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夜間も入院患者を診る有床クリニックの電子カルテ、セキュリティはどう守る?

夜間も入院患者を診る有床クリニックの電子カルテ、セキュリティはどう守る?

有床クリニック向け電子カルテのセキュリティは、外来と病棟で端末を共用し、少ない職員で夜間も記録を続けるという有床診療所ならではの運用を前提に考えることが大切です。なりすましを防ぐ認証、操作ログの確認、外部接続の管理に加え、電子カルテが止まっても入院患者の診療を続けられる備えが求められます。この記事では、法令とガイドラインの要点から病棟の運用で気をつけたい点まで解説します。

この記事は2026年10月時点の情報に基づいて編集しています。
目次

    ITトレンドがおすすめする製品・サービス

    ■病棟・夜間の運用に関わる対策別
    ■停止への備え別

    有床クリニックの電子カルテに求められるセキュリティ

    有床クリニックにも、病院と同様に医療法にもとづく電子カルテのセキュリティ対策が求められます。施設の規模にかかわらず対策が必要です。まずは法令とガイドラインの要件を確認しましょう。

    医療法施行規則とサイバーセキュリティ対策チェックリスト

    医療法施行規則の改正により、2023年4月から病院や診療所の管理者には、サイバーセキュリティを確保するための措置が義務付けられました。具体的な対策は、最新の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を参照して進めます。

    厚生労働省は、医療機関・薬局におけるサイバーセキュリティ対策チェックリストを公開しており、2026年6月に新しい版が公表されました。院内の対応状況を把握するためにも、まずはチェックリストを使って現状を点検しましょう。

    関連記事 有床クリニック向け電子カルテの価格を左右する入院機能と病棟の備え

    安全管理ガイドライン第7.0版と保守委託機関編

    安全管理ガイドラインは2026年6月に第7.0版が策定され、専門人材が不足している小規模な医療機関を想定した保守委託機関編が新設されました。すべてのサーバのセキュリティ更新を委託している医療機関は、この編に沿った対策により、他の編の項目も遵守したとみなされます。

    クラウド型の電子カルテの利用も委託に含まれます。院内にサーバを置いている有床クリニックは、基本ソフトやウイルス対策ソフトの更新まで保守契約で委託しているか確認しておきましょう。

    二要素認証とパスワードの新しい考え方

    第7.0版では、電子カルテなどのクライアント端末とサーバにおける二要素認証への対応が明確化されました。2027年4月1日時点で対応が難しい医療機関には、次期システム改修での対応を認める緩和措置が設けられています。

    パスワードについては、使い回しの禁止やアカウントロックの導入が追記され、定期的な変更の要件は削除されました。院内のパスワード管理が古いルールのままになっていないか、この機会に見直しておくとよいでしょう。

    病棟と夜勤の運用で生じやすいリスク

    有床クリニックでは、外来と病棟を少人数の職員で担当し、夜間も限られた人員で入院患者に対応します。こうした運用には、大規模病院とは異なるセキュリティ上の課題があります。具体的な場面を確認しましょう。

    共用端末のログイン状態の放置

    病棟のナースステーションや処置室の端末は、複数の職員が交代で使います。急な対応で席を離れた際にログイン状態が続いていると、別の職員が直前の利用者の名前で記録を入力してしまうおそれがあります。

    こうした記録の混在は、誰がいつ何を記録したかという電子カルテの信頼性を損ないます。一定時間操作がなければ自動でログオフする設定や、離席時に画面をロックする習慣を、院内のルールとして定めておきましょう。

    少人数の夜勤で起こり得るID共有

    夜勤の人数が少ない時間帯は、急ぎの対応が重なり、複数の職員が一人分のIDを使ってしまうおそれがあります。IDの共有は記録の責任者が不明確になるだけでなく、不正アクセスの発見を遅らせる原因にもなります。

    職員一人ひとりにIDを発行し、共有の禁止を院内規程で定めましょう。ICカードを端末にかざすだけで利用者を切り替えられる仕組みがあれば、忙しい夜勤帯でも本人のIDを使いやすくなります。製品選定の際に確認しておきたい機能です。

    非常勤医師や委託職員のアカウント管理

    有床クリニックでは、当直を担当する非常勤医師や、外部の委託職員が電子カルテを使う場合があります。勤務終了後もアカウントが有効なまま残っていると、不正利用につながるおそれがあります。

    アカウントの発行・停止の担当者を決め、勤務予定にあわせた有効期間の設定が可能か確認しましょう。利用者一覧を定期的に見直し、使われていないアカウントを停止する作業も継続する必要があります。当直医の交代時には、申し送りにアカウントの扱いを含めると管理漏れを防ぎやすくなります。

    有床クリニック向け電子カルテで確認したいセキュリティ機能

    病棟でのリスクを減らすには、院内ルールと電子カルテの機能を組み合わせた対策が重要です。ルールだけでは、忙しい時間帯に徹底が難しくなる場合があります。製品ごとに対応方法や範囲が異なるため、選定や更新の際は次の項目を提供会社に確認しましょう。

    職種と担当にあわせた権限の設定

    医師、看護師、事務職員など、職種に応じて閲覧・入力・承認の権限を分けられるか確認しましょう。例えば、医師の指示を看護師が受ける場合や、事務職員が会計情報のみを扱う場合など、実際の業務にあわせた権限設定が可能かどうかが判断材料です。

    権限が細かすぎると現場の業務が滞り、緩すぎると不要な閲覧が増えます。院内の業務フローにあわせて設定し、運用開始後も職員の意見を取り入れながら見直しましょう。採用や退職、担当変更に伴う権限の変更についても、管理者を明確にしておく必要があります。

    二要素認証に対応したログイン方法

    二要素認証とは、パスワードなどの知識に加え、ICカードなどの所持物や指紋などの生体情報を組み合わせて本人を確かめる方式です。電子カルテの端末とサーバが、どの認証方式に対応しているか確認しましょう。

    病棟では手袋をしたまま操作したり、急いで記録を確認したりする場面があります。認証の手間が大きいと、ログイン状態の放置やIDの共有を招くおそれもあるため、現場の業務に無理なく組み込める方式か、試用などで確かめておくと安心です。

    操作ログの記録と確認のしやすさ

    電子カルテでは、誰がいつ、どの患者の記録を閲覧・変更したかを操作ログとして残します。有床クリニックでは点検に割ける時間が限られるため、特定の患者や職員で絞り込み、短時間でログを確認できる仕組みが重要です。

    ログを確認する頻度と担当者を決め、不審な操作を発見した際の対応手順も定めておきましょう。ログの保存期間や院外への出力可否も確認事項です。点検日と結果を記録しておけば、院内の監査や立入検査の際の説明にも役立ちます。

    外部とのつながりと電子カルテ停止への備え

    電子カルテは、保守用回線やオンライン資格確認の回線などを通じて外部とつながっています。こうした接続点を適切に管理するとともに、万一の停止時にも入院患者の診療を続けられるよう備えましょう。

    保守用回線と院内ネットワークの管理

    電子カルテの提供会社や機器の業者が、院外から保守作業を行うためにリモート接続を利用する場合があります。接続機器の更新状況に加え、接続した利用者や日時を把握できる管理体制が重要です。

    電子カルテ端末での私用USBメモリの使用や、メール・インターネットの閲覧もウイルス感染につながるおそれがあります。端末の利用ルールを定めて職員に周知し、院内ネットワークの構成も提供会社と一緒に確認しましょう。

    停止時の入院患者への対応手順

    電子カルテが停止すると、入院患者への指示や投薬記録、バイタルの経過を確認できなくなるおそれがあります。紙の指示書や経過表などの様式を事前に用意し、病棟の決まった場所に保管しておきましょう。

    直近の指示や処方の一覧を定期的に印刷する、院内の端末に参照用の記録を保存するなど、停止中の確認手段も検討します。復旧後に紙の記録を電子カルテへ入力し直す担当者と手順も決めておきましょう。夜勤帯の停止を想定し、少人数でも対応しやすい手順にする必要があります。

    バックアップと復旧の訓練

    ランサムウェアに備えるには、院内ネットワークから切り離した場所や、院外のデータセンターにバックアップを保管する方法があります。保存方法や頻度は提供会社に確認しておきましょう。院内にサーバを置く場合は、バックアップの保存先が院内ネットワークと接続されたままになっていないかも点検します。

    バックアップは、取得するだけでは十分ではありません。提供会社の協力を得ながら、実際の復元の可否や復旧にかかる時間を訓練で検証しましょう。厚生労働省が公開するBCPの確認表も参考になります。

    関連記事 AI機能搭載の有床診療所の電子カルテを比較!AIの活用方法や運用のコツも紹介

    不正アクセスと停止に備える有床向け製品一覧

    操作の記録や不正アクセスへの対策、バックアップの方法に注目して、有床クリニックのセキュリティ対策とあわせて比べたい電子カルテをまとめました。

    製品名特徴
    エムスリーデジカルログインログと監査ログを管理できるクラウド型。データは自動でバックアップされる
    クラウド活用型電子カルテシステム(医事一体型)Medicom-HRf Hybrid Cloudファイアウォールやウイルス対策ソフトでサイバー攻撃に備える医事一体型の電子カルテ
    セコム・ユビキタス電子カルテセコムのデータセンターで患者情報を管理するクラウド型。iPhone・iPadからも利用できる

    ログ管理とバックアップを確かめたい製品

    病棟の共用端末や夜勤帯の運用を踏まえ、操作の記録やサイバー攻撃への対策、院外での保管に関わる機能を備えた製品を紹介します。ICカードや生体認証による二要素認証、自動ログオフへの対応は、各社に確認しましょう。

    エムスリーデジカル

    エムスリーデジカル株式会社
    《エムスリーデジカル》のPOINT
    1. 初期0円、AIによる自動学習で入力時間80%削減!
    2. 15年利用で約1,000万円のコスト削減が可能!
    3. 金融機関・政府機関も利用する安全技術

    エムスリーデジカル株式会社が提供する「エムスリーデジカル」は、クラウド型の電子カルテです。ログ管理の機能としてログインログと監査ログを備えており、誰がいつ利用したかを確認する運用に役立ちます。利用者一覧やマスタ管理といった利用管理の機能もあり、職員の入れ替わりにあわせた管理を進めやすい点も特徴です。データは自動でバックアップされ、災害への備えにもつながります。オプションの処方監査を使えば、相互作用や禁忌病名のチェックも可能です。

    クラウド活用型電子カルテシステム(医事一体型)Medicom-HRf Hybrid Cloud

    ウィーメックス株式会社
    製品・サービスのPOINT
    1. 正確な事務作業はお任せ。自動チェックでミスを防ぎ診療に集中!
    2. 予約/問診~会計まで170社以上の機器とシームレスに連携可能
    3. クラウド活用によるデバイス&ロケーションフリーを実現

    ウィーメックス株式会社が提供する「クラウド活用型電子カルテシステム(医事一体型)Medicom-HRf Hybrid Cloud」は、サイバー攻撃への備えを組み込んだレセコン一体型の電子カルテです。個人情報保護サポート機能や、ファイアウォール・URLフィルターによる不正アクセス防止、ウイルス対策ソフトを搭載しています。データはミラーリングや日次バックアップで保護され、オプションのネットワークバックアップではインターネットを活用した保管も選べます。サーバーに障害が起きた場合も、クライアント1台は操作を続けられる設計です。

    セコム・ユビキタス電子カルテ (セコム医療システム株式会社)

    製品・サービスのPOINT
    1. 在宅、外来、入院機能を標準搭載
    2. 万全なサポート体制が好評
    3. 多様な部門システムとの連携実績

    まとめ

    有床クリニック向け電子カルテのセキュリティは、共用端末や少人数の夜勤、非常勤医師の利用といった病棟の運用を踏まえて考えることが大切です。医療法施行規則と安全管理ガイドライン第7.0版を確認し、二要素認証や自動ログオフ、操作ログ、外部接続の管理を進めましょう。停止時に入院患者の診療を続ける手順も欠かせません。資料請求をして、各製品のセキュリティ機能と停止への備えを比べてみてください。

    IT製品・サービスの比較・資料請求が無料でできる、ITトレンド。「夜間も入院患者を診る有床クリニックの電子カルテ、セキュリティはどう守る?」というテーマについて解説しています。有床クリニック向け電子カルテの製品 導入を検討をしている企業様は、ぜひ参考にしてください。
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