使いやすさを数えられる指標に置き換える
「使いやすい」という印象は人によってぶれます。そこで、印象を手数や項目数といった数えられる形に置き換えると、製品の比較が一気に明確へと変わります。ここでは評価軸の作り方を示します。
接続までのクリック数で測る
もっとも分かりやすい物差しは、つなぐまでのクリック数です。デスクトップのアイコンを押し、表示された一覧から接続先を選び、開始を押す。この流れが三クリックで終わる製品もあれば、認証コードの入力画面をはさんで五クリック以上かかる製品もあります。毎日使う社員にとっては、この一回の差が積み重なって満足度を分けます。
クリック数を数えるときは、再接続の場面も別に数えます。一度切れたあとにもう一度つなぐとき、最初と同じ手順を踏み直す製品と、直前の接続先がワンタッチで呼び出せる製品では、体感が大きく変わります。初回と再接続の二場面でクリック数を記録すると、実態に近い評価が得られます。
初回設定の入力項目数で測る
導入時の負担は、初回設定で求められる入力項目の数に表れます。メールアドレスとパスワードの二項目だけで始められる製品もあれば、サーバーアドレス、ポート番号、認証方式、接続名などを順に埋める製品もあります。入力欄が多いほど、初めての担当者がつまずく箇所も増えていきます。
入力項目を数えるときは、専門用語が出てくる欄をあわせて記録します。ポート番号や暗号化方式など、意味が分かりにくい欄が混じると、IT知識が浅い人ほど手が止まります。入力欄の総数と、用語が必要な欄の数を分けて控えておくと、誰が設定を担えるかの見当が付きます。
管理画面のメニュー階層で測る
管理者側の使いやすさは、メニューの深さで測れます。ユーザーを追加する操作が、トップ画面から一階層で届くか、それとも設定の奥を二階層三階層とたどるか。よく使う操作がどれだけ浅い位置にあるかを数えると、運用の手間が見えてきます。
あわせて、トップ画面に並ぶメニューの個数も控えます。項目が十数個並ぶ画面は機能が豊富な反面、目的の操作を探す時間が増えます。逆に主要操作が数個に絞られた画面は、専任の担当者がいなくても迷わず回せます。階層の深さと項目数の二つで、管理画面の見通しを評価できます。
操作の流れを段階で数値化する
接続という一連の動作を、起動・認証・接続先選択・開始という段階に分けると、どこに手数が偏っているかが見えます。ここでは段階ごとの数え方を整理します。
起動から認証までの手順数
アプリを開いてから本人確認を終えるまでの手順を数えます。生体認証や端末記憶でパスワード入力を省ける製品は、この段階が一手で済みます。一方、毎回パスワードと認証コードの二段を求める製品は、安全性が高い半面、起動から認証までの手順が増えます。安全性と手数のどちらを優先するかは、利用場面で判断します。
外出先で短時間だけ社内資料を見る使い方なら、認証の手順が一手少ないだけでも体感が軽くなります。在宅で一日つなぎっぱなしにする使い方なら、初回の認証が多少多くても気になりにくいでしょう。手順数を場面とあわせて評価すると、自社の働き方に合う製品が絞れます。
接続先選択から開始までの手順数
認証のあと、つなぎたい端末や環境を選んで開始するまでの手順を数えます。接続先が一覧で表示され、押すだけで開始まで進む製品は二手で完了します。アドレスを手入力したり、接続設定を選び直したりする製品は、ここで手数が積み上がります。よく使う接続先を上部に固定できるかも見ておきます。
複数の端末を使い分ける社員ほど、この段階の差が効いてきます。選択肢が整理され、直近に使った接続先がすぐ呼び出せる設計なら、切り替えの手間を抑えられます。接続先選択の手順数は、日々の切り替え回数が多い職場ほど重視したい指標です。
スマホやタブレットでの操作回数
スマホやタブレットから使う場面では、画面の小ささが手数に直結します。指で押す対象が大きく配置され、接続先の選択から開始まで画面の切り替えが少ない製品は、移動中でも操作しやすいでしょう。パソコンと同じ手数で済むかを、端末ごとに数えて比べます。
縦持ちのスマホと横持ちのタブレットでは、画面に入る情報量が変わります。文字入力を求められる場面が多いと、小さな画面では手間が増えがちです。タブレットやスマホでの接続を、実機で一度通しで操作し、パソコンとの手数の差を記録しておくと、現場での使い勝手を見誤りません。
使いやすさを見極めるチェックリスト
ここまでの指標を、製品選定でそのまま使えるチェックリストにまとめます。各項目を数値で埋めれば、複数の製品を同じ基準で並べて比較できます。
手数とUI項目のチェック項目
確かめたい数値は次のとおりです。初回の接続クリック数、再接続のクリック数、初回設定の入力項目数とそのうち専門用語が必要な欄の数、起動から認証までの手順数、接続先選択から開始までの手順数、管理画面でユーザー追加に届くまでの階層数。この七つを製品ごとに記入すると、強みと弱みが一目で並びます。
数値が小さいほど操作は軽くなりますが、安全性とのつり合いも見ます。認証の手順が一手だけの製品は手軽な半面、本人確認の強度を別に確認しておきたいところです。手数の少なさと安全対策の両方を表に並べ、自社が許容できる範囲で手数が最も少ない製品を選ぶと、判断に迷いません。
無料試用での数値の取り方
多くの製品で無料の試用期間が用意されています。試用では、感想を書き留めるのではなく、前述のチェックリストの数値を実際に数えて埋めます。利用する社員と管理する担当者の双方が手を動かし、それぞれの立場でクリック数や手順数を記録すると、両面から客観的に比べられます。
試用の際は、自宅や外出先、スマホやタブレットなど、実際に使う環境ごとに同じ項目を数えます。同じ製品でも端末や回線で手数が変わることがあるため、環境を変えて測ると見落としが減ります。資料の説明と実機の数値を突き合わせれば、誇張のない比較ができます。
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操作画面の見え方で迷わない製品を見分ける
数値に加えて、操作画面の見た目からも迷いにくさは判断できます。実際の画面イメージに沿って、どこを見れば迷わない設計かを示します。
接続ボタンの位置とラベルを見る
起動して最初に出る画面で、接続を始めるボタンがすぐ目に入るかを確かめます。画面の中央や上部に大きく配置され、「接続」「開始」など意味が即座に分かるラベルが付いていれば、初めての社員でも手が迷いません。ボタンが小さく端に寄っていたり、英語表記だったりすると、最初の一手で立ち止まります。
接続先が複数あるときは、一覧の並び方も見ます。直近に使った接続先が上に来る、名前で並べ替えられるなど、目的の項目に早く届く工夫があるかを確認します。最初の画面で次に何を押せばよいか直感的に分かる製品は、説明書を読まなくても使い始められます。
エラー時の案内の分かりやすさを見る
つながらない場面でこそ、画面の親切さが試されます。「接続できません」とだけ出る製品と、「Wi-Fiを確認してください」「もう一度お試しください」と次の行動を示す製品では、自己解決できる割合が変わります。試用中にあえて圏外で接続を試し、どんな案内が出るかを見ておくと、現場での混乱を減らせます。
あわせて、問い合わせ窓口への導線が画面上にあるかも確認します。エラー画面からそのままサポートに連絡できる設計なら、社員が情シスを通さずに解決へ進めます。案内の文言が平易で、次の一手が示される製品は、IT知識が浅い利用者にとって心強い味方です。
導入前に数値で確認しておくこと
製品を絞り込んだあとも、契約前に数えて確かめておきたい点が残ります。費用と社内の体制を、見積もりやすい形で整理します。
利用人数あたりの費用を試算する
クラウド型は利用人数に応じて費用が変わる製品が多く、一人あたりの月額を出すと比較しやすくなります。初期費用がかかる方式では、利用人数で割って一人あたりの初年度負担を算出すると、方式をまたいで横並びで比べられます。手数の少なさと一人あたり費用を並べれば、費用対効果の見当が付きます。
契約期間や人数変更の条件も数値で控えます。利用人数が増減する見込みがあるなら、何人単位で増減できるか、解約までの最低期間は何か月かを確認します。中長期の総額を試算しておくと、導入後の見通しが立てやすく、社内の説明もしやすくなります。
サポートの対応時間と範囲を確認する
困ったときに頼れるかは、対応時間という数値で測れます。平日の何時から何時まで対応するか、休日や夜間に窓口が開いているかを確認し、自社の勤務形態と重なるかを見ます。在宅勤務が多い職場なら、勤務時間と窓口の時間がずれていないかが要点です。
対応の範囲もあわせて確かめます。社員の自宅のWi-Fiからつながらないといった個別の相談まで受けてくれるのか、製品本体の不具合だけなのか。範囲が広い事業者ほど、情シスの負担を肩代わりしてくれます。対応時間と範囲を資料請求の段階で比べておくと、契約後のずれを防げます。
使いやすさの見極めに関するFAQ
使いやすいリモートアクセスを手数で見極めるにあたり、寄せられることの多い疑問をまとめました。検討の参考にご確認ください。
- ■Q1. 接続までのクリック数は何回くらいが目安ですか
- 明確な基準はありませんが、起動から接続開始まで三クリック前後で済む製品は、毎日使う社員でも負担を感じにくいとされています。再接続のときに直前の接続先がワンタッチで呼び出せると、さらに手数を抑えられます。初回と再接続の二場面でクリック数を数え、自社で許容できる範囲かを試用中に確かめると判断しやすくなります。
- ■Q2. スマホやタブレットでも同じ手数で使えますか
- 製品によって異なります。パソコンと同じ操作感を保つ製品もあれば、小さな画面で文字入力が増え、手数がかさむ製品もあります。指で押す対象の大きさや画面の切り替え回数は、実機で操作してみないと分かりにくい部分です。試用の段階で、スマホとタブレットの両方から一度通しでつなぎ、パソコンとの手数の差を記録しておくと安心です。
- ■Q3. 初回設定の入力項目が多い製品は避けるべきですか
- 項目が多い製品が劣るわけではなく、誰が設定を担うかで判断が変わります。専門用語の入力欄が少なく、案内に沿って進められる製品は、IT担当者がいなくても設定を進めやすい傾向があります。入力欄の総数と、用語が必要な欄の数を分けて数え、担当者の知識に見合うかを確かめると、導入時のつまずきを減らせます。
まとめ
使いやすいリモートアクセスは、接続までのクリック数、初回設定の入力項目数、管理画面のメニュー階層といった数えられる指標に置き換えると、複数の製品を同じ基準で公平に比べられます。起動から開始までを段階に分けて手数を数え、スマホやタブレットでの操作回数も加えてチェックリストに記入すれば、強みと弱みが一目で並びます。無料試用では感想ではなく数値を記録し、操作画面の見え方やエラー時の案内もあわせて確かめることで、迷わず使える製品を確実に見分けられます。


