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院長が電子カルテを自作・内製するなら?無床クリニックの法要件と手間

院長が電子カルテを自作・内製するなら?無床クリニックの法要件と手間

無床クリニック向け電子カルテの内製は不可能ではありません。ただし、診療録としての法的な要件や制度改定への対応を院長が担い続ける負担は大きく、クラウド型などの製品を自院仕様に作り込むほうが現実的な場合があります。この記事では、無床クリニックで電子カルテを自作する場合に満たすべき要件と本当のコスト、内製が向くケースと向かないケース、製品を使いながら自院らしさを出す方法を解説します。

この記事は2026年10月時点の情報に基づいて編集しています。
目次

    ITトレンドがおすすめする製品・サービス

    ■開業・移行の状況別
    ■院内での作り込み方別

    無床クリニックの電子カルテ内製が向く場合・向かない場合

    無床クリニックで電子カルテの内製を考えるのは、プログラミングの経験がある院長や、開業費用を抑えたい場合です。ただし、内製に向くかどうかは院内の体制によって分かれます。判断の目安となるケースを2つに分けて整理します。

    内製が向くケース

    内製が選択肢になるのは、院長やスタッフがシステム開発と医療情報の安全管理の両方に詳しく、開発と保守に継続して時間を割ける場合です。診療内容が特殊で、既存の製品では記録の形式がどうしてもあわない場合も検討の余地があります。

    また、研究目的で独自のデータ項目を細かく記録したい場合など、カルテ以外の目的がはっきりしているときも内製のメリットが生まれます。ただしその場合でも、レセプト作成など制度に関わる部分は製品を使い、記録の一部だけを内製する形が現実的です。

    内製が向かないケース

    一方、内製が向かないのは、院長が診療と経営に追われ、開発や保守に時間を確保できない場合です。無床クリニックは医師1人で運営することもあり、システムの不具合で診療が止まると、代わりに対応できる人がいないおそれがあります。診療時間中に障害が起きても、すぐに原因を調べて復旧させるのは難しいでしょう。

    開業費用を抑えたいという理由だけで内製を選ぶと、後から保守や改修の費用がかさむ可能性があります。初期費用を抑えたい場合は、月額料金で利用できるクラウド型製品と比較してから判断しましょう。

    電子カルテを自作する場合に満たすべき要件

    電子カルテを自作する場合でも、診療録として求められる要件は製品と同じです。無床クリニックだから要件が緩くなるわけではありません。自作前に確認しておきたい代表的な要件を3つ紹介します。

    電子保存の三原則

    診療録を電子的に保存するには、真正性・見読性・保存性という電子保存の三原則を満たす必要があります。真正性は記録の書き換えや消去を防ぎ、誰がいつ記録したかを明確にすること、見読性は必要なときに読める状態にすること、保存性は記録を保存期間中失わないことです。

    自作の場合は、修正履歴の保存や利用者の認証、バックアップの仕組みを自ら設計しなければなりません。厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の最新版(2026年6月公表の第7.0版)を読み込み、要件を満たしているかを確認する作業も必要です。

    診療録の保存期間と見読性の維持

    医師法では、診療録を5年間保存することが定められています。自作したシステムでも、この期間中は記録を読める状態に保つ必要があり、パソコンやソフトウェアの入れ替えがあってもデータを引き継がなければなりません。

    院長が開発したシステムの場合、使っている技術が古くなったり、開発した本人しか操作方法を知らなかったりすると、数年後に記録を読み出せなくなるおそれがあります。データを汎用的な形式で出力できる仕組みを用意しておくことが大切です。定期的に過去の記録を開いて、読み出せるかを確かめる手順も決めておきましょう。

    オンライン資格確認やレセプト作成との接続

    保険医療機関では、オンライン資格確認の導入が原則として義務化されています。電子カルテを自作する場合も、資格確認で得た情報やレセプト作成のシステムとどう連携させるかを考える必要があります。

    電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスなど、国が進める医療DXの仕組みとの接続も今後の課題となります。こうした外部の仕組みは仕様が更新されることがあり、自作システムで継続して対応できるかを見極めておきましょう。

    義務化の対象や経過措置は見直される場合もあるため、厚生労働省や地方厚生局の最新情報を確認してから計画を立てましょう。

    電子カルテ自作にかかる本当のコスト

    電子カルテの自作は、開発時の費用だけを見ると安く感じる場合があります。しかし、稼働後に発生する負担を含めると、製品を利用するより高くつく可能性もあります。見落としやすい3つのコストを説明します。

    開発費より大きい保守の負担

    システムは作った後も、OSやブラウザの更新への対応、不具合の修正、セキュリティの点検が続きます。医療法施行規則の改正で医療機関にサイバーセキュリティ対策が求められている点も踏まえると、保守を怠ることはできません。

    院長が保守を担う場合、その時間は診療や経営に使えたはずの時間です。外部のエンジニアに依頼する場合は、継続的な保守契約の費用が発生します。製品の月額料金と比べるときは、この保守の手間と費用も含めて試算しましょう。

    診療報酬改定への対応

    診療報酬は原則2年ごとに改定されます。自作のシステムで算定や病名のチェックを行っている場合、改定のたびに新しいルールを調べ、システムを改修してテストする作業が必要です。

    改定の内容が公表されてから施行されるまでの期間は限られており、その間に改修を終えなければなりません。製品であればベンダーが対応する部分を、自院だけで担うことになる点を理解しておきましょう。改修が間に合わない場合、請求業務に影響が出るおそれもあります。

    院長への依存と事業承継

    院長が自作した電子カルテは、院長しか仕組みを理解していない状態になりやすい傾向があります。院長が体調を崩した場合や、将来クリニックを承継する場合に、システムを引き継げる人がいないことが課題となります。

    内製を選ぶ場合は、設計書や操作手順を文書にまとめ、外部のエンジニアにも保守を依頼できる状態を整えておきましょう。承継の際に別の製品へ移行できるよう、データの出力方法も用意しておく必要があります。

    例えば、データベースの構造やバックアップの手順を文書に残し、院長以外の職員も保管場所を把握しておけば、急な不在時にも対応しやすくなります。

    製品を自院仕様に作り込むという選択肢

    内製のメリットである「自院にあわせた使いやすさ」は、製品の設定機能で実現できる場合があります。無床クリニック向け電子カルテには、院内で調整できる機能を備えた製品もあります。製品を使いながら自院らしさを出す方法を紹介します。

    テンプレートとセット登録で自院仕様にする

    記録テンプレートや、よく使う処方・検査をまとめて登録できるセット機能を使えば、プログラミングをせずに自院の診療スタイルにあわせられます。院長自身が作り込める範囲が広い製品を選べば、内製に近い使い勝手を得られる可能性があります。

    選定時には、テンプレートを自由に作成できるか、作成したテンプレートを他の医師やスタッフと共有できるかを確認しましょう。デモでは、自院でよく使う記録の形を実際に作ってみるのがおすすめです。作成にかかる時間や操作の手順を確かめれば、開業後に院内で作り込める量を見積もれます。

    データ出力を使った集計と分析

    経営分析や患者動向の把握など、内製で実現したかった機能の一部は、電子カルテからデータを出力して表計算ソフトなどで集計する方法で補えます。CSV形式での出力に対応しているか、出力できる項目の範囲を確認しましょう。月ごとの患者数や疾患の傾向を把握するだけなら、製品の標準の集計機能で足りる場合もあります。

    出力したデータには患者の個人情報が含まれるため、保存先やアクセスできる人を限定するルールが必要です。必要な項目だけを出力し、分析が終わったデータは削除するなど、取り扱いの手順を決めておきましょう。出力の操作ができる職員を限定し、操作の記録が残るかも確認しておくと安心です。

    開業・移行の状況別の進め方

    新規開業の場合は、開業準備の段階で製品を選び、テンプレートを作り込んでから診療を始められます。紙カルテから移行する場合は、過去の紙カルテを当面どう保管・参照するかを決めたうえで、段階的に電子化を進めましょう。

    他製品から乗り換える場合は、旧製品のデータをどの範囲まで新製品に移行できるかを事前に確認することが重要です。いずれの場合も、複数の製品を資料請求して、作り込める範囲と費用を比較してから判断しましょう。

    新規開業では準備期間が限られるため、システムの自作に時間を割くより、開業準備のほかの作業を優先する判断もあり得ます。

    自院仕様に作り込みやすい無床クリニック向け電子カルテ一覧

    無床クリニック向けの電子カルテと関連製品について、入力画面のカスタマイズや外部システムとの連携、データ移行・分析などの特徴を一覧にまとめました。自院の診療スタイルや既存システムとの相性を比較する際にお役立てください。

    製品名特徴
    MAPs for CLINIC入力セットやスタッフごとの画面表示をカスタマイズできるクラウド型電子カルテ。レセコンやレセプトチェックソフトも標準搭載
    Qualis Cloud/Qualisカスタマイズ性が高く、使う人にあわせた操作感に調整できる電子カルテ。クラウド型とオンプレミス型を同じ操作性で選べる
    ACUSIS Cloud(アクシスクラウド)保険診療と自費診療に対応するクラウド型の経営支援サービス。テンプレートカルテや売上管理、分析統計の機能を備え、API連携が可能
    クラウド活用型電子カルテシステム(医事一体型)Medicom-HRf Hybrid Cloud予約・問診から会計まで170社以上の機器と連携できる医事一体型電子カルテ。API連携にも対応し、既存システムとの連携を支援する
    DMエキスパート/RAエキスパート慢性疾患の長期診療に特化した電子カルテ。定期オーダや自己注射計算などの機能を備え、API連携とカスタマイズが可能
    エムスリーデジカルシェーマや記載用テンプレートを自由に登録できるクラウド型電子カルテ。レセプト電算ファイルからのデータ移行に対応
    クラウド診療支援システムCLINICSカルテとレセコンが一体となったクラウドシステム。売上・診療情報の分析や患者マップによる集患分析のダッシュボードを搭載
    CLIUS (クリアス)無床診療所向けのクラウド型電子カルテ。患者来院数や再診率などを把握できる経営分析ツールを搭載し、日医標準レセプトソフト「ORCA」と連携する

    自作の手間を抑えて自院らしさを出せる電子カルテ

    ここでは、入力セットやテンプレートの設定、API連携、データ移行、経営分析などに対応する電子カルテと関連製品を紹介します。製品によって設定変更や連携の範囲が異なるため、自院に必要な機能や運用方法を整理しながら比較しましょう。

    MAPs for CLINIC

    株式会社EMシステムズ
    《MAPs for CLINIC》のPOINT
    1. 初期ライセンス0円!Web予約問診(LINE連携)も追加費用0円!
    2. 柔軟な入力セット・画面表示カスタマイズで4倍速の高速入力
    3. ネットワーク障害時は別回線に自動切換。オフラインでも入力可能

    株式会社EMシステムズが提供する「MAPs for CLINIC」は、無床診療所向けのクラウド型電子カルテです。Windows専用アプリケーションを採用し、一般的なブラウザ型では難しいとされる画面の柔軟なカスタマイズに対応します。1つのセットで複数の状況に対応できる「入力セット」や、医師・看護師・事務などスタッフごとの表示項目の変更により、自院の診療スタイルにあわせた画面を作れます。レセコンやレセプトチェックソフトも標準搭載です。

    Qualis Cloud/Qualis

    株式会社ビー・エム・エル
    《Qualis Cloud/Qualis》のPOINT
    1. 多機能なのに直感的な使い心地
    2. 各種システムとの連携も充実
    3. BMLだからできる、安心のサポート

    株式会社ビー・エム・エルが提供する「Qualis Cloud/Qualis」は、クラウド型のQualis Cloudとオンプレミス型のQualisから選べる電子カルテです。直感的で自由度の高い操作性に加えてカスタマイズ性が高く、使う人の個性にあわせた使用感に調整できます。各種機器やシステムとの連携実績は230種類以上あり、全国の営業所ネットワークによるサポート体制も整えています。往診先でのiPad利用はQualis Cloudのオプションです。

    ACUSIS Cloud(アクシスクラウド)

    株式会社プロ・フィールド
    製品・サービスのPOINT
    1. サーバー不要のクラウド型で初期導入コストを軽減
    2. 予約の自動化、管理サポートなど煩雑な業務を省力化
    3. リアルタイムで売上や経営状況を可視化し、迅速な経営判断を支援

    株式会社プロ・フィールドが提供する「ACUSIS Cloud(アクシスクラウド)」は、保険診療と自費診療の両方を対象としたクラウド型の経営支援サービスです。診療録やテンプレートカルテ、画像管理、売上管理、分析統計を基本機能とし、LINE連携やWeb予約、タブレット連動、診察券アプリなどのオプションを組み合わせて自院にあう構成にできます。API連携や導入施設ごとのカスタマイズにも対応しており、Web ORCAとの連動も可能です。

    クラウド活用型電子カルテシステム(医事一体型)Medicom-HRf Hybrid Cloud

    ウィーメックス株式会社
    製品・サービスのPOINT
    1. 予約/問診~会計まで170社以上の機器とシームレスに連携可能
    2. はじめてでも直観的に理解しすぐに使いこなせるUX/UIデザイン
    3. 独自のノウハウで、医師一人ひとりに合わせた画面設計をご提案

    ウィーメックス株式会社が提供する「クラウド活用型電子カルテシステム(医事一体型)Medicom-HRf Hybrid Cloud」は、クラウドを活用した医事一体型の電子カルテです。予約や問診、オンライン診療、各種モダリティ、レジなど、受付から会計までの業務で170社以上の機器と連携できます。API連携にも対応しており、既存の院内システムとの接続方法や連携範囲を確認しながら導入を検討できます。医師の診療スタイルにあわせた画面設計の提案や、法令改正への対応も特徴です。

    DMエキスパート/RAエキスパート

    株式会社CSMソリューション
    製品・サービスのPOINT
    1. 糖尿病/リウマチクリニック向け電子カルテ DM/RAエキスパート
    2. 長期医療・チーム医療特化型!慢性疾患専門医の作った電子カルテ
    3. 診療経過を一元表示!治療経過の把握と診療計画策定がスムーズに

    株式会社CSMソリューションが提供する「DMエキスパート/RAエキスパート」は、糖尿病やリウマチなど長期治療を行うクリニック向けの電子カルテです。患者情報を一画面に集約したカルテ画面や、長期の診療経過を時系列で表示する画面を備え、実施間隔を指定して検査や指導を登録できる「定期オーダ」で計画的な診療を支えます。API連携と導入企業ごとのカスタマイズも可能で、糖尿病・リウマチ以外の疾患にも対応しています。

    エムスリーデジカル

    エムスリーデジカル株式会社
    《エムスリーデジカル》のPOINT
    1. 初期0円、AIによる自動学習で入力時間80%削減!
    2. 15年利用で約1,000万円のコスト削減が可能!
    3. 金融機関・政府機関も利用する安全技術

    エムスリーデジカル株式会社が提供する「エムスリーデジカル」は、クラウド型の電子カルテです。シェーマや記載用テンプレートを自由に登録でき、紙カルテのハンコのような感覚で入力できます。他システムからのデータ移行にも対応しており、電子カルテの乗り換えを支援します。データの自動バックアップやシステムの自動更新にも対応しているため、院内での保守・管理の負担を軽減できます。

    クラウド診療支援システムCLINICS

    株式会社メドレー
    製品・サービスのPOINT
    1. 診療業務を革新するAIソリューション
    2. 業務効率化を支援するカルテ/レセコン機能
    3. 患者とのつながりを強化するかかりつけ支援機能

    株式会社メドレーが提供する「クラウド診療支援システムCLINICS」は、予約から電子カルテ、レセプトチェック、経営分析までを支えるクリニック向けのクラウドシステムです。カルテとレセコンが一体となっており、受付から会計・レセプトまでを一連の操作で進められます。売上や診療情報の分析、患者マップを用いた集患分析を行える経営分析ダッシュボードを備え、自作の集計ツールを用意しなくても経営データを確認できます。オンライン請求用のファイル出力にも対応しています。

    CLIUS (クリアス)

    株式会社DONUTS
    《CLIUS (クリアス)》のPOINT
    1. 予約・問診・在宅・オンライン診療・経営分析ツールを搭載
    2. Mac、Windows、iPadで利用可!併用運用も可能
    3. 勤怠・労務・給与管理の「ジョブカン」シリーズが1年無料!

    株式会社DONUTSが提供する「CLIUS (クリアス)」は、無床診療所向けのクラウド型電子カルテです。医師の視線や診療の流れを考えた画面設計で、多様な診療科・診療スタイルへの対応が特徴です。患者来院数や再診率、患者の居住地域などを確認できる経営分析ツールを搭載し、日医標準レセプトソフトのORCAと連携します。他社のカルテへ乗り換える場合にもデータを引き継げるよう出力に対応する方針が示されています。

    まとめ

    無床クリニック向け電子カルテの内製は、電子保存の三原則や診療録の保存、オンライン資格確認との接続、診療報酬改定への対応を院長が担い続ける負担があります。開発と保守に継続して時間を割けない場合は、テンプレートやデータ出力で自院仕様に作り込める製品を選ぶほうが現実的です。開業や移行の状況にあわせて、資料請求で複数の製品を比較してみてください。

    IT製品・サービスの比較・資料請求が無料でできる、ITトレンド。「院長が電子カルテを自作・内製するなら?無床クリニックの法要件と手間」というテーマについて解説しています。無床クリニック向け電子カルテの製品 導入を検討をしている企業様は、ぜひ参考にしてください。
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