ITトレンドがおすすめする製品・サービス
- ■開発の対象別
- 既存システムの刷新・置き換え:楽々Framework3、ArielAirOne、Magic受託開発、Visual LANSA
- 基幹システム周辺の業務アプリ:楽々Webデータベース、楽々Framework3、mendix
- 全社で使う申請・ワークフロー:SmartDB、ArielAirOne
- ■開発の担い手別
- 情報システム部門が自ら開発する:楽々Framework3、ArielAirOne、iPLAss
- 開発会社やベンダーと共同で開発する:Magic受託開発、プリザンターサポートサービス
情シスがローコード開発ツールを必要とする理由
ローコード開発ツールが求められる理由は、システムへの要望が増え続ける一方で、開発にかけられる人員と時間が限られているためです。老朽化したシステムの刷新や、外部委託にかかる費用の増加といった課題も重なっています。代表的な3つの理由を見ていきます。
開発要望が積み残されている
情報システム部門には、業務部門から画面の追加や帳票の変更、新しい業務のシステム化など、多くの要望が寄せられます。限られた人員で既存システムの保守も担うため、優先度の低い要望は後回しになり、積み残しが増えていく場合があります。
ローコード開発ツールを使うと、画面やデータの構造、処理の流れを部品の組み合わせで作れるため、一つの開発にかかる期間を短くできる可能性があります。同じ人員でより多くの要望に応えられる点が、必要とされる大きな理由です。要望を出した業務部門と画面を見ながら作り進められるため、完成後の手戻りを減らせる点も利点です。
老朽化したシステムの刷新が課題になっている
経済産業省は2018年9月に「DXレポート」を公表しました。この中で、複雑化やブラックボックス化した既存システムを刷新できない場合、2025年以降に最大で年12兆円の経済損失が生じる可能性があると指摘されています。「2025年の崖」と呼ばれた問題です。
長年改修を重ねたシステムを従来の方法で作り直すには、多くの費用と期間がかかります。ローコード開発ツールは、刷新の負担を抑える手段の一つとして検討されるようになりました。ただし、既存システムの仕様が文書に残っていない場合は、作り直す前に業務と機能を整理する工程が必要です。
外部委託の費用と期間が膨らみやすい
開発を外部の会社に委託している場合、画面の項目を一つ増やすような小さな改修でも、見積もりや契約の手続きが必要です。依頼から反映までに時間がかかり、改修のたびに費用も発生します。
ローコード開発ツールを使えば、軽微な改修は社内で対応し、規模の大きな開発だけを委託先と共同で進める、といった分担を取りやすくなります。委託の範囲を見直して費用と期間を抑えたいことも、必要性を考える大切な要素です。
スクラッチ開発やパッケージとの違いで見る必要性
ローコード開発ツールが必要かどうかは、ほかの開発手段と比べると判断しやすくなります。一からプログラムを書くスクラッチ開発と、完成品を使うパッケージやSaaSの間に位置づけると、ローコードが向く領域が見えてきます。
スクラッチ開発との違い
スクラッチ開発は、要件にあわせて一からプログラムを書く方法です。自由度は高い一方で、設計から実装、テストまでの工程が長く、開発者の確保も必要です。完成後の改修も、コードを読み解ける人に頼らざるを得ません。
ローコード開発ツールは、標準の部品で作れる範囲が決まっている代わりに、作る量を減らせます。自由度を一部手放してでも、開発期間と改修の手間を抑えたい場合に必要性が高まります。
パッケージ・SaaSとの違い
パッケージやSaaSは、多くの企業に共通する業務の進め方を前提に作られた完成品です。導入までの期間は短い一方で、自社独自の項目や承認の流れにあわせる余地は限られます。
ローコード開発ツールは、自社の業務にあわせた画面や処理を作れる点が異なります。下の表のように、業務の独自性が高く、市販品にあわせることが難しい領域で必要性が高まります。
| 開発手段 | 向いている領域 |
|---|---|
| スクラッチ開発 | 独自性が高く、性能や細部の要件も厳しいシステム |
| ローコード開発ツール | 業務の独自性はあるが、標準の部品で表現できるシステム |
| パッケージ・SaaS | 多くの企業で共通し、業務を製品にあわせられる領域 |
ノーコードでは足りずローコードが必要な場面
ノーコード開発ツールでも業務アプリは作れますが、全社システムや基幹システムとの連携を伴う開発では機能が足りない場合があります。コードで補える余地を持つローコード開発ツールが必要になる場面を、3つに分けて紹介します。
基幹システムとのデータ連携
受注データを販売管理システムに送る、会計システムの仕訳データを取り込むなど、基幹システムとデータをやり取りする業務では、連携の方法や変換の処理を細かく設定する必要があります。ノーコードの標準の連携機能だけでは対応しきれないケースがあります。
ローコード開発ツールでは、API(システム同士がデータをやり取りする窓口)を呼び出す処理や、データの形式を変える処理をコードで書き足せる場合があります。連携先が多いシステムほど、この余地の有無が効いてきます。
独自の計算や業務ルール
料金の計算や在庫の引き当て、取引条件による承認ルートの分岐など、業務ルールが複雑な処理は、画面上の設定だけでは表現できない場合があります。無理に設定で再現しようとすると、かえってわかりにくい作りになるおそれがあります。
ローコード開発ツールなら、標準の部品で作れる部分は設定で、複雑な部分だけをコードで書くという使い分けができます。業務ルールを正確に再現したい場面で、ローコードを選ぶ必要性が高まります。
利用者や権限の多い全社システム
数百人から数千人が使うシステムでは、部署や役職ごとの細かな権限設定や、操作ログの管理、社内の認証基盤との連携が求められます。部署単位の利用を想定したノーコードツールでは、こうした管理の要件を満たせない場合があります。
全社システムとして運用するなら、開発・検証・本番の環境を分けられるか、変更を管理できるかも重要です。こうした運用の仕組みを備えているかは、ローコード開発ツールを選ぶ際の確認点の一つです。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でノーコード・ローコード開発ツールの一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品の比較検討を進めましょう。
ローコードより別の手段が向くケース
ローコード開発ツールは多くの場面で役立ちますが、導入しても効果が出にくいケースもあります。必要性が低い条件を先に知っておくと、無理な導入を避け、ほかの手段を選ぶ判断がしやすくなります。代表的な2つのケースを紹介します。
業務を市販の製品にあわせられる
勤怠管理や経費精算のように、法令や一般的な商習慣に沿った業務は、市販のSaaSで十分に対応できる場合があります。法改正への対応も提供会社に任せられるため、自社で作って保守するよりも負担を抑えられます。
業務の進め方を製品にあわせることに社内の合意が得られるなら、ローコードで作る必要性は低いといえます。独自の部分がわずかであれば、SaaSの設定やオプションで補えないかを先に確かめましょう。
開発と保守を担う人を確保できない
ローコード開発ツールはコードを書く量を減らせますが、データの設計や業務の整理、テストといった開発の基本は必要です。社内と委託先のどちらにも担い手がいない状態では、作ったシステムを改修し続けることが難しくなります。
この場合は、開発会社への委託やパッケージの導入から始め、並行して社内の人材を育てる方法も考えられます。ローコード開発ツールの提供会社が研修や開発支援を用意しているかも、判断の材料です。
必要性を投資判断につなげる進め方
ローコード開発ツールの必要性を確かめたら、経営層に投資の妥当性を示す段階に進みます。対象システムを洗い出し、費用を比べる範囲をそろえ、小さく始めて効果を確かめる流れで進めると、判断の根拠を示しやすくなります。
対象システムの洗い出し
まず、刷新や新規開発の候補となるシステムと、積み残している要望を一覧にします。それぞれについて、業務の独自性、連携先の数、利用者数、性能の要件を整理すると、ローコード、スクラッチ、パッケージのどれが向くかを振り分けられます。
ローコードに向くシステムがいくつあるかによって、ツールに投資する価値は変わります。一つのシステムだけでなく、今後数年で作る予定のシステム全体で考えることが大切です。
費用の比較と小さな試行
費用を比べる際は、開発費だけでなく、ライセンス料や保守にかかる人件費、改修の費用を含めた数年分の総額で比べましょう。スクラッチ開発の見積もりと同じ範囲で比べないと、正しい判断ができません。
そのうえで、影響範囲の小さいシステムを一つ選んで試行し、開発期間や改修のしやすさを確かめます。実際の結果を示せれば、全社展開の判断を得やすくなります。
スクラッチ開発と比べたい製品の一覧
ローコード開発ツールを中心に、関連するノーコード製品や開発支援サービスも含めて特徴を一覧にまとめました。開発の対象や担い手の違いを比較してみましょう。
| 製品名 | 特徴 |
|---|---|
| 楽々Framework3 | 基幹システムの開発やレガシー刷新、内製化を見据えた長期運用の開発基盤 |
| ArielAirOne | Notes資産を活かした移行と、ワークフロー・業務アプリの開発を一つの基盤で提供 |
| Magic受託開発 | Magic xpaを用いた受託開発で、プロトタイプで確認しながら要件を詰める |
| SmartDB | 全社の申請・承認を、複雑な承認ルートや権限制御ごとノーコードで実現 |
| 楽々Webデータベース | 基幹システム周辺からスキマ業務まで、Excel運用をWebアプリに置き換える |
| Visual LANSA | エンタープライズ向けのモバイル・Web・デスクトップアプリを高速開発 |
| mendix | クラウドとオンプレミスに対応し、ビジネス部門とIT部門が協業して開発 |
| iPLAss | OSS版があり、Java・Groovy対応でプロの開発者向けにも使える |
| プリザンターサポートサービス | 国産OSS「Pleasanter」の導入・運用・保守を支えるサポートサービス |
スクラッチ開発の代替を担うローコード
スクラッチ開発やパッケージでは対応しにくい業務を想定し、ローコード開発ツールを中心に、関連するノーコード製品や開発支援サービスを紹介します。
楽々Framework3
- EOL(サポート終了)を気にせず長く使える開発基盤
- 部品活用で高品質・標準化されたシステム開発
- 開発から運用保守まで支え、継続改善と内製化を実現
住友電工情報システム株式会社が提供する「楽々Framework3」は、基幹システムを部品の組み立てで開発できる国産のローコード基盤です。AS/400やNotes、Access、VB6といった古いシステムの刷新にも使われ、発売から25年以上保守が続いています。開発から運用・保守までを支え、将来の内製化も見据えられるため、長く育てる業務システムに向きます。
ArielAirOne
- 大手企業のペーパーレスをノーコード/ローコードで実現
- Notes移行ツールで管理者と現場の移行負荷を大幅に削減
- スクリプトを設定することで、複雑なアプリケーション作成も可能
株式会社ワークスアプリケーションズが提供する「ArielAirOne」は、Notesで作ってきたアプリや文書を移行でき、ワークフローや業務アプリの開発にも使えるローコードの製品です。設計とデータを移す移行ツールを備えています。複雑な要件にはスクリプトで対応できます。情報システム部門が自ら手を動かして、既存の業務基盤を作り替えたい場合の選択肢です。
Magic受託開発
- プロトタイプ先行のアジャイル開発
- Magic xpaで短納期ローコード開発
- システム移行や保守まで一括支援
株式会社フォリウムが提供する「Magic受託開発」は、ローコード開発ツール「Magic xpa」を使って、開発会社が個社の要件にあうシステムを構築するサービスです。SaaSやパッケージ製品では業務にあわない場合に、個社要件にあわせたシステム開発として、動くプロトタイプを確認しながら進められます。既存システムからの移行支援や、保守・運用までを任せたい共同開発の形に合います。
SmartDB
- ノーコードで業務部門でも開発できます
- 豊富な標準機能で幅広い業務をデジタル化できます
- 大企業ならではの複雑なワークフロー/権限制御に対応できます
株式会社ドリーム・アーツが提供する「SmartDB」は、大企業の複雑な業務をデジタル化できるクラウド型のノーコード開発プラットフォームです。合議、条件分岐、代行承認、多数決承認などのワークフローを、プログラムを書かずに設定できます。全社で使う申請の仕組みを、スクラッチ開発に頼らず現場主体で整えたい場合の選択肢です。
楽々Webデータベース
- 活エクセル|Excelを活用したままExcel業務の課題解決
- かんたん構築|ノーコードでだれもがIT人材に
- つなげて活用|貯めたデータも人もつなげて新たな価値を
住友電工情報システム株式会社が提供する「楽々Webデータベース」は、基幹システム周辺の管理業務やスキマ業務を、Webアプリに置き換えるノーコードのツールです。Excelを取り込んで業務アプリにできます。ワークフローや帳票出力も備え、オンプレミスとクラウドから選べるため、周辺業務を手早く整えたい情報システム部門に向きます。
Visual LANSA (株式会社ランサ・ジャパン)
- 30年の歴史、導入実績8000社以上。
- ローコード開発、連携、モダナイゼーションを統合。
- 単一言語とIDEで全てを生成
mendix (シーメンス株式会社)
- 直感的な設計と既存システム統合で企業利用に適している。
- マルチクラウド・オンプレ対応で環境に柔軟適応。
- ビジネス/開発者共同開発可能なDX加速プラットフォーム
iPLAss (株式会社電通総研)
- OSS版提供、必要に応じライセンス購入可能
- サーバ台数に応じたライセンスで、コスト増を抑制。
- Java/Groovy対応、プロ開発者も納得の開発基盤
プリザンターサポートサービス (株式会社日立システムズフィールドサービス)
- 人数・機能・期間の制限なし
- API・独自SQLで高い拡張性とカスタマイズ性
- 多様なサポートで導入後も安心運用を支援。
まとめ
ローコード開発ツールの必要性は、スクラッチ開発では時間と費用がかかりすぎ、パッケージでは業務にあわない領域で高まります。開発要望の積み残しや老朽化したシステムの刷新、基幹システムとの連携が課題であれば、導入を検討する価値があります。対象システムを洗い出して費用を比べたうえで、ノーコード・ローコード開発ツールを資料請求し、自社の開発体制にあう製品を比較検討してください。

