいない場合があります。これらを外部に任せられるかが、依頼先選びの基準になります。
任せる範囲は、相談への助言だけなのか、設定作業まで行うのか、運用の代行までなのかで異なります。範囲によって費用も変わるため、どこまで依頼するのか、書面で確認しておきましょう。トラブル時にどこへ連絡すれば対応してもらえるかも、あわせて確かめておきましょう。
担当者の異動や退職に備える引き継ぎ
担当者が1人の体制では、異動や退職によって、それまでの経緯がわからなくなるおそれがあります。特定の人に頼らない運用が、長く続けるうえで重要です。
手順書や決定事項の記録を、支援会社にも手伝ってもらい作成しておきましょう。複数の社員が状況を把握できるよう、情報の共有先を決めておくと、担当者の交代時にも対応しやすくなります。
引き継ぎ資料を定期的に更新する習慣をつけると、情報が古くなるのを防げます。記録を残す習慣が、運用の継続を支える土台です。
経営企画と情報システムが分業する体制
経営企画部門と情報システム部門がある会社では、分業によって進めやすくなる一方、責任の所在が不明確になる場合があります。両部門と外部の関係を整理します。
企画と実行の責任範囲の分け方
一般的に、経営企画は目的や優先順位の決定、情報システムは技術面の検討や運用を担う形が考えられます。ただし、会社によって実情は異なるため、自社の状況にあわせて決めましょう。
境界が曖昧になりやすいのは、ツール選定や費用の判断です。誰が最終的に決めるのかを明確にしたうえで、支援会社にも伝えておくと、提案の宛先がぶれにくくなります。
両部門の担当者が同じ資料を見ながら話し合う機会を設けることも有効です。役割の違いを、会議の場でも共有しましょう。
外部の支援会社を含めた会議体の設計
経営企画と情報システムの2部門に支援会社が加わると、情報の伝わり方が複雑になります。定例会に誰が参加し、何を決める場なのかを、あらかじめ設計しておくことが大切です。
会議の頻度は、月に1回程度の全体会議と、必要に応じた個別の打ち合わせを組みあわせる方法があります。決まった内容と宿題を、会議後に共有する担当者も決めておきましょう。会議の目的を事前に共有しておくと、短い時間でも判断が進みやすくなります。
判断が必要な場面の決裁ルール
支援を進めるなかでは、計画の変更や追加の費用など、判断が必要な場面が生じます。どの範囲までなら現場の担当者が判断でき、どこから上位者の承認が必要かを定めておきましょう。
ルールがないと、判断待ちで作業が止まる場合があります。支援会社にも、判断が必要な事項を早めに上げてもらうよう依頼し、確認の期限を共有しておくと、進行の遅れを抑えられます。決裁の流れを図にして支援会社へ渡すと、確認先を迷わずに済みます。
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多拠点やグループ会社のDX推進を統合管理する体制
拠点やグループ会社が複数ある場合は、本社が全体を把握し、各拠点が自律的に動ける体制が求められます。統合管理の仕組みをつくる際に、決めておきたい観点を解説します。
本社で一括管理する範囲を決める
すべてを本社が管理すると、各拠点の事情に対応しにくくなります。一方、各拠点に任せすぎると、方針や費用にばらつきが出る可能性があります。
全体の方針、予算の枠、情報管理のルールは本社、日々の業務改善は各拠点というように、範囲を分けて考えましょう。外部の支援会社には、この線引きの整理から相談できます。
線引きを文書にして各拠点へ示すと、現場の混乱を抑えやすくなります。範囲は運用しながら見直していくことも可能です。
拠点ごとの進捗を共通の様式で集める
計画と進捗を統合して管理するには、各拠点が同じ様式で報告する仕組みが必要です。様式がばらばらだと、本社での集計に手間がかかり、状況の比較も難しくなります。
報告の項目は、実施した内容、課題、次の予定など、必要最小限に絞ると各拠点の負担を抑えられます。様式の設計や集計を、支援会社に手伝ってもらえるかも確認しておきましょう。拠点の規模や業務の違いを考慮して、報告の内容に幅を持たせることも検討しましょう。
- 報告の頻度(月次や四半期など)を拠点間でそろえる
- 報告の項目は必要最小限に絞る
- 課題が出た際に本社へ相談する窓口を決める
計画と進捗を定期的に見直す
統合管理では、集めた報告をもとに、全体の計画を定期的に見直すことが欠かせません。進捗が遅れている拠点には、本社や支援会社が支援に入る判断も必要になります。
見直しの頻度は、四半期ごとなど、自社の事業の動きにあわせて決めましょう。見直した内容と理由を記録しておくと、担当者が替わっても経緯を確認しやすくなります。
見直しの場には、拠点の代表者にも参加してもらうと、現場の声が反映されやすくなります。見直し結果は全拠点に共有しましょう。
運用体制を固めるための契約と報告の取り決め
役割分担を決めても、契約や報告のルールに反映されていないと、実際の運用で食い違いが生じるおそれがあります。DX支援・コンサルティングを依頼する際に、取り決めたい内容を紹介します。
支援範囲と連絡窓口を契約書に明記する
契約書や仕様書には、支援会社が担当する作業の範囲と、対象外の作業を具体的に記載しましょう。曖昧な表現のままだと、追加の依頼として別料金になる場合もあります。
あわせて、連絡窓口となる担当者と、問い合わせへの回答時間の目安を決めておくと安心です。急ぎの場合の連絡手段も、事前に共有しておくとよいでしょう。
契約前に支援内容の説明を受け、疑問点を書面で残しておくこともおすすめです。窓口は複数人にしておくと安心です。
報告の頻度と内容を決める
支援の進み具合を把握するため、報告の頻度や形式を決めておきましょう。週次の進捗報告と、月次の成果報告に分ける方法があります。
報告には、実施した作業、次回までの予定、課題と相談したい事項を含めてもらうと、社内の関係者にも共有しやすくなります。報告内容は、後から確認できるよう資料として残してもらいましょう。
報告の形式がわかりやすいかどうかも、依頼先を比較する際の材料になります。形式は、支援開始時に試して調整しましょう。
支援終了後の内製化を見据える
外部への依存が長く続くと、費用が積み上がるだけでなく、社内にノウハウが残りにくくなります。いつまでに、どの部分を社内で担えるようにするか、目標を決めておきましょう。
支援会社に、手順書の作成や社員向けの勉強会を依頼できる場合もあります。契約の際に、支援の終了時に引き渡してもらう成果物の範囲も、確認しておくと安心です。
内製化の進み具合は、定期的に確認して計画を見直していきましょう。最終的な目標を、支援会社とも共有しておきます。
運用体制づくりを支援するDX支援サービス
社内の担当者が少ない場合や、外部との役割分担を決めたい場合に、相談先の候補となるサービスを紹介します。支援の範囲は、資料請求や相談で確認しましょう。
IT顧問 情シス君
- 広範囲で情シス業務をカバーでき、何でも引き継ぎ可能
- 引き継ぎ資料・手順書・マニュアルの作成を行い、内製化も支援
- 3レイヤー体制による適材適所で脱属人化を無駄なくサポート
株式会社デジタルハックが提供する「IT顧問 情シス君」は、専属の情シス担当のように、社内のIT導入や運用に関する業務を引き継ぐIT支援サービスです。マネージャーがプロジェクト全体を統括するチーム体制で進め、引き継ぎ資料や手順書、マニュアルの作成を通じて内製化も支援するとされています。担当者が少ない会社が、外部に任せる範囲を相談したい場合に向きます。窓口や報告の頻度など、運用が始まってからの進め方も、資料請求や相談の場で具体的に確認しておくと安心です。
情シスSourcing(ソーシング)
- 企画業務から運用業務までほぼ全領域での支援が可能
- どんな情報システム業務も、半日作業から個別依頼ができる
- 情報システム部員を本来の企画業務へシフトすることが可能
ハイブリィド株式会社が提供する「情シスSourcing(ソーシング)」は、定常業務を外部化することで、社内の担当者が企画業務や重点課題に注力できる体制づくりを目指すサービスです。業務を委託する時点でフローやマニュアルを整備し、特定の担当者に依存しない運営を図る内容が示されています。対象は従業員10名以上で、半日作業から個別に依頼できるとされています。社内で担う役割と外部に任せる役割をどう分けるかを、資料請求や相談の場で具体的に確認しておくと安心です。
スポットPM
- 従来の一般的なコンサルとは異なり、低予算・小規模でも相談可能
- リサーチから運用まで、プロジェクトをスピーディーに推進
- プロジェクト専属のAIエージェントで工数削減とナレッジ化を実現
rayout株式会社が提供する「スポットPM」は、定例会議の実施やベンダーコントロールを含め、プロジェクトの進行管理を担うPMサービスです。事前のヒアリングにもとづき、「いつまでに」「どのような体制で進めるか」を明確にした計画を提案します。社内に動ける人材がいない場合の推進役として相談できます。提供エリアは全国です。支援が終わったあとの引き継ぎや、成果物の扱いも、資料請求や相談の場で具体的に確認しておくと安心です。
ICTコンシェルジュ
- 「売上拡大」「業務効率改善」「リスク回避」を実現
- 定期訪問により課題に合わせた解決策を伴走支援
- IT周りのお困りごともリモートサポートにて即時対応
株式会社テクニカが提供する「ICTコンシェルジュ」は、定期訪問により環境を把握し、課題にあわせた解決策を伴走支援するDX支援サービスです。IT周りの困りごとにはリモートサポートで対応します。情報管理体制の見える化や、パソコンの状態の報告も内容に含まれています。対象は従業員10名以上500名未満の会社で、提供エリアは近畿です。訪問の頻度や、リモートサポートの対応時間と範囲も、資料請求や相談の場で具体的に確認しておくと安心です。
H&K (株式会社H&K)
- HubSpot Diamondパートナーに選出(120社中1社)
- 戦略~実行まで一気通貫でROI最大化
- 事業計画、KGI・KPI、市場分析に対応
SIGNATEDX人材育成ソリューション (株式会社SIGNATE)
- 導入実績: 1,100社、20万人以上
- 経産省デジタルスキル標準に完全対応
- 公的機関の人材育成プロジェクトでも活用実績あり
リスキリング研修 (ラーニング・ツリー・インターナショナル株式会社)
- デジタルとマネジメントスキルを両立
- 多様なニーズに対応(アジャイル開発、ビジネス分析など)
- 公開講座・オンサイト研修・e-learningで柔軟な学習が可能。
DX支援に関するよくある質問
DX支援・コンサルティングの運用体制について、よくある質問と回答をまとめました。
- ■Q1:担当者が1人でもDX支援を活用できますか?
- A:活用できる場合があります。定例会の進行や資料づくりを支援会社に任せられるかを確認しましょう。ただし社内の意思決定と現場への説明は残るため、担当者の作業時間を見積もっておくと安心です。
- ■Q2:情報システム部門がない場合、どこまで外部に任せられますか?
- A:助言のみ、設定作業まで、運用の代行までと、支援会社によって範囲が異なります。任せる範囲を書面で確認し、トラブル時の連絡先も決めておきましょう。
- ■Q3:複数拠点の進捗を本社で管理するには、どうすればよいですか?
- A:報告の様式と頻度を拠点間でそろえることが基本です。本社で管理する範囲と各拠点に任せる範囲を分けておくと、運用しやすくなります。集計を支援会社に手伝ってもらう方法もあります。
- ■Q4:支援が終わったあとの運用には、どう備えればよいですか?
- A:手順書や決定事項の記録を、支援期間中に作成しておきましょう。引き渡してもらう成果物の範囲も、契約前に確認すると安心です。複数人で状況を共有しておくと、担当者の交代にも対応しやすくなります。
まとめ
DX支援・コンサルティング・アウトソーシングは、依頼する前に運用体制と社内外の役割分担を決めておくことが大切です。担当者が少ない会社では外部に任せる範囲と引き継ぎを、分業する会社では責任範囲と決裁ルールを、多拠点では本社と拠点の線引きを整理しましょう。契約や報告の取り決めにも反映して、複数社を比べてみてください。資料請求で詳細を確認するのも一つの方法です。

