ネットショップ管理システムとは
複数のECサイトを構築したり、複数のECモールに出店したりすると運営が大変になります。受注情報や在庫数などが店舗ごとに管理されていると、全体の状況を把握するのが困難です。
そこで活用したいのが、複数ショップの運営を支援するネットショップ管理システムです。
ネットショップ管理システムは、自社で運営するショップから大手モールに出している店まで、すべての店舗を一元管理できます。
単に情報を集約するだけでなく、処理の自動化機能によってショップ運営者の負担を軽減します。
ネットショップ管理システムの主な5つの機能
ネットショップ管理システムの機能といえば、どのようなものが思い浮かびますか。
搭載されている機能は多岐にわたり、「そんなこともできるのか!」と感じられるかもしれません。便利な機能をフル活用し、ネットショップ運営を効率化しましょう。
機能1:受注管理
複数のECサイト・モールから受注情報を集める機能です。この機能があれば、手作業で各店舗へログインし、受注情報を確認する必要はありません。
ネットショップ管理システム上で全店舗における受注情報を確認し、振り分けなどの処理を行えます。送り状の出力や、受付完了メールの配信などを自動化する機能を備えた製品もあります。
機能2:在庫管理
複数の店舗を運営するうえで、大きな課題となりがちなのが在庫管理です。一般的には、各店舗に在庫を割り当てて残数をお客様に表示します。
ところが、これではある店舗では在庫が残っているのに、別の店舗では割り当て分がなくなり、「在庫なし」と表示されることがあります。商品の在庫自体は存在するのに、店舗上の残数がゼロになることで、販売機会の損失が生じるのです。
そこで、ネットショップ管理システムがもつ在庫管理機能の出番です。複数店舗における在庫数を連動させ、機会損失のリスクを低減します。
機能3:商品管理
商品を登録する際には、各店舗のシステムにログインし、商品名や紹介文などを逐一入力しなければなりません。店舗の数だけ同じ作業を繰り返さなければならず、非効率的です。
ネットショップ管理システムの商品管理機能を使えば、全店舗にまとめて商品登録を行えます。新規商品の登録はもちろん、既存商品の情報更新も簡単です。
機能4:出荷管理
受注情報に基づいて出荷処理を行う機能です。注文が寄せられた店舗や、特別な対応の有無といった情報を踏まえて出荷管理システムに指示を出します。出荷処理の完了時に、お客様にメールを配信する機能もあります。
機能5:外部システムとの連携
ネットショップ管理システムは多くの外部システムと連携します。例えば、物流サービスや決済サービスと連携可能です。受注時の決済処理や配送手続きなどを効率化・自動化します。
また、CRMと連携すれば、受注情報をCRM上の顧客情報へ紐づけられます。いつ誰がどのような商品を購入したのかデータを残すことで、高度なパーソナライゼーションが実現するでしょう。
おすすめしたいネットショップ管理システム10選
続いて、おすすめのネットショップ管理システムを紹介します。自社にぴったりの製品を導入すれば、運営者を日々悩ませる多くの負担を一挙に取り除けるかもしれません。10種類の製品について、それぞれの特徴を比較していきましょう。
助ネコ
株式会社アクアリーフが提供している「助猫」は、Amazonや楽天市場を筆頭に、多くのモール・カートに対応している製品です。未対応のモール・カートからは、CSVファイルを介してデータを連携できます。96%ものサポート満足度と洗練されたUIをもち、パートやアルバイトのスタッフも利用できる使いやすさが特徴です。
価格 |
初期費用30,000円~、月額費用2,000円~ |
無料トライアル |
あり |
提供形態 |
クラウド |
主な機能 |
受注管理、発注管理、商品登録、在庫管理、Web領収書 |
ネクストエンジン
NE株式会社が提供している「ネクストエンジン」は、契約者数約5,40000社、受注処理件数約15,000件もの実績を誇るネットショップ管理システムです。
カスタマイズ性に優れ、事業規模や市場の変化へ柔軟に対応できます。大手モールを含めて多数のモール・カートに標準対応しているほか、拡張機能によってさらに多くのモール・カートと連携できます。
価格 |
初期費用0円、月額費用10,000円~ |
無料トライアル |
あり |
提供形態 |
クラウド |
主な機能 |
受注管理、在庫管理、商品登録、決済連携、送り状発行、倉庫連携 |
GoQSystem
株式会社GoQSystemが提供している「GoQSystem」は、年間受注件数約2,400万件、年間流通金額約3,200億円の利用実績をもつシステムです。
定額料金制であるため、注文件数の増加に伴って費用が増える心配がないのが特徴です。また、サポート体制が充実し、メールや電話、チャットなどで専属スタッフから支援を受けられます。標準で多くのカート・モールに対応しているほか、未対応のものとはCSVを介して連携できます。
価格 |
初期費用30,000円~、月額費用15,000円~ |
無料トライアル |
あり |
提供形態 |
クラウド |
主な機能 |
受注管理、在庫連携、商品管理、物流管理、売上管理 |
CROSS MALL
株式会社アイルが提供している「CROSS MALL」は、リピート率98.4を誇るサービスです。商品の登録から発注・仕入まで、ネットショップ運営に求められる機能を網羅的に備えています。大手モール・カートに加え、越境ECモールに対応しています。また、ファッション系ECモールに多く対応しているのも特徴です。
価格 |
初期費用0円、月額費用5,000円~ |
無料トライアル |
なし |
提供形態 |
クラウド |
主な機能 |
在庫管理、商品登録、商品複製、受注管理、受注処理自動化、発注・仕入管理 |
TEMPOSTAR
SAVAWAY株式会社が提供している「TEMPOSTAR」は、クラウド型でありながら、高い拡張性をもつ製品です。
事業の成長にあわせて拡張することで、長期間安定的に利用し続けられます。また、商品情報と画像をまとめて予約する機能や、自動仕分け機能など、業務効率化機能が充実しているのが特徴です。
価格 |
初期費用0円、月額費用10,000円~ |
無料トライアル |
あり |
提供形態 |
クラウド |
主な機能 |
受注管理、在庫管理、商品管理、外部連携 |
mylogi
アートトレーディング株式会社が提供している「mylogi」は、シンプルな画面設計と業務フローにより、扱いやすいのが魅力の製品です。料金は月額固定のため、売上増加に伴って増額する心配はありません。
モールやカートシステムのほか、在庫管理システムや販売管理システムとの連携にも対応しています。また、物流会社とのマッチングサービスが提供されているのも特徴です。
価格 |
初期費用10,000円~、月額費用30,000円~ |
無料トライアル |
なし |
提供形態 |
クラウド |
主な機能 |
多モール対応受注管理、フリーロケーション、ピッキング・出荷検品、コールセンター |
アシスト店長
株式会社ネットショップ支援室が提供している「アシスト店長」は、複数のサイトを一元管理できるだけでなく、顧客管理機能が充実しているのが特徴です。
顧客の購入回数を店舗横断的に収集するほか、差込み機能などを活用したメール送信によりリピーターを獲得できます。API連携可能なモール・カート以外は、CSVの入出力で連携可能です。
価格 |
初期費用30,000円~、月額費用20,000円~ |
無料トライアル |
なし |
提供形態 |
クラウド |
主な機能 |
受注管理、顧客管理、分析、発送処理、メール送信、在庫管理 |
タテンポガイド
株式会社オークファンが提供している「タテンポガイド」は、ネットショップ運営の業務フローをシンプルにし、業務負担を軽減するシステムです。
大手のモール・カートに標準対応しているほか、それ以外のシステムとの連携実績も多数あります。ユーザー企業ごとに専任の担当者がつき、導入から運用まで丁寧なサポートが提供されるのも特徴です。
価格 |
初期費用0円、月額費用11,000円~ |
無料トライアル |
あり |
提供形態 |
クラウド |
主な機能 |
受注管理、商品管理、在庫管理、入金管理、配送管理、顧客管理 |
クロスマ
株式会社IZUMIが提供している「クロスマ」は、1,000名のユーザーに利用されてきたほか、AmazonやYahoo!から認定を受けている製品です。
楽天市場やAmazonを含む大手モールと、一部のフルフィルメントサービスと連携できます。また、新規ショップ構築の代行サービスも提供されています。
価格 |
初期費用0円~、月額費用14,800円 |
無料トライアル |
なし |
提供形態 |
クラウド |
主な機能 |
出品、価格設定、在庫連動、受注発送、メール送信 |
E-ASPRO
株式会社東計電算が提供している「E-ASPRO」は、自社ECサイトに加え、楽天市場・Yahoo!・Amazonと連携可能な製品です。
受注や出荷、さらにはコールセンターでの応対情報も含めて高度な一元化を実現します。基本パッケージプランのほか、ユーザー企業の要件を反映するカスタマイズプランも提供されています。
価格 |
初期費用500,000円~、月額費用90,000円~ |
無料トライアル |
なし |
提供形態 |
クラウド |
主な機能 |
受注管理、出荷管理、発送照会、コールセンター、在庫管理、BtoB管理 |
ネットショップ管理システムを選ぶポイント
機能や価格に加え、提供形態や連携可能なカートなど、製品の比較ポイントは多く存在します。どのような点に着眼して選定すれば、自社に最適なネットショップ管理システムを選べるのでしょうか。3つのポイントを見ていきましょう。
1.出店しているネットショップに対応しているか
一口にネットショップ管理システムといっても、対応しているモールやECパッケージは製品によって異なります。自社が運営しているサイトのECパッケージや、出店しているモールに対応しているか、製品比較時に確認しましょう。
基本的に、ネットショップ管理システムが対応しているショップ・システムは以下の3種類に大別されます。
- ・モール型ショッピングサイト
- ・ECパッケージ/ASPカート
- ・越境ECモール
モール型ショッピングサイトとは、Amazonや楽天市場などのことです。ほとんどのネットショップ管理システムが対応しています。
一方、ECパッケージ/ASPカートとは、ECサイトの構築ツールのことです。構築時に使うツールによって、ネットショップ管理システムとの連携可否が左右されます。
越境ECモールは、国外の決済にも対応したショッピングモールです。越境ECモールに対応可能な国産ネットショップ管理システムは多くありません。
2.ほかのシステムと連携できるか
外部システムと連携することで、ネットショップ管理システムの機能性は大きく向上します。しかし、具体的にどのようなシステムと連携できるかは、製品によって異なるため注意が必要です。
物流システムや在庫管理システムなどをこれから導入するのであれば、ネットショップ管理システムにあわせて選定することもできるでしょう。一方、すでに多くのシステムを利用しているのであれば、それらと連携可能なネットショップ管理システムを選定しなければなりません。
また、連携の方法にも注意しましょう。CSVのインポート・エクスポートでも連携は可能ですが、タイムラグが生じます。APIでリアルタイムにデータを共有できるほうが望ましいでしょう。
3.クラウド型かオンプレミス型か
多くのITツールと同様、ネットショップ管理システムにもクラウド型とオンプレミス型が存在します。クラウド型とは、インターネットを介して利用するサービス形態です。オンラインであれば時間や場所を問わず使え、導入の負担も少ないことから、手軽に使える形態として知られています。
一方、オンプレミス型は自社のサーバにソフトウェアをインストールする形態です。完全に自社でシステムを管理するため、情報を社外に出すリスクがなく安心できます。ただし、導入コストが高いうえ、管理をすべて自社で行わなければならないのが欠点です。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社のニーズを洗い出して適切なほうを選びましょう。
ネットショップ管理システムのメリット
複数のネットショップを運営するのは大変です。日夜作業に追われ、生産性向上や事業規模拡大にまで、リソースを割けない人も多いのではないでしょうか。
そこでネットショップ管理システムを導入すれば、膨大な手作業やミスのリスクから解放され、サービスの質を高められます。
ヒューマンエラーの防止
人間である以上、どれほど細心の注意を払ってもミスをゼロにすることはできません。ネットショップ運営でも、在庫がないのに受注してしまったり、注文と異なる商品を発送したりと、さまざまなミスが発生します。
そこで、ネットショップ管理システムで自動化すれば、人の手が入り込む余地が減り、人為的ミスのリスクを低減できます。
業務の効率化
複数のネットショップにログインし、それぞれのシステムを操作するのは無駄の多い作業です。ネットショップ管理システムを使えば、全店舗のデータや操作を一元化できます。同じ作業を繰り返す必要がなくなり、業務効率を大幅に高めることが可能です。
作業が忙しいことを理由に、顧客対応がおろそかになったり、事業規模の拡大をためらったりしていませんか。手作業を自動化すれば、生産性に直結するコア業務に多くのリソースを割けるようになります。
顧客満足度の向上
基本的に、消費者はできるだけ早く商品を届けてほしいと考えています。複数のECサイトがあり、価格や品質に差がないのであれば、多くのお客様は配送が迅速なサービスを利用するでしょう。
ネットショップ管理システムを利用して受注から発送までの工数を削減すれば、その分、速やかにお客様のもとへ商品が届きます。顧客満足度の向上は、リピーターの獲得にもつながるでしょう。
ネットショップ管理システムのデメリット
意を決してネットショップ管理システムを導入しても、社内にうまく定着しないことがあります。コストだけ発生し、もとを取れない事態だけは避けたいものです。そこで、最後は導入時に気を付けるべきデメリットを紹介します。
業務フローの見直しが必要になる
一口にネットショップの運営といっても、具体的な業務フローは企業によって異なるでしょう。多くのネットショップ管理システムは標準的な業務フローにあわせて作られていますが、それが自社の業務フローに合うとは限りません。
導入したいネットショップ管理システムと、自社の業務フローとの間に乖離がある場合は、業務フローをシステムにあわせて変えなければなりません。
新しい業務フローが従業員に受け入れられ、社内に浸透するまでには、長い期間を要する可能性があります。できるだけフローの変更が少なく済み、扱いやすいネットショップ管理システムを選定しましょう。
システムの利用コストが発生する
ネットショップ管理システムには、初期費用と月額費用が発生します。具体的な価格は製品や既存環境によって大幅に異なるため一概には言えませんが、毎月数万円のコストは見積っておきましょう。
もしネットショップの規模が小さく、システム導入のメリットよりもコストのほうが大きいのであれば、導入は不要かもしれません。機能や特徴、価格などを総合的に考慮し、導入の可否を慎重に判断しましょう。
ネットショップ管理システムを導入してショップ運営を効率化
ネットショップ管理システムを活用すれば、複数店舗の情報や処理を一元化できます。ルーティンワークを効率化・自動化すればリソースに余裕が生まれ、コア業務に専念できるようになるでしょう。
機能や特徴、連携可能な外部システムなどは製品によってさまざまです。十分に比較・検討し、自社に最適なネットショップ管理システムを導入しましょう。