ETLツールに搭載されている主な機能
ETL(Extract Transform Load)ツールは、データを抽出・変換・書き出しする一連の処理を担う仕組みです。まず基本的な機能の全体像を確認します。搭載されている機能は製品によって幅があるため、比較検討を始める前に共通する基本機能を押さえておくと理解がしやすくなります。
データ抽出・変換・書き出しの基本機能
ETLツールの基本機能は、複数のシステムからデータを抽出し、必要な形式に変換したうえで、別のシステムへ書き出す一連の処理です。この一連の流れを自動化することで、手作業による入力ミスや対応漏れを減らせる可能性があります。
抽出元となるシステムの種類や、対応しているデータ形式は製品によって異なります。自社が利用しているシステムからのデータ抽出に対応しているか、変換処理でどこまで細かい設定ができるかを確認しておくと、実際の業務での使い勝手を判断しやすくなります。導入前に自社で使用中のシステム一覧を整理し、対応状況を個別に確認する方法も有効です。
機能の充実度を確認する視点
機能が多いほど高機能に見えますが、実際に使う機能が限られている場合は、操作が複雑になるだけの可能性もあります。使わない機能が多いと画面構成が分かりにくくなり、担当者の負担が増える場合もあります。
自社の業務で必要な機能を洗い出したうえで、それぞれの機能が実際にどの程度使いやすいかを確認する方法があります。デモ画面や無料トライアルを利用して、必要な機能が想定通りに動作するかを事前に確かめておくとよいでしょう。多機能な製品でも、実際に使う機能が一部に限られる場合は、必要な機能に絞って比較する視点も大切です。
ノーコードでの設計・自動実行に関わる機能
プログラミングの知識がなくてもデータ連携を設計できる機能や、スケジュールに沿って自動実行する機能は、日々の運用負担を左右する重要な要素です。これらの機能があるかどうかで、担当者が設定にかける時間が大きく変わってきます。
ノーコードでのデータ連携設計
ノーコードでデータ連携を設計できるETLツールでは、画面上の操作でデータの流れを組み立てられます。専門知識を持たない担当者でも、比較的短い研修期間で扱えるようになる場合があります。
具体的には、抽出元と書き出し先をドラッグ操作でつなぎ、変換ルールを画面上で設定するといった方法が用意されている場合があります。設定の自由度と操作のしやすさは製品によって異なるため、複雑な条件分岐が必要な場合は対応できる範囲を事前に確認しておく必要があります。設定を保存して別の連携にも再利用できるかどうかも、日々の運用負担を左右する確認ポイントです。
スケジュール設定による自動実行
スケジュールを設定して自動実行できる機能があれば、決まった時間にデータ連携を実行する作業を担当者が手動で行う必要がなくなります。毎日の定型作業から解放されることで、担当者は他の業務に時間を充てやすくなります。
毎日決まった時刻に実行する、特定の曜日だけ実行するといった細かい設定ができるかを確認しましょう。実行に失敗した場合に自動で再実行する機能があるかどうかも、運用の安定性に関わる確認項目です。連携処理が重なった場合に、実行順序を調整できるかどうかもあわせて確認しておくと安心です。
データ品質を保つための機能
連携するデータの品質を保つためには、データクレンジングや重複・欠損データへの対応機能が役立つ場面があります。品質を保てないまま連携を続けると、後工程の集計や分析に影響が出る可能性があります。
データクレンジング機能
データクレンジング機能とは、表記のゆれや不要なデータを整える処理のことです。データを利活用する前段階として、地味ながら重要な役割を担っています。
例えば、全角と半角が混在した文字列を統一したり、不要な空白を削除したりする処理が該当します。どこまで自動でクレンジングできるか、独自のルールを追加で設定できるかは製品によって差があるため、自社のデータに合った設定ができるかを確認する必要があります。クレンジングのルールを変更した場合に、過去のデータへ反映できるかどうかも確認しておきたい点です。
重複・欠損データへの対応
複数のシステムからデータを集める過程で、同じデータが重複して登録されたり、一部の項目が欠損したりする場合があります。連携先のシステム数が増えるほど、こうした事象が起きる可能性も高まる傾向にあります。
重複データを検知して除外する機能や、欠損データがあった場合に通知する機能があれば、後工程での確認作業を減らしやすくなります。すべての重複や欠損を完全に防げるわけではないため、連携後にデータを確認する運用もあわせて検討しましょう。検知した重複・欠損データを一覧で確認できる画面があると、原因調査の手間を減らしやすくなります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でETLの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
トラブル対応に関わる機能
データ連携の過程では、エラーが発生する場合があります。ここではトラブル対応に関わる機能を紹介します。トラブルが起きた際にどれだけ早く気づき、対応できるかは、こうした機能の有無に左右されます。
エラー発生時の通知機能
エラー発生時に管理者やチャットへ自動で通知される機能があれば、問題への気づきが遅れる事態を防ぎやすくなります。気づきが遅れるほど、後続の業務への影響も広がりやすくなる可能性があります。
通知の方法はメール、チャットツール連携などさまざまです。エラーの内容がどこまで詳細に通知されるか、担当者が原因を特定しやすい情報が含まれているかも確認しておきたいポイントです。通知先を複数人に設定できるかどうかも、担当者の不在時に備えて確認しておくとよいでしょう。エラーの重要度に応じて通知の頻度や方法を分けられる機能があれば、対応の優先順位をつけやすくなります。
実行ログの管理機能
実行ログを詳細に管理できる機能があれば、いつ、どの連携が実行され、成功したか失敗したかを後から確認できます。トラブルが起きた際の原因調査や、社内への説明にも役立つ情報になります。
監査対応が必要な業種では、こうしたログの保存期間や、外部への出力形式もあわせて確認しておく必要があります。ログの検索機能や絞り込み機能が備わっていると、過去のトラブルを調査する際にも役立ちます。保存期間を超えたログを別途保管できるかも、監査対応が必要な組織では確認しておきたい項目です。
データ量増加に対応する機能
事業の成長にあわせてデータ量が増える場合、処理性能やスケーラビリティに関わる機能も確認しておく必要があります。導入時点のデータ量だけで判断すると、数年後に処理が追いつかなくなる可能性があります。
スケーラビリティを支える処理性能
データ量の増加に対応できるスケーラビリティの高いETLツールは、処理の遅延が生じにくい設計になっている場合があります。処理が遅延すると、後続の分析や報告の作業にも影響が及ぶ可能性があります。
処理性能は製品によって差があるため、想定しているデータ量を伝えたうえで、処理にかかる時間の目安をベンダーに確認する方法があります。大量データを扱う予定がある場合は、事前に負荷試験を実施できるかも確認しておきましょう。処理が集中する時間帯があらかじめ分かっている場合は、その条件を伝えて相談する方法も有効です。
処理能力を拡張する仕組み
契約プランを変更することで処理能力を拡張できる仕組みがあれば、データ量の増加にあわせて段階的に対応しやすくなります。事業の成長スピードにあわせて柔軟にプランを見直せるかどうかも、長期的な運用では重要な視点です。
拡張の手続きにどの程度の期間がかかるか、拡張時にサービスを停止する必要があるかも確認しておきたい項目です。将来の事業拡大を見据えて、拡張のしやすさを比較検討の材料に加える方法もあります。拡張後の料金体系についても、契約前にあらかじめ見積もりを確認しておくと安心です。
機能面から検討したいETLツールの例
ここまで紹介した機能をふまえ、ノーコード設計や自動実行、エラー通知、データ品質管理といった観点で特徴のあるETLツールを紹介します。自社の業務で必要な機能を見極める際の比較対象として活用してください。
ASTERIA Warp
- 豊富なアダプターで様々なソースに対応
- ノーコードの簡単操作で様々な分析を高速に実現
- 1万社以上の導入実績と国内シェアNo.1の製品
アステリア株式会社が提供する「ASTERIA Warp」は、プログラミング知識がなくても操作できるノーコード型のデータ連携ツールです。アイコンを組み合わせる画面設計でデータの抽出・変換・書き出し処理を組み立てられ、作成した設定はスケジュールに沿って自動実行できます。多様なアダプターが用意されており、連携先システムに応じた設定を進めやすい点が特徴です。
TROCCO
- 開発・インフラ・人件費のコストやデータ統合作業工数を削減
- 分析リードタイムの短縮によりデータ活用がスピーディーに
- データ環境が整備されることで、データの民主化が促進
株式会社primeNumberが提供する「TROCCO」は、クラウド型のデータ連携・ETLサービスです。各種データベースやSaaSに対応したコネクタを備え、設定画面上の操作でデータ転送処理を組み立てられます。スケジュール実行やエラー発生時の通知機能を備えており、実行状況を管理画面で把握しながら日々の運用を進めやすい点が特徴です。
HULFT Square
- ファイル転送・データ連携機能をフルマネージドサービスで提供
- 接続先の特性に合わせたコネクター/API/ファイルでの柔軟な連携
- 国・地域/業種/業務システム間をまたぎデータ連携することが可能
株式会社セゾンテクノロジーが提供する「HULFT Square」は、クラウド型のデータ連携基盤です。多様なシステム・ファイル形式間のデータ連携に対応し、データ量が増えた場合の処理拡張も見据えた設計になっています。実行ログの管理機能も備えており、監査対応が必要な業種を含め、トラブル発生時の原因調査にも活用しやすい点が特徴です。
PreciselyConnect (Precisely)
- 多様なデータソースに統合アクセス可能なワンソリューション
- システム構成に応じて最適な処理を実行
- CDCによるデータ複製で分析基盤を即時更新
AWS Glue (アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社)
- サーバーレスでデータ統合処理を実行
- 複数データソースを統合し、カタログ形式で一元管理。
- ETLやデータ変換を一つのサービスで完結。
まとめ
ETLツールの機能は、データ連携の設計から自動実行、データ品質の維持、トラブル対応、スケーラビリティまで多岐にわたり、それぞれが日々の運用の負担に影響します。すべての機能を等しく重視するのではなく、自社の業務で実際に必要な機能を見極めることが選定のポイントです。機能ごとの役割を理解したうえで、複数の製品を比較検討してみてください。導入後に必要な機能が変わる可能性も踏まえて、余裕を持った選定を心がけましょう。


