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有床クリニック向け電子カルテ、内製で補うなら病棟業務の周辺から

有床クリニック向け電子カルテ、内製で補うなら病棟業務の周辺から

有床クリニック向け電子カルテを内製するなら、診療録の本体を自作するのではなく、製品を基盤にして病棟の周辺業務をノーコードツールなどで補う形が現実的です。専任のシステム担当者がいない有床診療所では、法令対応や保守を院内だけで担い続けることが難しいためです。この記事では、内製で補える業務の見極め方、ツールを作る手順と運用ルール、内製と組み合わせやすい製品の選び方を解説します。

この記事は2026年10月時点の情報に基づいて編集しています。
目次

    ITトレンドがおすすめする製品・サービス

    ■外来・入院の対応範囲別
    ■院内で調整できる範囲別

    有床クリニックで電子カルテを内製する前の判断

    有床クリニックで電子カルテの内製を考えるきっかけには、「製品の入院機能が自院の運用にあわない」という悩みがあります。ただし、不満を解消する方法は内製だけではありません。最初に、本体の自作が難しい理由と、内製で補える業務を整理します。

    診療録の本体を自作するのが難しい理由

    電子カルテの本体を自作すると、診療録としての法的な要件を院内で満たし続ける必要があります。厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(2026年6月公表の第7.0版が最新)に沿った管理や、電子保存の三原則である真正性・見読性・保存性の確保がその代表です。

    さらに、レセプト作成との連携やオンライン資格確認への対応、診療報酬改定への追随も発生します。院長や一部の職員が本業の合間に開発・保守を続けるのは負担が大きく、担当者が不在になると止まってしまうおそれもあります。

    内製で補える病棟の周辺業務

    一方で、診療録そのものではない周辺業務は、内製で補える余地があります。例えば、病床の空き状況を一覧にする病床管理表や、勤務帯ごとの申し送り表、入院患者の食事や物品の管理表などが挙げられます。

    こうした業務は施設ごとにやり方が異なり、製品の標準機能では細かな運用にあわない場合があります。紙やExcelで回している業務をノーコードツールなどで整えれば、電子カルテを替えずに病棟の手間を減らせる可能性があります。

    内製以外で不満を解消する方法

    入院機能への不満は、内製以外の方法で解消できる場合もあります。例えば、現在の製品の設定を見直す、ベンダーに機能追加を要望する、入院機能を備えた製品へ乗り換えるといった選択肢です。

    製品のリプレイス時期が近いなら、内製ツールを作り込む前に、入院機能が自院の運用にあう製品を比較するほうが負担を抑えられる可能性があります。内製と製品の見直しを並べて検討し、手間と費用の両面で判断しましょう。

    ベンダーに要望する際は、困っている業務の流れと頻度を具体的に伝えると、設定変更で対応できるかを判断してもらいやすくなります。

    病棟業務を内製ツールで補う手順

    内製ツールは、いきなり大きな仕組みを作るのではなく、小さな業務から始めるのが現実的です。有床クリニックでは開発に割ける時間が限られるため、手順を決めて進めることで途中で止まるリスクを減らせます。3つの段階に分けて説明します。

    1. 対象業務を洗い出して絞り込む

    まず、看護師や事務職員に、紙やExcelで管理している業務と、手間を感じている作業を聞き取ります。そのうえで、電子カルテの標準機能や設定変更で解決できないかを、製品のサポート窓口に確認します。

    標準機能で解決できない業務の中から、患者の診療記録そのものを扱わず、効果が見えやすいものを1つ選びます。最初の対象を小さく絞れば、試作から運用までを短い期間で回せます。うまくいった進め方を記録しておけば、次の業務に広げる際の手本として役立ちます。

    2. ノーコードツールで試作する

    次に、ノーコードツール(プログラミングをせずに画面や入力項目を作れるツール)などで試作します。現場の職員に実際に使ってもらい、入力項目や画面の並びを調整していきます。

    試作の段階では、実在の患者情報ではなくテスト用のデータを使いましょう。ツールのデータ保存先が院外のクラウドになる場合は、医療情報を保存してよいサービスかどうかを、利用規約やセキュリティの資料で確認しておく必要があります。判断が難しい場合は、電子カルテのベンダーや専門の事業者に相談しましょう。

    3. 電子カルテとのデータ受け渡しを設計する

    内製ツールを本格的に使う段階では、電子カルテとの間でデータをどう受け渡すかを決めます。同じ情報を2か所に手入力すると、転記ミスや入力漏れの原因となるためです。

    電子カルテからCSV形式でデータを出力できる製品であれば、患者の基本情報や入退院日を取り込む運用が考えられます。どの情報を正とするのか、どの頻度で取り込むのかを決め、データが食い違ったときの確認手順も定めておきましょう。

    取り込み作業を担当する職員と実施するタイミングも決めておくと、入退院が重なる日でも更新漏れを防げます。

    内製ツールを安全に使い続ける運用ルール

    内製ツールは作って終わりではなく、使い続ける中でルールが必要です。有床クリニックでは担当者が少なく、ルールがないまま運用すると、情報の管理や引き継ぎに問題が生じるおそれがあります。最低限決めておきたい3つのルールを紹介します。

    患者情報を扱う範囲を限定する

    病歴などの医療情報は、個人情報保護法の要配慮個人情報にあたります。内製ツールで扱う情報は、業務で使う項目だけに絞り、病名や検査結果など診療録に記載すべき内容は電子カルテ側で管理しましょう。

    あわせて、ツールにアクセスできる職員と操作できる範囲を決め、退職者のアカウントを速やかに削除する手順を整えます。端末の紛失や誤送信に備え、パスワード設定や画面ロックのルールも周知しておくと安心です。

    担当者交代に備えて文書化する

    内製ツールは、作った人しか仕組みを理解していない状態になりやすい点に注意が必要です。担当者の異動や退職でツールが使えなくなると、病棟業務が滞るおそれがあります。

    対策として、ツールの目的や入力項目、データの保存先、トラブル時の対応手順を文書にまとめ、複数の職員で内容を共有しておきましょう。外部の開発会社やツールの提供事業者に相談できる窓口を確保しておく方法もあります。

    夜勤帯にツールを使う場面もあるため、夜勤の看護師がすぐ参照できる場所に手順書を置いておくと安心です。

    定期的に見直して整理する

    内製ツールは、運用を続けるうちに項目や画面が増え、管理が複雑になる場合があります。半年や1年といった区切りで利用状況を振り返り、使われていない項目や重複している管理表を整理しましょう。

    電子カルテ製品のバージョンアップで、これまで内製で補っていた機能が標準で使えるようになることもあります。その場合は内製ツールを廃止し、製品側の機能に切り替えることで、保守の負担を減らせます。製品のリリース情報を定期的に確認する担当を決めておくとよいでしょう。

    内製と組み合わせやすい有床クリニック向け電子カルテ

    内製で補う前提で製品を選ぶなら、入院機能の範囲と、院内で調整できる範囲の広さを確認しましょう。製品側で対応できる範囲が広いほど、内製で作るものを減らせます。選定時に確認したい3つのポイントを説明します。

    入院機能の有無と対応範囲

    電子カルテ製品には、外来と入院を一体で管理できるものと、外来向けの製品に入院機能をオプションで追加するものがあります。有床クリニックでは、病棟の看護記録や指示、入退院の管理をどこまで製品で賄えるかを最初に確認しましょう。

    入院機能が自院の運用にあっていれば、内製で補う業務は少なく済みます。病棟を担当する看護師が、病床管理や申し送りの画面を普段の業務手順どおりに操作して確かめることが大切です。

    テンプレートと帳票の院内作成機能

    記録テンプレートや院内帳票を職員が自分で作成・変更できる製品であれば、内製ツールを作らなくても自院の運用にあわせられる場合があります。どの程度の変更を院内で行えるかは製品によって異なります。

    選定時には、テンプレートの作成方法や、変更に必要な権限、変更履歴が残るかを確認しましょう。ベンダーに依頼が必要な変更の範囲と費用もあわせて聞いておくと、運用後の負担を見積もれます。病棟で使う帳票のサンプルを持参し、同じものを作れるか確かめる方法も有効です。

    データ出力と外部連携の方式

    内製ツールと組み合わせる場合は、電子カルテからデータを出力する方法が重要です。CSV形式での出力に対応しているか、APIで他のシステムと連携できるか、出力できる項目の範囲を確認します。

    あわせて、出力したデータの取り扱いが契約上問題ないかも確認が必要です。将来、製品を乗り換える場合に備え、契約終了時にデータをどの形式で受け取れるかも聞いておきましょう。

    例えば、入退院日や病床の利用状況を出力できれば、病棟の稼働状況を集計する表を内製で作る、といった活用が考えられます。

    連携機能やカスタマイズ性で比べる有床クリニック向け電子カルテ一覧

    この記事で紹介する有床クリニック向け電子カルテについて、外来・入院への対応範囲や外部システムとの連携、設定の柔軟性などの特徴を一覧にまとめました。病棟業務の効率化や既存システムとの連携を検討する際にお役立てください。

    製品名特徴
    Medicom-HRf Hybrid Cloud外来に加えて入院管理や病棟フロアマップ、看護記録管理に対応する医事一体型電子カルテ。製品ページではAPI連携が可能とされている
    i-MEDIC Plus++外来・入院・入所から在宅介護までの履歴を一元管理する医療介護統合の電子カルテ。API連携と導入企業ごとのカスタマイズが可能
    エムスリーデジカルシェーマや記載用テンプレートを自由に登録できるクラウド型電子カルテ。ORCA連動型では検査結果の取込や会計送信に対応
    m-KARTE診療所向けの電子カルテソリューション。検査支援システムで検査結果データの抽出や帳票・グラフ・CSV出力ができる
    セコム・ユビキタス電子カルテ在宅・外来・入院の機能を標準搭載したクラウド型電子カルテ。病床をもつ医療機関向けの体温表機能を備える
    DS KARTE200床以下の病院向け一体型電子カルテ。診断書や紹介状をテンプレートで作成・管理でき、診療データを抽出する機能も搭載

    外来・病棟業務にあわせて活用できる電子カルテ

    ここでは、入院管理や看護記録、テンプレート設定、外部システム連携、データ出力などに対応する電子カルテを紹介します。標準機能で対応できる業務と、別途システムが必要な業務を整理し、自院の運用に適した製品を比較しましょう。

    クラウド活用型電子カルテシステム(医事一体型)Medicom-HRf Hybrid Cloud

    ウィーメックス株式会社
    製品・サービスのPOINT
    1. 正確な事務作業はお任せ。自動チェックでミスを防ぎ診療に集中!
    2. 予約/問診~会計まで170社以上の機器とシームレスに連携可能
    3. クラウド活用によるデバイス&ロケーションフリーを実現

    ウィーメックス株式会社が提供する「Medicom-HRf Hybrid Cloud」は、クラウドを活用した医事一体型の電子カルテです。製品ページでは入院管理やバイタルサイン管理、病棟フロアマップ、オーダリング、看護記録管理に対応とされ、外来と病棟の情報を1つのシステムでまとめて扱えます。API連携にも対応しており、既存の院内システムとの接続方法や連携範囲を確認しながら導入を検討できます。

    i-MEDIC Plus++

    株式会社コア
    《i-MEDIC Plus++》のPOINT
    1. 医療と介護を、ひとつのシステムで一元管理
    2. 「治療」「ケア」から「看取り」まで生涯にわたって管理
    3. 法人内サービスの稼働管理で病床・施設を効率的にマネジメント

    株式会社コアが提供する「i-MEDIC Plus++」は、医療と介護の情報を一元管理できる医療介護統合電子カルテシステムです。外来受診や入院・入所、在宅介護サービスの利用履歴を集約し、時系列のタイムラインで確認できます。オンプレミスとクラウドの両方に対応するほか、API連携や導入施設ごとのカスタマイズも可能です。既存システムとの連携や、自院の運用にあわせた導入を検討する際の候補となります。

    エムスリーデジカル

    エムスリーデジカル株式会社
    《エムスリーデジカル》のPOINT
    1. 初期0円、AIによる自動学習で入力時間80%削減!
    2. 15年利用で約1,000万円のコスト削減が可能!
    3. 金融機関・政府機関も利用する安全技術

    エムスリーデジカル株式会社が提供する「エムスリーデジカル」は、クラウド型の電子カルテです。シェーマや記載用テンプレートをあらかじめ自由に登録でき、紙カルテのハンコのような感覚で使えます。ORCA連動型では検査結果の取込や会計送信に対応し、ORCAから初期データを作成できます。ログインログや監査ログの確認にも対応しており、電子カルテの利用状況や操作履歴の管理に役立ちます。

    m-KARTE

    株式会社LSIメディエンス
    《m-KARTE》のPOINT
    1. 富士通とLSIメディエンスの技術とノウハウを融合
    2. 診療報酬改定や制度改革にも迅速に対応する万全のサポート
    3. クラウドを活用したサービスにも対応できる高信頼なシステム構成

    株式会社LSIメディエンスが提供する「m-KARTE」は、診療所向けの電子カルテソリューションです。過去カルテと病名を参照しながら当日のカルテを入力でき、メディカルセットによって入力作業を効率化します。検査支援システム「m-TEST」では、検査結果データの抽出や帳票・グラフ・CSV出力に対応しています。検査データを出力し、院内での集計や分析に活用したい医療機関に適しています。

    セコム・ユビキタス電子カルテ (セコム医療システム株式会社)

    製品・サービスのPOINT
    1. 在宅、外来、入院機能を標準搭載
    2. 万全なサポート体制が好評
    3. 多様な部門システムとの連携実績

    DS KARTE (大新技研株式会社)

    《DS KARTE》のPOINT
    1. 文書の作成から管理まで全て解決できるシステム!
    2. 職員間の情報共有に最適なPメール機能を搭載!
    3. 一画面でまとめて確認できる統合チャート機能!

    まとめ

    有床クリニック向け電子カルテの内製は、本体の自作より、製品を基盤に病床管理表や申し送り表といった病棟の周辺業務を補う形が現実的です。小さな業務から試作し、患者情報の範囲を限定する、文書化して引き継ぐといった運用ルールを整えましょう。入院機能の範囲やテンプレート作成、データ出力に対応した製品を選べば、内製の負担を抑えられます。資料請求で各製品を比較してみてください。

    IT製品・サービスの比較・資料請求が無料でできる、ITトレンド。「有床クリニック向け電子カルテ、内製で補うなら病棟業務の周辺から」というテーマについて解説しています。有床クリニック向け電子カルテの製品 導入を検討をしている企業様は、ぜひ参考にしてください。
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