ITトレンドがおすすめする製品・サービス
- ■提供形態別
- オンプレミス型:DMエキスパート/RAエキスパート
- オンプレミス型とクラウド型から選択:BrainBox CloudⅡ/V-Ⅳ、Qualis Cloud/Qualis
- 院内サーバとクラウドの併用型:クラウド活用型電子カルテシステム(医事一体型)Medicom-HRf Hybrid Cloud
- クラウド型:REMORA Cloud、MAPs for CLINIC、エムスリーデジカル
- ■院内外の仕組みとの接続別
- 検査機器などの外部機器との接続:クラウド活用型電子カルテシステム(医事一体型)Medicom-HRf Hybrid Cloud、MAPs for CLINIC
- 既存のオンプレミス環境を生かした段階的なクラウド化:REMORA Cloud
- ■回線障害への備え別
- 回線障害時も診療を続ける仕組み:MAPs for CLINIC、BrainBox CloudⅡ/V-Ⅳ
無床クリニックで使われる電子カルテの提供形態
無床クリニックとは、入院用のベッドを持たず、外来診療を中心に行う診療所です。電子カルテの提供形態は、大きく分けてオンプレミス型とクラウド型の2種類があり、両方を組み合わせた製品もあります。まずはそれぞれの違いを確認しましょう。
院内にサーバを置くオンプレミス型
オンプレミス型は、院内に電子カルテのサーバを設置し、診察室や受付の端末を院内ネットワークでつないで使う形態です。データは院内に保存され、診療中の記録や検索も院内で処理されます。
無床クリニックのような小規模な診療所では、専用のサーバ機ではなく、パソコンをサーバとして使う構成もあります。導入時には機器の購入費用がかかるほか、数年ごとに更新が必要です。こうした費用負担は、クラウド型と比較する際の大きな違いといえます。
院外で運用するクラウド型と併用型
クラウド型は、提供会社のデータセンターにある電子カルテをインターネット経由で利用する形態です。院内にサーバを置く必要がなく、ソフトウェアの更新も提供会社が担うため、導入時の機器購入費用や管理の手間を抑えやすいのが特徴です。
一方、回線障害が発生すると電子カルテも利用できなくなるため、通信品質の確認や予備回線の導入を検討する必要があります。院内にもデータを保持し、回線障害時には院内で記録を続けられる併用型の製品もあり、第三の選択肢として検討できます。
オンプレミス型が無床クリニックに向く場面
厚生労働省の資料では、診療所におけるクラウドネイティブの電子カルテ提供事業者のシェアが、ここ数年で拡大しているとされています。一方、診療科の特徴や地域の通信環境、既存設備によっては、オンプレミス型が合理的な選択となる場合もあります。自院の状況と照らし合わせて確認しましょう。
検査機器や画像の装置を院内でつなぐ場合
診療科によっては、エコーや内視鏡、眼科の検査機器、レントゲンなど、多くの機器の結果や画像を電子カルテで扱います。画像データは容量が大きいため、院内ネットワークとサーバで処理するオンプレミス型が検討対象になる場合があります。
ただし、クラウド型でも院内に画像保存用の機器を置き、電子カルテから参照する構成があります。機器との接続方法や費用は製品によって異なるため、両方の形態で見積もりを取り、比較したうえで判断しましょう。
回線環境や既存のレセコンを考慮する場合
地域によっては、安定した通信回線を確保しにくく、予備回線の費用もかさむ場合があります。回線障害による診療停止の影響を重視するなら、院内で処理が完結するオンプレミス型も選択肢に挙がります。
また、既存のレセコンと連動させる場合、組み合わせによってはオンプレミス型のほうが接続しやすいケースもあります。レセコンを含めたシステム構成を検討し、それぞれの提供会社に接続の可否を確認しておきましょう。
診療データを院内で管理したい場合
患者の診療データを院外に置かず、自院で管理したいという考えからオンプレミス型を選ぶ院長もいます。データの保管場所を把握しやすく、回線を通じたやり取りを減らせる点を重視する場合です。
ただし、院内にデータを置くだけで安全性が確保されるわけではありません。機器の更新やバックアップ、不正アクセスへの対策を継続する必要があります。クラウド型についても、提供会社の第三者認証やデータの保管場所を確認し、双方の管理負担を比較して判断しましょう。
院長が担いやすいオンプレミス型の管理作業
無床クリニックでは専任の情報システム担当者が不在の場合もあり、オンプレミス型の管理を院長や事務職員が担うケースがあります。導入後の作業を把握し、提供会社への委託範囲と院内で対応する範囲を明確にしておきましょう。
バックアップと基本ソフトの更新
オンプレミス型では、データのバックアップが正しく取得されているか、定期的な確認が必要です。ランサムウェアと呼ばれる身代金要求型のウイルスに備え、院内ネットワークから切り離した場所へのバックアップ保管も検討しましょう。
サーバや端末の基本ソフト、ウイルス対策ソフトの更新も欠かせません。提供会社に委託できる作業と院内で対応する作業を保守契約で確認し、院内で実施する場合は手順と担当者を決めておきましょう。
機器の故障と更新への備え
サーバやパソコンが故障すると、診療中に電子カルテが使えなくなるおそれがあります。故障時の連絡先や代替機器が届くまでの時間を確認し、その間は紙で診療を続ける手順も事前に定めておくと安心です。
機器には保守期間や基本ソフトのサポート期限があり、数年ごとに更新費用が発生します。導入費用だけで判断せず、更新費用や保守料を含めた数年単位の総額を、クラウド型の月額費用と比較すると判断しやすくなります。
保守委託機関編の考え方
厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」は、2026年6月に第7.0版が策定されました。専門人材が不足している小規模な医療機関を想定し、保守委託機関編が新設されています。すべてのサーバのセキュリティ更新を委託している場合、この編への準拠により、他の編の項目も遵守したとみなされます。
ここでいうサーバには、CD-Rなどから電子カルテのアプリケーションをインストールし、サーバの役割を果たすパソコンも含まれるとされています。院内のパソコンも対象になり得るため、保守委託の範囲を確認しておきましょう。
国の標準型電子カルテとオンプレミス型の今後
国は、オンプレミス型でカスタマイズされた電子カルテから、クラウドネイティブを基本とする廉価な電子カルテへの移行を図る方針を示しています。この方針が無床クリニックにどのように関わるか、確認しておきましょう。
無床診療所向けの標準型電子カルテ
デジタル庁では、医科の無床診療所向けに、クラウドネイティブの標準型電子カルテの開発が進められています。2026年3月の厚生労働省の資料では、国の医療DXに対応する機能に絞った導入版を、2026年度中に完成させる目標が示されていました。
標準型電子カルテは、電子カルテ未導入の診療所を主な対象として普及が図られています。導入条件や支援内容は今後示される見込みのため、厚生労働省やデジタル庁の最新発表を確認しましょう。
標準仕様と次回更新時の判断
厚生労働省は、医科診療所と中小病院向けの電子カルテの標準仕様を定め、準拠した製品の認証制度を検討しています。標準仕様では、マルチテナント方式のクラウドでの動作や、電子カルテ情報共有サービスなど国のサービスへの対応が求められています。
国は、電子カルテ導入済みの医療機関に対し、電子カルテ情報共有サービスや電子処方箋への対応を次回のシステム更改時に進める方針を示しています。現在オンプレミス型を利用している場合も、次の機器更新にあわせ、標準仕様に準拠した製品の比較を進めておくとよいでしょう。
開業時と医院継承時で変わる判断
無床クリニックの電子カルテ選びは、新規開業か既存医院の継承かによって判断の前提が異なります。それぞれの場面で、オンプレミス型をどう位置づけるか考えましょう。
新規開業で提供形態を選ぶ場合
新規開業では、既存設備や過去のデータに縛られずに提供形態を選べます。初期費用や院内の管理負担を抑えたい場合はクラウド型が候補に挙がりやすく、検査機器を多く使う場合はオンプレミス型や併用型も比較する価値があります。
開業準備では、内装工事にあわせてネットワークの配線や機器の設置場所を決める必要があります。提供形態の選択は工事計画にも影響するため、早めに方針を決めて提供会社と相談しましょう。Web予約や問診などのクラウドサービスと連携させたい場合は、接続方法や費用も形態ごとに確認しておきます。
オンプレミス型を使う医院を継承する場合
既存の医院を継承する場合は、前の院長が使用していたオンプレミス型の電子カルテを引き継ぐかどうか、判断する必要があります。機器の使用年数や保守契約の残存期間、契約名義の変更可否を確認しましょう。
電子カルテを入れ替える際は、過去の診療記録を新システムへ移行できるか、移行できない記録をどう保存・閲覧するかが課題です。診療録には法令上の保存義務があるため、医院継承の契約段階で、データの取り扱いを提供会社と確認しておきましょう。
提供形態で比べる無床クリニック向け電子カルテ
オンプレミス型とクラウド型、両方から選べる製品、院内とクラウドを組み合わせる製品に分けて比べられるよう、無床クリニック向けの電子カルテを一覧にしました。
| 製品名 | 特徴 |
|---|---|
| DMエキスパート/RAエキスパート | 糖尿病やリウマチなど長期診療向けのオンプレミス型。検査データなどを一画面に集約 |
| BrainBox CloudⅡ/V-Ⅳ | クラウド型とオンプレミス型の2機種を用意。クラウド型は回線障害に備えてサブサーバを標準装備 |
| Qualis Cloud/Qualis | オンプレ型とクラウド型を同じ操作性で選べる電子カルテ。拠点営業所によるフィールドサポートも |
| クラウド活用型電子カルテシステム(医事一体型)Medicom-HRf Hybrid Cloud | 院内サーバとクラウドを組み合わせる医事一体型。クラウド上に診療データをバックアップできる |
| REMORA Cloud | 既存のオンプレミス型システムと連携し、電子カルテだけをクラウドへ移行できるクラウド型 |
| MAPs for CLINIC | 通信障害時は予備回線へ自動で切り替え、オフラインでも一時的にカルテ作成や処方ができる |
| エムスリーデジカル | データを自動でバックアップするクラウド型。WindowsとMacで台数による追加料金がない |
院内機器と回線環境から選ぶ電子カルテ
オンプレミス型とクラウド型の違いを比べられるよう、院内サーバで運用する製品、両方から選べる製品、回線障害への備えをもつクラウド型を紹介します。レセコンとの接続方法や保守の範囲は、各社に確認しましょう。
DMエキスパート/RAエキスパート
- 糖尿病/リウマチクリニック向け電子カルテ DM/RAエキスパート
- 長期医療・チーム医療特化型!慢性疾患専門医の作った電子カルテ
- 診療経過を一元表示!治療経過の把握と診療計画策定がスムーズに
株式会社CSMソリューションが提供する「DMエキスパート/RAエキスパート」は、オンプレミスで提供される長期診療向けの電子カルテです。DMエキスパートは糖尿病専門クリニックや長期治療を行う医療機関、RAエキスパートはリウマチ・膠原病内科専門クリニックを対象としています。検体検査結果や画像、生理検査レポートなどを一画面に集約し、診療経過を時系列で確認できます。電子処方箋にも対応しており、検査データを院内でまとめて扱いたい専門クリニックの候補です。
BrainBox CloudⅡ/V-Ⅳ
- 調剤機器メーカーならではの「医薬品情報」に強い電子カルテ!
- 安心安全のセキュリティと国内ネットワークの厚いサポート体制!
- クラウド型とオンプレミス型から選択可能!
株式会社ユヤマが提供する「BrainBox CloudⅡ/V-Ⅳ」は、クラウド型のBrainBox CloudⅡと、オンプレミス型のBrainBox V-Ⅳから選べる電子カルテです。クラウド型はネット回線の障害時にも運用を止めないためのサブサーバを標準装備し、オンプレミス型ではAIがカルテ・会計・レセプトの内容を解析して、追加すべきオーダーを提案します。医薬品データベース「MDbank」を標準搭載しており、処方時の確認にも役立ちます。回線環境を踏まえて提供形態を選びたい無床クリニックの選択肢です。
Qualis Cloud/Qualis
- 多機能なのに直感的な使い心地
- 各種システムとの連携も充実
- BMLだからできる、安心のサポート
株式会社ビー・エム・エルが提供する「Qualis Cloud/Qualis」は、院内の運用や環境にあわせて提供形態を決められる電子カルテです。クラウド型のQualis Cloudとオンプレミス型のQualisは同じ操作性のため、将来オンプレミスからクラウドへ移る場合も操作を覚え直す負担を抑えられます。拠点営業所からのフィールドサポートと全国100か所以上の営業所網による体制があり、機器の不具合時はメーカー保守へ連携します。Qualis CloudではオプションのiPadを使い、往診先や自宅からカルテの閲覧や入力ができます。
クラウド活用型電子カルテシステム(医事一体型)Medicom-HRf Hybrid Cloud
- 予約/問診~会計まで170社以上の機器とシームレスに連携可能
- はじめてでも直観的に理解しすぐに使いこなせるUX/UIデザイン
- 独自のノウハウで、医師一人ひとりに合わせた画面設計をご提案
ウィーメックス株式会社が提供する「クラウド活用型電子カルテシステム(医事一体型)Medicom-HRf Hybrid Cloud」は、院外からも利用できる電子カルテです。診療データをクラウド上にバックアップし、災害時や障害時にも医療サービスを続けられるようにしています。予約や問診、オンライン診療、各種モダリティ、レジなど、受付から会計まで170社以上の機器との連携に対応しています。院内機器とのつながりを保ちながら、クラウドの利点も取り入れたい無床クリニックの候補です。
REMORA Cloud
- 院外からカルテにアクセス可能
- DocuMaker Cloudを標準搭載し生損保診断書や公的文書も対応
- 豊富な実績をもつファイリングシステムClaioとの連携で、眼科運用を支援!
株式会社ファインデックスが提供する「REMORA Cloud」は、無床クリニック向けのクラウド型電子カルテです。既存のオンプレミス型システムや画像ファイリングシステム「Claio」と連携し、電子カルテだけをクラウドへ移行できるため、今の院内環境を生かしながら段階的にクラウド化を進められます。インターネット環境があれば、往診先や自宅、分院からもカルテを利用可能です。診断書等文書作成サービス「DocuMaker Cloud」を標準搭載し、診断書や意見書の作成にも対応しています。
MAPs for CLINIC
- 初期ライセンス0円!Web予約問診(LINE連携)も追加費用0円!
- 柔軟な入力セット・画面表示カスタマイズで4倍速の高速入力
- ネットワーク障害時は別回線に自動切換。オフラインでも入力可能
株式会社EMシステムズが提供する「MAPs for CLINIC」は、無床診療所向けに設計されたクラウド型の電子カルテです。通信障害時には自動で予備回線に切り替える機能を備え、ネットワークが切れた場合も過去カルテの参照や一部のカルテ入力、処方箋の発行を一時的に続けられます。外部機器や外部検査センターとの連携にも対応し、Web予約・Web問診の機能も搭載しています。回線への不安からオンプレミス型を検討している場合にも、比べておきたい製品です。
エムスリーデジカル
- 初期0円、AIによる自動学習で入力時間80%削減!
- 15年利用で約1,000万円のコスト削減が可能!
- 金融機関・政府機関も利用する安全技術
エムスリーデジカル株式会社が提供する「エムスリーデジカル」は、院内にサーバを置かずに使えるクラウド型の電子カルテです。システムの更新は不要で、データも自動でバックアップされるため、院内のサーバ管理を減らしたい場合にオンプレミス型と比べやすい製品です。WindowsとMacのどちらにも対応し、台数を増やしても追加料金はかかりません。オプションの機器連携で院内機器とつなぐこともでき、iPadアプリでは手書きの記載や写真の取り込みに対応しています。
まとめ
無床クリニック向け電子カルテでオンプレミス型を選ぶ主な理由は、院内機器との接続や回線環境、既存のレセコンとの連動などです。選ぶ場合は、バックアップや基本ソフトの更新、機器の更新を誰が担うかを決め、保守委託機関編の考え方も踏まえて保守の範囲を確認しましょう。国の標準型電子カルテや標準仕様の動きも、次の更新時の判断材料です。資料請求をして、提供形態ごとの費用と管理の負担を比べてみてください。

