XaaSとは
XaaSとは「X as a service」の略で、クラウドによって提供されるサービスの総称です。aaS(as a Service)は、サブスクリプション型のビジネスモデルのことで、リース形式でサービスを提供するという意味です。
「X」の部分にはさまざまな言葉があてはめられ、「Platform」であればPaaS、「Infrastructure」であればIaaSなど、その種類は多岐に渡ります。基本的にこれらのサービスはベンダーと契約を結び、インターネットを介して受け取るという形で利用します。
広がるas a Serviceの形
近年、クラウド型でのサービス提供が増えています。XaaSの中で代表的なものはIaaS、PaaS、SaaSですが、そのほかにも種類があります。
総務省が公開している情報通信白書令和元年版によると、PaaSやIaaSなどのクラウドサービスは世界規模で市場が拡大しており、今後も成長していく見込みとなっています。
さらに最近では、車の貸し出しサービスなどのXaaSの事例もあります。XaaSはIT分野以外のサービスの呼称としても広がりつつあるといえるでしょう。
参考:レイヤー別にみる市場動向|総務省
XaaSの種類
XaaSの種類を5つ、一覧で紹介します。
FaaS
FaaSには3つの意味があります。
- Framework as a Service
- PaaSとSaaSの中間的な存在です。PaaSよりも簡単な操作でアプリケーションを実装できますが、SaaSのように初めから完成したものが提供されるわけではありません。
- Function as a Service
- 機能の実行環境を提供するサービスです。サーバの管理をベンダーに任せられるため、開発者はプログラミングに専念できます。その点ではPaaSと似ていますが、FaaSはプログラムのリクエスト送受信もベンダーに任せられる点で異なります。
- Fraud as a Service
- サイバー犯罪に必要なサービスです。マルウェアや犯罪者ネットワークなどを提供します。
CaaS
CaaSには3つの意味があります。
- Communications as a Service
- インターネット電話やテレビ会議など、コミュニケーションツールを提供します。ベンダーがハードウェア、ソフトウェアを管理し、ユーザーは従量課金制でそれらを利用します。
- Container as a Service
- コンテナ型と呼ばれる特殊な仮想化サービスを提供します。アプリの開発環境を提供しているため、PaaSの一種といえます。アプリケーションの移動性(使える環境の多さ)を高められるのが特長です。
- Crimeware as a Service
- 犯罪に必要な攻撃用のソフトウェアを提供するサービスです。ランサムウェアを提供するRaasや、フィッシング詐欺を実現するPhaaSなどがこれに該当します。
BaaS
BaaSには3つの意味があります。
- Backend as a Service
- モバイル向けアプリケーションの開発に特化した環境を提供します。モバイルアプリのバックエンドで必要なプッシュ通信機能やユーザー管理機能を備え、効率よくアプリを開発できます。
- Backup as a Service
- インターネットを介したバックアップサービスです。サイバー攻撃や災害によるデータの損失に備えられます。
- Blockchain as a Service
- ブロックチェーンをクラウド上で提供するサービスです。必要な設定が完了した状態で提供されるため、ブロックチェーンを利用したアプリケーションの開発に集中できます。
HaaS
HaaSは「Hardware as a Service」の略で、データセンターに構築された仮想化サーバを提供します。月額料金で利用できるため、サーバ導入時のコストを低く抑えられます。
IaaSはHaaSから派生したものです。HaaSは物理的にサーバを貸し出すだけですが、IaaSはさらに構築されたITインフラを包括的に提供します。
MaaS
MaaSは「Mobility as a Service」の略で、移動手段の貸し出しサービスです。カーシェアリングもMaaSの1種です。IT分野以外にも広がったXaaSの1つといえます。
また、利用できるのは車に限りません。バスや電車などを乗り継いだ際に、料金を事業者ごとの個別ではなく、まとめて支払えるシステムもあります。ニーズに応じて総合的な移動手段を提供するサービスといえます。
クラウドサービスのメリット
クラウドサービス(XaaS型)には以下のようなメリットがあります。
- ■ベンダーに管理を任せられるのでメンテナンスが不要
- ■インターネット環境で利用でき、利用場所や利用人数の自由度が高い
- ■初期導入コストを抑えられるので導入ハードルが低い
サーバやシステムを自社内で管理する必要がないため、エンジニアなどの人手を確保できない場合でも運用できる点が特長です。また、ベンダーがアップデートなどを担い、最新の状態で運用されるため、セキュリティ面でも安心できます。
また、インターネット上で利用できるのもメリットです。場所を選ばないうえ、スマートフォンなどさまざまな端末での利用も簡単です。複数人での利用にも適しているでしょう。さらに、データ利用量に応じた料金体系であるため、高額な初期費用はかかりません。
XaaS普及の背景には、このようなクラウドの利便性や導入ハードルの低さがあります。
Xaasを利用してビジネスを円滑に!
XaaSとは、クラウド上で提供されるサービスの総称です。その種類は多岐に渡り、最近ではIT分野以外にもサービス提供の考え方が普及しつつあります。XaaSにはSaaSやPaaSのほか、FaaS、CaaSなどがあり、複数の意味を持つ用語もあります。
クラウドは利便性が高く、今後もXaaSは普及していくでしょう。