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有床クリニックの電子カルテ、オンプレミスが向くのはどんな院?

有床クリニックの電子カルテ、オンプレミスが向くのはどんな院?

有床クリニック向け電子カルテのオンプレミス型は、院内にサーバを置くため、インターネット回線の障害時にも院内で記録を続けやすく、検査機器などとも院内でつなげる点が特徴です。一方で、少ない職員でサーバの管理や停電対策、機器更新を続ける負担があります。この記事では、入院患者を抱える有床クリニックがオンプレミス型を選ぶ場面と運用の注意点、保守の委託の考え方、クラウド型へ移す時期の判断を解説します。

この記事は2026年10月時点の情報に基づいて編集しています。
目次

    ITトレンドがおすすめする製品・サービス

    ■システム構成別
    ■保守・障害への備え別

    有床クリニック向けオンプレミス型電子カルテの仕組み

    有床クリニックとは、19床以下の入院用のベッドを持つ診療所で、医療法上は有床診療所と呼ばれます。外来と入院の両方を扱うため、電子カルテに求める機能と稼働の条件が、無床の診療所とは異なります。まずはオンプレミス型の仕組みを確認しましょう。

    院内サーバと端末で構成される仕組み

    オンプレミス型は、院内に電子カルテのサーバを設置し、診察室や病棟、受付の端末を院内ネットワークでつないで利用する形態です。データは院内のサーバに保存され、日々の記録や検索は院内で処理されます。

    小規模な診療所では、専用のサーバ機ではなく、パソコンをサーバとして使う構成もあります。いずれの場合も、サーバの設置場所や電源、バックアップの方法を院内で決めて管理する必要がある点は共通です。設置場所は、職員以外が触れられない場所を選びましょう。

    関連記事 有床クリニック向け電子カルテの価格を左右する入院機能と病棟の備え

    レセコンや院内機器との接続

    有床クリニックでは、外来と入院の会計を行うレセプトコンピュータ(レセコン)や、検査機器、画像の装置、心電計などを電子カルテとつないで使う場合があります。オンプレミス型では、これらの機器と院内ネットワークの中で接続する構成が取られます。

    接続できる機器や方法は、電子カルテの製品や機器の提供会社によって異なります。導入や更新の際は、現在使っている機器の一覧を作り、電子カルテとの接続に追加の費用や機器が必要かを、それぞれの提供会社に確認しておきましょう。

    入院を扱うことで求められる稼働時間

    無床の診療所であれば、診療時間外に電子カルテを停止し、機器の更新や点検を行う余地があります。一方、有床クリニックでは夜間も病棟で記録や指示の確認が必要なため、電子カルテを停止できる時間帯が限られます。

    オンプレミス型では、ソフトウェアの更新や機器の点検を、入院患者への影響が少ない時間帯に計画する必要があります。作業中も病棟で記録を続けられるよう、代替手段を提供会社と事前に決めておきましょう。外来と病棟の双方への影響を抑えた日程調整も重要です。

    有床クリニックでオンプレミス型が向くケース

    オンプレミス型が向くかどうかは、診療所の立地や設備、院内の体制によって変わります。入院患者を抱える有床クリニックならではの事情から、オンプレミス型が検討されやすい場面を整理します。

    回線の障害時も院内で記録を続けたい場合

    有床クリニックは、夜間も入院患者の観察や投薬、記録を続ける必要があります。オンプレミス型は院内で処理が完結するため、インターネット回線に障害が起きても、院内ネットワークとサーバが動いていれば記録を続けられます。

    地域の通信環境が安定しない場合や、回線の二重化が難しい場合には、この点が判断材料になり得ます。ただし、院内のサーバや電源に障害が起きれば止まる点は同じため、停止時の手順は別に用意しておく必要があります。

    院内の検査機器や既存の設備を生かしたい場合

    検査機器や画像の装置を多くつないでいる有床クリニックでは、院内ネットワークの中で接続を完結できるオンプレミス型が選ばれることがあります。既存の院内ネットワークや機器をそのまま生かせる場合、移行の手間を抑えられる可能性もあります。

    一方で、クラウド型でも院内に接続用の機器を置いて検査機器とつなぐ製品があります。機器との接続だけを理由に決めるのではなく、接続の方法と費用を両方の形態で比べたうえで判断しましょう。

    少人数でオンプレミス運用を続ける負担

    オンプレミス型は、サーバの管理を診療所自身が担う形態です。専任の情報システム担当者がいない有床クリニックでは、院長や事務長が管理を兼ねている場合もあります。運用の負担を事前に把握しておきましょう。

    停電対策と夜間の障害対応

    停電でサーバが急に止まると、データが壊れるおそれがあります。無停電電源装置を設置し、停電の際も安全な手順でサーバを停止できるよう備えることが大切です。自家発電設備がある場合は、電子カルテの機器が対象に含まれているかも確認します。

    夜間に電子カルテが止まった場合、夜勤の看護師が最初に何を確認し、誰に連絡するかを決めておきます。提供会社の障害受付が夜間や休日に対応しているかは保守契約によって異なるため、契約内容を確認し、連絡先を病棟に掲示しておきましょう。

    バックアップと機器の更新

    オンプレミス型では、バックアップを取る仕組みを用意し、実際に保存されているかを定期的に確認する必要があります。ランサムウェアと呼ばれる身代金要求型のウイルスに備えるには、院内ネットワークから切り離した保管も検討しましょう。

    サーバやパソコンには保守期間や基本ソフトのサポート期限があり、数年ごとに機器の更新が必要です。更新の時期と費用をあらかじめ見込んでおくと、急な出費や、サポート期限が切れたまま使い続ける状態を避けやすくなります。

    院内で管理を担う職員の分担

    サーバの管理を院長一人が担っていると、不在時に障害やバックアップの確認が滞るおそれがあります。事務長や看護師長など複数の職員で、日々の確認作業と障害時の連絡を分担しておくことが大切です。

    確認する項目と手順はチェック表にまとめ、誰が見ても同じ作業ができるようにします。パスワードや保守契約の情報は、閲覧する職員を限って保管し、担当者が交代した際も確実に引き継げる手順を決めておきましょう。

    関連記事 有床クリニック向け電子カルテ、内製で補うなら病棟業務の周辺から

    保守委託機関編と有床クリニックの運用

    厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」は、2026年6月に第7.0版が策定されました。専門人材が不足している小規模な医療機関を想定した保守委託機関編が新設されています。オンプレミス型を使う有床クリニックにも関わる内容です。

    保守委託機関編の考え方

    厚生労働省の通知では、すべてのサーバのセキュリティアップデートを委託している医療機関は、保守委託機関編を遵守することで、他の編の項目も遵守できているとみなす旨が示されています。クラウドサービスの利用も委託に含まれます。

    ここでいうサーバには、電子カルテのアプリケーションをインストールしてサーバの役割を果たしているパソコンなどの端末も含まれるとされています。院内のどの機器がサーバにあたるかを、提供会社と確認しておきましょう。

    保守契約で確認したい委託の範囲

    保守委託機関編の考え方を生かすには、サーバのセキュリティ更新を誰が行うのかを保守契約で明確にする必要があります。電子カルテのアプリケーションの更新だけでなく、基本ソフトやウイルス対策ソフトの更新まで含まれるかを確認しましょう。

    あわせて、二要素認証への対応も確認項目です。第7.0版では、クライアント端末とサーバで二要素認証に対応することが明確にされました。2027年4月1日時点で対応が難しい場合は、次期システム改修での対応を認める緩和措置が設けられています。

    オンプレミスからクラウドへ移す時期の判断

    国は、オンプレミス型からクラウドネイティブを基本とする廉価な電子カルテへの移行を図る方針を示しています。有床クリニックがクラウド型を検討する時期は、機器の更新時期と国の動きをあわせて考えると判断しやすくなります。

    サーバ更新のタイミングでの比較

    サーバの保守期限が近づき、機器の入れ替えが必要になる時期は、クラウド型と比べる機会です。オンプレミス型を続ける場合の機器と保守の費用と、クラウド型の月額費用や移行費用を、数年単位の総額で比べると判断しやすくなります。

    比べる際は、費用だけでなく、病棟の端末で使える機能や夜間の障害対応、回線障害時の参照の仕組みも確認します。入院患者の記録を途切れさせない移行の日程も、提供会社と相談しておきましょう。過去の記録をどの範囲まで新しい電子カルテへ移すか、移さない記録をどう閲覧するかも、あわせて決めておく必要があります。

    国の標準仕様と認証制度の動き

    厚生労働省は、医科診療所と中小病院向けの電子カルテの標準仕様を定め、準拠した製品を認証する制度を検討しています。2026年6月時点の資料では、標準仕様に準拠した認証製品の提供を2027年4月に開始することを目指すとされていました。

    標準仕様では、マルチテナント方式のクラウドを採用し、電子カルテ情報共有サービスなど国の医療DXサービスに対応するよう求められています。すぐに移行する必要はありませんが、次の更新時期にあわせて最新情報を確認しましょう。

    関連記事 AI機能搭載の有床診療所の電子カルテを比較!AIの活用方法や運用のコツも紹介

    院内サーバ運用で比べる有床クリニック向け製品

    サーバを院内に置くか院外に置くか、障害やバックアップにどう備えるかに注目して、有床クリニックで検討しやすい電子カルテを一覧にしました。

    製品名特徴
    REMORAオンプレミスで運用する電子カルテ。無床診療所から小規模病院までを対象とする
    クラウド活用型電子カルテシステム(医事一体型)Medicom-HRf Hybrid Cloud院内サーバとクラウドを組み合わせる医事一体型。ミラーリングや日次バックアップで記録を守る
    エムスリーデジカルクラウド型の電子カルテ。自動データバックアップを備え、システムの更新作業が不要
    セコム・ユビキタス電子カルテ入院診療向けの体温表機能を備えるクラウド型。サーバーの管理と更新は提供会社が担う

    院内運用とクラウドを比べたい有床向け製品

    オンプレミス型を中心に、院内サーバとクラウドを組み合わせる製品やクラウド型も含めて紹介します。夜間・休日の障害受付の時間は保守契約によって異なるため、各社に確認しましょう。

    REMORA

    株式会社ファインデックス
    《REMORA》のPOINT
    1. 自由度を追求!自身が使いやすいカルテ画面を実現!
    2. 豊富な実績をもつファイリングシステムClaioとの連携で、眼科運用を支援!
    3. 生損保診断書や同意書も大学病院で使ってるものと同じ機能で!

    株式会社ファインデックスが提供する「REMORA」は、院内にサーバを置いて運用するオンプレミス型の電子カルテです。無床診療所から小規模病院までを対象とし、受付から診察、検査、会計までの進み具合を、施設の運用にあわせた患者一覧で確認できます。SOAP形式の入力やシェーマへの手書き、病名・所見・オーダのセット登録に対応し、過去の所見や検査値は時系列や2号紙のイメージで参照可能。院内で記録を完結させたい有床クリニックが比べたい製品の一つです。

    クラウド活用型電子カルテシステム(医事一体型)Medicom-HRf Hybrid Cloud

    ウィーメックス株式会社
    製品・サービスのPOINT
    1. 正確な事務作業はお任せ。自動チェックでミスを防ぎ診療に集中!
    2. 予約/問診~会計まで170社以上の機器とシームレスに連携可能
    3. クラウド活用によるデバイス&ロケーションフリーを実現

    ウィーメックス株式会社が提供する「クラウド活用型電子カルテシステム(医事一体型)Medicom-HRf Hybrid Cloud」は、院内のサーバとクラウドを組み合わせて使う電子カルテです。ハードディスクを二重化するミラーリングや日次バックアップ、月1回のフルバックアップでデータを守ります。サーバーの障害時に指定した端末で業務を続けられるセカンドサーバーも、オプションで用意されています。リモートメンテナンスによる遠隔サポートにも対応しており、院内運用の安定性とクラウドの利便性をあわせて求める場合の選択肢です。

    エムスリーデジカル

    エムスリーデジカル株式会社
    《エムスリーデジカル》のPOINT
    1. 初期0円、AIによる自動学習で入力時間80%削減!
    2. 15年利用で約1,000万円のコスト削減が可能!
    3. 金融機関・政府機関も利用する安全技術

    エムスリーデジカル株式会社が提供する「エムスリーデジカル」は、クラウドで利用する電子カルテです。データは自動でバックアップされ、システムの更新作業も不要なため、サーバの機器更新や管理の負担をオンプレミス型と比べる際の判断材料として役立ちます。WindowsとMacのどちらでも使え、台数を増やしても追加料金はかかりません。iPadアプリを使えば、手書きの記載や撮影した写真の取り込みもできます。

    セコム・ユビキタス電子カルテ (セコム医療システム株式会社)

    製品・サービスのPOINT
    1. 在宅、外来、入院機能を標準搭載
    2. 万全なサポート体制が好評
    3. 多様な部門システムとの連携実績

    まとめ

    有床クリニック向け電子カルテのオンプレミス型は、回線障害時にも院内で記録を続けやすく、院内の機器とつなぎやすい点が特徴です。一方で、停電対策や夜間の障害対応、バックアップ、機器更新を少人数で担う負担があります。安全管理ガイドライン第7.0版の保守委託機関編も踏まえて保守の範囲を確認し、サーバ更新の時期にクラウド型とも比べましょう。資料請求をして、構成や保守の内容を比較してみてください。

    IT製品・サービスの比較・資料請求が無料でできる、ITトレンド。「有床クリニックの電子カルテ、オンプレミスが向くのはどんな院?」というテーマについて解説しています。有床クリニック向け電子カルテの製品 導入を検討をしている企業様は、ぜひ参考にしてください。
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