PaaSのシェア
PaaSを含むパブリッククラウドの市場占有率を見ていきましょう。
AWSは全世界で不動の1位
AWSは全世界で不動の1位の座を築いています。調査会社Synergy Research Groupが2018年11月に発表したデータによると、世界シェアの順位は以下のような状態になっています。
- ■1位:AWS
- ■2位:Microsoft
- ■3位:Google
- ■4位:Alibaba
- ■5位:IBM・Salesforce
AWSは世界シェアの約34%を占めています。2~4位の合計が34%以下なので、AWSが突出していることが分かります。また、2012年の段階でAWSはすでにトップであり、その後も順位は変わっていません。長期間にわたって1位を維持していることが分かります。
2位以降は地域差あり
2位以降は地域差が大きいのが特徴です。地域ごとのシェアは以下の通りです。
- 【北アメリカ】
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- ■1位:AWS
- ■2位:Microsoft
- ■3位:Google
- ■4位:Salesforce
- ■5位:IBM
- 【EMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)】
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- ■1位:AWS
- ■2位:Microsoft
- ■3位:Google
- ■4位:IBM
- ■5位:Salesforce
- 【APAC】
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- ■1位:AWS
- ■2位:Alibaba
- ■3位:Microsoft
- ■4位:Google
- ■5位:Tencent
- 【ラテンアメリカ】
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- ■1位:AWS
- ■2位:Microsoft
- ■3位:Google
- ■4位:Salesforce
- ■5位:IBM
北アメリカとラテンアメリカは同じで、EMEAは4位と5位が異なるのみです。APACではAlibabaの利用率が顕著です。ただし、主に中国での利用が多いためで、APAC全体でのシェアが大きいわけではありません。
参照:
No Change at the Top as AWS Remains the Leading Public Cloud Provider in all Regions|Synergy Research Group
The Leading Cloud Providers Increase Their Market Share Again in the Third Quarter|Synergy Research Group
PaaSの市場規模
PaaSの市場規模は今後どうなるのでしょうか。海外・国内ともに、過去の市場推移と今後の展望を交えて見ていきましょう。
世界規模で成長している
PaaSを含むクラウド市場は2015年時点で約931億ドルに到達し、その後も世界規模での成長が予測されています。調査会社Synergy Research Groupは2017年7月に、以下のような予測を発表しています。
- ■今後5年間(2022年まで)に渡り、毎年23%から29%程度成長を繰り返す
- ■2020年には2000億ドルに到達
また、別の調査会社IDCも以下のような予測を発表しています。
- ■2016年から2021年にかけて毎年21%ずつ成長
- ■2021年には2660億ドルに到達
さらにSynergy Research Groupは、IaaSとPaaSが今後の市場成長をけん引すると分析しています。
参照:
Cloud & Hyperscale Growth Forecast Presents both Opportunity and Major Challenges|Synergy Research Group
平成28年版 情報通信白書 クラウドサービス市場|総務省
国内でも近年成長中
国内でもPaaSの市場は成長しています。
IDC Japanは、2017年10月に以下のように発表しています。
- ■2016年の国内PaaS市場は前年比30.5%増の820億円
- ■2021年の市場規模は2,602億円と予測
- ■2016年から2021年の年間平均成長率は26.0%と予測
また、矢野経済研究所はIaaSとPaaSについて、2018年に以下のように発表しています。
- ■前年比成長率は2016年が42.9%、2017年が33.3%
- ■2018年の市場規模は前年比29.2%増の3,100億円になると予測
- ■AIやIoTにより今後もPaaSの市場は拡大すると予測
このように、PaaS市場は国内でも高い成長率で推移してきており、今後もこの流れが続くと予測されています。
参照:
Worldwide and Regional Public IT Cloud Services Forecast, 2018–2021| IDC
2018 クラウドコンピューティング(IaaS/PaaS)市場の実態と展望|矢野経済研究所
トップシェアサービスの特長
PaaSのトップシェアサービスの特長を見ていきましょう。
AWS
AWSはPaaSの世界シェアで不動の1位を誇るサービスです。世界190ヵ国以上、数百万人ものユーザーに利用されています。
AWSには以下のような特徴があります。
- ■世界のセキュリティ標準(ISO 27001)などに準拠
- ■アクセス権限が柔軟に管理できる
- ■容量無制限のストレージサービスがある
- ■世界中に拠点がある
→リスクを分散でき耐障害性が高い
信頼性が高く、安定して運用できるのが魅力です。
Azure
Microsoft Azureは高い成長率を誇るサービスです。以下のような特徴を備えています。
- ■幅広いOSや言語に対応
- ■分単位での従量課金
→短時間で利用する際にコスパが良い
- ■ストレージおよびデータベースは3重化
→高い可用性を実現
- ■グローバル標準の外部監査・運用基準認証取得済み
→高度なセキュリティを実現
柔軟性が高いサービスといえるでしょう。
Google App Engine
Google App Engineは世界シェアで第3位のサービスです。以下のような特徴を持ちます。
- ■アクセス権限管理がシンプルで分かりやすい
- ■高耐久・容量無制限のストレージサービスがある
- ■仮想マシンの設定が柔軟
- ■世界中に拠点がある
→リスクを分散でき耐障害性が高い
シンプルで分かりやすいシステムが魅力です。
シェア・市場規模を参考に、自社に最適なPaaSを導入しよう
PaaSのシェアではAWSが突出したトップの地位を維持しています。2位以下は地域による差もありますが、アジア以外では順位が安定しています。PaaSの市場規模は、海外・国内ともに現在も拡大中です。
これまで高い成長率で推移してきており、今後もこの流れは持続すると考えられています。ぜひ、これらのシェア・市場規模の情報を参考に、自社に最適なPaaSを導入してください。