ETLを選ぶ前に整理したいデータ連携の要件
ツールを比較する前に、自社が連携させたいデータの種類や連携先を整理しておくことが選定の前提です。まずは要件整理の観点を確認します。
連携したいデータソースの棚卸し
基幹システムやSaaS、ファイルサーバーなど、連携対象となるデータソースは企業によってさまざまです。まずは現状どのようなシステムにデータが存在し、どこへ連携させたいのかを一覧化しておくことが選定の出発点となります。
データソースが多岐にわたる場合、それぞれに対応するコネクタが用意されているツールを選ぶと、個別に連携方法を開発する手間を減らせる場合があります。将来的に連携先が増える可能性も考慮し、拡張性のあるツールを検討することが望まれます。部署ごとに個別で導入しているSaaSが多い企業では、情報システム部門が把握していないデータソースが存在する場合もあるため、事前のヒアリングが欠かせません。
処理の頻度とデータ量の見積もり
日次でのバッチ処理を想定するのか、リアルタイムに近い頻度でのデータ更新を求めるのかによって、必要な処理方式は変わります。処理するデータ量が膨大な場合は、処理性能や拡張性も比較の観点に加える必要があります。
将来的にデータ量が増加する見込みがある場合は、現時点の要件だけでなく、数年先を見据えた処理能力を確認しておくとよいでしょう。処理が想定時間内に終わらない場合の業務への影響も、あらかじめ整理しておくことが重要です。夜間バッチの処理時間が翌朝の業務開始に間に合わないと、後続の集計作業にも影響が及ぶ可能性があります。
ETLツールの処理方式による違い
ETLツールには、オンプレミス型とクラウド型があり、処理方式や運用の手間も異なります。特徴を理解したうえで自社に合う方式を検討しましょう。
オンプレミス型とクラウド型の特徴
オンプレミス型は自社のサーバー内でデータ処理が完結するため、社外にデータを出したくない場合や、既存の基幹システムとの親和性を重視する場合に選ばれる傾向にあります。導入や保守には自社のインフラ管理体制が必要です。サーバーの増強やバージョンアップにかかる費用も、長期的な運用コストとして見込んでおく必要があります。
クラウド型は初期投資を抑えやすく、サーバーの保守を自社で行う必要がない点が特徴です。一方で、外部にデータを送信する構成になるため、取り扱うデータの機密性によっては、社内のセキュリティポリシーとの整合を確認しておく必要があります。個人情報を含むデータを扱う場合は、通信の暗号化やアクセス権限の設定範囲についてもベンダーに確認しておきましょう。
ノーコード・ローコードでの開発対応
プログラミング知識がなくても、画面上の操作でデータ連携のフローを組み立てられるノーコード・ローコード型のツールが増えています。情報システム部門に開発リソースが少ない企業でも、業務部門が主体となって連携処理を構築できる場合があります。
ただし、複雑な変換処理や条件分岐が多い場合は、ノーコードの範囲では対応しきれず、一部にスクリプトを組み込む必要が生じるケースもあります。自社が想定する連携の複雑さに対応できるかを、事前に確認しておきましょう。実際の業務データに近い条件でトライアルを行い、想定する処理が画面操作だけで完結するかを確かめておくことが望まれます。
ETLツールの比較で確認したい機能
処理方式を絞り込んだ後は、具体的な機能面を比較していきます。データの変換処理とエラー対応の両方の観点から確認しましょう。
データ変換・加工機能の柔軟性
データ形式の変換や、複数のデータソースを結合する処理、重複データの除去など、変換処理に対応できる範囲は製品によって差があります。自社が想定する変換パターンに対応できるかを、具体的な処理内容にもとづいて確認することが重要です。文字コードの違いや日付形式の差異など、システム間でよく発生する表記のずれに対応できるかも、確認しておきたい観点の一つです。実際の業務データを用いた検証を行い、想定通りの変換結果が得られるかを事前に確かめておくと安心です。
変換ルールをテンプレートとして再利用できる機能があると、似たような連携処理を複数構築する際の工数を抑えられる場合があります。処理内容を可視化できる画面があるかどうかも、運用担当者の引き継ぎのしやすさに関わります。担当者が異動や退職した場合でも、後任が処理内容を把握しやすい仕組みかどうかは、長期的な運用を見据えると重要な観点です。
エラー検知と処理の再実行機能
連携処理の途中でエラーが発生した場合、管理者へ通知される仕組みや、処理内容をログとして確認できる機能があると、原因の特定や対応がしやすくなります。エラーの発生要因は、連携元システムの仕様変更や、ネットワークの一時的な不具合など複数考えられます。
エラーが発生した処理を手動または自動で再実行できる機能があるかどうかも、業務への影響を抑えるうえで確認しておきたい項目です。未処理のまま残ったデータを確認できる仕組みがあると、対応漏れを防ぎやすくなります。エラー内容を非エンジニアの担当者でも把握できる表示形式かどうかも、日々の運用体制によっては確認しておきたい点です。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料を取り寄せて機能や特徴をさまざまな製品で比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でETLツールの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
導入コストと運用体制から見た選定基準
ETLツールは料金体系や必要となる運用体制も製品によって異なります。導入前に確認しておきたい観点を整理します。
料金体系と処理量に応じた費用
ETLツールの料金は、月額固定制のものや、処理するデータ量・連携件数に応じた従量課金制のものがあります。データ量が季節や業務繁忙期によって変動する企業では、料金体系によって費用の見通しやすさが変わります。
見積もりを依頼する際は、想定する処理量にもとづいた費用を具体的に確認し、データ量が増加した場合の料金体系もあわせて確認しておくとよいでしょう。複数年での運用を見据えた総コストを比較することが有効です。契約プランの見直しがどのタイミングで可能かも、事業拡大を見据える企業では確認しておくと安心です。
運用に必要な人材・スキルの確認
ツールによっては、導入後の運用にSQLやスクリプトの知識が求められる場合があります。自社の情報システム部門に対応できる人材がいるか、外部の専門事業者へのサポート依頼が必要かを事前に確認しておくことが重要です。
ベンダーが提供する導入支援や操作研修の範囲は製品によって異なります。マニュアル閲覧のみか、設定の初期構築まで支援してもらえるのかを区別して確認しておくと、導入後の運用開始がスムーズに進みやすくなります。社内に専任担当者を置けない場合は、外部の専門事業者へ運用の一部を相談できる体制があるかも確認しておきましょう。
ETL導入後の運用で見落としやすい課題
導入後の運用フェーズでも、連携先の仕様変更への対応やデータ品質の維持など見落としやすい課題があります。あわせて確認しておきましょう。
連携先システムの仕様変更への対応
連携先のSaaSやシステムが仕様変更を行った場合、連携処理が正常に動作しなくなる場合があります。仕様変更の情報をどのように把握し、対応する体制を整えるかは、複数のシステムが関係する課題として運用前に検討しておく必要があります。
ベンダーが提供するコネクタが仕様変更に自動で追随してくれる場合もあれば、自社側での修正対応が必要な場合もあります。連携先が多い企業ほど、対応体制を事前に整理しておくことが望まれます。仕様変更の告知を受け取る窓口を担当者間で共有しておくと、対応の遅れを防ぎやすくなります。
データ品質のチェック体制
連携後のデータに欠損や重複、形式の誤りがないかを定期的に確認する体制がないと、後工程での分析結果に影響が及ぶ可能性があります。データ品質を確認する仕組みをETLツール側に持たせられるかも選定時の確認項目です。
品質チェックを特定の担当者だけに依存させると、確認の抜け漏れが起こりやすくなります。チェック項目を明文化し、複数人で分担できる運用ルールをあらかじめ整えておくことが継続的な運用につながります。異常値を検知した際の連絡フローを決めておくと、データを利用する部門への影響を抑えやすくなります。
ETLツールのおすすめ製品を紹介
ここでは、データ連携・変換の方式や対応範囲が異なるETLツールを紹介します。自社のデータ基盤や連携先システムに合わせて比較検討する際の参考にしてください。
ASTERIA Warp
- 豊富なアダプターで様々なソースに対応
- ノーコードの簡単操作で様々な分析を高速に実現
- 1万社以上の導入実績と国内シェアNo.1の製品
アステリア株式会社が提供する「ASTERIA Warp」は、企業内に蓄積された膨大で煩雑なデータを統合するETL/EAIツールです。ノーコードでフローチャートを作成するだけでシステムやデータを連携でき、100種類以上のデータソース間の連携処理やデータ変換処理を高速に実現します。EAI・ESB・ETL・MDM・RPAといった複数の機能を標準搭載しており、クラウド版のASTERIA Warp Cloudも提供されているため、オンプレミスとクラウドの双方の連携ニーズに対応できます。
TROCCO
- 開発・インフラ・人件費のコストやデータ統合作業工数を削減
- 分析リードタイムの短縮によりデータ活用がスピーディーに
- データ環境が整備されることで、データの民主化が促進
株式会社primeNumberが提供する「TROCCO」は、データの収集・加工・連携を自動化するSaaS型のETLツールです。シンプルなGUI操作により、データエンジニアリングを専門としない担当者でもデータ基盤構築業務を進められます。データ転送やデータマート生成、複雑なパイプラインをGUIで定義するワークフロー機能に加え、ローコードで独自コネクタを設計できるカスタムコネクタ機能も備えており、多言語での変換処理にも対応しています。
HULFT Square
- ファイル転送・データ連携機能をフルマネージドサービスで提供
- 接続先の特性に合わせたコネクター/API/ファイルでの柔軟な連携
- 国・地域/業種/業務システム間をまたぎデータ連携することが可能
株式会社セゾンテクノロジーが提供する「HULFT Square」は、ファイル転送の「HULFT」とデータ連携の「DataSpider」の操作性を継承したクラウド型データ連携プラットフォームです。データ形式やサービス、システムが異なる場合でも容易に連携できるETL機能と豊富なコネクターを備え、ノーコードの開発環境で構築できます。求められるパフォーマンスに応じて柔軟にスケールできるマネージドサービスであり、マルチクラウドやオンプレミスに分散したデータの一元管理にも対応します。
AWS Glue (アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社)
- サーバーレスでデータ統合処理を実行
- 複数データソースを統合し、カタログ形式で一元管理。
- ETLやデータ変換を一つのサービスで完結。
DataSpider Servista (株式会社セゾンテクノロジー)
- ノーコード・ローコードで業務自動化
- 多様なシステム・DB・クラウドと接続可能
- 豊富なアダプタで開発工数を削減
まとめ
ETLを選ぶ際は、連携したいデータソースや処理頻度を整理したうえで、処理方式や機能、料金体系、運用に必要な体制まで幅広く比較することが重要です。自社のデータ連携の目的や将来の拡張性まで見据えたうえで、複数の資料を取り寄せて内容をじっくりと比較検討していきましょう。


