統合運用管理システムで運用が滞る背景
統合運用管理システムは、複数のサーバやネットワーク機器の状態を一つの画面で確認できる仕組みです。監視対象が増えるほど扱う情報量も増え、担当者の業務範囲が広がりやすくなります。まずは運用が滞る背景を整理します。
情シス担当者の業務範囲の広がり
統合運用管理システムを導入すると、サーバやネットワーク、業務システムなど複数の監視対象を一つの画面で確認できるようになります。担当者が少ない組織では、この監視業務が既存業務に上乗せされる形になりやすいです。
情シスが1人だけの体制では、アラート確認や資産情報の更新に加えて、問い合わせ対応や日常のIT運用も並行して担うことが多くあります。結果として、優先順位づけが難しくなる場面が出てきます。
アラート件数の増加と優先順位づけの難しさ
監視対象が増えると、発生するアラートの件数も増える傾向があります。重要度の高いアラートと、様子見でよいアラートが混在すると、確認だけで時間がかかる場合があります。
対応の優先順位を判断する基準があいまいなまま運用を始めると、緊急性の低い通知への対応に時間を取られ、重要な障害の兆候を見落とす可能性があります。しきい値や通知条件の見直しが必要になる場面もあります。
情シス1人体制で起こりやすい運用の停滞
情シス担当者が1人しかいない組織では、統合運用管理システムを導入しても運用が定着しにくい場合があります。ここでは、アラート対応と資産管理という2つの業務で起こりやすい状況を取り上げます。
アラート対応の遅延や見落とし
情シスが1人の場合、休暇や他業務との重なりによってアラートの確認が後回しになる場面が生まれます。通知を受け取ってから対応するまでの時間が空くと、障害の発見が遅れる可能性があります。
対応が特定の担当者に集中する体制は、その担当者が不在のときに確認自体が止まってしまう恐れがあります。複数人での確認や、通知の共有先を増やす工夫が求められます。休暇や出張の際に確認を代行する担当を決めておくことも、対応の抜けを減らす手段の一つです。
資産管理台帳の更新が追いつかない状況
統合運用管理システムには、社内のパソコンやサーバの情報を一覧で管理する資産管理の機能を備えるものがあります。台帳の情報は、機器の入れ替えや設定変更のたびに更新する必要があります。
担当者が1人だと、日々の運用対応を優先するあまり、資産情報の更新が後回しになる場合があります。台帳と実際の機器情報にずれが生じると、障害対応時に状況を正しく把握しにくくなります。棚卸しの時期をあらかじめ決めておくと、更新の後回しを防ぎやすくなります。
情シス不在で統合運用管理システムを導入した場合の課題
情シス部門を置かず、他部署の担当者が兼任で統合運用管理システムを扱う組織もあります。専任の担当者がいない体制では、アラートの確認や初動対応に時間がかかりやすくなります。
アラートが放置されやすい体制の背景
情シスが不在の場合、アラート通知を受け取る担当者が明確に決まっていないことがあります。担当が曖昧なまま運用を始めると、確認が行われないまま通知が積み重なる可能性があります。
通知の宛先や確認の役割分担を決めずに導入すると、対応の抜け漏れが生じるケースがあります。運用開始前に、確認担当と対応の流れを取り決めておくことが重要です。
障害対応の初動が遅れる要因
アラートに気づいてから対応を始めるまでの初動が遅れると、障害の影響範囲が広がる可能性があります。兼任担当者は本来の業務と並行して対応するため、確認までに時間がかかる場合があります。
初動の遅れは、通知手段が限定的であることや、対応手順が整理されていないことも影響します。エスカレーション先や対応手順をあらかじめ文書化しておくと、対応の遅れを抑えやすくなります。休日や夜間の連絡ルートを決めておくことも、初動を早める工夫の一つです。
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多拠点導入で統合運用管理システムの設定がばらつく要因
複数拠点でシステムを導入する場合、拠点ごとに担当者や環境が異なるため、設定内容にばらつきが生じやすくなります。ここでは、設定の違いが生まれる要因を整理します。
拠点ごとの運用ルールの違い
本社と支社で異なる担当者が個別に設定を行うと、通知先や運用ルールが拠点ごとに異なる状態になりやすいです。統一したルールがないまま導入を進めると、後から標準化する作業が発生します。
拠点によって使用する機器やネットワーク環境が異なる場合もあり、同じ設定をそのまま適用できないこともあります。共通で決めるルールと、拠点ごとに調整できる範囲をあらかじめ分けておくと管理しやすくなります。
| 拠点の状況 | 起こりやすい設定の違い |
|---|---|
| 本社主導で導入した場合 | 支社側の環境確認が不足し、通知条件が実情に合わない場合があります。 |
| 拠点ごとに個別導入した場合 | 担当者ごとに設定基準が異なり、しきい値や通知先がそろわない場合があります。 |
監視対象・しきい値設定の不統一
監視するサーバや機器の範囲、警告を出すしきい値の基準が拠点ごとに異なると、同じ種類の異常でも通知の有無が変わってしまう場合があります。
設定の基準が統一されていないと、本社側で全体の状況を把握しようとしたときに、拠点間の比較がしにくくなります。定期的に設定内容を確認し、そろえられる部分を見直すことが有効です。
情シスと外部運用会社の連携で生じるズレ
運用の一部を外部の運用会社に委託している組織では、情シス担当者と委託先の間でアラート対応の方針が食い違う場合があります。連携面で起こりやすい課題を確認します。
アラート対応方針の認識の相違
委託先が対応する範囲と、社内で判断すべき範囲の線引きがあいまいだと、双方が相手の対応を待ってしまう状況が起こる場合があります。契約時に決めた対応範囲と、実際の運用にずれが生じることもあります。
対応方針の認識がそろっていないと、緊急度の高い通知への対応が遅れる可能性があります。定期的な打ち合わせで、対応範囲や優先順位の認識を確認し合うことが望まれます。
役割分担・エスカレーション基準の不明確さ
どの段階で情シスへ連絡するか、どの障害を委託先の判断で対応するかという基準が明確でないと、連絡のタイミングが遅れる場合があります。役割の線引きが契約書上だけで運用に反映されていないケースも見られます。
エスカレーションの基準は、障害の種類や影響範囲に応じてあらかじめ整理しておくと、双方の対応がそろいやすくなります。基準は運用状況の変化にあわせて見直すことも必要です。
統合運用管理の運用を安定させる体制づくり
運用が回らなくなる状況を避けるには、担当者個人の努力だけに頼らず、組織として対応できる仕組みを整えることが重要です。ここでは、体制づくりの観点を紹介します。
対応ルールの明文化と共有
アラートを受け取ったときの確認手順や、対応の優先順位を文書にまとめておくと、担当者が変わっても同じ基準で対応しやすくなります。
明文化したルールは、情シス担当者だけでなく、外部運用会社や兼任担当者とも共有しておくことが望まれます。共有先を決めておくと、対応の重複や漏れを防ぎやすくなります。
- アラートの確認担当と連絡先
- 対応の優先順位を判断する基準
- エスカレーションの条件と連絡フロー
ログ・履歴を活用した引き継ぎ体制
対応履歴や設定変更の記録を残しておくと、担当者が交代する際の引き継ぎがしやすくなります。記録がない場合、過去の対応経緯を把握するまでに時間がかかることがあります。
統合運用管理システムの操作履歴や通知ログを定期的に確認し、対応状況を複数人で把握できるようにしておくと、特定の担当者に依存しない運用に近づけられます。引き継ぎ資料に過去の対応事例をまとめておくと、新しい担当者も判断しやすくなります。
監視設計の定期的な見直し
導入時に設定したしきい値や監視対象は、システム環境の変化にあわせて見直す必要があります。見直しを行わないまま運用を続けると、実情に合わない通知が増える場合があります。
定期的な棚卸しの機会を設け、不要な通知の見直しや拠点間の設定差の確認を行うことで、運用の負荷を抑えやすくなります。外部の運用会社と契約している場合は、見直しの頻度もあわせて確認するとよいでしょう。
アラート対応・資産管理を支える統合運用管理システム
ここまで見てきたアラート対応の遅れや資産管理の更新漏れ、拠点間の設定のばらつきといった課題は、統合運用管理システムの選び方によって軽減できる部分があります。ここでは、アラート整理や資産管理、監視・対応の効率化に役立つ製品を紹介します。
アラートメールフィルタ
- アラートメールの送信先にAMFを加えるだけで簡単に利用できる
- スクリプト開発の必要なくノーコードで設定可能
- 運用会社が開発したツールのため導入後も手厚いサポート体制
株式会社ビリーフワークスが提供する「アラートメールフィルタ」は、監視システムなどから送られてくる大量のアラートメールを自動で仕分けできるツールです。本文の内容にもとづいてメールを分類し、重要度の高い通知を見落としにくくする機能を備えています。複数の監視ツールから届くアラートを一元的に整理したい場合に活用できます。
クライアント運用管理ソフト SKYSEA Client View
- 「日経コンピュータ 顧客満足度調査 2026-2027」で1位を獲得!
- IT資産情報を一元管理し、管理者の業務負担を軽減!
- 組織のポリシーに合わせてセキュリティを強化
Sky株式会社が提供する「クライアント運用管理ソフト SKYSEA Client View」は、社内のパソコンなどのIT資産を一元管理できる運用管理ソフトです。資産情報の管理に加え、操作ログの取得やソフトウェア配布、セキュリティ対策の状況把握など幅広い機能を搭載しています。拠点に分散した端末の情報もまとめて把握できるため、拠点ごとの管理状況を把握する際に役立ちます。
WebSAM Cloud
- シンプルで分かりやすいGUIで機能の設定も簡単
- 継続的な機能アップデートと伴走サポートで導入効果を最大化
- AIがインシデント発生時の対処・回答・報告を強力サポート
日本電気株式会社(NEC)が提供する「WebSAM Cloud」は、サーバやネットワーク機器などの稼働状況を統合的に監視できる運用管理システムです。システムの状態やアラートの発生状況を画面上で把握でき、監視対象を一元的に管理する機能を備えています。クラウド上で利用できるため、複数拠点にまたがる環境の監視をまとめて行いたい場合にも活用できます。
Infrastructure Monitoring and Observability (SolarWinds Japan株式会社)
- オンプレミス、クラウド、ハイブリッド環境の統合監視。
- AI/MLによる異常検知と原因分析
- 豊富なダッシュボードとレポート機能
Rundeck (PagerDuty株式会社)
- GUIインターフェースで簡単な自動化ワークフローを作成
- プラグインが豊富で連携容易。
- 実行履歴とアクセス制御で運用の透明性とセキュリティを強化。
CORTEXXSOAR (パロアルトネットワークス株式会社)
- ケース管理と自動化プレイブックで対応手順を統一。
- SIEM等のアラートを集約・解析
- 脅威インテリジェンスで調査を支援。
ベアサポート (株式会社リンク)
- 独自開発の国産コールセンターシステム
- 金融機関採用の高レベルセキュリティ
- 365日24時間電話サポート
まとめ
統合運用管理システムの運用が回らなくなる背景には、担当者の体制不足や拠点ごとの設定の違い、外部運用会社との認識の相違など複数の要因が関係します。単一の原因に限定せず、対応ルールの明文化や引き継ぎ体制の整備など、組織全体で取り組める仕組みづくりが重要です。自社の運用体制にあう製品を検討する際は、資料請求で機能や特徴を比較してみてください。

