ITトレンドがおすすめする製品・サービス
- ■AIの活用範囲別
- データ構造の設計やアプリ作成の支援:JUST.DB、キントーン、MicrosoftPowerPlatformソリューション
- テストの作成や修正の支援:AutifyNoCodeWeb
- 業務アプリへのAI機能の組み込み:Platio Canvas、MicrosoftPowerPlatformソリューション、ClarisFileMaker
- ■基幹連携・管理の機能別
- 基幹システムとのデータ連携:JUST.DB、Platio Canvas、楽々Framework3
- 操作ログ・監査ログの管理:SmartDB、JUST.DB
ローコード開発ツールのAIは「作る」と「使う」の2方向
ローコード開発ツールに搭載されるAIは、役割によって大きく2つに分かれます。開発の生産性を上げるためのAIと、完成した業務アプリの機能として働くAIです。まずは両者の違いを押さえましょう。
開発者の作業を支援するAI
1つ目は、アプリを「作る」工程を支援するAIです。データの構造の提案や、画面に追加する処理の記述、スクリプトの補完などを行い、開発者の手作業を減らします。
ローコードとは、画面操作を中心に開発し、必要な部分だけコードを書き足す開発手法です。AIは、このコードを書き足す部分の負担を軽くする役割を担います。利用するのは主に情報システム部門や開発担当者で、開発のスピードや品質を高めることが目的です。
業務アプリの中で働くAI
2つ目は、完成した業務アプリの中でAIを「使う」形です。問い合わせ内容の自動分類や請求書の文字の読み取り、長い報告書の要約といった機能を、アプリの一部として組み込みます。
この場合、AIを利用するのはアプリを使う現場の社員です。開発者は、AIにどのデータを渡し、結果をどの画面や処理に反映するかを設計します。開発支援のAIとは評価の観点が異なるため、検討時は分けて考えると比較の軸がぶれにくくなります。
ローコード開発の工程ごとに見るAIの使い道
開発者を支援するAIは、要件の整理から設計、実装、テストまで、工程ごとに役立つ場面が異なります。ここでは代表的な3つの工程で、AIをどう使えるかと、人が担う役割を整理します。
要件の整理とデータモデルの設計
上流の工程では、業務の説明文から必要なテーブルや項目、項目どうしの関係をAIに提案させる使い方があります。データモデルとは、どんな情報をどの単位で保存するかを決めた設計図のことです。
AIの提案は、たたき台を短時間で用意するのに役立ちます。一方で、既存の基幹システムの項目定義や社内のコード体系とあっているかは、AIには判断しきれません。最終的な設計は、業務と既存システムを理解した担当者が確定させることが重要です。
画面・ロジックの生成とスクリプトの補完
実装の工程では、画面の配置や入力チェックの処理を自然な文章から生成したり、書きかけのスクリプトの続きを補完したりする使い方があります。複雑な計算式や条件分岐を書く時間を短縮できる点が利点です。
ただし、生成された処理が意図どおりに動くかは、実際のデータで確かめる必要があります。特に権限の判定や金額の計算など、誤りが業務に影響する処理は、人がコードを読んで確認する工程を残しましょう。
テストケースの作成と不具合の調査
テストの工程では、画面や処理の仕様からテストケースの案をAIに作らせる使い方があります。境界値や入力漏れといった、人が見落としやすいパターンを洗い出す補助として有効です。
エラーが発生した際に、ログやエラーメッセージから原因の候補や修正案を示す機能を持つ製品もあります。とはいえ、不具合の原因は設定や連携先、データの状態など複数の要因が関係します。AIの示した候補は、調査の出発点として扱うのが現実的です。
ローコードで作る業務アプリへのAI機能の組み込み方
業務アプリにAIを組み込む方法は、製品が用意した部品を使うか、外部のAIサービスとつなぐかで手間と自由度が変わります。代表的な3つの方法を、開発の負担と注意点とあわせて紹介します。
標準で用意されたAI部品の利用
最も手軽なのは、ローコード開発ツールが標準で用意しているAI部品を画面や処理に配置する方法です。文字の読み取りや文章の分類、要約といった機能を、設定画面から呼び出す形で使います。
コードをほとんど書かずに組み込めるため、検証を早く始められる点が利点です。一方で、使えるAIの種類や細かな調整の範囲は製品の仕様に左右されます。自社の業務で求める精度や処理件数に対応できるか、試用の段階で確認しておきましょう。
外部の生成AIサービスとのAPI連携
より柔軟に使いたい場合は、外部の生成AIサービスとAPIで連携する方法があります。APIとは、システムどうしがデータをやり取りするための窓口のことです。アプリから質問文を送り、返ってきた回答を画面に表示したり、項目に書き込んだりします。
この方法では、利用するAIを用途にあわせて選べます。その反面、認証情報の管理や通信が失敗したときの再実行、応答待ちの時間への対応は開発者が設計する必要があります。連携先の利用規約やデータの保存条件も確認が必要です。
社内文書を検索して回答する仕組みの構築
社内の規程やマニュアルをもとにAIが回答する仕組みを、ローコードで組み立てる方法もあります。質問に関連する文書を検索し、その内容をAIに渡して回答を作らせる手法で、RAG(検索拡張生成)と呼ばれます。
社内の情報にもとづいた回答を返しやすくなる一方、元の文書が古いと回答も古くなります。文書の更新ルールや、閲覧権限のない文書が回答に使われない設計が欠かせません。回答の根拠となった文書を表示する仕組みもあると、利用者が内容を確かめやすくなります。
ITトレンドでは、最新の製品・サービスを多数比較・掲載しています。まず資料請求して、さまざまな製品の機能や特徴を比較してみてください。忙しい業務時間内でも、各社に問い合わせる手間なく、たった1回の入力(約60秒)でノーコード・ローコード開発の一括資料請求が可能です。浮いた時間で、じっくりと製品を比較検討し進めましょう。
AIを組み込んだアプリを基幹連携する際の設計
AI機能を備えた業務アプリと、販売管理や会計といった基幹システムを連携させる場合は、データの扱いと処理の流れを慎重に設計する必要があります。連携前に検討したい3つの設計ポイントを紹介します。
AIに渡すデータの範囲と権限の切り分け
まず、基幹システムのどのデータをAIに渡すかを限定します。顧客の個人情報や取引条件など、外部のAIサービスに送るべきでない情報は、送信前に除外するか、項目を伏せる処理を入れます。
また、アプリの利用者が本来閲覧できないデータを、AIの回答を通じて見られてしまう状態は避けなければなりません。AIが参照するデータにも、利用者ごとの閲覧権限を反映させる設計が必要です。
AIの結果を業務処理に反映する前の確認工程
AIの出力は、誤りを含む可能性があります。読み取った金額をそのまま会計システムに登録するなど、結果を基幹システムへ自動で書き込む設計では、誤りがそのまま業務データに残るおそれがあります。
そこで、AIの結果を一度画面に表示して担当者が承認してから反映する、信頼度の低い結果だけを人の確認に回すといった工程を設けます。処理の履歴を残し、誤りに気づいたときに修正や再処理ができる仕組みもあわせて用意しましょう。
利用量の上限と従量課金の見積もり
外部のAIサービスには、処理した文字数や回数に応じて料金がかかる従量課金の料金体系をとるものがあります。基幹システムと連携して大量のデータを処理すると、想定より費用が膨らむ場合があります。
月ごとの処理件数を見積もり、利用量の上限や通知を設定しておくと費用を管理しやすくなります。連携先のサービスには、一定時間内に送れる要求の回数に上限があることもあるため、夜間のまとめ処理で上限に達しないかも確認が必要です。
ローコード開発ツールのAI利用を情シスが管理する方法
AIを使った開発や機能が社内に広がると、品質や情報管理の基準をそろえる必要が出てきます。情報システム部門が整えておきたい管理の仕組みを、3つの観点から紹介します。
AIが生成したコードのレビュー基準
AIが生成したコードやロジックも、人が書いたものと同じ基準でレビューする体制を整えます。命名ルールやエラー処理の書き方、外部連携の作法などを開発標準として文書にまとめ、生成物がそれに沿っているかを確認します。
AIの提案を採用した箇所を記録しておくと、不具合が起きたときの調査にも役立ちます。レビューを特定の担当者だけに任せず、複数人で確認できる体制にすることで、品質のばらつきや属人化を防ぎやすくなります。
AIの接続先と入力データのルール
開発者や利用部門が任意のAIサービスに接続できる状態では、情報の管理が難しくなります。社内で利用を認めるAIサービスと、入力してよいデータの区分を決め、ローコード開発ツール側の設定で接続先を制限できるか確認しましょう。
ルールは作るだけでなく、開発者向けの手引きとして共有することが大切です。新しいAIサービスを使いたい場合の申請手順も決めておくと、現場の要望を受け止めながら管理を続けられます。
操作ログと変更履歴の管理
AIがいつ、どのデータを使って、どんな結果を返したかを後から確認できるよう、操作ログを残す設定を確認します。問題が起きたときに原因を特定し、影響範囲を調べるための材料になるためです。
あわせて、アプリやAI部品の設定を変更した履歴も管理します。誰がいつ何を変更したかを記録し、必要に応じて以前の状態に戻せると安心です。ログの保存期間や閲覧できる担当者も、社内規程にあわせて決めておきましょう。
AI活用と基幹連携で比べる開発ツール一覧
開発工程でのAI支援、業務アプリへのAI機能の組み込み、基幹連携や管理の機能という観点で、この記事で紹介する製品を一覧にしました。情報システム部門で候補を絞り込む際の参考にしてください。
| 製品名 | 特徴 |
|---|---|
| SmartDB | REST APIやWebhookに対応。所属・ロールによる権限制御や、操作ログを5年間保存する仕組みを備える |
| JUST.DB | 生成AIとの対話でデータテーブルや画面を生成。基幹系DBのマスタ取り込みや監査ログの取得に対応 |
| Platio Canvas | 生成AIの実装に対応したノーコード基盤。APIや連携ツールで基幹システムとデータを連携できる |
| 楽々Framework3 | 部品組み立て型のローコード開発基盤。基幹システムや既存システムとの連携が多いシステムの開発に用いられる |
| キントーン | チャットで用途を伝えるとAIがフィールド構成を提案。API連携やプラグインで機能を拡張できる |
| MicrosoftPowerPlatformソリューション | ローコードでアプリやワークフロー、AIツールを開発・管理できる。AI搭載ツールで開発の高速化を図れる |
| ClarisFileMaker | 自然言語検索や予測分析をカスタムAppに組み込める。APIやJSONを活用した構築にも対応 |
| AutifyNoCodeWeb | AIエージェントへのチャット指示で自動テストを作成し、失敗したテストのAI修正にも対応するテスト自動化ツール |
情シスがAI活用を管理しやすい開発基盤
AIによる設計やテストの支援、業務アプリへのAI機能の組み込みに対応する製品と、基幹連携やログ管理に強みを持つ製品を紹介します。AI機能の範囲は製品ごとに異なるため、自社で重視する工程にあわせて比べてみてください。
SmartDB
- ノーコードで業務部門でも開発できます
- 豊富な標準機能で幅広い業務をデジタル化できます
- 大企業ならではの複雑なワークフロー/権限制御に対応できます
株式会社ドリーム・アーツが提供する「SmartDB」は、Webデータベースとワークフローを備えた大企業向けのノーコード開発プラットフォームです。REST APIやWebhook、RPA連携に対応し、TeamsやSlackといった外部サービスとも連携できます。所属やロールによる権限制御、更新履歴の保存に加え、契約者の操作ログ(監査ログ)を5年間保存する仕組みを備えています。社内に広がる業務アプリの権限や操作履歴をまとめて管理したい情報システム部門に向く製品です。
JUST.DB
- 【完全ノーコード×生成AI】マウス操作と"ことば"でシステム開発
- 【多彩な標準機能】高い拡張性により、全社DXをJUST.DB1つで実現
- 【同時ログインライセンス】全社展開してもコストを抑制
株式会社ジャストシステムが提供する「JUST.DB」は、ノーコードで業務システムを構築できるクラウドデータベースです。生成AIとの対話でデータテーブルやパネルを自動生成でき、設計にかかる時間の短縮を図れます。基幹系データベースのマスタ情報の取り込みや、メール・チャットツールへの通知といった外部連携の機能も標準で搭載しています。要素ごとのアクセス権設定や監査ログの取得、IPアドレス制限にも対応し、情報システム部門が利用状況を管理しやすい製品です。
Platio Canvas
- iOS/Android/Web用のアプリを即座に構築
- ノーコードで自由自在なアプリ開発
- IDフリーで業務の広がりに応じた柔軟な展開が可能
アステリア株式会社が提供する「Platio Canvas」は、プログラミング不要でエンタープライズ品質のアプリを開発できる法人向けノーコードプラットフォームです。生成AIの実装に対応しており、業務アプリの機能としてAIを取り入れる用途に使えます。データはAPIや連携ツールを介して基幹システムやkintoneと連携でき、現場の入力を自動で反映させる仕組みも構築できます。ユーザー数無制限のIDフリー体系と高度な権限設定を備え、全社的なガバナンスとの両立を図れます。
楽々Framework3
- EOL(サポート終了)を気にせず長く使える開発基盤
- 部品活用で高品質・標準化されたシステム開発
- 開発から運用保守まで支え、継続改善と内製化を実現
住友電工情報システム株式会社が提供する「楽々Framework3」は、基幹システム開発とレガシー刷新を支える部品組み立て型のローコード開発基盤です。画面遷移や画面構成、処理の流れをまとめた開発部品を組み合わせるため、開発者ごとの実装のばらつきを抑えられます。既存システムとの連携が多いシステムや、長期運用を前提とした業務システムの開発に用いられています。テストやリリース、運用、監視まで含めた開発サイクル全体を支援する点も特徴です。
キントーン
- AIとノーコードで業務アプリをシュシュッとつくれる
- 部署・業種別ですぐに使えるサンプルアプリ
- プラグイン・連携サービスを組み合わせて業務がより効率的に
サイボウズ株式会社が提供する「キントーン」は、AIとノーコード・ローコードで業務アプリを作れる業務改善プラットフォームです。kintone AIに作りたいアプリの用途や目的をチャットで伝えるとフィールド構成の提案を受けられるため、データ構造のたたき台づくりにかかる時間を短縮できます。API連携に対応し、プラグインや連携サービスを組み合わせた拡張も可能です。AI機能の利用条件は契約コースや提供状況によって異なるため、事前に確認しましょう。
MicrosoftPowerPlatformソリューション (SCSK Minoriソリューションズ株式会社)
- 1,000以上のコネクタでアプリ間を接続
- Microsoft Fabric、Azure、M365、D365と連携
- AI搭載ツールでアプリ開発・ワークフロー自動化を高速化。
ClarisFileMaker (Claris International Inc.)
- 自然言語検索や予測分析をカスタムAppに組込める。
- 多様な環境で、クラウド・オンプレミス・ハイブリッド展開対応。
- APIやJSON、JavaScriptを活用した業務システム構築を支援。
AutifyNoCodeWeb (オーティファイ株式会社)
- AIチャット指示で自動テスト作成
- 実行無制限、クラウド/ローカル対応
- AIが失敗テストを修正
まとめ
ローコード開発ツールのAIは、設計やテストなど開発工程を支援する使い方と、業務アプリにAI機能を組み込む使い方に分かれます。組み込みでは、標準部品、外部サービスとのAPI連携、社内文書の検索という選択肢があり、基幹連携時はデータの範囲や確認工程、費用の見積もりが重要です。自社の目的にあうノーコード・ローコード開発ツールを比べたい方は、資料請求でAI機能の範囲や管理設定を確認してください。

